72 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 19:35:30.38 ID:L7/lDu6X0
まく吉と一緒に空港へ行き、サークルメンバーと合流した。
私はついついリサさんの存在を目で探していた。

大半が50代のおばさんの中、一人とても綺麗な女性がいるのに気づいた。それが、リサさんだった。

リサさんは芸能人としてでも通用しそうな目鼻立ちのはっきりした美人だった。
対して私は、黒髪おかっぱのあかぬけない高校生だったので、ショックは大きかった。
まく吉がこんなに綺麗な人に好意を持たれていたなんて・・・と。




73 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 19:36:07.42 ID:L7/lDu6X0
メンバーは、合計10人前後。
リーダー、私とまく吉、リサさん、50代から60代のおばさんが5,6人ほど。

おばさん達は、みんな宗教の、というよりはリーダーの熱心な信者みたいだった。
リーダーを取り囲んで、キャーキャー言っていたのを覚えている。

また、同じようにまく吉もおばさん達から支持を受けているようで、尊敬のまなざしで見られていた。


74 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 19:40:06.57 ID:L7/lDu6X0
飛行機の中で私はまく吉の隣に座った。

元々出来上がっているサークルに飛び入りしたわけで、 自分は人見知りではないと思っていたけれど、
まったくの知らない人たちの中で、どう立ち回ればいいか分からなかった。

年齢も一人だけ高校生ということで、どう考えても浮いていた。 


76 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 19:47:54.66 ID:L7/lDu6X0
旅行でのホテルは10日間同じ場所に宿泊することになった。
私の部屋はリサさんと同室だった。
夫婦でもない、未成年の私をまく吉と同室にすることは出来なかったのだと思う。

リサさんは、私のことをある程度聞いていた様子で、 
初日は「よろしくね」とやさしい笑顔を向けてくれて、私はほっとしたのを覚えている。

だけれど、一緒に観光に出向くということはなかった。
もうすでに内輪のグループがあって、気づくと部屋からいなくなって、観光に出かけているようだった。

私は必然的にまく吉に頼るほかなかった。
でも、常に一緒にいる私たちを、おばさん達は快く思わなかったようだ。


77 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 19:51:14.95 ID:L7/lDu6X0
2日、3日と経つにつれ、リーダーの元へと私たちにまつわる悪い噂や批判がいくようになっていた。
 一人、おばさんの中で、はぶられ気味にされていた女性が教えてくれた。

きっとどこかで手をつないで歩いているところを見られたのが原因だと思われる。
そうして、旅行も残り半分になる頃、私とまく吉は、リーダーの部屋へと呼び出された。


79 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 20:06:13.40 ID:L7/lDu6X0
リーダーは私たちを部屋に入れると鍵を閉めた。

「あなたたち、なぜここに呼ばれたか分かりますか?そこに正座しなさい!!」

おずおずと土足の床に正座すると、リーダーは怒鳴りながら説教をした。

私は何がなんだかよく分からずにただ硬直していた。 恐怖しか感じていなかった。

どうしてこんなに怒っているの? それがよく理解できず、ただただ怖かったのを覚えている。
書いていて、あの時から何年も経った今でも、体が震えるくらいに。


80 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 20:10:02.29 ID:L7/lDu6X0
そしてリーダーは主に私を責め立てた。

その宗派的に、男女交際自体があまりよく思われなかったのもあると思う。

ただ、まく吉はリーダーからの厚い信頼を得ていたため、
私が余程悪い、そそのかしている娼婦にでも見えたのかもしれない。

怒りの矛先は私の元へと集中した。
頭の中が真っ白になり、ひたすらに正座をしてうつむいていた。


81 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 20:11:44.37 ID:L7/lDu6X0
私はそのリーダーのことを旅行に行く以前は著名人として、また精神科の権威ある人として
尊敬していたので、私は自分が余程悪いことをしたのだと思って自分を責めた。

でも心の奥底では納得してなかったのだと思う。
何がそんなにいけないの?きっとそんな気持ちもあった。

 
説教は、3,4時間続いた。
彼がようやく正座した足がしびれて、よろけながら私たちは部屋を出た。
私は茫然自失としていた。


82 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 20:12:14.80 ID:L7/lDu6X0
何がどうしてこうなっているの?なんで怒鳴られているの?
手をつないだのを見られたのが、そんなに問題になった?

