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247 : わらび餅 ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:41:47.26 ID:AgCPeYID0.net 
チッチママ ◆pLru64DMbo
 
結婚時代の話です
夫の実家は私の田舎よりさらに田舎(高速道路もまだでした)
けれど古い歴史だけはある山奥でした
そんな夫の実家で初めての正月を迎えた時の話です

夫の家は先祖が武士だったらしく、姫をかばって山奥に隠れ住んだとの事
その末裔だとかいう話を上の空で聞いていました
夫の祖母が「生まれた村に私の親神様がある、あんたを新しい嫁として紹介したい」との事で
夫も初めて廃村である祖母の生まれ故郷に行くことになりました

確か午前中に出発しました
地図のうえでは隣の村で、地図明記はただの山地で
祖母の記憶だけを頼りに車も通れるのか?という獣道(舗装されていない)を
一時間もかけてグルグルと向かいました
途中で霧のようなのも出てきて視界も悪くなり崖も多くて危険でした
印象的だったのは、奥の山のところどころに赤い布きれが巻かれていました

人気もなく生き物の気配がしない場所に突然と崩れかけた木造の建物が見えました
数はそんなに多くなかったと思います、ボロボロの家
見た時に「えっ?ここに降りるの?」と怖くなってしまいました

 



248 :わらび餅 ◆jlKPI7rooQ:2015/08/30(日) 03:42:33.02 ID:AgCPeYID0.net 
昼過ぎくらいなのに霧と青い光で気味悪く、まるでホラー映画みたいだと思いました
人はいないのに人が住んでいた感じで
昭和より古いというか、家具とかも割れた窓から見えました
戸口も横開きの木の板で土間とかまども見えたのですが
かまどに木がつっこまれたまんまでした
祖母いわく国の命令で手荷物だけしか持って行けなかったそうです

私が「ここに降りるの?」とこわごわと聞くと
祖母は「降りちゃなんねえ降りなくていい」と静かに言い、ゆっくりとそこは通り過ぎました
なんというか落ち着かない雰囲気で帰れるのか?と冷や汗が出ましたが
祖母の故郷だし失礼な事を言ったら可哀想と思って黙っていました
少し一本道をそのまま奥に進むと
ボロボロの白い神社でよくみる白い紙が沢山ついた縄が見えてきました

でも白い紙もボロボロで黄色がかかっており、奥に大きな木が見えました
とても大きな木で手前に小さな赤い鳥居と賽銭箱が見えましたが
「これ行っちゃダメだ」と
瞬間的に口から出てしまいました

車がそこで突然エンジンが切れてしまい
私は祖母の親神様はアレだ
祖母は車から降りて行くのだろうか?と恐る恐る祖母を見ましたが
なぜか祖母は悲しげに「もういい」と言いました

霧となぜか道が雨水を含んだようにドロドロで見えにくかったのですが
白い縄の奥に木の橋がかかっておりその橋は潰れていました
とりあえず帰ろうと何回かエンジンをかけて
やっとかかり、Uターンをするために
バックでそのまま廃村集落の辺りまで戻りました

その間は私は助手席ですが前方の親神様の木の方向を見るのが嫌で
夫と共に後ろを見ていました
廃村は少しくぼんだ土地にあったので
その入り口の下り坂に少し車を入れてやっと方向転換ができました

さぁ帰るぞと私は後ろを振り返ると、
誰もいないはずなのに壊れた家の一軒から
色鮮やかな着物の帯のようなのがヒラヒラと舞っていました

「え?何あれ?」と思いましたが
夫に「気のせい」と言われてしまい、
そのまま舗装された道路に出た時にやっと安堵し自分が汗ビッショリなのに気づきました

あれからあの場所には行っていません
そして行った話を誰もしません
地元の地図や歴史も調べましたが
過疎村の移動は書いてあってもあの場所の詳しい事はわかりませんでした