12 : 村人A:2014/04/17(木)00:50:11 ID:nAyBccxrT [
今考えるとおかしいのですが
「大丈夫?」に一言と水だけで、なんだか安心しきってしまった僕は
すぐに水を受け取るとすべて飲み干しました。
そしてお礼を言おうにも口にずっと猿轡を嵌められていたせいか、
なんだか違和感があってちゃんと喋るのにもまた時間がかかりました。
そしてしどろもどろながらも少年との会話をしたのです。

少年はまず、小屋の中をできるだけ音を立てず歩き回りながら話を聞いてくれと言ったんで
またしても歩きにくかったですがゆっくり歩きながら話を聞きました。
少年によると、この村は僕たちの住んでいるところと少し違う事。
普段は僕たちの住んでいる場所とはなんの繋がりもないが、
ごく稀に繋がることがあるらしく
その時迷い込んでしまう人が数年に一人あらわれること。
そして、今回はそれが僕であること。
この村は外部とつながっていないのでもと来た道を戻っても無駄だし、
山を越えようとしても無駄であること。を話してくれました。

もう逃げる気力もないけどこの話には少々落胆したのを覚えています。 
なんだかチンプンカンプンな話ですが僕は妙に納得していました。
というか、あの坂道に始まり、これまで
ここにきて異常な体験を散々した僕は納得せざるを得ませんでした。

そして少年はまた語り始めました。
この村には○○様という神様がいてそれは村の中にある山に祀ってあると言う事。
一年に一回その○○様に生贄(おそらくこれが先ほどの贄の事)を差し出さなければ災いが村を襲う事。
実際に何度か差し出さず、大飢饉や病気が流行り幾人もの命が失われたこと。
そこで、それからは毎年生贄を差し出しているのだが、
やはり村の中から生贄を出すのは憚られるので、
今回のように余所者が入ってきたときはすぐに捕まえ、牢屋に閉じ込め
率先してその人を生贄にすること。
僕は後三日で生贄として差し出されると言う事が分かりました。




13 : 村人A:2014/04/17(木)00:50:55 ID:nAyBccxrT
この話を聞いた僕は生贄というのに全く実感がわきませんでした。
まあここまでの扱いを見る限り信じられない話ではないですが、
もうどうにでもしてくれと投げやりになっていた気がします。

そんな僕を見て少年は
「でも、まだ逃げられる。元の場所へ戻れる」と言いました。
逃げられる、元の場所に戻れると聞いた僕は驚きました。
先ほど外部との繋がりがないといった以上
もう元に戻ることは不可能ではないかと思っていたからです。

少年によると、少年は一時的にではあるが、
来た道と元の世界を繋げることが少年には可能だそうです。
そんな事が出来るのかと聞いたら、
普通の人にはできない。それに皆、自分にそんなことが出来るとは知らないし、
これが知れたら余計に被害者が増える。
もし逃がしたのがばれたら僕が生贄にされると言っていました。 

話が終わるとすぐに少年は僕に「とにかく早く逃げて」と言い
ここからあの坂への大まかな道のりを教えてくれました。
そして何も言えないまま
少年にせかされるように小屋を出た僕はあの坂に向かって歩き始めました。

最後の逃走劇はあっけなく終わりました。
誰一人として村人をこちらの視界にとらえることもなく、普通に歩いていたら坂に着き
普通に登って行ったら知っている工業団地に出ました。
そして家に帰って寝ました。 

次の日朝起きた僕は経っている時間の長さに驚きました。
自分の記憶では昨晩テレビを見て普通に寝たはずなのに、起きたときには全身が痛く
昨晩から一週間以上が経過していたのです。
そして携帯には同じ部活の同級生からの大量の着信履歴とメールが残っていました。

なぜこんなことになっているのか、僕には全く見当がつきませんでした。
一週間以上寝ていたのか?とも思いました。
そして駐輪場に行き自転車がなくなっているのに気付き、警察に被害届を出しました。
勿論あの田圃においてきたのだから
自転車が返ってくるわけはありませんでしたが。
僕はあの村で起こったことをすべて忘れていたのです。最近までは。


