サイケデリック・奇譚

永遠の日常は非日常。

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少年は残酷な弓を射る』は、2011年に公開された映画。
原作は小説「We Need to Talk About Kevin」

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自由奔放に生きてきた作家のエヴァは、キャリアの途中で子供を授かった。
ケヴィンと名付けられたその息子は、なぜか幼い頃から母親のエヴァにだけ反抗を繰り返し、心を開こうとしない。
やがてケヴィンは、美しく、賢い、完璧な息子へと成長する。
しかしその裏で、母への反抗心は少しも治まることはなかった。
そして悪魔のような息子は、遂にエヴァのすべてを破壊する事件を起こす―――

少年は残酷な弓を射る [ ティルダ・スウィントン ]
少年は残酷な弓を射る [ ティルダ・スウィントン ]

家族だからといって、全員が仲良しとは限らない。
長男ケヴィンの悪意は母親にのみ向けられるため、夫も誰も母親・エヴァの苦悩に気づかない。

いわゆるスクールシューティングもの。

他の家族には微笑みかけ母親のみ睨みつけるケヴィンだが、取り繕うのが上手い為に他の誰も気が付かない。何とか彼の心に触れようとするエヴァを嘲笑うかのように、ケヴィンは「母親のように」自由奔放に人間関係を手玉に取りつづける。

物語の時間軸は現在だが、回想により物語は進む。
街の中で嫌がらせされ、家を汚され、誰ひとり友人のいないエヴァは収監されているケヴィンに面会に行っても互いに無言のまま。
親子であっても、心の交流はなく重苦しい時間だけが過ぎていく。

母親に抱かれると泣き叫ぶ乳児のケヴィン。
エヴァを睨みつけながら、父親には(母親以外の人には)天使のような笑顔を向ける。
ロビン・フッドに夢中になって、おもちゃの弓矢で遊ぶ子供時代のケヴィン。悪魔のような微笑みで、窓越しに母親に弓矢を向ける。

やがて、彼は学校の扉に鍵をかけ逃げ惑う友人たちを次々と射殺してゆく。(父親と妹はすでに殺されている)パニックになった街の人々と警察の前に、犯人として堂々と優雅に姿を現しつつ、やはりケヴィンは母親を嘲笑する。

何が悪かったのか・なにがあったのかわからないエヴァは途方にくれながらも、同じ街に住み続けた。被害者の親族も住むその街に。
自らが起こした大事件にも関わらず他人事のように罪悪感をまったく感じていない息子の身代わりのように
、エヴァは無言で人々の嫌がらせを受け入れる。

やがて刑の執行が始まり、ようやく現実感をもったケヴィンが初めて母親に助けを求めるのだがもう遅い。

犯罪者の息子の母親であるエヴァは、今度は息子の苦悩を思って苦しみながら生きてゆくのだった。



「ソハの地下水道」
2011年のポーランド・ドイツ・カナダ合作の伝記映画。
アニエスカ・ホランド監督 。

第二次世界大戦中にユダヤ人たちを地下水道にかくまい、命がけで守り抜いたポーランド人レオポルド・ソハの実話を題材にしたロバート・マーシャルの同名書籍を映画化した。


第84回アカデミー賞外国語映画賞のポーランド代表に選出され、ノミネートされた。






【ストーリー】
・ナチス支配下の時代。
ポーランド人下水修理業者であるソハは、空き家となったユダヤ人の家から金目のものを盗み出していた。

やがてソハはゲットーから逃げ出してきた行き場のないユダヤ人たちに、有料で下水道内での潜伏生活を協力するようになる。

決して善人とはいえないソハではあるが、極限状態の彼らと接するうちに心は徐々に変化し始めた。
が、時代は過酷だ。

ソハの相棒がドイツ軍によって首を吊るされた。ホンの些細なことで、自分の周囲にも危険が迫りくる。

一度はユダヤ人らと距離を置こう決心するソハだが、最早彼らを見捨てることはできない。
ソハは、彼らを命がけでかくまい続ける。
また、家族よりもユダヤ人を大事にするソハに反発しつつ、家族はソハを支え続けた。


だが、人の心は脆い。
ユダヤ人たちの中にも下水道での生活に限界を感じ、逃げ出す者が現れた。
しかし逃げてもは収容所に送られるか、下水道内で行き倒れて死ぬか。2つに1つである。

