サイケデリック・奇譚

永遠の日常は非日常。

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サメ映画ファンというのは結構多い。
ところで、サメをつかったパニック映画のバリエーションといえば?
数が多すぎて、中には何が「どうしてこうなった」的な作品もある。

とはいえ、映像や迫力は大したもの。
「シャークトパス」とは、基は2010年にアメリカのSyfyで放映されたテレビ映画。
その名の通り、サメ(シャーク)と巨大タコ(オクトパス)の合体生物。




【ストーリー】
・アメリカ・サンタモニカの海岸。
若者達が浮かれ遊び、ビキニの美女たちが戯れる。
そこへ、1匹のサメが現れた。
気付いた時にはもう遅く、美女は追い詰められ・・・・その瞬間、巨大な触手がサメを絡め取り、宙高くつき上げたかと思うと一瞬で消えていった。
「?」
あまりにも素早い展開に、美女も何が起きたのかわからない。
海面下では、巨大な生物・・・・上半身はサメ・下半身は大タコのシャークトパス・・・がサメを噛み砕き、悠々と泳ぎ去っていった。

「シャークトパス」の画像検索結果

シャークトパスの正式名称は「S-11」。
アメリカ海軍が極秘に開発を命じた遺伝子操作のモンスター。
研究企業社BW(ブルーウォーター)社は、その成果を海軍にプレゼンテーションするために模範遊泳させていたのだ。
電脳皮質に電流を流しコントロールすることにより「S-11」は人に危害を与えることなく対象物を攻撃。
次いでコックス中佐は船の追跡能力のテストを促した。
(密輸船などの効果を確認するため)
BW社長令嬢であり「S-11」の開発責任者でもあるニコールは研究者の立場から危険を警告するが、海軍におもねる社長ネイサンは近くの小型ボートの追跡を命じた。

当然、モーターボートの乗員はターゲットにされていることを知らない。
海面を走る快感にはしゃぎ、急ターンをした時「S-11」に取りつけられた制御装置とボートの船底が激突。
生体軍事兵器・シャークトパスは海に解き放たれた。

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本来であれば、サメもタコも無意味に人を襲ったりはしない。
しかし、ネイサンは娘ニコールにも知らせず遺伝子操作に手を加えていた。
すなわち、殺戮のみがその本能。

次々と犠牲者が現れるが、誰も本気にはせず、ラジオへのリスナーからの情報も相手にされない。
南下を続けるシャークトパスを追って、BW社のチームはメキシコへと舞台を移す。

「S-11」に麻酔を打ち込み、追跡可能にし、最後には捕獲してインターフェースを修理する。
あくまで生け捕りを主張するネイサンらと、実行チームの元社員アンディは対立。
(実行チームはアンディとニコール、社員のサントスと他2人。
追跡にあたり、アンディほど海を知る人物はいないとサントスが強力にプッシュ。)

一方、テレビのリポーターの耳にもシャークトパスの情報が入る。
あまりにも馬鹿バカしいと相手にしていなかった人々も、騒然とし始めた。

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プエルトバヤルタのビーチに出現した「S-11」は本格的に殺戮を開始。
そのあまりにも異様な出で立ちに、人々は目を疑い、茫然としたまま虐殺されてゆく。
もはや「S-11」は機密ではない。
コックス中佐は「S-11」の処分を決定したが、ネイサンはあきらめきれない。

「S-11」の習性の名残を分析し、出現場所を予想して待ち構えていたアンディは、1度は麻酔銃の打ち込みに成功したものの、あっさりと触手で引き抜かれてしまう。
2人が殺され、自身も傷を負った。
ネイサンの提案にも「金はいらない」と突っぱねた。

「S-11」にまつわる被害者はますます増えてゆく。
サントスも殺された。自分を追う人間に気付いた「S-11」は陸へと殺戮の場を変更した。
噛み砕かれ、切り裂かれ、引きちぎられる人々。
その殺傷能力は凄まじい。
それでもネイサンは「S-11」を守るため、アンディの殺害を目論む。

しかし、実の娘ニコールが襲われた時、ネイサンは身代わりに飛びだした。

このままではニコールも殺されてしまう。
重症を負ったネイサンは娘を助けるため、「S-11」の体内爆破スイッチの存在を彼女に伝え、息絶えた。

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「S-11」・・・シャークトパスは川を遡上し始めた。
爆破させるためには、PCとシャークトパスの距離を縮める必要がある。
アンディがおとりになり、ターゲットを殺害しているシャークトパスに麻酔銃を打ち込む事に成功する。
動きの鈍くなったシャークトパスを誘導しつつ、ニコールの元へ。

父親のPCの認証番号に苦戦していたニコールは、ギリギリのところで解除に成功。
無事、生物兵器「S-11」は自爆した。
PCの認識番号、それは親子でありながら行き違いの多かった父親の娘へのニックネームだったのだ。



例えば個人のオリジナリティというものは、何を持って存在を認識されるものなのだろうか。
どんなに各々の人間が存在を主張したとして、周囲が存在を認識しなければ、その存在は曖昧なものになってしまうのではないか。

ピエロがお前を嘲笑う』(Who Am I )は、2014年のドイツ映画。
監督はバラン・ボー・オダー。
警察に出頭した天才ハッカー青年の回想と自白によって物語は進んでゆく。
ネット世界という仮想空間の、ハッカー達の世界が終点の見えない地下鉄(当然、周囲の景色も見えない)の閉塞した車両空間で表されており、匿名の存在を仮面で表現する手法が素晴らしい。



マインド・ファック・ムービーとは観客の脳を騙すトリック・ムービーの1種であり、ハリウッドでのリメイクが決定している。


【ストーリー】
・主人公のベンヤミンは孤独で不運な人間だ。
父親は早くに死に、母親は幼少時に自殺。
痴呆の始まった祖母は、自分の孫ですら認識できない。
常に落ち着きがなく、自信なさげにビクビクしていた彼は、天才的なハッカーとして成長した。


・物語の幕開けは、ベンヤミンのハッカーチーム「クレイ」の3人が殺されたことから始まる。
命の危険を感じた彼は、捜査局に保護を求め出頭した。
自分の身の安全と引き換えに、ドイツ捜査局が手こずっていたカリスマハッカーをおびき出そうというのだ。

「ハッキングはトリックさ。どちらも人をダマす」
捜査官ハンナの前で、ベンヤミンの長い自白が始まる。

・存在感のない、自称「透明人間」だったベンヤミンは、ある日、ひそかに好きだった元同級生のマリと再会するが彼女は彼を覚えていない。
それでも試験勉強に四苦八苦している彼女のために、ベンヤミンは大学に侵入した。
彼女のためにスーパーヒーローとなる妄想を抱いて。
だが現実は厳しく、あっさりと逮捕される。

