サイケデリック・奇譚

永遠の日常は非日常。

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『ジョーズ』(Jaws)1975年公開のアメリカ映画。
スティーヴン・スピルバーグ監督。
原作は1974年に出版されたピーター・ベンチリーによる同題の小説である、
(日本では早川書房から1975年に刊行)

有名といえばあまりにも有名な作品だが、知名度ばかり先行してしまった感が否めない。
以下、完全にネタバレなので観たことのない方は、お読みになるのをご遠慮いただくか、腹をくくって割り切っていただきたい。





平和なビーチを襲う巨大人食い鮫(ホオジロザメ)の恐怖と、それに立ち向う人々を描いた作品である。
スリラー・ホラー・パニック映画など様々な要素が盛り込まれ、スティーヴン・スピルバーグの名前を全世界に轟かせた。

スピルバーグの作品では珍しく子供が死ぬシーンがある。


【ストーリー】
アメリカ東海岸に位置する海辺の田舎町アミティ。
資源といえば夏の間の観光しかない町の浜辺に、若い女の遺体が打ち上げられる。

新任の警察署長ブロディは死因を「サメによる襲撃」と断定、ビーチを遊泳禁止にしようとするが、夏の観光で成り立つ町の有力者(市長)はこれを拒否。
対応の遅れから、何も知らずに遊んでいた少年が第2の犠牲者となった。

少年の両親は悲しみ、鮫に賞金をかける広告を新聞に出した。
このために事態は公のものとなり、賞金目当ての人々が押し寄せ、小さな町アミティは大騒ぎとなる。

その対応に追われながらもブロディは海洋学者フーパーを呼び寄せ協力を求めた。
フーパーは最初の遺体を検視し、非常に大型のサメによる仕業と判断した。

そのころ、町ではイタチザメの捕獲に成功。
町中が事件は解決したと喜ぶ中、フーパーはイタチザメの口のサイズと遺体に残る噛み跡が一致しないことを指摘し、別のサメだと断言する。

ブロディとフーパーは、イタチザメの胃の中を調査するよう提案するが市長は反対する。

その夜、2人はこっそりとサメの腹を裂いたが、人肉らしきものはやはりない。

ブロディはフーパーの調査船でに乗り込み、サメの探索に出る。漁師の船が漂流しているのを発見し、海に潜ったフーパーは、船底に刺さっていた大きなホオジロザメの歯を発見。
だが、漂ってきた漁師の遺体に驚き紛失してしまった。

翌朝、2人は市長に改めて封鎖を要請するが、市長は「歯」という証拠がないと反論する。この日は海開きという大切な日でもあったのだ。
仕方なく、ブロディは武装した見張りの設置で妥協する。
しかし、その結果は、観光客らがサメに襲われるという最悪の状況を招いた。

ブロディは、地元の漁師クイントを雇いサメの退治を提案。
ブロディ・フーパー・クイントの3人はクイントの船オルカ号でサメ退治のため大海原へ。
しかし、現れたホオジロザメのサイズは、彼らの予想をはるかに上回っていた。





全長8mもの巨大な体を持つホオジロザメは、推定体重3t。
しかも、人肉の味を知っている。

漁師クイントは銛でサメを仕留めようとするが、まるで歯が立たない。

攻撃に怒り狂ったサメは船に体当たりを繰り返し、オルカ号は徐々に崩壊してゆく。このままでは海に3人とも投げ出されるのは時間の問題だった。

そのため、フーパーは自身が金属の檻に入って海中に潜り、水中銃でサメに毒を撃ち込むという計画を立てる。

ボンベを背負ったフーパーは檻の中に入り、海中に潜ってゆく。
しかし、檻は怪物サメにいとも簡単に破壊されてしまった。ボンベを背負い、体の動きが制限されているフーパー博士は、檻の中に閉じ込められたまま海底にのみこまれていった。

一方、船上で必死に抵抗していたクイントも、巨大サメにより海にひきずり込まれ、喰われてしまった。

たった1人、残ったブロディはまさに死にもの狂いで抵抗する。
もはや、武器らしい武器もない。

酸素ボンベを投げつけ、サメの口に引っかかったところをライフル銃で撃った。

が、なかなか当たらない。

半分沈みかけた壊れた船の上で、やっと、1発が酸素ボンベの1部に当たり、ボンベは破裂した。


爆発音とともにサメの頭部は吹き飛ぶ。


ほっとしながらも、ボロボロになったオルカ号はどんどん沈んでゆく。

ブロディは、完全に沈没したオルカ号の板部分に捕まり、なんとか海上に浮かび上がる。

誰もいない、サメもいなくなったはずの海。

突然、黒い影が波間から浮かび上がった。

海洋学者フーパー。

装備を捨て去り、壊れた檻の檻の中から脱出してきたのだ。


互いの生還を喜び、安全になった海を、2人は陸に向けて泳ぎ始める。



以前、記事で映画『貞子vs伽椰子』を紹介した。

前回のの記事をお読みになった方にはわかると思うが、
両作品とも日本全土を恐怖のトラウマに突き落とした作品である。

特に貞子は映画『リング』の呪われた主人公であり、『リング』はドラマ化されいくつものパターン編(外伝?)を作り出した文化コンテンツとなった。


誰もいない深夜、勝手にテレビの電源がつき、砂嵐の中からうっすらと井戸の風景が浮かび上がる。
静かに井戸の中から現れる女、よたよたとおぼつかない足取りでこちらに近づいてくる。
え?
と思っているうちに、助けを求めるようにこちらに手を伸ばし、指先から実体化する。
生前は常に孤独であり、生きたまま古井戸に投げこまれ閉じ込められた彼女の憎悪は激しく、偶然ターゲットとされた人間をどこまでも追ってゆく。


伽椰子・俊雄親子は暴力的な夫に支配・虐待されており、伽椰子は激昂した夫にカッターで切りつけられ、無数の傷を負っておそらく失血死。
(人気作となり続編や外伝および文庫化にしたがって、DV(ドメスティックバイオレンス)は流石に洒落にならず設定を変更したと考えられる。余談だが、監督の清水崇が最初に制作した当時は放映許可されなかった)

貞子とは違い、伽椰子は関わりある者すべてに縋り付き闇の中に引きずり込む。
(伽椰子の闇には精神崩壊も含まれる)
俊雄は黒猫とともに巻き込まれ、どうしていいのか解らずにただ座り込んで見ている。
母親が殺された時も、ずっとクレヨンで絵を描くふりをしていたように。