疑問が頭の中をぐるぐると巻いて、底知れぬ恐怖だけがそこにあった。

私はそれまでの人生で、品行方正な優等生、と言われ続けていたため、
自分がそんなに素行の最低な人間として怒鳴られる、なんていうのは初体験で、
だからこそ余計困惑と恐怖を覚えたのだと思う。


まく吉は、部屋から出た後、私とは話したがらずに、自分の部屋に戻っていった。

その日の夜、私はただ帰りたいと願いながら、床に就いた。


83 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 20:15:11.73 ID:L7/lDu6X0
翌日も私とまく吉はリーダーの部屋に呼び出された。
同じく正座をさせられ、怒鳴られながらの説教、同じことの繰り返し。

少しでも反抗的な目をしようものなら、「なんだその目は!」と叱り付けられた。

なぜ連日呼び出されて怒鳴られるのか、分からなかった。
なぜサークルの人たちに顔を合わせると、顔をしかめられるのか分からなかった。
なぜリーダーに会うたびに睨まれるのか分からなかった。


84 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 20:15:44.21 ID:L7/lDu6X0
年齢差のせい?付き合ってはいけないの?
なぜみんなまく吉には優しいのに、私には冷たくするの? そんなに私はいけない子なの?

だけど、誰も知らない土地で、海外で、逃げ出すことも出来ないそんな環境で。
それが3日、4日と続いたため、私は自分が人間としてとても最低なんだと思うようになっていた。


まく吉は、徐々に私から離れていった。

私が部屋に呼びにいっても、無視されるようになった。
他の人たちに声をかけても、苦笑いをして白い目で避けて通っていく。

海外である程度田舎な場所にホテルをとっていたため、徒歩での移動はそんなにもできず、
相談する相手もなく、私は精神的に追い詰められていった。


86 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 20:18:44.41 ID:L7/lDu6X0
いつしか、誰もいない部屋でひとり、テレビを見るようになっていった。
楽しみにしてきた海外旅行で、一人ぼっちで外国のテレビを見る・・・自然と涙がこぼれた。
CMで日本企業の車が映し出されると、懐かしく感じるほどだった。

日にちはまだ数日ある。 どこにも逃げられない、人の目が怖くなった。


そんな中で、唯一楽しかった記憶といえば、ひとりぼっちで公園にいたとき。
外国の子供たちが私に声をかけてくれて、芝生の公園で一緒に遊んだこと。
あのときだけは、とても楽しかったのを覚えている。


私はまく吉に疎まれても、他に行く場所がなかったので、
なんとか一緒にいられるように、声をかけてついて回っていた。


87 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 20:20:03.82 ID:L7/lDu6X0
リサさんには最後の頃、少し事情を話したら、「大変だったね」と言って、「私は応援してるからね」と言った。
優しい人だと思った。

そうして、辛かった旅行は終わった。
私はまく吉への怒りも感じてはいたが、それ以上に自分に対しての自信を失っていた。

ようやく自宅に戻ったとき、とても安堵したことを覚えている。
親に「楽しかった?」と聞かれたが、心配させるわけにもいかず、
またまく吉の存在を明らかにしていなかったため、作り笑いで「楽しかったよ」と答えるしかなかった。

だけど、これで終わりではなかった。


90 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 20:23:47.12 ID:L7/lDu6X0

ちょっと名前は出せないですね、
基本はまともな宗教だと思われます
ただ、宗派によってはかなりおかしなところもあると思います


91 : 名も無き被検体774号+:2011/11/18(金) 20:30:53.22 ID:T03E/6lK0
有名でな宗教ですか?
友達が入ってる宗教だったらちょっとあれなんで 


93 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 20:48:40.48 ID:L7/lDu6X0
大元は有名どころだと思います
新興宗教とは呼ばれていません

ただ内部は細かく分かれているところがあるので、一概に問題がある・ないとは言えないと思います


95 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:07:42.91 ID:L7/lDu6X0
まく吉はその旅行後、前から休みがちだった仕事に行かない日が続いた。