・しかし、人生はわからないもの。
刑罰の奉仕作業中に見知ったマックスに誘われ、ベンヤミンはハッキンググループの1員となった。
自分とは真逆のマックスに魅かれ、その後も行動を共にする。

「クレイ」と名付けたそのチームの目的は、「目立つ面白い事をすること」。
ピエロの仮面をかぶり、あらゆるデータに侵入し、映像をユーチューブにアップする。
ニュースにも取り上げられ、そのバカバカしさがウケて若者達の中で「クレイ」の人気は急上昇してゆく。
ベンヤミン、マックス、シュテファン、パウル。
そしてマリ。
マックスにハッパをかけられながらも、ベンヤミンはマリと関係を築こうと必死だった。

・匿名のハッキング集団の中に、MRXと呼ばれるカリスマハッカーがいる。
「クレイ」もまたMRXに憧れ、認めて貰おうとするがMRXは「クレイ」を無視し続けた。

誰もできないことをやろう。
「クレイ」は捜査局のハッキング」に成功。
Clown Laugh At You(ピエロがお前を嘲笑う)」は、名実ともに最高のハッカーチームとなった。

だが、浮かれたマックスがマリにキスしている姿にベンヤミンはショックを受ける。
マックスにはかなわないのか。
ベンヤミンは、チームに無断でこっそり抜き取った捜査局の情報をMRXに送りつけた。

・「フレンズ」と称されるロシアのサイバーマフィアがいる。MRXは、彼らの1員だった。
ベンヤミンが不用意に送った情報により、殺人事件が起きた。
犯人の濡れ衣は「クレイ」チームに被せられた。

マックスもまたベンヤミンにはかなわないとのコンプレックスを抱いていた事を知り、追われる立場になった「クレイ」の仲間達に責任を感じたベンヤミンは、単独でMRXと対決に挑む。

しかし情報内に忍ばせたトリックは見破られていた。
情報の漏えいは現実的な恐怖へと変化する。
逆に仮面を剝がされ、現実世界でもハッカーとしての素顔を暴かれたベンヤミンは、急いで仲間の待つホテルへと向かう。

だが既に仲間は全員殺された後だった。


・再び捜査局の取り調べ室。
ベンヤミンの証人保護プログラムは可能かどうか。
実は、彼の自白には大きな矛盾点がある。
だが、サイバー犯罪の長いイタチごっこを終了させるチャンスでもある。

ベンヤミンは捜査局に協力し、相手のトリックを逆手にMRXの仮面を引き剥がすことに成功した。
カリスマハッカーの素顔は、ベンヤミンとあまり年齢の変わらない普通の若者でしかなかった。

一方、捜査官ハンナはベンヤミンの自白の裏付けに奔走していた。
大学生のマリに話を聞く。
マリはベンヤミンの事を覚えていた。不気味なへ変人として。もうずっと会っていないという。

自殺した母親の主治医に話を聞く。
母親の第一発見者は幼いベンヤミン本人だった。
自殺の原因は、多重人格による分裂症。

ハンナはベンヤミンの元へと戻る。
何故、マックスと同じ場所に同じ傷があるのか。
何故、どこのホテルからも死体が発見されないのか。
ベンヤミンもまた、母親と同じ多重人格ではないのか。
ベンヤミンは錯乱した。

病人に証人保護プログラムは適用されない。
「殺される」いくら泣き叫んでも、彼には適用されない。

・ベンヤミンが解放される日。
ハンナはこっそり捜査局のデータ室に彼を案内する。
天才ハッカーは、プログラムを改竄した。

別れ際に、彼女はベンヤミンが見せてくれた消える角砂糖のマジックの種あかしを訊ねた。
「簡単なトリックだ」
4つある角砂糖は消えたりしない。ただ、巧妙に隠されていただけ。

・ラスト。
国外へと向かう船に立つベンヤミンは自信に満ちている。
側らにはマリが微笑む。
3人の仲間達も共に不遜な笑みを浮かべるている。

ハッカー集団「CLAY」チームは自由を手に入れた。
彼らは最後の情報トリックに勝ったのだ。



  『マルコヴィッチの穴』(Being John Malkovich)1999年:制作のアメリカ映画である。
監督:スパイク・ジョーンズ 脚本:チャーリー・カウフマン

この作品はスパイク・ジョーンズの初監督作品であるが、カウフマンの脚本が受けたこともあり、現在でも根強い人気を誇る。
カウフマンは複数の賞を受賞。
失礼ながら、同じ監督に再びリメイクして頂きたいほどユニークでぶっ飛んだ映画であるが、それ故に好みというよりは理解不可能で嫌悪感を示す人もいるかもしれない。

不条理、ギャグ、コメディ、人生観、悲劇、喜劇、絶望、諦観、ありとあらゆる表現がスピーディに、なおかつ深く展開されてゆくので、難解と感じる方もいらっしゃるかもしれないが、割り切って楽しんだ方が愉しい。
もっとも、気になって仕方がないという方も多いだろう。
そのせいか、あまり評価は高くない。
個人的には、ラストの驚愕と怖さはなかなかのものだと思うが・・・。



着眼点は、「別人の脳内に張り込むこと」。
実在の俳優マルコビッチが、自分の脳に入り込んだ人々を演じ分けており力量を感じる。
また、チョコチョコと有名俳優らが顔を出すシーンも面白い。
ボサボサの髪のキャメロン・ディアスの演技も光る。


【ストーリー】
・主人公はイマイチ売れない人形師のグレイグと妻・ロッテ。
ともに冴えない夫婦は倦怠期気味で、人生にそもそもやる気がない。

人形使いでは食べていけないので、グレイグは定職を探し出した。
オフィスの名は "LesterCorp" 。場所は古いビルの7階と8階の間、7と1/2階。
天井が低く、真っ直ぐ立つことができないオフィスで、事務員として働きだす。


ある日、クレイグはオフィスの壁に隠された扉=穴があるのをを発見。
それは15分間だけ、俳優ジョン・ホレイショ・マルコヴィッチの頭の中に繋がるという不思議な穴だった。
グレイグはマルコビッチの脳内に入り込み、15分後に高速道路の脇に放り出された。

興奮した彼は、妻・ロッテにも同じ体験をさせてみた。
やはりロッテも俳優マルコビッチの脳内に入り込み、15分で放り出される。
グレイグは実は妻ロッテよりも、美人のオフィスの上司マキシンに一目ぼれしており、彼女にこの話をしたところやり手のマキシンはビジネス展開を思いつく。

15分間だけ、他人になれる体験ができるビジネスは大当たりとなった。
ましてや、相手は有名な俳優マルコビッチなのだ。

・一方、マルコビッチの脳内に入ったロッテは、初めて自分が同性愛者であることを知り、マルコビッチの体を使いマキシンと関係を持つ。
マキシンとの会話でオリジナル・マルコビッチは自分の脳内がかき回されていることを知り、激怒する。
しかし、穴の存在を知ったオリジナル・マルコビッチは穴を通じて自分の脳内に入り込み、錯乱状態となるのだった。