あらゆる暗闇から現れる彼女は貞子とは違い、いかなる条件をも必要としない。
黒い陰があれば良い。

椅子の下、布団の中、そしてヒロインの服の陰からも・・・・・。



両者抜群の知名度であったおかげか、映画『貞子vs伽椰子』の宣伝はかなり大規模なものとなった。

『広告編』の記事をお読みいただければわかるように、ツイッターやインスタグラムを最大限に利用したものとなり、どちらがより怖いか「総選挙」で争った。

貞子(「リング」)は録画及び再生(違法複製)、伽椰子(「呪怨」)は問題化しつつあったDV・虐待など当時の社会現象とシンクロした部分があり、今回もその効果を狙ったものと思われる。

露出も多く、様々なイベントにも参加した。


【以下、ノリノリ注意】

貞子 ツイッター編




フォローが脹らんだせいか、少々長いが我慢していただきたい。

貞子は喋れないためか、せっせと店頭の手伝いをしたり、始球式に出たり、まめにツイートしている。
伽椰子親子とは異なり独身なので、フットワークがかなり軽いらしい。

接客にも気を使う一生懸命な姿がカワイイと話題を呼んだ。


こちらは伽椰子親子。




貞子とは正反対に、俊雄君とほのぼのと楽しそうなショットの集まりである。

あまりにも悲惨な最期と、平凡なよくある親子写真とのギャップがまた話題となった。



ところで、この対決は1000票という僅差で貞子の勝利となった。

負けた伽椰子だが、渋谷でゴミ拾いをするという罰ゲームがあり、公開時にはその映像も合わせて放映された。

その映像はやはり見つからなかったが、替わりに北海道・札幌ドームの始球式に3者が登場した映像を記載する。





ピッチャーの貞子は一球のみで体力の限界に。

バッターの伽椰子は見事に打ったが、走れない。

なので、控えの俊雄が一塁に走る。


これだけのギャップで笑わせながら、それはそれとして、ホラー映画としてキャラクターが認識され成り立っている現象が面白い。

ところで、映画の中で夏美は恐怖のあまり呪いの動画をネットにあげてしまいました。
そして、夜のドライブ中の座席の下に真っ白な男の子が座っていたら、あなたならどうしますか?



寝苦しい夜には、こんな映画もいかがだろうか?

『リング』『呪怨』シリーズとも、本編は怖ろしすぎて観たくないという方にもお薦めしたい。

とはいえ、やはり、怖さに遜色はなし。トラウマになるレベルであることは覚悟していただきたい。

(しかしながら、どうしても「エイリアンVSプレデター」もしくは「フレディVSジェイソン」のような胡散臭さがつきまとう。人によっては笑える場合もあるだろうが、よく考えると笑えない展開になっている。)






以上、2パターンの予告編を用意した。

公開は2016年。



2作品とも大ブームを巻き起こした作品ではあるが、実は、この発案はエイプリルフールのネタであり、お遊びから始まった物語である。そのためか、かなりユニークな宣伝表現が評判になった。
が、そちらは次回の記事で説明させていただくことにする。

また、念のため軽く2つの「呪い」の内容に触れておく。

貞子(『リング』シリーズ)
・呪いのビデオテープに封じ込められた悪霊。井戸に投げ込まれ死んだ女性の怨霊であり、そのビデオを一度でも見たら必ず死んでしまう。その呪いを解くためには、他の第三者に映像を見せなくてはならない(チェーンメールのようなもの)。テレビの砂嵐の画面から這い出てくる姿が衝撃的。生存中は超能力者だった。


伽椰子(『呪怨』シリーズ)
・余りの怖さに後の小説版等ではストーカー的なオタク女とされたが、実際には夫の暴力に殺されてしまう女性。息子はネグレクトを受けており、不登校で黒猫だけが友達。
妻を殺して捨てるためにバラバラにした父親が、次に殺しに行ったのが息子の俊雄であり、彼は黒猫と押し入れの天井を開けて逃げ込み、そのまま行方不明に。(父親は天井を塞いでしまう)
(だから、全身をバラバラにされた伽椰子は這って歩き唸り声?しかでないのですね)


【ストーリー】
・大学生の有里夏美は、ビデオをDVDに焼き直すためにリサイクルショップを訪れ、古いビデオデッキを購入する。デッキの中には古いビデオテープが入ったままだった。「呪いのビデオ」の都市伝説を知る夏美は怯えるが、有里は面白がって再生する。
ところが有里の携帯が鳴り、弄っているうちに映像が終わってしまう。怯えている夏美の携帯が鳴る。
夏美だけが映像を見てしまったのだが、その都市伝説は、「呪いのビデオを観ると電話が届き、2日後に死ぬ
というものだった。

・一方、家族の転勤で引っ越してきたばかりの鈴花の家の前には、古い廃屋が放置されており「立入禁止」と書かれていた。以前に一家全滅事件があったという噂のその家は、その後も入居する人々が次々と亡くなっていた。関わりを持つなと忠告された鈴花だが、その家の前に佇む男の子の姿を見かける。

・夏美と有里は、リサイクルショップへと話を聞きに行く。前の持ち主が亡くなっていること、その家に定期的に訪問していた役所の人間も亡くなっており、ビデオチェックしたアルバイトの子も死んだことを知り恐ろしくなる。
都市伝説を教えてくれた大学講師・森繁に相談にゆくが、変わり者の森繁は逆に興奮し、確認のためにビデオを再生、DVDに録画する。
恐怖におののく夏美のために、森繁はある寺を紹介し除霊してもらうことに。
本物の貞子が見たくて、森繁は除霊を断る

・除霊は激しいものになり、夏美の様子もおかしくなってゆく。
夏美の両脇に控えていた住職の助手が、突然立ち上がると自殺。
住職も自分で自分の首を絞めはじめ、あわてて止めに入った森繁も殺される
正気に戻った夏美は、混乱のあまりに有里を責めたてた。

・責任を感じ、ビデオを観た有里に電話が届く。キーンという音だけの通話。
住職が亡くなる前に呼んだ霊能力者・経蔵と盲目の少女・珠緒が現れ、その行動は無意味だと告げる。
何かあればすぐに連絡するよう2人に告げるとそのまま立ち去り、夏美と有里は自宅に帰った。

経蔵珠緒は例の廃屋へと向かう。同じくらいに因縁のあるこの家が、呪いを解く鍵になる。裏庭にある古井戸を使うことも考えていた。家の前には1人の女子高校生が立っており、不安を感じた珠緒は鈴花に忠告し、夏美のもとへと戻った。

・家では夏美が死んでいた。呪いを恐れるあまり自殺しようとしたところを、貞子に殺されたのだった。
貞子は自殺も許さない
また、恐怖のためか夏美は森繁の録画したDVDをネット上に配信してしまっていた。