具体的には分からなかったけど、明らかに精神状態が悪く、病んでいるようだった。

私はまく吉を支えないと、と思っていた。
私のせいで、リーダーにも責められたのだから、と。

毎日苦しそうに仕事に行けないと愚痴を言う彼の話を、よく聞いていた。
交際に変化はなく、私はまく吉を信頼していたし、このまま何事もなく過ぎていくかのようにみえた。


96 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:08:32.49 ID:L7/lDu6X0
事が動いたのは、夏休みも過ぎ、学校が始まってすぐの頃だった。

私は学校の帰り、偶然、その日はまく吉と初めて会った公園に来ていた。

のんびりしてから、駅に向かう途中、まく吉からメールがきた。


「別れよう」

私は踏み切りの近くまで来ていたのだけど、足を止め、愕然とした。
慌てて電話をかけるも、まく吉の電話はつながらなかった。着信拒否をされていた。


97 : 名も無き被検体774号+:2011/11/18(金) 21:18:35.09 ID:Di5nU2P70
怖ええな 洗脳って。解くのに何カ月も時間がかかるらしいけど
今は洗脳は解けてるのかな?


98 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:22:04.51 ID:L7/lDu6X0 [

この後も色々あったので、完全に回復するまでには2,3年かかりました
今は解けてると信じたいです~

なんとか完結させられるように頑張ります


99 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:23:06.13 ID:L7/lDu6X0
夏の濃い緑、踏み切りの遮断機が下り、
カンカンと鳴り響く音を聞きながら、ただ、突っ立って携帯を握り締めていた。

なんで・・?理由が聞きたかった。 
蝉の声と通り過ぎて行く電車の色が、異様に頭にこびりついていた。


とりあえず連絡がほしいとメールを送り、混乱したまま、気づいたら帰宅して自分の部屋にいた。

その日、私はまだ事実を受け止めることもできず、
拒否された電話に何度もかけなおしたが、反応はなかった。
食欲もなく、ただ苦しくて夜眠ることができなかった。


100 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:24:05.26 ID:L7/lDu6X0
そうしてぐったりとして迎えた翌朝。まく吉からメールが来た。
おそるおそる開いてみると、「やっぱり別れるのはやめよう」と書いてあった。
意味が分からなかったので問い詰めたところ、こんな返事が返ってきた。


「リーダーに、夕子は精神異常者だから別れるように言われた」と。


このときの衝撃は、なんというのだろう・・・
今まで当たり前に立っていた地面が崩れていく感じとでもいうのだろうか。

私の人生全てを否定されたような気がした。 


102 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:25:49.89 ID:L7/lDu6X0
そのリーダーは、私を旅行中に執拗に責めた相手であり、 なおかつ社会地位的には、
精神科の学位を持っている人だった。

短い間だが、尊敬もしていた。

その人に「精神異常者」と呼ばれた事実は、あまりにもきつかった。

私はいままで、どちらかというと平凡な高校生で、今まで特段な問題行動を起こしたこともなく、
夢見がち過ぎる性格ではあったけど、どこにでもいる高校生だと思っていたから。

それが、「精神異常者」というレッテルを貼られたことに私は悲しくて泣いた。


103 : 名も無き被検体774号+:2011/11/18(金) 21:28:13.69 ID:fHlRW2wE0
まく吉とは手をつないだくらいの関係?
それ以上はされてないよね??


104 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:28:36.31 ID:L7/lDu6X0

もともと、親がその宗教の別の一派に通っていました

宗派は違いますが、大元としては、まく吉のところと一緒です

なので、許可が下りたというのもあります(書きそびれました、すみません)

なので普通以上に厳しくしつけられたと思います


105 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:30:52.96 ID:L7/lDu6X0
>>103

まく吉には、キスまでされました。。


106 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:31:56.10 ID:L7/lDu6X0
まく吉は、「でも私は、夕子をかばったんだ、だから別れろと言われたけど別れなかったんだよ」

そういった。 それが唯一の救いのように感じていた。


まく吉はリーダーのサークルと距離を置いたようだった。

だけど、それから1ヶ月後、私の父宛に波乱を呼ぶメールが届いた。



107 : 名も無き被検体774号+:2011/11/18(金) 21:32:00.47 ID:Di5nU2P70
洗脳されたと気づいたのはやはり全部が終わった後かな?
洗脳中はこれが洗脳かぁと思う事すらないそうだから。