・この騒動の最中、切れ切れにではあるが発端の穴の秘密が語られてゆく。
このビルを19世紀に建てたのはマーティンという男。
オフィス社長のレスターの脳内で生きている。
この「穴」システムを見つけ出したのはマーティンだった。
  
脳内を支配する、つまり乗り移るには対象者が44歳の誕生日だけがチャンスとなる。
その日、12時までに乗りこめなければ失敗となり、次の対象者(44年後に乗り移る頃が可能となる胎児)に呑みこまれてしまう。
その胎児が無事に生まれ出てきたとしても、その子の意識が強いために支配することは不可能。その子の内部からひたすら外界を眺めるのみとなる。
チャンスは再び44年後。今さら他の人間に入り込むことも不可能。

レスターの次の対象者がマルコビッチだったのだ。
そのため、レスターの部屋には少々の頃からのマルコビッチの写真や資料が山のようにストックされていた。

・ロッテとマキシンはマルコビッチの体を使い、同性愛的な関係に陥っていた。
嫉妬したグレイグはロッテを監禁し、マルコビッチとしてマキシンと関係を持つ。


マキシンは妊娠し、人形使いとしてのノウハウを利用し、俳優マルコビッチの体を完全に支配しつつあったグレイグは、オリジナル・マルコビッチの知名度を利用し、人形師として大成功をおさめていった。

・その頃、恨み骨頂のロッテは、レスター社長(マーティン)より「穴」システムの秘密を手に入れていた。
レスターをはじめとする老人グループがあり、彼らにとってももはやグレイグは邪魔な存在だったのだ。

彼らグループとロッテは共謀し、マキシンを誘拐、お腹の子を人質にグレイグを強迫しマルコビッチの中から追い出すことに成功。
ロッテと再会したマキシンは、彼女が忘れられないこと、お腹の子はマルコビッチの中にロッテがいた時に妊娠したこであることを告げた。強く抱擁しあいながら、2人は互いの愛を再確認する。

マルコビッチから追い出されたグレイグは完全に失恋し、生まれてくるだろう子供も失った。

・とうとう、オリジナル・マルコビッチの44歳の誕生日がやってきた。
幼い頃からマルコビッチを眺め、この日を心待ちにしていた老人達がぞろぞろと穴の中に入ってゆく。もちろんレスター社長も。
そして、オリジナル・マルコビッチの自我や精神は完全に消滅した。

グレイグもマキシンを忘れられない。
ロッテへの憎しみも消えない。
彼もまた、「穴」の中へと入って行き、再びマルコビッチになることを目論む。



ラスト。
舞台は7年後。

プールサイドでロッテとマキシンと、その娘が幸せそうに笑っている。
7歳の女の子の中で、声にならない声が叫ぶ。「ふたりを見ないでくれ!」
だが、その言葉は当の女の子の意識にすら届かない。

別の家の部屋。
男達が幼い女の子の写真を眺めている。
まだ、7歳。44歳までは長いが、楽しみでもある。



「ファイナル・デスティネーション」(Final Destination)
1作目(オリジナル)は2000年。アメリカ公開のホラー・サスペンス映画。

人気作でもあり、5作目までがシリーズ化されている。
(6作目もコンセプトに関する噂もでたものの、2016年現在の時点では未定)

ストーリーパターンは主軸において全て同じ。
主人公が未来の凄惨な事故や自らの死を予知し、周囲の人間も含め一旦は死を回避する事に成功する。
だが、本来の運命は変えられず、生きのびた人々は次々と死に直面してゆくというもの。

悪魔や死神といったものは全く登場せず、ただ、「死ぬべき者は必ず死ぬ運命」を辿る様子を淡々と描く。
しかし、主人公らは「死の法則」を探しだし、最後まで運命に逆らい続ける。

【シリーズシチュエーション】
・1作目:航空機事故
・2作目:高速道路
・3作目:遊園地のコースター
・4作目:サーキット
・5作目:吊り橋

ここでは、1作目についてのみの紹介に留めておく。
いくらパターンが決まっているとはいえ、緊張感の張り詰める展開は手に汗握るものがある。
何より、全作品を通じて脚本と演出が上手い。




【主なキャラクターの名前】
・このシリーズは、悲惨な死や残酷な死、あまりにも無惨な死に様をむかえるシーンが多い。
その一方、アメリカ映画らしく小気味の良いテンポで次々と人間が死んでゆき、シャレた演出やユーモア(?)も効いている。登場人物の名前も、ホラーやサスペンス映画ファンなら思わずニヤリとしてしまう名前が多い。
日本人の感覚ではやや不謹慎かもしれないが、ちょっとした「お遊び」部分も多く、その感覚も新鮮に感じられたのかもしれない。

・アレックス・ブラウニング(監督 トッド・ブラウニング:名作「ドラキュラ」を製作)
・クレア・リバース(映画内にて名前の通り「繰り返す・リバース」)
・ビリー・ヒッチコック(監督 アルフレッド・ヒッチコック)
・テリー・チェイニー(俳優 ロン・チェイニー:「オペラ座の怪人」)
・トッド・ワグナー(監督 ジョージ・ワグナー:「狼男の殺人」)
・ラリー・ムルナウ(監督 フリードリヒ・ヴィルヘルム・ムルナウ:「ノスフェラトゥ」)
・シュレック捜査官(俳優 マックス・シュレック:「ノスフェラトゥ」)


【ストーリー】
・主人公は高校生のアレックス。
修学旅行のために飛行機でパリに向かう。が、離陸後まもなく飛行機は爆発、炎上する。

はっと気づくと、アレックスは離陸前の飛行機の座席で居眠りをしていただけだった事に気づく。
だが、夢と同じように席の交換を頼まれ、その席に行くと夢と全く同じように席の一部が壊れている。

言い様のない不安に襲われたアレックスはパニックを起こし、飛行機の爆発・墜落を予言して叫ぶ。
そのため騒ぎになり、結果として先生を含めた7人が飛行機から降ろされてしまった。
その後、予知夢の通りに飛行機は離陸し、爆発し炎上して墜落する。

生存者は0。
先に降りた7人をのぞいて。

悲惨な現場の中、FBIの捜査官がアレックスに尋ねた。「何故、事故の事を知っていたのか?」

夢で見た。と言っても、誰も信じてはくれない。
爆破事件の参考人(犯人)と疑われるなか、再び死の運命が動きだす。

生きのびた1人、アレックスの親友トッドは自宅のバスルームで洗濯物を取りこんでいる最中に転倒、ロープ替わりのワイヤーが首に巻きつき、もがくも洗剤が床に零れたために足場が悪く、そのまま縊死。
同じ頃、アレックスは千切れた広告に「Tod」の名を見つけ、言い様のない不安を覚えトッドの自宅に走る。
が、もう遅い。