・小学生の男の子が行方不明になり、鈴花は不安を感じていた。ある夜、窓から隣りの家の中に子供の姿を見かけ、気になり様子を見に行く。
廃屋の中、男の子はすぐに見つかった。が、それは以前鈴花が見かけた子共ではない。
鈴花の悲鳴を聞いた彼女の両親は家の中に入るが、伽椰子と俊雄親子に殺されてしまう
間一髪、鈴花は経蔵に引きずり出された。

・鈴花はすでに、伽椰子に取り憑かれていた。
翌朝、有里・経蔵・珠緒から話を聞いた鈴花は呪いを解くために協力することになる。
呪いを成就させるためには自殺も許さない」というのなら、その2つの呪いを衝突させれば消滅するのではないか?互いの呪いの邪魔をさせれば、呪う者同士が互いに相手を消すのではないか?
どちらにしろもう時間はない。4人は有里の死の時間に合わせて計画を立てた。

・夜になり、鈴花と有里は呪いの家へと足を踏み入れる。居間でビデオを再生する鈴花。

・時間になり、貞子は砂嵐の画面から這い出して来た。同時に伽椰子も階段を逆さになって降りてくる。
ここまでは計画通り。互いの呪いがぶつかり、貞子vs伽椰子の戦いが始まった。

・2人の悪霊は消えず、計画は失敗。
裏庭の古井戸に貞子&伽椰子をおびき出すことには成功したが、経蔵は絶望のあまりパニックになっており役に立たない。全ての責任を感じていた有里は井戸の上に登り、自分を囮にすることで貞子&伽椰子を衝突させようとする。
有里にとびかかる貞子&伽椰子。井戸に落ちつつ、なんとか有里は助かったが、2つの呪いが衝突したショックで経蔵は死亡
衝突した2つの呪いは合体し、井戸の底へとのみこまれてゆく。すかさず鈴花が経蔵の作った特殊な蓋で封印するが、盲目の珠緒の目には2つの呪いが混ざり合うのが視える。

・ラスト。
融合した新しい呪いは封印を吹き飛ばし、再びパワーアップした化け物が這い出してくる。


以下、タイトルロール。

物語の終末の説明は一切なし。

しかしながら、十分に想像できる終わり方である。


更に、タイトルロールが終わってもまだ安心してはいけない。

新しい呪いの映像が流れます。


ざらざらした砂嵐の中、古井戸から貞子らしき女性が這い登ってくる。

両手はだらんと下げられておらず、カクカクと動いている。

そして、その口からは特徴のある伽椰子の声が漏れてくるのだった。


『インビジブル』(Hollow Man)2000年公開のSFアメリカ映画。
監督:ポール・バーホーベン 


キャッチコピーは姿は見えないが、殺意は見える」


原案はH・G・ウェルズの小説『透明人間』(The Invisible Man)。
透明人間になり次々に犯行を重ねる男と、彼が起こす事件に立ち向かう人々を描く。


CGによる表現は映像作品には多く存在するが、人体の皮膚が透け、筋肉から骨格、そして透明と変化してゆく様子は、いかにもこの監督らしく生々しい。





【ストーリー】
・アメリカ国防省の極秘プロジェクト「生物の透明化と復元」の研究は、動物実験では既に透明化に成功していたが復元薬には苦戦していた。
透明化した生物は凶暴性が増し、復元も100%完全には難しい。
しかし、チーム率いる天才科学者・セバスチャンはとうとう復元薬を完成させるものの、実験体のゴリラは復元中に不整脈で心停止、電気ショックで蘇生させると完全に復元させることに成功した。

・研究の完成を急かせる国防総省に責められつつも、セバスチャンは成功を告げず時間をくれと要求。
実験体のゴリラの健康面に問題があったと考えていた彼は、自分自身の身体を使って人体実験を行うつもりだった。
元恋人のリンダ、同僚の研究医でリンダの現在の恋人のマットは反対するがセバスチャンは譲らない。

「インビジブル ...」の画像検索結果

・透明になり3日後(72時間後)に復元する計画のもとに彼は実験台の上にのぼる。
セバスチャンは自ら透明薬を注射するが、変化は起こらない。
実験は失敗か、と落胆するうちに彼の身体に異変が起きもがき苦しみだす。生命維持に危険な状態となり、電気ショックの用意を始めたその時に、ゆっくり、じわじわとセバスチャンの身体は透明になってゆく。
完全に透明になった彼は、ショックで気絶してしまった。

・まぶたが透明になった事により、眩しさを感じる等セバスチャンの様子を観察する研究員たち。
3日後、復元薬を投与する。
彼もまた、ゴリラと同じように苦しみだすが身体は復元してゆく。
セバスチャンの心臓が止まった。
必死の心肺蘇生により、彼は蘇生したが、再び身体は透明になった。実験は失敗だったのだ。

「インビジブル ...」の画像検索結果

・さらに研究を続けるが、成果は出ない。
ゴムでマスクと手袋を作ったセバスチャンも他の人間同様に過ごしてはいたが、ストレスのためか少しずつ反モラル的になってゆく。
とうとう勝手に研究所を抜け出した彼は、子供を驚かせ、イタズラのつもりで女性に襲い掛かり、何くわぬ顔をし研究所に戻る。天才科学者の人間性のあまりの変わりように、今度はセバスチャンはサーモグラフィーの監視カ
メラのある部屋に閉じ込められた。研究医達の不信感と恐怖がつのってゆく。

invisible.jpg

・勝手に外出を続ける「透明人間」だったが、リンダの自宅に忍び込み、元恋人と同僚の関係を知る。怒り狂った
「透明人間」は研究所の自分以外のIDを書き換え、事情を知る全ての人間を地かに閉じ込めた。
(研究所は地下)

・ついに研究医達が次々と殺されてゆく。姿の見えない相手に奮闘しつつも、事件動物用の追跡サーモグラフィーで「透明人間」を追う。が、最後に残されたリンダと負傷したマットは生きたまま冷凍機器に閉じ込められてしまう。

・悠々と施設爆破装置を仕掛け、脱出しようとする「透明人間」だが、即席の電磁磁石でドアをこじ開けたリンダに足止めされる。やはり即席の火炎放射器(スプレーとライター)で反撃するリンダも殺されかけたところでマットが「透明人間」を殴り倒した。

「インビジブル ...」の画像検索結果

・爆発は止められず、仕方なく2人はエレベーター内の細い梯子を頼りに地上を目指す。
爆風とともにせり上がるエレベーター室や、炎を避けながら必死で梯子を上ってゆくが今度は全身火傷を負ったセバスチャンに追いつかれてしまう。もはや「透明人間」ではなくなった彼は、自分の特殊能力を奪われたと感じ、2人に強い憎しみを抱いていた。