だいたい、「まだきづかねぇのかwwおめえは洗脳されたんだよ
 ざまぁwww」って全てが終わった後 黒幕からバラされるってパターンだからな。


108 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:33:05.03 ID:L7/lDu6X0
それはリーダーから私の父への、警告文。

「おたくの娘さんは、ご両親に内緒で、40代のまく吉という男と付き合っています。
この男は以前私のサークルにいた者ですが、除籍しました」
このようにメールは始まっていた。

最後は娘さんと別れさせたほうがいい迄をつづっていた。


それを、私の父は、プリントアウトして、無言で怒りながら私の部屋に投げつけた。


110 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:34:03.33 ID:L7/lDu6X0
>>107

そうですね、全部終わった後です
いろんな意味で終わってしまった後でした(?)


111 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:35:05.57 ID:L7/lDu6X0
私はそれを見て、最初は青ざめ、そして悔しくて泣いた。

「なんでこんなことをするの?」

私はその紙の裏に、付き合っているのは事実だが、
旅行中に連日怒鳴られたことや、影で私を精神異常者と呼んでいたこと、
やましい交際ではないことなどを書き、キッチンのテーブルに置いた。

そうして自室に戻ってさめざめと泣いた。
母親は、それを読むと、私の部屋にやってきた。


「つらかったね。どうして言ってくれなかったの・・・」

そう言って私を抱きしめて泣いてくれた。

母が私の悩みに対応してくれたのは、物心ついてから人生初めての経験だったので、
うれしいような、自分が情けないような気持ちだったのを覚えている。


112 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:36:24.74 ID:L7/lDu6X0
まく吉は、私の前では赤ちゃんも顔負けの甘えっぷりだったが、体面だけは大変いい男だった。

きちっとスーツを着こなして、見た目は初老としかいいようがなかったけれど、

自分はこれだけの年収があって、きちんと娘さんを養う覚悟がある云々、
結婚を前提に清い交際をしている云々、などを言い、反対していた父からも一応の了解は得た。

そうして進学のことも、合格したら行かせてやると言われた。


114 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:39:13.99 ID:L7/lDu6X0

母はあまり深読みできないタイプの人でした

女性の割りに鈍いというか・・・

なので問題が表面化して初めて気づいたんだと思います


115 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:39:35.52 ID:L7/lDu6X0
高3の秋も深まった頃、受験勉強にも精を出し、ようやく問題に片がついたかな、と思えた頃。

私は、まく吉と別れていた間に起こった真相を知ってしまう。
それは電話での何気ない会話の中でのことだった。

「そういえば、なんであの時、突然別れるなんて言ったの?すぐに、やっぱり別れないって言われたけど・・・」

それはどうしてもひっかかっていることだった。
言い方が柔らかかったからか、
まく吉は少し言いにくそうに、だけどはっきりこう言った。


「実は、別れてた間に、リサちゃんに告白したんだ・・・」


・・・え? 


117 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:42:57.49 ID:L7/lDu6X0
「ちょっと待って、それ・・どういうこと?」

「つまり・・リサさんにフラれたから、『別れるのやめよう』って言ったの?」

私の頭の中はぐちゃぐちゃになっていた。

「俺は悪くないんだよ!!」

彼は、大きな声を出した。


118 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:44:03.11 ID:L7/lDu6X0
「リサちゃんが、夕子と別れろってしつこく言ってきたんだ!
旅行から帰ってきてから、1ヶ月くらいずっと!
だから、私はてっきりリサちゃんが自分と付き合ってくれると思ったんだ!
だけど婚約者ができたからって断られた!私は悪くない!! 全部リサちゃんがそう仕向けたんだよ!」

すごい剣幕でまくしたてた。


そうして、私がうまく返事できないで固まっていると、

「私は夕子のために、別れようって言ったんだよ!そうしないといけないと思ったから!
夕子は私のこと信じてくれるよね?!」

「信じてくれなかったら・・・死ぬよ」


119 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:46:36.51 ID:L7/lDu6X0

どうなんでしょうね、
ただ洗脳する人っていうのは、自分自身は正しいと思ってやっているので、
自覚のない場合がほとんどかなと思います

それが悪い方向に転がれば、人生踏み外すこともあるかなって


120 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:47:46.11 ID:L7/lDu6X0 [
私は思考回路が一旦ぷっつり逝ってしまったんだと思う。