友人のクレアとともにトッドの遺体に面会に行くと、葬儀屋のブラッドワースから死の運命からは誰も逃れられないことをアレックスは聞く。

そう言われて、納得する人間はいない。
2人で相談中に、カーターと恋人のテリーが通りかかった。
カーターはアレックスに対して強い怒りを持っており、言い争いに。
「死者は生き返らない」とカーターを諫めるテリーは、3人の目の前でバスに轢かれて死亡した。

ニュース番組により、アレックスは飛行機事故の原因を知る。
燃料漏れによる火災であり、もしあのまま飛行機に乗っていたのなら、座席の順番によりトッドが真っ先に死んでいた事を知る。2番目に死ぬ座席はテリーの座席だった。
3番目の座席は、先生が座るはずだった席。

アレックスは先生のもとへと向かうが、彼女は事故のショックから立ち直れていない。
彼の姿を見た先生は、警察を呼び、アレックスは連行されてしまった。
レコードから流れる曲は飛行機で墜落死したジョン・デンバー(空港でも同じ曲が流れていた)。
カップに酒を注ぎ、デスクトップパソコンの上に置くが、この時カップにはヒビが入った。酒は零れ出し、パソコンから煙があがる。
不審に思った先生が確認しようと目を近づけた瞬間に、ディスプレイは爆発。破片が首に突き刺さる。
引火したパソコンから酒、キッチンのガスへと次々と発火。
先生は自力で破片を抜くが、その後包丁の落下により重傷。さらなる爆発により包丁ごと家具に押しつぶされ、死亡。

生き残ったのは7人。
死んだのは3人。
次の順番は誰になるのか。

座席では次の死亡者はカーター。
ヤケになったカーターは踏切内に侵入。自殺を試みるも、クレアの助けにより死なずに済んだ。

が、次の順番のビリーが首を切り落とされ死亡。

いよいよ、アレックスの番に。だが、彼は死ぬ気はない。
細心の注意を払い、鋭利なものにはカバーをし、家具も倒れることのないようにテープで補強。
絶対に、死の運命に打ち勝つために。

雷雨の夜、クレアの家の近所では高圧線が切れて火花を散らしている。
恐怖にかられた彼女は車の中に避難。
だが、次々とトラブルが起こり出す。

その頃、アレックスは大切な事を思い出す。
結局、飛行機の中では、自分とクレアは座席の交換をしていないまま。
ならば。
次に死ぬのはクレアとなる。

クレアの乗った車は、とうとう火を噴き始めた。
間一髪でアレックスが彼女を救い出すことに成功する。


半年後。
アレックス・クレア・カーターの3人はフランスにいた。
死の運命を乗り越え、飛行機の恐怖にも打ち勝ち、勝利を確認するために。
祝杯を挙げる3人。

だが、恐ろしい事に気づいてしまう。死の運命の順番はカーターとクレアを飛び越えていった事になる。
最後に死ぬはずだったアレックスも生きている。しかし、アレックスの順番は飛び越えていない。
・・・・・では、まだ、終わっていない?

その時巨大なネオンが落下。アレックスを直撃・・・・かと思えば、カーターがアレックスを救ってくれた。

これで、全員が終わった事になる・・・・・そう思った時。

カーターの背後から巨大な看板が落下。
カーターは圧死する。

再び、死の歯車はまわりはじめた。


【蛇足】
・後に、アレックスは落下したレンガに直撃され死亡したことがシリーズ内にて語られる。
・クレアは怯えきり、精神病院に逃げ込むが、同じように死の歯車に抵抗する人々に感化され、シリーズ内で再び運命に挑む。感電死。


また、この作品は当初全く違う結末を迎えるはずだった。
大まかに説明すれば、アレックスはクレアの身代わりとなって死ぬはずだった。
時が流れて、成長したクレアが男の子を出産、アレックスと命名。カーターもまた、ともに生き残る。

ところが、このハッピーエンドが大変不評だったらしい。
試写会のみの批判で、わざわざラストシーンが撮りなおされた。

大ヒットした現在となっては、先見の明があったと言うべきか。
それとも、やはり人間には不条理な死を恐れつつ、運命の歯車は誰にも止められないという畏れがどこかにあるのだろうか。



「オープン・ウォーター」(Open Water)は2003年公開のアメリカ映画。
監督はクリス・ケンティス。

低予算映画であり、サンダンス映画祭で人気を博し、その後全米で公開された。
実際の事件が元になっており、また、特殊効果はほとんど使われず俳優たちは実際にサメが泳ぐ中で演技している。

日本版のキャッチコピーは、「海の恐怖が今始まる…。」。



(字幕なしだが、単純な英語のみなのでご理解いただけると思う)


限りなくリアルを追求したモキュメンタリーに近いが、少々手法が異なる。

まず、ジョーズのようなスプラッター系を期待する方々には思い切り肩すかしだろう。
この作品はあくまで心理スリラーであり、80分に満たない短編映画ではあるが、その緊張感には手に汗にぎるものがある。

常に揺れる海上で、視界も定まらないうえ、全体を見渡すことすら難しい漂流者の視点を取り入れているため、画面は連続して大きくブレ続ける。
もちろん俯瞰シーンもあるが、物語に合わせて観る者の不安を煽ってゆく。
どちらかといえばソリッドシチュエーションホラーに近い(スリラーだが)。

この手のスリラーは、どちらかというとあまり日本人受けしないらしい。

とはいえ、大自然に脅威を抱くパターンというのは好きな方にはたまらないらしく、続編や似たようなテーマの作品は次々と制作され、日本でも公開されている。


【ストーリー】
・決して仲が悪いわけではないが、互いの性格のアクが強すぎてスレ違いが多いスーザンとダニエル夫妻は、長期休暇をキッカケに二人でカリブ海の旅行に出る。

美しい海といえば、スキューバダイビングである。

ツアーに申し込みボートに乗り込むが、2人とも仕事はできても団体行動が苦手だ。
なぜ、いちいちくだらない細かい行動まで他人に合わせなければならないのか。大きな問題さえ起こさなければ、些細な行動なら自分の好きなように行動する、似た者夫婦であるが故に衝突もする。

が、折角の旅行であり海の中は美しい。

ダイビングツアーは35分間。夫婦は仲良くダイビングを楽しんだ。あくまで自分達のペースで。

そして。

定められた時間になり、次のスケジュールのためにツアーボートは出発した。
ガイドは2人がまだ海中にいることに、気が付かなかったのだ。

ようやく海上に浮かび上がった2人は、船に乗り遅れたことに気づく。
やはり、互いのせいにしての喧嘩となるが、もうどうしようもない。しばらく待てば、ボートが来るのではないか?罵りあいながらも、2人は海上を漂う。