14 : 村人A:2014/04/17(木)00:51:20 ID:nAyBccxrT
忘れたはずのこの記憶を何故数年経った今になって思い出したのかというと、
僕を助けてくれた少年が夢に出てきたのです。
暗闇にいる少年はずっとこちらを弱弱しく見つめていました。
その夢から覚めた僕は“○○様”を除いてすべての事を思い出したのです。
あの村での恐ろしい事件を。
そして僕の後輩があの工業団地の会社に、デスクワークのバイトに行ったきり戻ってこなかった事も。

僕は確信しました、あの後輩は生贄になったのだと。
そして、今になって少年が夢に出てくるのはどう言う事でしょうか?
少年の弱弱しげな瞳、あの少年に何かあったのでしょうか?
ですがなんとなく「あの少年に何かあったのではないか?」と思います。
そして、今になって少年が夢に出てきた訳、
それは「何か助けを求めているのではないか?」と感じるのです。 

僕は現在、大学を卒業して同じく中国地方にある会社で働いています。
そして、その会社に無理を言ってこの一週間休暇をもらいました。
理由はあの村へもう一度行くためです。
家に「放浪の旅に出る」という置手紙を残してきたので、最悪いなくなっても納得はしてくれるでしょう。
僕を助けてくれた少年が、今度は僕からの助けを求めている気がしてならないのです。
それに、後輩がいなくなった時の皆の不安げな表情。
あれを思い出すと、胸が苦しくなります。
事実を知っていて見て見ぬふりはできません。

そして、今週の月曜日、件の道へ行きました。
ですがそこは普通の道でそんな村なんてありませんでした。
僕はあの少年が僕を呼んでいるのだと思い、てっきりあの村への道が通じていると思っていたのです。
そして今日の昼も空振りでした。
少年の夢も見なくなり、あの村は実在するのかどうかさえ疑問に思っていた時です。
今日の夕方、ビジネスホテルで寝ているとあの少年が再び夢に出てきたのです。
そしてあの弱弱しいまなざしでこちらを見ています。

僕は今からもう一度あの道へ行ってきます。
根拠はないけどなぜか、今なら行けるという自信があります。
僕一人が行って何かが変わるかはわからないですし、前回同様すぐとらえられるかもしれません。
運よく少年に合えたとしても、そこからどうすべきなのかも分かりませが


15 : 村人A:2014/04/17(木)00:53:01 ID:nAyBccxrT
初めはただちょっとした注意喚起のつもりだったのですが、
予定よりはるかだらだらと長く、覚えているか怪しいところまで細かく書いてしまいました。
気持ちは焦っていて早くいきたいのに、やはりまたあそこに行くのが少し怖いのかもしれません。
だらだらと書いてしまい申し訳いです。

そもそも僕があの村について知っていることは、
少年との話で得たことだけなので僕自身あの村の事は良く分かりません。
話し言葉や大まかな流れも大体はあってますが、細かいところは違うと思います。
こんな普通なら信じられない上にだらだらした話を最後まで聞いていただきありがとうございました。
僕はもう行きます。

最後に一つ、僕の話を信じなくてもいいです。
でも例え信じなかったとしても、この場所に心当たりがある人は絶対にそこへは行かないでください。
間違っても脇道に逸れるなんてことはしないでください。
では


22 : 名無しさん:2014/04/17(木)13:45:50 ID:IwQVTVzl4
今日自分の大学(中国地方)の裏山いってきた
企業団地とか色々あったよ
この話が嘘かほんとかは置いといて舞台はここらしい
夕方友達といってみるわ 


24 : 名無しさん:2014/04/17(木)19:31:06 ID:PeIq6Wwq4
異世界に行きたくて仕方ない自分には、なんてタイムリーな!だけど、本当なのかねぇ?
1さん帰らなかったら贄にされたってこと? 


27 : 名無しさん:2014/04/17(木)22:12:33 ID:IwQVTVzl4
途中で送っちまった
石の風車やら企業団地はあったから舞台は多分ここであってると思うけど
何も無かったよ
脇道は沢山あったけどね
知り合いがバイト行ってるから気を付けるようにだけは言っとくことにするかな


29 : 名無しさん:2014/04/18(金)11:37:49 ID:4imnUVMDp
まあ確かに現実味はないと思うけど
そういう事を考えるとタイムトラベルじゃないってことかな
もしくは話し言葉の細部が定かでない見たいなこと書いてるからそれかもね
島根と言えばことりばこ思い出す


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