【閲覧注意】
一見何の繋がりもないように見えた4つの事件だが、川崎氏と暴力団幹部らとの事件は「アフリカケンネル」でつながっていた事が証言で明らかになる。


⁂実際のインタビュー映像含む 短いながらも、関根のキャラクターを垣間見る事ができる


【愛犬家・川崎氏の殺害】
川崎昭男氏と関根らの親交がいつ頃から始まったのかはよくわかっていない。
もとは犬を購入するために「アフリカケンネル」を訪れたことがきっかけだったと思われる。

犬を探していた川崎氏だったが当時兄の会社の経営が思わしくなかったことから、関根に勧められるまま犬の繁殖ビジネスに乗り気になったらしい。
だがショップから人気犬をつがいで購入し子犬が産まれたら・・・・という手口は、関根の常套手段の1つである。

川崎氏が「アフリカケンネル」に支払った金額は1100万円。
2頭同時に受け取る事は出来ず、まずは繁殖用の雌犬が川崎氏のもとに届けられた。
しかし実際のその犬種は数十万程度であり、雌犬も成犬ではあるが繁殖には適さない高齢犬であった事を知り騙された事も気づく。
また、購入した雌犬の行方もわからなくなり、川崎氏は繁殖ビジネスの続行を断念。
残る雄犬の引き取りをキャンセルし、また代金の返還を「アフリカケンネル」に要求していた。

当時の関根の借金は1億4000万円。
詐欺商法がますます強引で悪辣なものに変わりつつあった。
関根と風間は代金の返却は不可能と判断し、トラブル解決のために川崎氏の殺害を計画する。

1993年4月20日
金を返すと偽って関根は川崎氏を呼び出し、大型ワゴン車の中で談笑しながら栄養剤と称して毒薬入りカプセルを手渡し、飲ませることに成功した。
症状が出るまで15~30分ほどかかるため、その間に死亡現場のガレージに川崎氏を連れていったと思われる。

使用された薬物は、動物の殺処分用の硝酸ストリキニーネであり、激しい痙攣による呼吸麻痺によって死に至る凄惨なものであった。
薬物は「犬の安楽死のため」に知人の獣医師から譲り受けたものであり、関根は数十人分の致死量の硝酸ストリキニーネを所持していたという。

硝酸ストリキニーネ・・・殺鼠剤等にも使用される。
脊髄による硬直性痙攣が起きるため、傍目には声も出さず呆気なく死んでゆくような錯覚を起こさせるが、実際には筋肉が激しく痛み、強い不安・恐怖感を伴う
激しい痙攣による呼吸麻痺で窒息死するが、意識障害は起きないので最後まで意識は残ったままとなる。
強直性痙攣・後弓反張(体が弓形に反る)・痙笑(顔筋の痙攣により笑ったような顔になる)が特徴
個体によって致死量が微妙に異なり、場合によっては長い痙攣の末にようやく死に至るケースもある。
また、吸収してからは血流を通り脊髄に到着して初めて痙攣が誘発されるため、その前に痛みなど体の異変が起きる事もある。現在では、動物の安楽死・殺処分には使用されていない


この時、山崎は運転手を務めていたらしい。
川崎氏の死後、ガレージに現れた山崎は遺体に直面する。

「お前もこうなりたいか?」
「子どもは元気か?元気が何より」


証言によれば、関根が山崎に向けて発した言葉である。

・山崎自身も犬のブリーダーを行っていたため、群馬県内で人里離れた場所に住んでいた。
貨車を改造した住居は通称「ポッポハウス」。
犬たちの騒音被害や近所トラブルを避けるため、周囲に人家のない場所であった。

山崎は関根の指示で、自宅に遺体を運び込む。
風呂場で関根はそのまま遺体の解体に取り掛かり、その間に山崎は残された川崎氏の車を都内に運ぶように命令されたという。

別居中とはいえ、子供に危害が加えられるかもしれないという危機感を抱いた山崎は関根の言葉に従った。

関根の指示通りに風間と合流し、東京駅の地下駐車場まで車を移動させて偽装工作を行うが、「あんたさえ黙っていれば大丈夫」との風間の言葉にさらに山崎は逃げ場を失った。


熊谷で風間を車から降ろし自宅に帰ると、既に遺体は解体され原型をとどめていなかった。
翌日の早朝にはドラム缶で骨や所持品を焼却し、肉片・焼いた骨片・焼却しきれなかった所持品などを近くの国有林や川に遺棄した。

⁂後に山崎の証言のもとに警察が川崎氏の遺品(所持品)を発見している。


・川崎氏は会社帰りに関根に呼び出されていた。
関根とのトラブルを知っていた家族は翌21日には捜索願を警察に出している。
(この時点で既に遺体は解体され、細かくバラバラに遺棄されていた)