しかし、どんなに待ってもボートは来ない。
天候は荒れ、可愛らしく見えたクラゲ達でさえも危険な存在となる。

自然界は人間の為だけにあるのではない。2人は恐怖におののきながら、互いに助け合い、いたわり合う。


やがて、サメの姿が現れた。
サメは、「ジョーズ」のように突然襲い掛かったりはしない。ただ、ゆっくりと、彼らの周囲を巡るだけである。

ダニエルが足を負傷し、出血しだした。
慌てるスーザンに、出来ることはない。

夫婦の絆を再確認し、ダニエルは沈んでゆく。


一方、ツアーボートでは彼らの姿がないことに気づき、騒ぎになる。(救助に向かうが、もう間に合わないことを知るのは、この映画またはDVDを観ている第三者だけ)


ひとり残されたスーザンは、海の上で漂い続ける。

サメ達は周囲を泳いでいる。


ラスト。

酸素ボンベ等装備を投げ捨てるスーザン。

彼女は1人、静かに海中に消えてゆく。

この間セリフなし。

解釈は観客に委ねられる。


実はダニエルはナイフを所持していたが、途中でパニックになり落としてしまう。
そのナイフは海底に落ちたまま。


スーザンが消えた後、海上はただひたすら静かに揺れ続ける。



【元になった事件】
・1998年、オーストラリアのグレート・バリア・リーフでスキューバダイビング中に夫婦が置き去りにされた事件。夫婦はアメリカのルイジアナ州出身であった。
同じボートに乗っていた乗客26人と5人のクルーは2人が見当たらないことに気づかず、2人は鮫の泳ぐ海原に取り残された。
夫婦の失踪が判明したのは事件の2日後。捜索が行われたが2人は見つからなかった。
しかし、後に夫婦が問題を抱えていたことが明らかになる。
当時働いていた仕事を嫌い、移住先を嫌い、夫には自殺願望があった。
現在も、事故か自殺か、蒸発か判明していない。



「霊幻道士」(原題:殭屍先生、英題:Mr.Vampire)
1985年公開の香港映画。(当時の香港は英国領)
19世期中期-20世紀初頭中国を舞台としたチャイニーズアクションホラーコメディである。
日本での公開は1986年4月26日で観客動員数20万人を記録した。


サモ・ハン・キンポーが監督、主演を兼任。
中国古来の伝承に登場する妖怪「キョンシー」を物語の主軸に、特殊効果とカンフーアクションを織り交ぜたコミカルなホラー映画として「キョンシーホラー」と呼ばれるジャンルを作り上げた。
その影響力は、その後の『幽幻道士(キョンシーズ)』などの亜流作品が各国で製作された程であった。



【ストーリー】

・道士のカオは、故郷から遠く離れた土地で死んだためにキョンシーとなった死体を霊廟で預かっている。
(道士はキョンシーの額にお札を貼ることで動きを止め、術により操る事が出来る)


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ある日、カオは街の富豪家ヤンから先代の父親の改葬を依頼された。
実際に墓地を掘り起こし遺体を確認したところ、死後20年間も埋葬されていたはずの遺体は全く腐敗していない。実は、ヤンの父親は生前は強引な事業家であり、呪術者にすら恨まれ、わざと誤った方法で埋葬されていたために成仏できないでいたのだ。
このままでは、父親は間違いなくキョンシーになってしまう。カオはヤンに父親の遺体を焼くようにすすめるが、断られ、仕方なく札により封印するが、弟子のミスにより遺体は完全にキョンシー化する。

弟子らはコンシー(道士に操られているキョンシー)を差し向け、戦わせるが全く歯が立たず、キョンシーは脱出していった。


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その夜、ヤンはキョンシーとなった父親に殺され、キョンシーは逃走した。

翌日、現場に急行したカオは保安隊長に殺人犯と疑われ、逮捕・拘束されてしまう。
留置場に連行されたカオは、2人の弟子にそれぞれの役目を伝え、人々を守るように指示を下す。
サンには今夜、自分の留置場に除霊に必要なものを準備して届けるように、モンには、ヤンの家に行き、娘のティンティンを保護するように。

その夜、モンが留置場を訪れた頃、安置されていたヤンの遺体がむっくりと起き上がる。キョンシーに襲われた人間もまた、キョンシーになってしまうのだ。
カオは取り急ぎ封印のお札を作成、モンに額に貼って来るよう命令し、何とかキョンシーを鎮めることができたが、その騒ぎを聞きつけた保安体調が現れる。彼は笑ってお札を剝がしてしまうが、そのため再び動き出したヤンに殺されかけてしまう。カオの法術により、キョンシー(ヤン)を焼き払うことで事無きを得た。

一方、ヤンの自宅で張り込んでいたモンのもとにキョンシーが現れる。留置場より駆け付けたカオ達ににより何とかキョンシーは追い払えたものの、モンはキョンシーの攻撃により負傷していた。

モンのキョンシー化を防ぐため、カオらは治療を開始する。

結界を貼るために必要なもち米を買いにサンは街に出るが、若くしてなくなった女死者・ヨッに同情したために取り憑かれ、一夜を共にする。
帰ってきたサンの様子からカオは女の亡霊に気づき、モンはさらに生きたままキョンシー化が進んでいる。
カオはサンの跡をつけ、ヨッと対決した。逃亡したヨッの術が解け、サンは正気に戻る。
が、夜になると再びヨッはカオ及びサンを襲撃する。
闘いの最中、完全にキョンシー化したモンがサンに襲い掛かり、それに気づいたヨッはサンを助け出す。モンを抑え込んだカオは再びヨッを退治しようとするが、モンの頼みにより、女幽霊を見逃してやることにした。

実はサンの買ってきたもち米には不純物が混ぜられており、そのためにモンの治療は失敗したのだ。
改めてもち米を使用し、結界を張り、今度こそモンは前回する。

その頃、キョンシーは何の関係もない町の人々を襲い始めていた。
カオは襲われた人間の火葬を指示、元凶であるヤンの家へと急ぐ。

「霊幻道士」の画像検索結果

庭にもち米を撒き、結界をつくり待ち構えていたカオ達であったが、暴れまくるキョンシー(ティンティンの祖父)になす術がない。
通常のキョンシーであれば、目が見えないので呼吸で相手の場所を特定する。そのため、息を止めていればうまく立ち回ることが出来る。だが、このキョンシーは業の深さにより目が見え、さらに非常に狡猾で苦戦を強いられた。そこへ、カオの弟の道士がコンシー達を連れ加勢に入る。

だが、やはり歯が立たない。人間の欲と恨みと間違った風水の埋葬方法が、彼をとんでもない化け物に仕立て上げたのだ。


「霊幻道士」の画像検索結果

やっとのことで、カオ、サン、カオ弟の3人でヤンの父を押さえ込み、火をつけることに成功。
ようやく全ての元凶であるヤンの父のキョンシーを焼き滅ぼしした。
しかし被害も多く、カオの弟が連れ帰った数多くのコンシー達も全滅していたのだった。


