147:本当にあった怖い名無し:20/04/22(水)02:39:02 
急に思い出した高校2年の頃の不思議というか奇妙な話。
俺は地元の商業高校で自転車通学だった。
登校時は遅刻しないよう最短ルート。
下校時は同じ部活のやつと一緒に帰るので、ちょっと回り道をしていた。

高校2年の1月だった。
部活を終えて、仲間4人と一緒に下校。
1人2人と家路に向かい、俺一人になったあと、雑木林のわきの道を抜けて帰宅する。
雑木林から自宅まで自転車で10分未満だった。

ある時、雑木林を抜けようとすると、
まるで俺が通るタイミングを計ったように「ずさぁ!」という音が聞こえるようになった。
最初は自転車を止めて、辺りを見回し、
「え? え?」と振り返ったりしてたが、そのあたりは暗いので何も見えない。
そのうち、5回め、6回めとなるうちに慣れて、俺も気にしなくなっていた。




148: 本当にあった怖い名無し:20/04/22(水)02:39:29 
月日は経ち、3月。
また、いつものように部活のあと、自転車で走っていた。
だが、この時はウォークマンをしながら走っていた。
そろそろ、いつもの「ずさぁ!」の音がするあたりだな、と思ってたら、
ヘッドホンから「おいっ!」と強い口調で誰かに声をかけられた。
「はいっ?」と自転車を急ブレーキかけたら、
雑木林にうっすらと黒い影が見えて、それがブーラブラと……

「く、首つり!」と俺は全速力で家に帰った。
家で父親に「く、く、くびつり!」と言うと、
父親は「なーにが首つりだ。なんか見間違えたんだろう」と笑いながらも、
作業用の軽トラに俺を乗せて走り始めた。

問題の場所に着くと、首つり死体はあった。
そこで父親は「こりゃ本物だ」と携帯電話で警察に電話。
パトカー2台と警官4人が到着して現場検証みたいなことをはじめ、
俺はあとから来た刑事みたいな人に事情聴取された。


149:本当にあった怖い名無し:20/04/22(水)02:39:51
「で、どんな風に気付いたの?」
「あ、あの、『おい!』って声をかけられて、次の瞬間、ずさぁ!とブーラブラして」
みたいなことを答えたと思う。
事件性はほぼない、ということで、解放されたのだが、ひとつだけ不思議なことがあった。
その死体、死にたてホヤホヤじゃなかった。
首をつってから4週間は経っていた。
つまり、俺が最初に「ずさぁ!」って音を聞いた時に首をつっていたんだろうってこと。
じゃあ、なんで、その後も「ずさぁ!」って音を何度も聞いたのか、
ヘッドホンの「おい!」はなんだったのか。それは一切わからない。

続きは、ない。俺部活後の帰りルートを、行きと同じ最短ルートにしたから。
その首つりがあった雑木林が造成され、家が建つというので思い出して書き残した。