ようやく、再起動した時には、
「そっか、私が悪かったんだ・・・私のために、まく吉は別れたんだ・・・」そう考えていた。

とりあえず、喚いてる彼に、
「ごめんね、そっか・・・私が悪かったね、ごめんね」と言ってなだめた。

 
私はきっと疲れきっていたのかな。

釈然としない思いもあったけれど、その時は、もう彼を許そうと、思っていた。
この時蓋をした、悲しい気持ちが、後々、私の足を絡め取ることになる。


121 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/18(金) 21:50:01.16 ID:L7/lDu6X0
その後、私は受験に無事合格し、彼の地元へと引っ越した。 
私の親は、心配もしていただろうけど、
私以上に悩みの種となっていた兄のことで頭がいっぱいだったのだろう。
結局引っ越し先のアパートに来たのは、契約時と、その後アパートを出る時だけだった。

そして始まった2年間を一言で形容するなら、地獄、だった。


123 : 名も無き被検体774号+:2011/11/18(金) 21:52:49.87 ID:Di5nU2P70
はい洗脳フラグ 入りましたー。
まく吉はヒッヒッヒ 順調だと笑ってたんだろうな。


129 : 名名も無き被検体774号+:2011/11/18(金) 22:42:09.68 ID:G5PLcNCZ0
結局、洗脳って40台の男とズルズル付き合ったってこと?
ここまでで既に洗脳されてるってことかな?



131 : 名も無き被検体774号+:2011/11/19(土) 01:58:19.11 ID:AY9tXKHV0
俺は悪くないとか本当に言う人いるんだ。てっきり某RPGの主人公だけだと思ってたよ。

1が余りの困惑のせいか、既にまく吉に依存していたせいなのか、そこで振れなかったのは痛手だろうね。

ただ、信じなかったら自分は死ぬとか年が離れた子に結構好きに言ったりとか、
なんかメンヘラな気がしてならん。


132 : 名も無き被検体774号+:2011/11/19(土) 02:06:30.64 ID:AY9tXKHV0
多分、クズ吉の一方的な言い訳で自分が悪かったって思う辺りでもう洗脳されてるんじゃない?
もう自分で事の善し悪し決めてないし。 
周りから責められ、頼れるのはクズ吉だけだった海外旅行も要因の一つとして。


137 : 名も無き被検体774号+:2011/11/19(土) 15:16:41.12 ID:lgeBFYeVO
まく吉に天罰が下りますように


139 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/19(土) 18:49:46.09 ID:sxKuHQ7f0
こんばんは

帰宅したので今日も少しずつ書いて載せていこうと思います

起きたらたくさんレスついてて嬉しかったです


洗脳に関しては、この後更に色濃くなっていきます

重く暗い描写が増えていきますが、それでも良い方、読んでいただけたら感謝です


140 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/19(土) 19:06:35.92 ID:sxKuHQ7f0

お疲れ様、ありがとうです
こんなに読んでくださってる方がいてくれたと思ったら、嬉しかったです


そうですね、全ての決断の背後に、まく吉が存在するようになっていたので、
ある意味この時点でも洗脳されつつあったと言えるかもしれません

文には載りませんでしたが、
宗教の教えによって、こうすべき、と方向付けされることも多々ありました


141 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/19(土) 19:07:35.21 ID:sxKuHQ7f0
>>131

お察しのとおり・・・な出来事がこれから増えていきます


145 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/19(土) 19:17:43.90 ID:sxKuHQ7f0
短大に進学後からのお話です


彼は、ほとんど仕事に行かなくなっていた。
そして、貯金が全くなく、生活費のために借金をする有様だった。

当時、「自分の家族(母と妹)を養うために、お金が必要だったから、貯金は出来なかった。
今も、生活していくためには私が借金をしなければならない」と聞かされていた。



146 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/19(土) 19:19:46.45 ID:sxKuHQ7f0
まく吉の父は10年以上前に亡くなっているため、稼ぎ頭がまく吉だったという。
実際のところ、まく吉はよい給料を貰っていたし、貯金できないというのはおかしな話だった。