カクカクと動くゾンビ・キョンシーは、その力は人間以上のものを発揮する。
それらとカンフーで戦う道士達のシーンは迫力そのもの。
また、コミカルな人間の動きもさながら、いかにも人間らしい失敗で事態を悪化させたり、香港映画独特のテンポの良さで人気を博した。




ところで、テレビドラマになった「幽幻道士」の少女テンテンと、この映画のティンティンは全く別人であることを書いておく。念のため。


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2016年夏、映画「ゴーストバスターズ」のリメイク版が公開される。
前作に続くシリーズ3作目というより、別物の作品として観た方が良いだろうと思うので、リメイクとさせていただく事をご了承いただきたい。

このシリーズの流れは、幽霊(ゴースト)に溢れかえる街でゴースト退治を専門に行う駆除屋(バスターズ)というタイトルそのもののコメディとなる。
なお、前2作品の主人公らは男性だったが、時代を反映してか今回のチームは全員女性である。




以下、1・2作品の詳細。


【ゴーストバスターズ 1】
・公開は1984年。
アイヴァン・ライトマン監督。





・ストーリー
ニューヨークコロンビア大学で超常現象の研究を行っていた、冴えないオタク系の研究者3人が主人公。
研究費が打ち切られた為に幽霊退治屋「ゴーストバスターズ」を開業、あるホテルの幽霊騒動を解決したことからマスコミに注目され、超人気会社となった。
(因みに、彼らが使用するゴースト吸引器は掃除機ソックリの機械である)

そのような中、「門の神ズール」(雌)と「鍵の神ビンツ」(雄)が現れ、この門と鍵がくっつくと扉が開き「破壊の神・ゴーザ」が復活することが判明する。ゴーザを崇拝しこの世の終りを祈る秘密結社呼び寄せたのだ。

一方、ビジネスは大成功を納めていたゴーストバスターズだが、実際には多くのトラブルも抱えていた。
建物の破損、爆発による被害、他にも多くの法律違反があり、彼らは爆発物所持の容疑で拘束されてしまう。幽霊保管庫も一杯になっており、電源が切られたことにより多くのゴースト達が街に溢れ出し、ニューヨークはパニックになった。

ニューヨーク市長のたっての希望でバスターズは解放された。
破壊の神の情報を得ていた彼らは、秘密結社のビルへと向かう。しかし時遅く、ゴーザは復活しつつあった。
形を持たないゴーザは、彼らに破壊の方法を選べと迫る。
抜き差しならぬ状態であったが、たまたま1人の博士の脳裏にマシュマロマンが蘇った。
そのため、破壊の神は巨大な「マシュマロマン」の姿で出現し、街を破壊し始めた。






博士ら3人と新人助手1人の4人のチームで、危険な賭けを含む壮大な幽霊駆除・ゴーストバスターが開始される。


【ゴーストバスターズ 2】
・1989年公開。


・ストーリー
5年後。 以前の騒ぎでは大活躍した彼らではあるが、破壊した建物などの賠償金及び数々の法律違反により「ゴーストバスターズ」社は破産していた。

ある日、前回の騒動に関わりのあった女性・ディナの息子の異変を皮切りに、次々と異変・事件が勃発し始める。
原因不明の現象に、彼女はチームの1人に相談、調査を依頼した。

独自に調査したところ、廃線となった地下トンネルの中でチームは不思議なスライムの川を発見する。
しかしながら、かつてのように合法的な方法での調査ができず、違法調査であったこと、調査の影響でニューヨーク中が停電してしまったことなどにより、これらは裁判沙汰となってしまう。

裁判中、地下トンネルより採取してきたスライムにより、死刑になった凶悪犯罪者がゴーストとして復活。無罪と引き換えにチームはゴーストを駆除、再びビジネスは再開された。

一方、ディナの勤める美術館。
16世紀に魔術師で狂人と恐れられたヴィーゴ大公が、自身の肖像画から甦ろうと機会をうかがっていた。絵の管理人はディナに下心を抱いており、ヴィーゴに漬け込まれ操られ、デイナの幼い息子を美術館に誘拐した。

実は、地下のスライム川はニューヨーク中の人間の憎悪や怒りの蓄積されたものであり、そのエネルギーを吸い上げてヴィーゴは復活を試みていたのだ。
幼い子供の姿を乗っ取り、蘇ろうとするヴィーゴの影響か、街中いたるとことにスライムが吹き出し、ゴースト達が一斉に暴れはじめた。ゴーストバスターズは出動するものの、肝心の美術館はスライムに覆われ手出しができない。

ならば、逆の方法を試みよう。スライムは人間の感情に激しく反応する。

人々の希望の善の力を終結させるため、ニューヨークの象徴「自由の女神」に接種していたスライムをふきかけ、陽気な音楽を流し、人間の善い感情を引き出してゆく。

ついに、自由の女神が動いた。
ニューヨーク中のハッピーな感情が女神を動かしたのだ。

こうして、悪の感情に支配されたヴィーゴの悪霊と、希望の星自由の女神との戦いがはじまるのであった。




何も書かずとも、ほとんどネタはバレているような作品だが、世界中で大ヒットし、後の大物俳優も多く送り出した作品である。
(ビル・マーレイ、ダン・エイクロイド、シガニー・ウィーバー、ハロルド・ライミス、変わったところではボビー・ブラウンがいる)


2016年の「ゴーストバスターズ」はまだ公開されていないため、ラストまでは紹介はしない。

当時としては斬新なアイディアや、あまりにも笑える展開、マシュマロマンが笑いながらビルを崩壊させるシーンなど観客を呆気に取らせた。
2作目では、自由の女神を動かすなどショッキングな演出に驚かされた。

コミカルな俳優陣の演技もさることながら、ハリウッド的ユーモアが濃縮された作品でもある。
一世を風靡したテーマ曲は、今でもどこかで聴いたことがあるかと思う。

興味があれば、だが、リンクを貼っておくので「この曲か!」と納得していただきたい。


 

 「銀牙 -流れ星 銀-」は、1983~1987年に『週刊少年ジャンプ』で連載された漫画である。
作者は高橋よしひろ。1986年にはテレビアニメ化され、2005年にはミュージカル化もされている。

アニメーションは海外でも放映され、いまだ根強いファンを持つ。

そのストーリー性と独自の世界観、過酷な運命に立ち向かう銀らの姿に、国内はもとより、海外からも熱く支持されてきた。

アニメのOPは上手く構成されており、この部分だけで銀の運命に翻弄されつつ、しっかりと自立して行く様が表現されている。




【ストーリー(赤カブト編)】
・主人公は秋田犬の猟犬・銀。熊犬という熊を追う猟犬である。
父親犬・リキと、主人の猟師・五兵衛の仇を討つべく、凶暴な人食い熊・通称「赤カブト」に立ち向かう成長物語。
(祖父犬であるシロもまた赤カブトに殺されており、壮大な因縁物語ともいえる)

