スティーヴン・スピルバーグ監督。
原作は1974年に出版されたピーター・ベンチリーによる同題の小説である、
(日本では早川書房から1975年に刊行)
有名といえばあまりにも有名な作品だが、知名度ばかり先行してしまった感が否めない。
以下、完全にネタバレなので観たことのない方は、お読みになるのをご遠慮いただくか、腹をくくって割り切っていただきたい。
平和なビーチを襲う巨大人食い鮫(ホオジロザメ)の恐怖と、それに立ち向う人々を描いた作品である。
スリラー・ホラー・パニック映画など様々な要素が盛り込まれ、スティーヴン・スピルバーグの名前を全世界に轟かせた。
スピルバーグの作品では珍しく子供が死ぬシーンがある。
【ストーリー】
アメリカ東海岸に位置する海辺の田舎町アミティ。
資源といえば夏の間の観光しかない町の浜辺に、若い女の遺体が打ち上げられる。
新任の警察署長ブロディは死因を「サメによる襲撃」と断定、ビーチを遊泳禁止にしようとするが、夏の観光で成り立つ町の有力者(市長)はこれを拒否。
対応の遅れから、何も知らずに遊んでいた少年が第2の犠牲者となった。
少年の両親は悲しみ、鮫に賞金をかける広告を新聞に出した。
このために事態は公のものとなり、賞金目当ての人々が押し寄せ、小さな町アミティは大騒ぎとなる。
その対応に追われながらもブロディは海洋学者フーパーを呼び寄せ協力を求めた。
フーパーは最初の遺体を検視し、非常に大型のサメによる仕業と判断した。
そのころ、町ではイタチザメの捕獲に成功。
町中が事件は解決したと喜ぶ中、フーパーはイタチザメの口のサイズと遺体に残る噛み跡が一致しないことを指摘し、別のサメだと断言する。
ブロディとフーパーは、イタチザメの胃の中を調査するよう提案するが市長は反対する。
その夜、2人はこっそりとサメの腹を裂いたが、人肉らしきものはやはりない。
ブロディはフーパーの調査船でに乗り込み、サメの探索に出る。漁師の船が漂流しているのを発見し、海に潜ったフーパーは、船底に刺さっていた大きなホオジロザメの歯を発見。
だが、漂ってきた漁師の遺体に驚き紛失してしまった。
翌朝、2人は市長に改めて封鎖を要請するが、市長は「歯」という証拠がないと反論する。この日は海開きという大切な日でもあったのだ。
仕方なく、ブロディは武装した見張りの設置で妥協する。
しかし、その結果は、観光客らがサメに襲われるという最悪の状況を招いた。
ブロディは、地元の漁師クイントを雇いサメの退治を提案。
ブロディ・フーパー・クイントの3人はクイントの船オルカ号でサメ退治のため大海原へ。
しかし、現れたホオジロザメのサイズは、彼らの予想をはるかに上回っていた。
全長8mもの巨大な体を持つホオジロザメは、推定体重3t。
しかも、人肉の味を知っている。
漁師クイントは銛でサメを仕留めようとするが、まるで歯が立たない。
攻撃に怒り狂ったサメは船に体当たりを繰り返し、オルカ号は徐々に崩壊してゆく。このままでは海に3人とも投げ出されるのは時間の問題だった。
そのため、フーパーは自身が金属の檻に入って海中に潜り、水中銃でサメに毒を撃ち込むという計画を立てる。
ボンベを背負ったフーパーは檻の中に入り、海中に潜ってゆく。
しかし、檻は怪物サメにいとも簡単に破壊されてしまった。ボンベを背負い、体の動きが制限されているフーパー博士は、檻の中に閉じ込められたまま海底にのみこまれていった。
一方、船上で必死に抵抗していたクイントも、巨大サメにより海にひきずり込まれ、喰われてしまった。
たった1人、残ったブロディはまさに死にもの狂いで抵抗する。
もはや、武器らしい武器もない。
酸素ボンベを投げつけ、サメの口に引っかかったところをライフル銃で撃った。
が、なかなか当たらない。
半分沈みかけた壊れた船の上で、やっと、1発が酸素ボンベの1部に当たり、ボンベは破裂した。
爆発音とともにサメの頭部は吹き飛ぶ。
ほっとしながらも、ボロボロになったオルカ号はどんどん沈んでゆく。
ブロディは、完全に沈没したオルカ号の板部分に捕まり、なんとか海上に浮かび上がる。
誰もいない、サメもいなくなったはずの海。
突然、黒い影が波間から浮かび上がった。
海洋学者フーパー。
装備を捨て去り、壊れた檻の檻の中から脱出してきたのだ。
互いの生還を喜び、安全になった海を、2人は陸に向けて泳ぎ始める。