2003年第一回百物語


75 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] 投稿日:03/06/20 21:15

十年以上前の連続幼女誘拐殺人事件覚えてる?犯人がみ○ざきつ○むのやつ。

 
学生時代、サークルで肝試しいったんだよ。
二人目の子(??)が発見された現場だったかな。
不謹慎だとは俺も思ったけど、文化祭の打ち上げで異様に皆盛り上がっててさ。
打ち上げの最後に肝試し行くのが恒例化していたから、その年はそこに行ったんだよ。
某県某山の、洞窟みたいなとこ。当然、真夜中な。

 
怖かったよ、ぶっちゃけさ。平気なふりしてたけどさ。
空気が重いんだよ。
人が死んだ現場なんて実際にはあちこちにあるんだから、気にすること無いとか
幽霊なんて居るわけないと思ってはみるんだけど怖いもんは怖い。
空気はじっとりしてるし。

あの事件は俺も実際に知ってるから、なんかリアルなんだよ。
 
江戸時代に惨殺事件がとかならあんま怖くないんだが。
ニュースは連日やってたのを子供だった俺でも覚えてるし、
親には毎日のように知らない人にはついていくんじゃないと言われてたもんだ。





76 : あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/20 21:16

二十人くらい居たんだけど、皆異様にはしゃいでたな。
内心怖かったのって俺だけじゃなかったのかもしれない。

 
車の通らない山奥の洞窟を抜けるとさ、道路から逸れた坂道があるわけ。
ぼろい廃屋が有ったりしてさ。もう、雰囲気満点。
「誰か居る!」「なんか聞こえる!」と他人をビビらそうとするヤツや、
後ろから脅かすやつ、来たものの本気で泣きそうになってる女の子、まあそんな当たり前の肝試しだわな。
そんな感じでぞろぞろ坂を上って行ったわけだ。
 
目的地はそこの奥にある、通行止めになっている洞窟てかトンネル。女の子の遺体発見現場だ。

トンネルの前に来ると、当たり前だが「入ってみよう」となった。 
閉鎖してあったけどさ、入ろうと思えば入れるんだな。
 
恥ずかしい話だが俺は入らなかった。不謹慎すぎると思ったのもあるがまあ、怖かったわけだ。
中に入るやつが何人か、後は外で待ってることになった。

その時、一緒に待ってる先輩の様子が変なのに気がついた。
 
「先輩どうしました?」と訊くと、物凄く不思議そうな顔をして
「ここに着てから身体が震えて止まらない」って言うんだよ。



78 : あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/06/20 21:16

断っておくが、その先輩は愉快な人ではあったが、そんな悪戯をするタイプじゃなかった。
幽霊とかにビビるタイプでもない。むしろ全く信じてなかった。
真夏で寒がりな俺ですら暑かったくらいだから寒かったわけでもない。

 
俺も先輩の身体を触ったけど、はっきりと震えてるんだよ、小刻みに。
先輩は怖がるでもなく、ただただ不思議そうだった。手だけじゃなく、身体全体が震えてた。


やがてトンネルに入った連中が戻ってきて、俺たちは道路に出るため坂を降りていった。
少し降りてトンネルから離れると先輩が「あ、止まった」て呟いた。

 
俺は幽霊なんて見てないし妙な声も聞いていない。
けど、あれは何だったんだと今でも思う。