熊犬リキは赤カブトと闘い、谷底へ転落して行方不明となった。
リキの復讐を果たすべく、猟師の五兵衛は生後まもない子犬の銀を熊犬として厳しく育てて行く。

五兵衛の孫息子である大輔と心の交流を続けながら、銀はたくましく勇敢な熊犬として成長するが、五兵衛の死により、「赤カブト打倒」を強く誓った銀は、日本中の勇敢な犬達を集めるべく旅にでる。
(暴れ熊赤カブトはその巨体と凶暴さ故に、人間でも歯が立たない)

所謂冒険熱血青春ドラマであり、犬同士の会話をセリフで表すことにより友情、結束、葛藤、成長を描く。

旅の行き先々で様々な犬達にあい、仲間を増やし、あるいは反目しつつも銀は精神的にも大きく成長する。
やがてついに、多くの仲間犬達を引き連れ、宿敵「赤カブト」との因縁の対決に臨む。



結末は、あえてここでは記事にしないでおく。
この後、「八犬士編」に続く。
他にも「特別編」(外伝)も描かれている。
続編として「銀牙伝説WEED」がある。

描かれる犬達は多岐にわたっており、グレートデン、ドーベルマンから甲斐犬、土佐犬などとあらゆる犬種がそれぞれの運命を背負って登場する。
彼らの因縁や苦しみを取り除いてくれた銀に恩義を感じ、行動を共にする者もいる。

興味のある方は一読してみると良い。
文庫版であれば、10巻ほどで完結する。
(続編除く)


なお、この作品の物語の巧みさを示すため、ひとつだけエピソードの種明かしをしておこう。

銀の父犬・リキは子犬の銀をかばい、谷へ落ちたが命だけは助かっていた。しかし記憶を失っており、覚えていたのは赤カブトへの憎悪のみ。
やがて銀とも再会するが、息子としての記憶はなく、ただ打倒赤カブトのみで協力する。
五兵衛の死後、銀が勇敢な犬達を集めに旅にでている間は、リキが1匹で赤カブトの手下らの熊と闘い、被害を防いでいた。
銀と仲間が揃い、人喰い熊との最終決戦となった時に初めてリキの記憶が戻り、銀を息子として認識、親子で闘いを挑む。
同時にそれは、リキの父・シロの仇討ちも兼ね、3代に続く因縁の闘いとなるのだった。


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ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(The Blair Witch Project) 1999年公開のアメリカ映画。
監督はダニエル・マイリック。

フェイクドキュメンタリー、またはモニュメンタリーというジャンルの立場を不動のものにした作品である。





【ストーリー】
・1994年10月。
モンゴメリー大学映画学科に通う学生、ヘザー、ジョシュ、マイクは、ドキュメンタリー映画を撮影するため、メリーランド州バーキッツビルのブラック・ヒルズの森に向かい、消息を絶った。

ブラック・ヒルズには魔女「ブレア・ウィッチ」の伝説があり、現在も住民はその存在を信じている。
その魔女の検証ドキュメンタリーを3人は制作するつもりだったとみられる。3人の捜索は行われたが、手がかりすら全く得られなかった。

1年後。
彼らのものとみられるビデオカメラが発見された。中にはフィルムが入ったままであった。

この作品は、彼らの残したフィルムを再構成し、映画化したものである…。



【1日目】
付近の住民達の、魔女の伝説の聞き取り調査が記録されている。
人々は本当に信じており、いまだに怯えているらしいが、ヘザー達3人は、笑い飛ばしている様子がうかがえる。


【2日目】
いよいよブラック・ヒルズの森へと向かう。
道路、ブラックロック・ロードに乗ってきたジョシュの車を止め、荷物を担ぎ森に入る。
歩きながらの撮影は順調に進んでおり、テントにて就寝。


【3日目】
撮影担当のジョシュが、夜中に人の声を聞いたと証言。ヘザー、マイクは聞いていないらしい。
伝説の場所、コフィン・ロックを目指す。深夜に到着。コフィン・ロックには小石が積み上げられ、奇妙な配列に並べられていた。
テントを張り就寝するが、そのテントの周囲を人が走り回るような謎の音を3人とも証言。危機感を感じているように見える。


【4日目】
ドキュメンタリーの監督を務めるヘザーの判断で、撮影は終了。(実際にコフィン・ロックでの現象はフィルムに残っているので打倒な判断)
帰路につくが、迷ったらしい。口論となり疲れてきたように見える。天候のせいもあり、ブラックロック・ロードには辿りつけず、テントにて宿泊。
夜中に、再び人の声が響く。(フィルムにも収録されている)


【5日目】
テントの周囲に、小石が積み上げられた塔?のようなものが3つ発見される。昨日までは無かったと全員の証言あり。
極度のストレスのためか、マイクがヘザーの地図を捨てたと笑いだす。険悪な空気のまま勘を頼りに進むが、小枝を人型に組み合わせた人形?らしきものが大量に吊るされた場所を通過。
この日もテント泊。だが、子供の声、赤ん坊の声が周囲から響き、テントが揺さぶられたらしい。
パニックになった3人は外に飛び出し、逃げ出したと思われる。


【6日目】
テントに戻ったところから、再び撮影開始。荷物が散乱している。ジョシュの荷物に粘液がついていた。
川に架かった丸太の橋を渡り、ひたすら南方向へと歩く姿がえんえんと撮影されている。
フィルムに残った証言から15時間歩いたが、最終的には同じ丸太の橋地点に戻ってきてしまったらしい。
この日、いつまでも撮影をやめないヘザーに、ジョシュとマイクが苛立つ様子が録画されている。
夜は交代で見張りをたてている。


【7日目】
早朝、見張りをしていたはずのジョシュが行方不明となる。
ヘザーとマイクは更に森の脱出を目指すもかなわず。
夜、テントの外からジョシュの声が響く。


【8日目】
フィルムではこの日の夜が最後となる。

出発前テントの周囲を撮影していたヘザーが、ジョシュの服の切れ端で束ねられた小枝の束を発見。
中には血に塗れた歯と髪の毛が包まれていた。
どういうわけか、ヘザーはマイクに何も報告しなかったらしい。

夜になってから、おそらくはテントの中でヘザーがカメラに向かってメッセージを残している。これが、彼女の遺言となった。内容は自分と、ジョシュ、マイクの両親あての謝罪であった。