・2人は格闘のすえ、もと天才科学者の成れの果てを突き落とすことに成功。
やっとのことで地上に脱出するのだった。




『ムカデ人間3』( The Human Centipede 3 )2015年公開。
シリーズ前作に続きトム・シックス監督。『ムカデ人間』シリーズの完結編。

1・2作目ともに舞台はヨーロッパであったが、今回の舞台はアメリカの巨大刑務所。
やはり、全く世界観が違う。
同じ監督が手掛けたとは到底思えない出来栄えである。


以下、自己責任において閲覧注意。


【ムカデ人間 3】
・悪趣味もここまで来るともうお祭り状態。
監督本人及び、シリーズ1作目のハイター博士役のディーター・ラーザー、カツロー役の北村、2作目の主人公マーティン役のローレンス・ハーヴェイも出演。
良い意味でも悪い意味でもアメリカナイズされ、逆に笑いを誘うのがまた非常に後味が悪い

人間の狂気・尊厳破壊はそのままに、社会病理、胸糞の悪さもスケールアップ
スプラッター的なグロさはややマシになったものの、そのかわりにエグさは倍増した。




【ストーリー】
・荒野の真っただ中に建つ巨大監獄、ジョージ・ブッシュ刑務所。
収監されているのは、男性凶悪犯たちのみ。まともな人間は誰ひとりとして存在しない。
所長・ビル(ディーター・ラーザー)は誇大妄想狂のサディストだが、実は小心者であり、囚人達を虐待することで優越感と万能感に浸っている。
そのためか職員の離職率・囚人の再犯率・暴動や暴力事件があまりにも多く、何より所長の拷問的な虐待による医療費がかさみ州知事からも睨まれ、会計士のドワイト(ローレンス・ハーヴェイ)は頭を抱えていた。
(やはりというか、この会計士が「ムカデ人間」シリーズの熱烈なファン)

・選挙を控えた州知事は、所長に解雇をチラつかせることで刑務所の維持費を減らそうとする。
怒った所長は州知事が帰った後に囚人を呼び出し、自分の手で去勢することで鬱憤をはらす。
祖父が農家であった思い出から、去勢すれば皆おとなしくなるのではないかと彼は囚人を押さえつけさせ、ナイフで睾丸を2つとも抉りだした。ショックで囚人は気絶。
塩と胡椒で味付けした睾丸を満足気にランチにて食す。

・意識が戻った囚人は去勢されておとなしくなるどころか怒り狂い、計画の失敗を悟った所長はその囚人を絞め殺した。が、電気ショックで蘇生。再び絞殺。再び蘇生。繰り返される狂気を手伝わされる医師は、実は無免許のため所長に逆らうことができない。

・去勢計画により維持費の軽減を考えていた所長は、その失敗により再び悩みだす。
どうすれば、囚人たちを思い通りにコントロールできるのか。どうすれば、金のかからない収監ができるのか。
会計士が助言する。曰く、映画のようにムカデ人間にしてしまえば、暴れることもなく、食費もかからず、収監も楽になり諸経費の節約になる、と。
たとえ失敗したとしても困るのは囚人たちだけだ、とも。
所長は初めこそ興味を示したものの、流石に映画と現実は違うと却下。
ところが熱烈なムカデファンである会計士は、既に映画監督に連絡をとり「医学的にも可能」とのお墨付きを貰っていた。数日後に、訪問の約束まで勝手に取りつけていた。
自分をさしおいて計画を立てたことに所長は激怒し、会計士は解雇される。

・トム・シックス監督(本人)の刑務所訪問の日。ファンの会計士もいそいそと現れた。
胡散臭げに見る所長にアムルテルダムの外科医の報告書を差しだし、無免許の刑務所の医師も絶賛する。(彼もまたこのシリーズのファン)
また、後列の人間には栄養補給のために定期的に注射が必要・・などど話が具体的になるにつれ、所長の気も変わりだす。

・ついに囚人ら500人のムカデ計画が実行されることに決定した。
出所する囚人もいるため、抜歯はせずに医療用の開口器で口を固定・膝の靭帯も切らずに関節を麻痺させる。
肛門と頬部分を切開せずに、直にそのまま縫合する。
そして、囚人たちに「ムカデ人間」シリーズを映画鑑賞させた。
その上で手術の決行を宣言。
当然その夜は大暴動が起こり、特殊部隊が突入し囚人達を鎮圧した。(この時に射殺される囚人役が北村)

・刑務所の庭には、巨大なテントが張られ臨時の手術室が設置された。
麻酔銃で眠らされた囚人たちは次々に手術室に運ばれ、連結させられてゆく。外科医のチームは5つ。まずは3体ずつ繋ぎ、最後にすべての人間を繋げる手筈だ。
上機嫌の所長は、人口肛門や動けない囚人は不要だと判断しその場で射殺。(銃殺刑のつもり)
自分からムカデに繋いでくれという囚人も射殺。


・州知事訪問の日。
庭いっぱいに群れるムカデ人間達を誇らしげに説明する所長と、ショックを隠せない州知事がいる。
年間の囚人更生費用の節約と、食費は一人分のみで済むこと、脱走の危険もなく、警備費も浮く。浮いた予算は学校や病院等に回すことも可能となり良いことづくめであること。
また、出所後は切除された口唇部の傷痕からもと受刑者だったことがすぐに判明されるため、全国の刑務所でムカデ人間の手術をすれば犯罪の抑止力になりうること。
終身刑と死刑囚は手足を切断、胴体だけの人間ををつなげた姿も紹介する。

実は所長には美人の秘書兼愛人がおり、弱味を握られている彼女はセクハラというよりは性奴として扱われていた。大暴動に巻き込まれ意識不明になっていた彼女もまた、ムカデとしてつなげられていたが、所長は全く気にしていない。


・「これは人権侵害だ!」
怒った知事はその場を立ち去り、残された所長は全責任を会計士に押しつけ責めたてた。
だが、もうどうしようもない。
所長は解雇の恐怖に一瞬自殺を考えるが、かわりに会計士に銃を向ける。そこへ、間の悪いことに無免許の医師がやってくる。
上機嫌の医師にイラッときた所長は彼を撃ち、頭部に止めをさしてやっと気が済む。


・一度は立ち去った知事だが、リムジンの中で考え直す。
予算のこと、自分の立場、どうすれば良いか。
そして再び刑務所に戻り、一転してこのアイディアを絶賛する。
知事に褒められた所長は有頂天になり、会計士を褒めちぎった。ハグをして抱きしめた会計士のこめかみに銃を突き付け、射殺した。
そして、彼の手に銃を握らせ自殺偽装する。


