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971 : 本当にあった怖い名無し:2015/05/31(日) 12:34:48.43 ID:8Dz8pdvb0.net
ムーミンシリーズに、登場する度に後味が悪いというか物悲しいような、
複雑な気分にさせられるキャラがいる。
モランという名前で、よくみんなのトラウマにも挙げられるキャラ。
容姿は文章じゃちょっと説明しにくいので画像を下に貼っときます。
因みに女性。

ムーミン谷は色んな生物や種族が価値観は違えど皆受け入れあい、共生している。
だからこそムーミン谷はユートピアなのだ。
こんな風な言葉がムーミンの原作の解説にはあった。
しかしそのムーミン谷に陰を落とす存在、誰とも共生出来ない存在、それがモラン。

モランの体は冷たく、彼女に触れた者は下手すれば凍え死んでしまう。
彼女の周りは冷気が立ち込める。
彼女が通った跡は凍りつき、長く佇んだ場所は二度と草花が育たなくなる。
原作では氷のような声と表現され、アニメ版「楽しいムーミン一家」では呻り声しか発さない。

モランは寂しく、体は冷たく、常に(暖をとる意味でも、人肌が恋しい意味でも)
あたたかさを求めて彷徨っている。
けれど彼女が焚き火を求めても近づいた途端冷気で火は消え、
他人を求めれば他人は恐ろしさに逃げていく。

以下、原作のエピソード。


972 : 本当にあった怖い名無し:2015/05/31(日) 12:37:41.64 ID:8Dz8pdvb0.net 
ムーミンパパが若い頃の話では、パパはモランに追われていた人を助ける。
「なんでこんな事をするんだ!」とパパ。(アニメ版での言葉だった気もする)
ただ人肌を求めているモランからすれば理不尽な台詞。
そしてこの回で確信したのが、モランは昔からずっと彷徨っているということ。

スナフキンが子守をする話では、
彼がなかなか言う事を聞いてくれない子供達に困っていると、
ミイが「モランのことを言っておどかしなさいよ!私の姉さんはそうするわ」と言う。
モランは恐いもの、嫌われものの代名詞。

ムーミン一家が島へ移住する話では、
ムーミンがとある目的で夜中、カンテラを振っていた所に
海を凍らせその上を歩いて、モランがカンテラの明かりを求めてやってくる。
凍りつくのは怖いけど、仕方なくその日から浜辺にずっといるモランに、
夜中になるとカンテラを振ってやるムーミン。
モランは揺れる明かりを目で追うだけ。

ある日、カンテラを振って貴重な油を減らす事にイライラし、
ついでに嫌な事があったムーミンは、モランが少し近づいているのを見て、
思わず怖さも相まり当たり散らす。「あっちへいけ!」と。
モランはその日から悲しそうな声で毎晩鳴くが、
ムーミンは特に何もせず、もう浜辺へカンテラを振りには行かなかった。

モランに思いやりを持ってくれたムーミン。
しかし突き放してしまう。
考えの無い優しさは人を傷つけてしまうというのはこういう事なんだな、と思ってしまった。
でもまあそんな哀愁漂うモランが好きだったりもする。

上が原作のモラン(ムーミンがカンテラを振る時の挿絵)
下がアニメのモラン。