深夜、テントの外の森の中から激しくジョシュの悲鳴が響く。マイクを追って、カメラを回しながらヘザーも外へ駆け出す。声の方向を探すと朽ち果てた「ラスティン・パーの館」の中から聞えてくる。
(ラスティン・パーとは実在した人間で、自分は魔女に取り憑かれていると思い込み、数人の子供達を誘拐、殺害した殺人鬼である。怒った住民達によって殺人現場の館には火がつけられた。)

廃墟の中、屋上と探し回るがジョシュはおらず、カメラを持ったヘザーはマイクとはぐれてしまう。互いに声をかけあっていたのだが、地下室でマイクの声は途切れ、泣きながら地下へ向かうヘザー。

殺人現場となった地下室では、何者かが立ちつくす姿が一瞬カメラに映るが、直後に画面は落下。ヘザーの声も消え、ここで録画は終了している。

ネットやディスカバリーといったTV媒介も巻き込んだ、メディアミックスが最も成功した例だともいえるだろう。

本や続編の映画もつくられたが、結局は全ての謎は解けないままに終了する。


『ゴーストシップ』(Ghost Ship)2002年公開のアメリカ映画。
監督:スティーヴ・ベック 
ダークキャッスル・エンタテインメント制作第三弾。
幽霊船が舞台のホラー映画。

【グロ・閲覧注意】




【ストーリー】
1962年。
豪華客船「アントニア・グラーザ号」には大勢の人々が乗り込み、優雅な船旅を楽しんでいた。
豪華なディナーとパーティが繰り広げられる。
背の低い少女が寂しそうにしている姿に、穏やかな初老の船長が手を差しだした。
にっこりと笑い、大人達に混じって少女・ケイティも船長と一緒にステップを踏みだす。

その頃、何者かがワイヤーの罠の仕掛けを作動させた。

うなりをあげて、素早くワイヤーは甲板の上を一気に滑っていった。
人々がダンスを楽しんでいるなかを、一直線に、水平に。

一転して甲板は地獄絵図となる。何が起きたのかすらわからないまま、息絶えてゆく人々。
そして、ケイティと踊っていた船長も。

背の低いケイティだけがただ1人、残っていた。


40年後、2002年。

船のサルベージ・海上修理もこなすマーフィー達6人が半年ぶりの陸地で酒を酌み交わしていると、フリーマンと名乗る男が話かけてきた。
曰く、ベーリング海峡に浮かんでいる1隻の難破大型船を引っ張って来て欲しいとの依頼。
胡散臭げな話に眉をひそめる彼らだったが、儲け話に乗せられてその気になる。

ベーリング海で難破船を探すマーフィー達だが、突然現れた船と衝突事故を起こす。
その船こそが「アントニア・グラーザ号」だった。

調査のためにグラーザ号に乗り込む彼ら。
長年放置されていたために、内部はぼろぼろになっていた。
チームただ一人の女性・エップスは腐って穴が開いた床から、下の階からこちらを見上げる少女を見つけ驚く。


操舵室にはデジタル時計があった。
この船には先客がいたことになるが、人の気配は全くしない。

救命ボートもなく、コンパスも舵も壊れ、マーフィー達の船で引くには大きすぎる巨大な船。
舵だけでも修理すれば曳航は可能だ。

チームは各時の場所を分担し、それぞれの修理や仕事を始めるが不可解な事が起こり始める。

プールいっぱいに現れる血、流れ出る死体の山、不思議な人影、煙のついたままの煙草、そして、時価数億と考えられる金塊。


この船はおかしい。死体は新しすぎ、時代も合わない。
金塊に目がくらんだ彼らは金塊だけを運びだし、船を見捨てることを決定。
グラーザ号のエンジンをかけ、クレーンで金塊を降ろす。

その寸前に、エップスは再び少女に出会う。「エンジンをかけてはだめ!」
だがもう遅い。
ガスに引火し、爆発が起き、マーフィーらの船は吹き飛んでゆく。
チームの1人も死んだ。
激昂したマーフィーはフリーマンに詰め寄るが、相手にもされなかった。

このまま燃料の切れたグラーザ号を修理し、救難信号を出して漂流するしか方法はない。
チームはまとまりを欠き、40年前の船の中で各々が夜を明かすことになった。

バラバラに行動していた彼らは、次々と異変に襲われてゆく。
赤いドレスを来た艶めかしい歌手に導かれ、また1人が殺された。

その頃、船長室で酒に酔いつぶれたマーフィーの前に死んだ元船長が現れた。
グラーザ号は行方不明になる2日前に、1隻の船を救助していた。
その船「ローレライ号」にも人の気配はなく、金塊だけがあったという。金塊はローレライ号のものだったのだ。
いぶかしげなマーフィーに、元船長は一枚の写真を差しだした。

一方、乗客名簿から少女・ケイティの名前を割り出したエップスは彼女を探しだした。
ケイティは誰かがこの船に魂を集めていることを告げ、消える。

廊下に出たエップスに、マーフィーが襲い掛かかった。彼には彼女が死んだスタッフに見えていたのだ。
間一髪、フリーマンが現れマーフィーをタンクに閉じ込めて彼女を救う。


6人のチームのうち、1人は死亡、1人は行方不明(死体未発見)、1人は錯乱状態。
残されたフリーマンと3人のスタッフで、何とか船は修理したが沈みかけていたため排水に時間がかかる。

その間、ケイティに連れられ、エップスは過去の映像を観ていた。

毒を入れられた料理で死んでゆく人々。
プールで銃に撃たれ、次々と倒れてゆく人々。
そして、滑らかに甲板を滑ってゆくワイヤー。

逃げ惑うケイティも、部屋に逃げ込んだところを吊るされて死亡した。

さらに、赤いドレスを着た女に唆され、金塊を巡って犯人達も殺し合いになる。
最後に残った女と、もうひとり。

フリーマンが彼女を殺し、最後の1人となった。


我にかえったエップスは、マーフィーのもとへと走るが、タンクには水が張られ彼は溺死していた。

一刻も早くこの船から脱出を、とあせるエップスだったが、残りのスタッフのうち1人の死を確認する。
最後の1人・ドッジはフリーマンと対峙し、彼を撃ち殺す。

船ごと金塊を沈めようとするエップスとドッジの意見が食い違う。
ドッジの姿は、死んだはずのフリーマンと入れ替わった。

フリーマンは、船に人間の魂を集めるのが仕事だ、という。朽ちたこの船を修理してもらいたかった、とも。
エップスは船を爆破した。

沈む「グラーザ号」から、無数の魂が空へと向かってゆく。
ケイティもまた、これで両親に会うことができる。
トランクに捕まり、かろうじて浮いていたエップスのもとへ大型船が近づき、彼女は救出された。

ラスト。
港で救急車に乗せられ、再び出航してゆく大型船に乗り込む人々をエップスが見送る。
その中には、大きな荷物を船内に運びこませているフリーマンと死んだ仲間達の姿があった。



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