第27話 雷鳥一号◆jgxp0RiZOM
知り合いの話。
家の天井裏から、チューチューと鼠の声が聞こえた。
駆除しようと思い、倉庫にあった金物製の古いネズミ捕り罠を仕掛けたという。
数日様子をうかがっていたが、何かが罠に掛かった気配は無い。
押入内の天袋を上げて状態を確認してみた。
ネズミ捕りは、何か大きな物が上に乗ったかのように、
ペチャンコに潰れていた。
天井裏は狭く、ネズミ捕りを潰せる程の物体など何処にも見えない。
というか罠を踏み潰したら、
それを置いていた薄い天井板は確実に破れている筈だ。
彼は罠の残骸を回収すると、
それきり天井裏のことは無視することにしたそうだ。
鼠の声はいつの間にか聞こえなくなり、特に問題も起こっていないのだという。