警察は初めは家出人としてみていたが、30日には東京都内で乗り捨てられた車を発見し、事件性ありとして捜査が開始された。
やがて警察は被害者と関根とのトラブルに注目する。

関根の周辺では数年前から連続失踪が起きていた。
事態の重大さに気づいた警察は関根と山崎に対し監視・尾行を開始する。
しかし、その後も大胆なことに捜査の目をかいくぐって関根周辺での失踪事件は相次ぐ。

関根に会った直後に失踪した被害者が4人となった同年の秋頃には、より本格的な捜査が県警により展開され始めた。関根らの監視は強化され、関根の知人には1人で会わないようにとの忠告まで行われている。
しかし、何の物証も発見できないことが1番のネックとなり、関根らの逮捕に踏み切ることができなかった。

関根は新犬舎で建設業者への支払いを踏み倒していたため、警察内では「詐欺容疑」で別件逮捕することも提案されたが、やはり殺人事件の立証は難しいとされ、見送られている。

注目すべきはこの時点で警察はほぼ殺人を確証していたことである。。
しかし関根の言葉通り「遺体なき殺人」であり、「ボディを透明にすれば捕まらない」と言う通り、物的証拠が見つからない限り動きは鈍くならざるを得なかった。


【暴力団の幹部と運転手の殺害】
・関根には人を誑し込む天性の才能があったことは間違いなく、周囲には良い人・ホラ吹きでユーモラスな人物だと信じ込んでいた人間も多い。
だが、一旦トラブルになった人間には躊躇なく残忍で凶悪な面をのぞかせている。

「アフリカケンネル」は、その強引な悪質商法からトラブルが顧客トラブルが絶えなかった。
とはいえ勿論何ら問題なく動物を購入していった客も多いことを念のために記載しておく
もめると関根は暴力団との関係をちらつかせ相手を黙らせていたが、実際に稲川系暴力団の幹部・遠藤安亘と親交があった。
幹部とはいえ遠藤は組長代理であり、相当高い地位にいた人物となる。
トラブルが大きくなれば遠藤が出向くなど、「アフリカケンネル」では用心棒的な役割を果たしていたらしい。

川崎氏の失踪後、遺族らはあからさまに関根に疑惑を向けており、関根と面談も行っている。
この時に同席したのが遠藤であった。

犯行を察知した遠藤は関根を強請りだす。徐々にその金額はふくらんでゆき、相手を甘く見過ぎていたということだろう、関根の首根を掴んだと思い込んだ遠藤は、やがて新犬舎の土地建物の権利証まで要求するようになった。
ただでさえ借金を抱えていた関根と風間は、このまま遠藤に骨の髄までしゃぶりつくされるのを待つ程、お人よしではなかった。
遠藤の「ボディを透明に」し、運転手として同居していた和久井奨も口封じのために殺害することを決定。

1993年7月21日の夜、関根と風間は遠藤宅を訪れた。(山崎は車内で待機)
2人は要求に応じるフリをして登記済証を渡し手油断させ、川崎氏と同じように硝酸ストリキニーネ入りのカプセルを栄養剤と偽り遠藤と和久井に飲ませた。

やがて遠藤は倒れたが、和久井にはカプセルの効果が出るまで時間がかかっている。
遠藤の急変に薬物知識のない和久井は驚いただろうが、まさか毒を飲まされたとは思わなかったかもしれない。
関根は「救急車を呼ぶ」ために和久井を誘導のために表通りまで走らせ、時間を稼ぐ。

その後関根らは車に戻り、さらに表通りで救急車を待っていた和久井を乗せて「遠藤が女を呼んでいる」からとそのまま車を発車させる。
運転手は山崎で、助手席にカプセルを飲んだ和久井、後部座席に関根と風間がそれぞれ座っていた。

人気のない堤防沿いの道路を走行中、ようやく和久井が苦しみ出す。
和久井は車のフロントガラスにひびが入る程激しく苦悶した後に、絶命した。

その後遠藤の遺体を回収し、3人は2台の車で再び山崎の自宅に向かう。
この時、初めて山崎は2人が行う遺体の詳しい解体の様子を目にすることとなる。

風呂場に持ち込まれた遺体は、先に遠藤、次に和久井の順に手際良く解体されていった。
山崎も包丁を砥ぐなどして協力したという。
後に山崎は出所後に事件の様子を書いた本を出版し、その本の中でこの時風間は鼻歌を歌いながら肉片を切り分けていったと記載している。
ただし、公判で風間は死体損壊を否定