・ラスト。
医師を殺し、会計士を殺し、もぞもぞと動くムカデ人間達の前で。
勝利の雄叫びをあげる狂人がひとり。
この壁に囲まれた王国の中で、彼だけが絶対的な君主として君臨することに成功したのだ。



所長の囚人いじめは陰惨で残酷だ。
囚人たちに怪我をさせ、治療し、また負傷させる。
この無限ループが、あっけらかんと解放された青空の下で延々と続く。

また、虐待される被害者の囚人たちは凶悪犯罪者であり、殺人などの加害者でもあり、他人の尊厳を踏みにじった人間でもある。
再犯を繰り返す犯罪者が泣き叫ぶ姿には、一種の爽快感すら漂う。

映画の中で、実際の手術に立ち会うトム・シックスが耐えきれずに嘔吐する場面がある。

その意味をどう捉えるかは人それぞれだが、各地で論争を呼んだ作品であるにも関わらず根強い人気とファンを獲得した映画であることは間違いない。


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『ムカデ人間2』(The Human Centipede II )公開は2011年。
前作に続きトム・シックス監督だが、世界観は全く違う。
続編というより、偏執的な人間の内面の狂気を描いた作品である。

以下、自己責任にて、閲覧注意。


【ムカデ人間 2】



【ストーリー】
・知的障害を持つマーティンは、ロンドンの地下駐車場で夜間警備員として働いている。
幼い頃から父親に性的虐待を受け続け、父親が逮捕されてからは母親に逆恨みされ罵倒され続けてきた。
(息子のせいで夫が逮捕されたと母親は思いこんでいる)
出来の悪い息子を殺し、自分も死にたいという母親と、ペットのムカデ1匹だけがマーティンの家族。
DVD「ムカデ人間」が大のお気に入りで、繰り返し繰り返し再生しては夢想にふける日々。
たったひとつの愉しみに、マーティンは抑制が効かなくなってゆく。

・夜、地下駐車場を訪れた人々を襲っては拉致、倉庫に監禁し始めるマーティン。
更に、DVDの出演者・リンジー役のアシュリン・イェニー(本人役)をも誘いだし監禁に成功。カツロー役の北村昭博とジェニー役のアシュリー・C・ウィリアムズは誘い出すことができなかった。

・着々と計画が進んでいるかのようだったが、マーティンの「ムカデ人間作成」ファイルが母親に見つかってしまう。激しい罵りの言葉と、大切なペットのムカデが処分されそうになったことで、激昂したマーティンは母親を殺害。だが、どうして良いのかわからず、逃げるように「ムカデ人間作成」にのめり込んでゆく。
(母親の依頼を受け、障害のカウンセリングのための医師はいるものの、彼もまた、マーティンに性的虐待を行っている)

・次々に集められる男女12人。
ついにマーティンはムカデ人間製作に取り掛かった。
DVDを参考に、ペンチやハンマー、ホチキスなどで手術を行ってゆく。
医学知識もないマーティンには、麻酔の知識もない。痛みに泣き叫ぶ人々を、必死につなげ続ける。
リンジー役のアシュリンを先頭にして。
しかし、何かが足りない。
しばらく考えていたマーティンは、カツローの迫力ある、素晴らしい名場面を思い出した。
繋げただけではダメなのだ。
生き物として活動できるように、全体に栄養を行き渡らせなければならない。
臀部に繋げた人間にも栄養が行き渡るように、マーティンは彼らに下剤を注射する。
声も出せず、すすり泣き、悶える彼らの中で、誇らしげに悦ぶマーティンだった。

・さらってきた女性のなかには、臨月の妊婦もいた。
抵抗する彼女の頭部を殴り、気絶したのを死んだと思いこみ放置していたのだが、歓喜に浮かれるマーティン
の隙を見て、彼女は倉庫から逃げ出した。
妊婦は陣痛が始まっており、逃げながらも赤ん坊を産みおとす。
迫りくるマーティンに恐怖の叫びをあげながら、死にもの狂いで近くの車に乗りこみ、産み落としたばかりの赤ん坊を轢きつぶしながらも走り去った。

・一方、素人の乱暴な接合などでは人間は連結しない。
被害者の1人が顔を引きはがすことに成功、「ムカデ人間」は失敗した。
怒りに燃えるマーティンは、感情のままに被害者たちを殺害していった。銃と、ナイフで、血まみれになりながら。
自分にとってはカリスマのように大切に扱ってきた(たとえそれが痛みに満ちた自己満足だったとしても)アシュリンを殺そうとした時、反撃され股間を蹴り上げられる。
悶絶するマーティンの肛門には漏斗が差しこまれ、大切なペットのムカデが放り込まれた。

・アシュリンの首にナイフを刺して殺し、マーティンはヨロヨロと倉庫から外の世界へと歩き出す。

・ラスト。
阿鼻叫喚の地獄絵図から一変し、もとの静かな地下駐車場。
やはりマーティンは、管理室内でDVDに夢中になっている。
夢か、妄想なのか。
地下駐車場には赤ん坊の泣き声が響いており、その車の中には、親はいない。


「ムカデ人間 2」は全編白黒のモノトーン映画である。
その内容に凄惨さに、各国で議論を呼んだ。

後味の悪さでは前作も相当ではあるが、カツローがハイター博士に復讐するだけまだ救いがある。
この作品には、全く救いがない。
もし事実であれば、言わずもがな。
もし妄想であれば、孤独なマーティンの生き地獄は終わらない。


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『ムカデ人間』(The Human Centipede )2010年公開:監督:トム・シックス

1~3シリーズまで続いているが、実際には各編ごとに世界観が全く異なる。
共通するのはただひとつ、人間をつなげて「ムカデ人間をつくる」事だけ。

【ムカデ人間 1】
・シャム双生児の分離手術分野のエキスパート・ヨーゼフ・ハイター博士の静かな森の中の豪邸内が舞台。
実は博士は、これまでの外科手術とは全く正反対の、個々の人間を繋げてみたい、口と肛門を繋げた所謂「ムカデ人間」を作り上げてみたいという願望があった。
引退後、目的を果たそうとするマッド・サイエンス博士として登場する。