さらに、1人のユダヤ人女性が妊娠・出産するも、潜伏生活を維持するために、産み落としたばかりの我が子を母親自らが手にかけるという悲劇も起きた。

精神的に追いつめられ、何度も危機に瀕しながらも、ユダヤ人たちは幾度となく難を逃れ、下水道を知り尽くしているソハのおかげで必死に生きのびた。

そして、大雨により下水道は増水した。
下水道に住むユダヤ人達は地上に出ることができない。ソハも、それを知りつつ、どうすることもできない。

が、彼(ソハ)の必死の行動により、彼らの命は奇跡的に助かる。
14ヶ月、潜伏生活を経てようやく自由を手に入れるたユダヤ人達は、ソハとともに生き延びた喜びを分かち合う。



ラスト。

その後。ソハは自分の娘を助けるため、ソビエト軍の暴走トラックに轢かれて死亡する。
その彼の死を、近所の者は「ユダヤ人を助けた天罰」とささやく。



余談ではあるが、ソハと妻ヴァンダら6,000人以上のポーランド人がイスラエルから表彰されており、本作は彼ら全てに捧げられている。


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後味の悪い話 その160

314 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/12/03(木) 23:52:24.84 ID:6/BebpsC0.net
実話を元にした映画『ソハの地下水道』。

第二次世界大戦中のドイツ。
主人公「ソハ」は、下水道の修理人という職業の傍ら、
無人となったユダヤ人の家に空き巣に入ることを副業としている小悪党だった。

そんなある日、ソハは下水道隠れていた大勢のユダヤ人を発見する。
見逃してほしいと懇願するユダヤ人たち。
ソハはユダヤ人の足元を見て高額の口止め料を要求した。
それ以来、下水道のユダヤ人たちを匿って世話をすることがソハの副業となった。

ユダヤ人たちの下水道での生活は過酷なものだった。
ある者は凍え死に、ある者は病死し、ある者は外に出てドイツ軍に射殺された。
初めは小悪党だったソハだが、次第に心境が変化していき、ユダヤ人たちに肩入れするようになっていく。
ユダヤ人たちの金が尽きると、ソハは自腹でユダヤ人たちの世話をするようにまでなった。
(しかもソハは「タダで動く人間だと思われたくない」という理由から、
こっそりユダヤ人の一人に金を渡しておいて、「金を払うフリ」を他のユダヤ人たちの前でさせていた)

ソハとユダヤ人たちは様々な苦難にあう。

時はたち、ついに終戦。
ソハはユダヤ人たちを地上へと解放する。
日の光の中、全員が号泣し抱き合った。

画面が暗転し、モノローグ。
『この数ヶ月後、ソハはソ連の暴走車から自分の子供を庇って事故死した』
『近隣住人たちはソハの死を「ユダヤ人を匿ったことへの天罰」と蔑んだ』
『人は、神を利用してでも他者を罰したがる』


呪怨BOX [Blu-ray]
平愛梨
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2015-11-06


【ホラー映画】

不条理な非日常に巻き込まれる映画といったら、これでしょう。

おそらく歪な家族のもと、父親に殺される母親。目撃する子供。
荒れ果てた家の中はネグレクトを感じさせます。

「誰でもいい、助けて。」

「呪怨 伽椰子」の画像検索結果

おお。

怖い。

流石にヤバいと思ったのでしょう。小説版ではカヤコはどんどんアブナイ人として描かれるように。

細かい演出が上手く怖いというより正直気持ち悪いです。

でも、それがリアルな恐怖を生み出しているのでしょう。

「隣りの人は何する人ぞ」

まさにコレ。

闇はどこでもつながっているのだなあと、しみじみ思う。





うおおおおお(@_@;)

まさかDVDがあるとは思わなかった。

ホラー?コメディ?意味は全くわかりませんが、気持ち悪いのは太鼓判を押します。

カルト・キワモノムービーです。

観たい方はどうぞ。笑う教師のアップがトラウマです。

「テハンノで売春...」の画像検索結果

ラストの女子高生の股間から発射されるミサイルがまさにカオスすぎて笑いを誘う。
が、男性陣にとってはマジで怖い話なのかもしれない。



言わずと知れた「THE TEXAS CHAINSAW」

映画史に輝く名作「悪魔のいけにえ」のリメイク「テキサス・チェーンソー」に続く本作は「テキサス・チェーンソー」で描かれた事件より前に舞台を移し、殺人鬼レザーフェイスが生まれるまでを描く。
ジョルダーナ・ブリュースター、テイラー・ハンドリーほか出演