そして翌日、22日の早朝には2体の解体はやはり完了していた。
風間は熊谷の「アフリカケンネル」に戻り、関根と山崎が再びドラム缶で証拠隠滅のための焼却を行う。
前回と全く同じように、肉片・骨灰は周辺の山間部の川に遺棄された。



【滝口良枝さん殺害】
・主婦・滝口良枝さんは次男が「アフリカケンネル」で働くようになったことから関根と知り合った。
関根の女性関係はかなり派手であり、良枝さんとも関係を持っていたらしい。

「アフリカケンネル」は遠藤による強請りでさらに経営難に陥っていた。
ますます関根の金をかき集める術はなりふり構わぬものになってゆく。

関根は良枝さんに「アフリカケンネル」の株主になることを勧め、出資金を引き出すことを計画する。
(最も株主として金を出させられていたのは他にも多数いたらしい。関根は人を信頼させる手管がうまく、どんなに疑惑の噂があっても、実際に会って少し話しただけで絶対の信頼を得る程に人心掌握術に長けていた)

しかし、実際に関根に良枝さんを株主に据える気は全く無かった。
すでに滝口家は他にも6頭の犬を「アフリカケンネル」から購入しており、合計900万円ほど支払っている。初めからその他に滝口家から引き出せるだけ金を引き出す事が目的だったと思われる。

ただし良枝さん殺害については、金銭トラブルの他に関根本人が彼女との関係を煩わしく思うようになったことも動機の1つとされている。どちらにしても、あまりに身勝手過ぎる動機でしかないことに違いはない。

1993年8月26日 午後
関根は良枝さんを呼び出し、出資金の名目で270万円を詐取。
これは、当時の滝口家のほぼ全財産にあたる。
彼女を殺害したのは、その直後。やはり栄養剤と偽ってカプセルを飲ませている。
良枝さんは関根を完全に信じ切っており、最後まで何ら疑うことはなかったらしい。

川崎氏殺害に使用された同じガレージに呼び出された山崎は、4人目の遺体に遭遇することになる。
山崎には良枝さんとの面識はなく、これが初めての対面だったという。

あくまで山崎の証言であるが、ここでも関根は山崎を脅かし続け、三度山崎の自宅で遺体の解体が行われたという。
その際に関根は屍姦を行い、「お前もやってみろ」「ひんやりして気持ちいいぞ」等山崎に言葉をかけた。
27日未明。
骨や所持品は全て焼却され、遺体は他の犯行同様に周囲の山間部の川に遺棄された。

⁂この時の解体は全て関根が1人で行っている。
一貫して風間は姿を見せず、そのため関根の単独犯行とされている。



「アフリカケンネル」における関根・風間の犯行で明るみになっているのは上記の4件のみ。
しかし、「ボディを透明にする」という関根の口癖ともいうべき残虐な遺体の処理方法や手際の良い殺害方法等から表面にでていない余罪は多いと思われている。
動物虐待の疑いも濃厚
遺体の解体時には、骨・皮・肉・内臓と取り分けられ、肉片は数cm四方に細かく切断されている。
骨は衣服・所持品とともに完全に灰になるまで、燃え残りがないようにじっくりと1本ずつ焼いたという。

関根の言葉によると、例え遺体を地中に埋めたとしても骨は残るので焼却を考案。
しかし、そのまま焼くと異臭が発生するため、解体して骨のみを焼いたのだという。

山崎はこれらについて、関根が「楽しい」「面白い」と話していた事を証言している。


関根は稀代のシリアルキラーであるとともに、非常に人間的魅力に富んだ人柄だったと多くの人々が証言している。と、同時にその残虐な二面性に気づいていた人々も少なくない。

証拠隠滅のための遺体の解体を「楽しい」と感じるのは快楽殺人の要素がある。
遺体を捌いて分別し、それぞれ詳しく処理方法を変える偏執的な手法は粘着性の気質を感じる。
一切の証拠を完璧に消し去ろうとする病的なまでのこだわりは神経質な小心者を思わせ、大っぴらに「殺人哲学」をうそぶく行為は誇大妄想を思わせる。
自分は決して捕まらない(犯行は露見しない)という妄想は(人の生死を操作できる=)神にも近い存在という思想に結びつきやすく、ある種のカルト宗教の教祖にも通じるものがある。

また、犯行が露見する以前の「アフリカケンネル」のマスコミ対応は1人の元自衛官がほとんどカバーするなど、関係者の繋がりはどこまで裾野が広がっていたのか全くわかっていない。
(後述するが、元自衛官の妻は失踪しており未解決のまま

死刑囚として収監されていた関根は、2016年に体調を崩し、2017年3月、東京拘置所で病死した。


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