【ストーリー】
・旅行中に道に迷った女性2人、リンジーとジェニーはどことも知れぬ森の中で立ち往生してしまう。
車はパンク、携帯電話も圏外、天気も悪天候となり雷鳴が鳴り響くなか、やっとのことで見つけた民家がハイター博士の家であった。
不穏な空気を感じた2人は、警戒しつつも博士に薬で眠らされてしまう。
目が覚めた2人は、監禁中の別の男とともに地下室のベッドに拘束されていた。
博士は彼らに、長年の夢である複数の人間の一体化のための手術を行うと説明。
この時、既に博士は「ムカデ人間」ならぬ「ムカデ犬」を完成させている。
(つなげられた3匹の犬達は、しばらくは生きていたものの敗血症で死亡していた)
「A・B・Cの3人間の膝の靭帯を切除し四つんばいにさせる。Aの肛門と抜歯したBの口唇、同じくBの肛門とCの口唇を縫合、養分はAが口から摂取しBを通過しCの肛門から排泄させる」
あまりの事に、見知らぬ男は自ら自殺。
かわりに博士が誘拐してきたのが日本人のカツローであった。
一方、リンジーは逃亡しようとするが失敗。
博士の怒りを買い、最も苦痛である真ん中の「ムカデ」となり、3人は手術により「一体化」させられた。
カツロー・リンジー・ジェニーの順で繋げられた彼らだが、先頭のカツローは常に反発的、最後尾のジェニーは敗血症を患い、なかなか上手く行かない。

やがて、行方不明の女性2人を捜索中の刑事が博士の家を訪ねてきた。
新しい実験体を欲していた博士の態度に彼らは不信感を抱く。
地下室では、カツローが脱出を試みていた。手術で縫合されているため、リンジー・ジェニーは血を滲ませながらも必死で後をついてゆく。
必死の逆襲により博士に傷を負わせることには成功したカツローだが、逃亡には失敗し、また、もはや普通の人間の姿ではない。人間の尊厳を叫びつつ、カツローはガラスの破片で自ら首を掻き切った。

2人の刑事たちが家を捜索する中、なんとか完成した「ムカデ人間」を隠し通すことに成功した博士だが、カツローの反撃により負傷し、憔悴し始めた。
薬により1人の刑事の意識を失わせることには成功したが、もう1人の刑事がいる。
博士は出血しながらも、倒れた刑事を殺害。再び身を隠す。
同僚の遺体を発見した刑事が、駆け寄ってきたところを銃で撃つ。
が、撃たれた刑事もまた、死ぬ間際に博士に発砲。頭を撃ち抜かれたハイター博士は死亡した。

累々と死体が転がり、誰も訪れぬ場所。
カツローが死に、接合された友人2人は言葉を発する事も出来ない。
必死に手を握り合うが、衰弱していたジェニーはそのまま死亡する。
たったひとり残されたリンジーは、動く事もできず、死体の中でただすすり泣くのみ。


・悪趣味の極みのような作品だが、口コミやネットで話題を呼び多くのファンを獲得した。
ハイター博士の演技もさることながら、カツローを演じた北村昭博の評価も高い。
カツローは英語が話せない設定であるため、彼の台詞は全て日本語であり監督ではなく北村自身が考えたアドリブである。
圧倒的な迫力・説得力のあるカツローを見事に演じきった。


好みにもよるだろうが、シリーズ2,3は更に悪趣味・尊厳の踏みにじり・グロ・気持ち悪さが全く別の方向にエスカレートする。そのため、別の記事にて紹介することにした。

そういった意味では、ある意味、パート1が一番スッキリする物語であるのかもしれない。


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『ゲーム』(原題: The Game)は1997年公開のアメリカ映画。
主演 マイケル・ダグラス、ショーン・ペン。
監督は「セブン」のデヴィッド・フィンチャー。




【ストーリー】

サンフランシスコの投資銀行経営者ニコラス・ヴァン・オートン(マイケル・ダグラス)は、48歳の誕生日に弟のコンラッド(ショーン・ペン)から"CRS(Consumer Recreation Services)"という会社が提供する“ゲーム”の招待状を受け取った。


―人生が一変するような素晴らしい体験ができる―


久しぶりにあった弟・コンラッドは意味ありげに笑った。
実は兄弟の父親は自殺をしており、48歳は父親が亡くなった年齢でもある。
ニコラスは大富豪ではあったが、それは父の遺産でもあり、離婚後はひとりで暮らしていた。

堅物の見本のようなニコラスであったが、CRS社に招待状の説明を求めた。
重役の男は「コニー(コンラッドの愛称)からのプレゼント」だという。
CRS社が取り扱う商品は「ゲームの体験」であり、「内容は申込者の希望に沿うものになっており」、いつでも中止可能であること。それぞれの個人に合わせた特注品であることを伝える。
ひととおり説明を受けた後で、ニコラスは長時間に及ぶ様々な検査テストを受けた。

憂さを晴らそうと行きつけの店に行くと、ひとりの老人がCRS社の「ゲーム」の話をしている。
ニコラスは老人に酒を奢り話を聞くと、老人はCRS社の「ゲーム」は素晴らしく、また何度でもやりたいと絶賛していた。
どういう意味かと尋ねるニコラスに、老人はヨハネ第9章25節を唱える。
曰く、「私は盲目であったが今は見える」と。

やがてニコラスの携帯にCRS社から電話が入るが、彼は番号は教えていない。
女性の声で検査の不合格と、「ゲーム」の取り消しを伝え、電話は切れた。

帰宅したニコラスの自宅の敷地には、血を吐くピエロの人形が転がっていた。
屋根から飛び降りて死んだ父親と同じ体勢で、同じ場所に。
不可解な出来事が続く。

相談しようとコンラッドとレストランで待ち合わせするも、弟は来ない。
ウェイトレスにはワインをこぼされ、別のウェイターからは「彼女を逃すな」というメモを受け取った。
パニックに陥りながらも、彼女をニコラスは追った。

何が何だかわからない。

実はコンラッドは既にパニックになっており、CRS社とニコラスがグルになって全てを奪うつもりだと怯えきっていた。

タクシーに乗ればそのタクシーは海に飛び込む。ニコラスは必死で脱出に成功。

警察に助けを求めるが、CRS社のオフィスはもぬけの殻。

手がかりをつかむためにの、例のウェイトレス・クリスティーンの家を見つけだすと、男達が銃撃してくる。

そしてついに、彼女はCRS社は大掛かりな詐欺組織であり、コンラッドや弁護士もその仲間だと打ち明けた。


確認すると、彼の口座の残額は0。
驚愕するニコラスは彼女に薬を飲まされたことに気づき、眠ってしまうのだった。

気がつくとそこはメキシコ。

何とかサンフランシスコに戻った頃には、すでに家は競売にかけられていた。


テレビに写った男がCRS社の重役だった事から役者であると気づいたニコラスは、彼を人質にCRS本社へ復讐に向かった。

するとそこには、彼が招待状を受け取り、「ゲーム」参加を承諾してから今まで出会った人間が全員揃っていた。

すべては仕組まれていたのだ。
怒りのあまり、銃を構えるニコラス。

銃撃戦となり、重役の役の男が倒れた。
クリスティーンを捕らえ、ニコラスは屋上へ向かう。
逆上したニコラスに、クリスティーンは必死でこれも全て「ゲーム」なのだと訴えた。
扉を開ければ、シャンパンを持ったコンラッドが待ち構えているのだと。