ただのスプラッター映画だった作品を見事に心理スリラー作品に昇華させた作品
人の心の闇をここまで破壊的に表現した手腕が素晴らしい。

俳優陣の雰囲気も独特の空気を作り出すことに成功。

最初から最後まで、過剰なほどの感情や心情を振り回す人々の中で、皮肉なことにテザーフェイスの内面だけは一切描写が出てこない。

歪んだ家庭の中では、チェーンソーを振り回す事でだけ彼の心を保てていたのかもしれない・・・・なんてね。

「テキサス・チェ...」の画像検索結果

異常を正常と思い込む人々の中では、マトモな事が不条理で異常とされるのだろう。


ファニーゲーム [DVD]
スザンヌ・ローター
アミューズソフトエンタテインメント
2009-06-26

原題は「FANNY GAMES」ドイツ映画。

カンヌ国際映画祭で上映されたとき、《ショッキングな場面あり》という警告付きでコンペ上映された本作品。
一貫して暴力とメディアを描いてきたハネケ監督は、本作品でスクリーンの中の暴力と観客を結び付けようとして成功したと思われる。
彼は「今のハリウッドが暴力が快楽を求める手っ取り早い方法となりつつあり、ユーモアとして処理されている」と真っ向からのアンチテーゼを掲げたのだ。

ある意味【閲覧注意】作品。
救いは全くない。
むき出しの暴力とは何かを思い知らせてくれる。

後味の悪さは、アクションやスリルを娯楽と捉えている我々に直接ゆさぶりをかけてくるからだろう。

ちなみにハリウッドも負けじと「ファニー・ゲーム USA」をリメイクしたが完敗。
全くメッセージ性なし。少々残念。
初めて観る方はUSA版の方がまだショックが軽くすむかもしれない。


変態男 [DVD]
カルロ・フェランテ
キングレコード
2006-11-08

原題は「THE ORDINARY MAN」

各国の映画祭で観た者を騒然とさせた、衝撃のユーロ・スリラー。

優秀なサラリーマンであり、良き父親であり、優しい夫であるジョージ。
ある日、彼は発作的に人を殺してしまう。
自分の行為に怯えながらも、被害者の恋人を監禁し、いつもの日常を過ごそうとするが…。
カルロ・フェランテ、クリスティーン・グルロワ、ステファン・リベルスキー、オリヴィエ・グルメほか出演
(「Oricon」より抜粋)

この作品の何が怖いかと言うと、主人公が全く変態じゃない
むしろ、彼を取り巻く環境や人間関係があまりにも滅茶苦茶すぎて却ってまともな人間に見えてしまうあたり。
・・・・タイトルに釣られた人は怒るんじゃないかなあ。

むしろ、カオスな日常に溶け込めない主人公はマイノリティ・・・・
ある意味では異常なのかもしれない。

「THE ORDINARY MAN」とは周囲に流されない人間の事を指す。フランス映画のユーモアか、皮肉か。


TATARI タタリ (UMD Video)
ジェフリー・ラッシュ
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2005-08-24


原題は「HOUSE ON HAUNTED HILL」。

実は管理人イチオシの映画。

元々は1963年公開の名作心理ホラー映画。

何故か日本タイトルは「タタリ」。でも確かにその通り。
そこはかとなく横溝正史のようなドロドロした因果因縁が感じられる。

心霊現象の研究チームが、呪われた家を調査しに行くと―という、アメリカンホラー映画の名作中の名作。
監督は映画『ウエスト・サイド物語』や『サウンド・オブ・ミュージック』で有名なロバート・ワイズ。

残虐な人体実験が行われていた廃病院の館に集められた人々。
ここで一晩過ごせたら100万ドル。
しかし、次々と怪異が襲ってきて・・・・。

「TATARI~タタリ...」の画像検索結果

セキュリティシステムのせいで逃げ場のない臨場感が良い。
また登場人物達もみなクセ者揃い。皆、何かを企み何かを狙っている。

だから、どこまでが人為的な罠なのか怪奇現象なのかが判断できない。

何が素晴らしいって、ホラーなのにノリノリのロック調テンポで登場人物達が追い詰められてゆく演出。
なのに、しっかりと怖い。その後のホラー映画界に大きな影響を及ぼした。

また、所々に散りばめられたさりげない本物の人体模型が不気味でオススメ。マジで気持ちワルイ。

酩酊感でクラクラしたところにススッキリサッパリしたラストの組合わせが一層ワケのわからない不条理さを演出してリアルすぎ。

派手なゴースト演出はないが、それだけに封じ込められた人体実験犠牲者の恨みの行き場のない怖さが身に沁みる。

1999年には、当時の最新映像技術を駆使してリメイク作品も制作された。監督は映画『スピード』、『ダイ・ハード(撮影監督)』、『ブラック・レイン(撮影監督)』でも有名なヤン・デ・ボン監督。


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