708 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU:2010/03/12(金) 19:46:20 ID:1bk4myGcO
最後の四つの話をします。
私は今入院して大部屋にいます。今夜はその入院にからんだ話を致します。
①
一つめ。病院での出来事。
この病院の私がいるフロアでは、しばしば患者さんから看護士まで、
消灯終えた夜中、子供がはしゃいでいるのが目撃されます。
このフロアは整形外科のみで、
何かしら骨折してる方ばかりなんで、元気に子供がはしゃげる訳がないのですが。
あと、はしゃいだら必ず看護士に見つかるはず。
ですが、しばしば目撃されます。
必ず共通するのは、黒と白の幼い子供。私もしばしば目撃しました。
看護士さんは『よくある事。気にするな』と言われましたが、
一度だけ異形のモノを目撃しました。
この病棟の半分以上は認知症の方々ばかりで、
夜中独り言をつぶやいたり、お経を唱えたり、暴れたりは日常茶飯事です。
余りに酷いと、個室や観察室に移動させられます。
そんな中、夜中になると、
『痛みを取り除いて下さい、××大明神さま~』と、お経を唱えるお方がいらっしゃいました。
昼は痛い、痛いと四六時中おっしゃっります。
隣の軽度の認知症の方も不眠症が悪化するし、私も眠れなくなるし、
看護士さんに相談して、その老婆は別室移動になりました。
ある日の夜の事。
その老婆がなんと歩いているのです。凄まじい形相で。
確かその老婆は歩けないはずなのですが…痛い痛いと繰り返していたし。
私は怖いので、そのまま無理矢理寝ました
なかなか眠れませんでしたが…
その数日後、師匠が見舞いにきました。
その話を師匠にしたのですが、師匠はそれはおかしい、というのです。
709 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU:2010/03/12(金) 19:47:11 ID:1bk4myGcO
②
ちなみに、師匠もその老婆を見た事はありますが、あまり見ようとしませんでした。
この婆さんしんどい、とも言っていました。
話を戻すと、私は何故?と質問しました。
もしかしたらリハビリで歩けるようになったのかな、と思っていたし。
でもそれにしては早すぎるけど…
師匠が一言、ぽつりともらしました。
『その老婆とさっきすれ違ったよ。ストレッチャーにのせられて、顔にはガーゼかけられてな』
意味は分かりました。言われなくても。
では、前日見た、あの老婆はなんだったのでしょうか。
それ以降は前述の子供の霊しか見ませんでした。
ですが、これも子供の霊も含め、ここでは『よくある事』なんだと思います。
711 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU:2010/03/12(金) 20:39:52 ID:1bk4myGcO
二つ目。
この病院は救急病院なので入れ替わり立ち代わりで患者さんが変わります。
私は普段カーテンを締め切っています。
そして師匠は毎日お見舞いに来てくれました。
ある日、あるお婆さんが入院してきました。穏やかな方で、近日退院とのこと。
その祝いに、そのお婆さんに御守りを渡す事にしました。
それがいけなかった。
そのお婆さんは拒否されました。まあ御守りだし嫌だったのかな、と思い反省しました。
その後、お婆さんは退院しました。
ですが、何故か私の身体が重い。何かおぶさったかのように。
その後、師匠が来ました。
師匠は私を怪訝な顔で見ます。というか私の後ろ…
『お前、取り憑かれてるぞ、あの退院した婆さんな』
何故?何故?思いつくのは…御守り。
私が御守りをお婆さんにあげようとしたから?
師匠にその事を告げると、あちゃー、という顔をしています。そして一言。
『あの人の宗教、エ○バ。』
つまり、私は一神教の方に、決してあげてはいけない他の神の物をあげようとしたのです。
そして相手の怒りを買って、そのお婆さん生き霊に取り憑かれたと。
師匠はお祓いしてくれましたが、
簡単に人に宗教的な物をあげてはいけない、触らぬ神に~、を実感しました。
三つ目。
私は入院前、うつになってしまい、自殺未遂をおかした時。
バイトにも学校にも行けず、将来が絶望的に思え、近くの住宅公社の屋上に行きました。
最上階に行くと、空気が変わりました。
その屋上だけ、空気が重く息苦しいのです。ですが私は屋上への入口に行きました。
その入口にあったのは…無数の御札。びっしりと…
ここで自殺したら取り込まれる!