だがニコラスは信じない。
扉を開き、即座に銃を撃つ。

そこには、本当にタキシード姿のコンラッドが立っていた。


本当に、全て「ゲーム」でしかなかったのか。
勘違いで、実の弟を撃ち殺してしまったニコラスのショックは計り知れない。

父親と同じように、ニコラスは屋上からそのまま飛び降りた。

ところが、彼が着地したのは巨大な救命マットの上。
これもまた、全部芝居だった。

血糊をつけたままのコンラッドが、笑いながら「兄貴、誕生日おめでとう!」と。

そしてパーティーが始まった。

・・・・・・パーティーの終了後、ニコラスはクリスティーンに誘われる。

しかし・・・・・・

「これもまたゲームの続きなのか…?」
もはや、ニコラスには正確な判断をする自信すら残っていない。


『海の上のピアニスト』( La leggenda del pianista sull'oceano) は、1998年のイタリア映画。
英題は「 The Legend of 1900」
ジュゼッペ・トルナトーレ監督、ティム・ロス主演作品。
豪華客船の中で生まれ、生涯一度も船を降りることのなかったピアニストの物語。



【ストーリー】

第二次世界大戦終戦直後。
ひとりの男が大切なトランペットを金に換えるために楽器屋を訪れた。
が、彼はトランペットを売った後にやはりもう一度だけ、トランペットを吹かせて欲しいと店主に頼みこむ。
しぶしぶ男・マックスの頼みを聞いた店主だが、彼の演奏を聴いてある曲を思い出す。
店主の話に、マックスは「1900 (ナインティーン・ハンドレッド)」という名のピアニストの思い出話を始める。


1900年。
とある豪華客船で、生まれたばかりの赤ん坊が捨てられていた。
果物のレモンに囲まれていたことから機関師のダニー・ブートマンは、その子に「ダニー・ブードマン・T.D.(Thanks Danny)レモン・1900」と名付け育てるが、やがてダニーは事故により帰らぬ人に。
残された「1900」だが、皮肉にもダニーの葬儀場で音楽と出会い、ピアノを弾き始めることになる。

1927年。
嵐の夜、船酔いで動けなくなっていたマックスは成長した「1900」と初めて出会う。
そもそも船内が生まれ故郷でもある「1900」は、激しく揺れる船の中で嵐を感じ、船と一体になったかのように幸せそうに曲を演奏し、楽しんでいた。
「1900」に誘われ、マックスと彼はデュオを組む。トランペットとピアノ。
その素晴らしい音楽の噂は瞬く間に広がった。
ジャズの産みの親ジェリー・ロール・モートンすら、彼のピアノ演奏には完敗を認めるほど「1900」の音楽は独創的で聞く者を魅了する。
レコードの契約話が持ちあがるも、「1900」はあまり乗り気ではない。そして、録音時に彼は偶然見かけた女性に恋に落ち、そのためこの時に演奏した曲には感動的な愛が溢れていた。
録音終了後、「1900」は契約を破棄、レコードとともに立ち去る。
実はこれが「1900」の初恋であり、彼は行動を起こすことができない。
彼女が下船する時になって、初めて彼は勇気を振りしぼりレコードを渡そうとするが、人込みにまぎれてしまい失敗した。悲しみのあまり、「1900」はレコードを叩き割り、捨ててしまう。
が、気持ちは止められない。
ついに、彼女に会うために「1900」は生まれてはじめて船を降りることを決意。
マックスを含む友人達が見守る中、港と船をつなぐタラップをゆっくりと降りてゆく「1900」だが、どうしても途中から前に進む事ができない。
船の中以外の世界を、彼は全く知らないのだ。
とうとう、「1900」は何も言わず再び船内に戻る。

やがて、月日が経ち、人々は入れ替わり立ち代わり船を降りていった。
マックスも、そのうちの一人。

1946年。
戦争で朽ち果てた船・ヴァージニアン号を解体するためにダイナマイトが仕掛けられる。
話を聞いたマックスは、「1900」が船内に残っていると強く訴え、強引にボロボロの船に乗り込む。
かつての豪華客船に乗り込んだマックスの手には、こっそり拾い上げた一枚のレコードがあった。
だが、どんなに探しても「1900」の姿はない。
例のレコードの曲を流し、諦めかけたその時に、静かに「1900」は姿を現した。
ともに再びデュオを組みたい、音楽を続けたいとマックスは説得を続けるが「1900」は断る。
彼自身から、船を降りられない理由を聞いたマックスは絶句し、何も言葉を返せない。
マックスがゆっくりと船を降りた後、船は爆音をたてて沈んでゆく。

長い思い出話が終わり、去りゆくマックスに楽器屋の店主はトランペットを返す。
嵐のような時代のうねりと共に、貧困のために人生の一部をも売らなければ生き延びることが難しいマックスもまた、運命の嵐に翻弄されていた。

ラスト。
トランペットを抱えて店を出、立ち去るマックスを店主が窓越しに見送りつづける。



ヴァージニアン号という船は実在し、「1900」に勝負を挑むジェリー・ロール・モートンにも実在のモデルがいる。
揺れる船内で、自由自在に床をすべるピアノと一体になって演奏する「1900」の演奏シーンは圧巻の一言であり、一見の価値ありと言えよう。




『パラノーマル・アクティビティ』(原題: Paranormal Activity)は、2007年のアメリカ映画。

当初はわずか12館のみの小規模公開作品であったが、口コミが拡がり最終的には全米初登場時に48位、公開5週目にして週末興行収入で1位となった。
収入規模では実はこの記録は『タイタニック』に次いで2位である。


逸話も多く、スピルバーグが本作のリメイク権を得たものの既にオリジナルの完成度の高さから制作をあきらめたという。
また、イギリスではテレビCMの予告だけで子供がパニックを起こす事件が起きている。

映画公開の流れとしては
・2007年「パラノーマル・アクティビティ」
  ↓
・2010年「パラノーマル・アクティビティ 第2章 TOKYO NIGHT」日本版続編
  ↓
・2011年「パラノーマル・アクティビティイ 2」 アメリカ版続編
  ↓
・同年「パラノーマル・アクティビティ 3」
  ↓
・2012年「パラノーマル・アクティビティ 4」
  ↓
・2014年「パラノーマル・アクティビティ 呪いの印」