浪費三昧の贅沢な生活をしていたのは間違いないのだけれど、
まだ社会経験のなかった私には検討がつかなかった。


147 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/19(土) 19:21:18.94 ID:sxKuHQ7f0
ただ現状収入が減っている事実に、

「家賃の安いアパートに引っ越したらどうかな?」
「出費を抑えることはできないのかな?」

そんな、家庭に突っ込んだ提案をすることはあった。


だけど、「母に月これだけ渡さないといけないから無理だ、母は高齢だしお金もかかる」

そう返されては、私にはどうすることもできなかった。


148 : 名も無き被検体774号+:2011/11/19(土) 19:25:19.61 ID:A5kG3jOg0
エロい話もちょいちょい入れてください><


149 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/19(土) 19:27:09.50 ID:sxKuHQ7f0
>>148

それが、見事なまでにそういう出来事がなかったのです
まく吉も私も、その面に関しては潔癖すぎるくらいだったのですよ~

期待に添えなくてごめんなさい 


151 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/19(土) 19:36:10.42 ID:sxKuHQ7f0
「お金がなくて、またも借金をしてしまったよ」
「実は、今すでに100万程借りているんだ・・・」

そんな事実を吐露しはじめたまく吉に、私は焦りを感じていた。 
当時借金というと、私の中のイメージでは、CMにあるような悪徳金融会社しか思い描くことが出来ず、
早く返済しないと、金額が膨れ上がるのでは・・・と思った。


152 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/19(土) 19:36:28.21 ID:sxKuHQ7f0
「自分ひとりじゃどうにもならないよ・・・もうだめだ」

そうこぼす彼を、私は学生ながらに、支えたいと思った。
そうしてアルバイトを始めて、月に1、2万円ずつだが渡すようになった。

彼は、「悪いよ・・・でも助かる。ありがとう」そう言って受け取っていた。


153 : 名も無き被検体774号+:2011/11/19(土) 19:41:27.78 ID:z5APhhwUO
40過ぎのおやじが10代の子にお金もらうって、プライドとかないんかな


154 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/19(土) 19:49:08.43 ID:sxKuHQ7f0
そんな金銭的な問題もあったが、一番の悩みの種は、突然にかかってくる電話だった。
まく吉はしょっちゅう、自殺未遂をほのめかすようになっていた。

明け方も。授業中にも。夜寝る前にも。

私がメールに気づけなかったり、電話に出られないときがあると、何十通という勢いでメールが来ていた。


155 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/19(土) 19:49:36.70 ID:sxKuHQ7f0
「なんで電話に出てくれないの?」
「ねえ、電話に出てよ」
「早く来てくれないと死んじゃうよ」

「私が死んでもいいの?早く来てよ」

「今、枕元に首吊り用の縄を用意してるよ」 


157 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/19(土) 19:54:02.97 ID:sxKuHQ7f0
心臓がはねて、背筋が凍った。

私のせいで彼が死んじゃうの?怖いよ・・・ いつしかそんな意識が埋め込まれていた。

慌てて電車に乗ると、彼の家まで駆けつける。
着いたら、まく吉をなだめすかして、眠るまでそばにいて、帰宅する。

そんな日々を送っていた。


158 : 夕子 ◆UL6c7.AL3TJI:2011/11/19(土) 19:57:00.42 ID:sxKuHQ7f0
自殺未遂予告が出るたびに対応していた私だったけれど、ふと、
「授業中、メールに気づかなくたって仕方ないじゃない・・・そんなに言われても、どうしようもできないよ・・・」
とため息をつく時も多かった。

また、私は想像力や感受性が豊かなほうだったので(影響を受けやすいおばかさんとも言う)、
彼が首吊り用の縄を使って死んでいるシーンなどが脳裏に浮かんでは恐怖におびえていたのだった。


161 : 名も無き被検体774号+:2011/11/19(土) 20:11:02.41 ID:z5APhhwUO
10代は世間知らずが多いからだましやすいんじゃない?

にしてもこの男、さりげなくモテてるよな

許せない


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