ここに留まり続けるのはいやだ!
私は近くの自殺の名所と化したパチンコ屋の屋上の隅に行き、歌を聞いていました。
この歌を聞いたら飛び降りようと思っていました。
子供がボールで遊んでいる。親は何処に居るんだろう。だけど、そんなのはもうどうでもいい…
ですが、音楽が終わる寸前、師匠が私の腕を掴みました。
『帰るぞ!』
その後、私は師匠に怒られ、
師匠や友人に自殺しないよう、随時見張られました。
一つ疑問が残ります。何故私の居場所が分かったのか。
私はパチンコ屋の隅という分かりにくい所にいたのに…
師匠は教えてくれました。
『あの時、パチンコ屋の屋上から子供が手招いていた。
で、屋上に行ったらその子が手招く所に行ったらお前がいた。』
子供はそんな素振り見せたっけ?
と思いましたが、師匠が一言。
『あの子供は生きているモノではない。あの子供にお前は助けられたんだよ』
その後、師匠と買い物に行った時のこと。
ふと空を見上げたら、パチンコ屋の屋上から、その子供が私達に手を振ってくれました。
最後です。
私が入院しているのは、自殺未遂でこの救急病院に来たからだ。
アパートの三階から飛び降りて。
私はパチンコ屋騒動の後も、うつで気分は晴れませんでした。
もう限界だった。
師匠と友人が作業をしている隙に、私は部屋からそっと飛び出しました。
さようなら、とだけ小声で呟いて。
私は六階から飛び降りそうとしましたが、滑稽ですが、高すぎて、三階から飛び降りることにしました。
下は入りくんで分かりにくい場所です。
飛び降りた瞬間、一瞬のうちに落ち、気を失いました。
何か、着地した瞬間、何か押さえ込まれた感情が溢れ出た感じがしたのを覚えています。
気が付いた時、左足の激しい痛みに襲われました。
滑稽ですが、必死に助けてと叫びました。
ですが、遠くのサラリーマンは見向きもしません。
私は這いつくばって、エレベーターで自室まで助けを求めに行きました。
最初師匠と友人は嘘だと思っていましたが、
足の異常な腫れを見て、救急車で今の病院に運ばれました。
その時、救急車内で、『やっぱりか…』と師匠が呟いたのが印象的でした。
私が入院し、しばらくして、師匠が来ました。
私は師匠に自殺未遂日の『やっぱりか…』について聞きました。
気になって仕方がなかったのです。
師匠はこう言いました。
『あの時(私が飛び降りた時)、頭を二回、殴られた痛みが走った。
しばらくしてお前が這いつくばってきたから驚いたんだよ』
ですが何故二回?
疑問に思い、二回の意味は?と聞きました。
師匠曰く
『実はさ…あの時はそれ所じゃなかったから、お前には言えなかったけどさ…
俺も分かんなかったさ。その時は。
だけど、病院に着いた直後、親父が危篤、っていう連絡がお袋から来たんだ。』
『一度目の痛みはお前が飛び降りたから。
二度目は親父が危篤になったからじゃないのかな。
なにやってんだって、誰かに殴られたんじゃないかな』
その後、2ヶ月間ここで入院し、今に至ります。
私は明日退院です。三年間住んだこの地とも、しばらくお別れです。師匠とも。
今は休学し、親族から色々言われます。
因みに地元では、何故か心霊関係とは無縁です。
暫くここに投稿することはないでしょう。何かあれば投稿するかも知れません。
今から大変ですが、いつの日か、師匠と心霊ライフwを楽しめるよう、頑張ろうと思います。
ありがとうございました。