だが、内容的にはシリーズ2の後に「TOKYO NIGHT」となるらしい。


【ストーリー内容】
「パラノーマル・アクティビティ」
日本公開予告版


物語は、少女時代から怪奇現象に悩まされていたケイティのために恋人のミカがビデオカメラを設置した事から始まる・・・・・というより、逆。
不思議な現象の解明のためにビデオカメラを設置・録画、相手を怒らせたのか結果として更に悪化させたという印象。

カメラを設置した日から、カウントダウンが始まる。第1夜~第21夜(日付入り)までの出来事を淡々と並べるのみ。一切の説明も、理由もわからない。
ただ、ケイティが8歳の頃から不思議な現象が起きていること・自宅は1度火事で燃えていることなどがポツリポツリと語られ、妹クリスティの存在も明らかにされる。

起きる現象も、ほぼ意味不明。
足音のみが近づいてきたり、ドアが勝手に開く等。熟睡中の2人の毛布がふわりと持ちあがったり、無意識に何時間も立ちつくしていたり。録画を再生することで自分達に起きている現象を知り、2人はパニックになってゆく。

最終夜・ミカは死亡するが、謎の足音は、ミカを追って階段を上ってきた憑依状態のケイティの足音の予知だったことが最後にわかる。

自分の睡眠時、部屋の中で何が起こっているのか。
何も理由がわからないのなら、何も知らない方が幸せだった、と思わせる手法は見事。


「パラノーマル・アクティビティ 2」


主人公は前作ケイティの妹・クリスティの家族たち。夫ダニエルは再婚で、アリという娘がいる。クリスティとの関係は良好。新しい弟ハンターも生まれている。

ある日、ポルターガイストにより家中はメチャメチャになるが子供部屋(ハンター)だけは無事。
半信半疑ながらも、ダニエルは防犯対策として家中の複数の監視カメラを設置。
やはりカメラを設置した日からカウントダウンが始まり、家中に怪奇現象が発生してゆく。
信仰心の厚い乳母が「悪魔の仕業」と騒ぐも、ダニエルの怒りを買い解雇。
ティーンエイジャーのアリは、ボーイフレンドと事件の解明に乗り出す。

やがて現象が手に負えなくなった頃、乳母が戻り自分の宗教のお祓いを実行。実は、これはクリスティの呪いを姉・ケイティに移しかえる為のものであり、ここで日付けが重要な意味を持つようになる。
時系列としては、クリスティ一家の怪奇現象はケイティ達の事件の約一ヶ月前から始まっており、ミカが死にケイティが行方不明になった翌日までの記録という形だ。

ラスト、クリスティとダニエルは死亡。ハンターは行方不明になっていたケイティによって連れ去られる。
(血のつながらない娘アリは旅行に行っていて無事)


パラノーマル・アクティビティ 第2章 TOKYO NIGHT


舞台は東京杉並区。
アメリカ旅行中に自動車事故を起こし、車椅子で帰国した山野春花を中心に不可解な現象が起きる。
父親は仕事が忙しく、家に帰らない(帰れない)こともしばしば。弟の幸一は映像関係に興味を持っている。母親はいない。

やはり、ビデオカメラで夜の様子を録画する演出。実は帰国前に春花が車で轢いたのは赤ちゃん連れの親子ではなく、行方不明だったケイティとハンターであり、ここでケイティは1度死亡している。ハンターは擁護施設に引き取られたらしい。
不可解な現象が何度も起こり、霊感のあるという女の子が泡をふく場面や、お祓いといったエピソードも盛り込まれる。(その後、心臓発作で死亡)

最終的には、ほぼシリーズ1と同じラスト。
家族を全員殺して、憑依状態の春香が行方不明となる。


「パラノーマル・アクティビティ 3」


1.2作の主人公、ケイティとクリスティの少女時代が明らかになる。
クリスティには見えないトビーという友人がおり、ケイティは彼に嫌われている。
母親のジュリーは、前作の姉妹の記憶とは全く違うサバサバした女性。実の母親に男の子を産むように説得されるも、子供はもう十分だと突っぱねるシングルマザー。
資金家の祖母のロイスは何故か男の子の出産に拘り続けている。

そして、やはり怪奇現象のオンパレード。

実は2でもチラリと出てくるのだが、祖母ロイスは成功と引き換えに悪魔と契約を結んでおり、今後一番先に生まれた男の子を引き渡す約束をしていた。たまたまケイティとクリスティ姉妹だったために、クリスティの一子ハンターが狙われたというわけだ。
その間、ずっと悪魔はトビーという名でクリスティに取り憑いていたのだ。


「パラノーマル・アクティビティ 4」


前作から5年後。
今回の主人公は高校生のアレックス。恋人とのチャット映像に怪奇現象が映り込む場面が多い。
隣りに引っ越してきた親子(成長したハンターとケイティ)により日常が壊されてゆく。

新しい隣人に気味の悪さを感じていたアレックスだが、母親(ケイティ)の入院のためロビー(ハンター)を預かることになる。弟のワイエットは何故かロビーと意気投合するも、どんどん生気がなくなってゆく。
ポルターガイストや不気味な現象も起きるが、一番のメインはここで古代の「悪魔の儀式」が判明することと、生贄として全く関係のない一家が巻き込まれることだろう。

ラストは、入院していたはずのケイティが再び現れアレックスとワイエット、父親、母親全員が死亡。

自分の背後で何が起こっているのか、いないのか、自分自身では確認できないという部分が怖い。


パラノーマル「・アクティビティ 呪いの印」


「5」としなかったからか、少々他のシリーズとは色合いが違う。
お調子者の学生ジェシーとヘクターが新品のハンディカムが嬉しくて、どんどん撮影がエスカレートしていくような感じだ。また、2の生き残りのアリやケイティらが再登場する。

ジェシーの部屋はアパートの2階。1階には怪しげな呪い師の女性が住んでいたが怪死する。
興味本位で盗撮していたジェシーは殺人事件を面白がり、部屋に忍び込んだりしているうちにおかしな現象に悩まされるようになってゆく。
また、体の調子もおかしくなり別人のように。

実はジェシーの祖母、階下の占い師、ケイティらの祖母ロイスは全員知り合いであり、ジェシーが18歳になるのを待ち構えていたというもの。彼女らは既に「魔女軍団」とでもいうべき存在になっており、攫われたジェシーを友人達が助け出そうとする。
(さすがに彼の祖母は孫を救おうとするが転落死)

ハンディカムになった為か、前シリーズに比べアクション色が強い。
魔女軍団VSヤンチャ不良集団といったところ。
最終的に結末をハッキリさせないパターンも前作同様。

とはいえ、現代風の不条理ホラー系から「エクソシスト」「オーメン」のような呪術信仰系に結末を持って行ったのは秀逸と言えよう。


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