サイケデリック・奇譚

永遠の日常は非日常。

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37 : 松屋の虎 ◆s8FSqGDfDY :2015/08/29(土) 20:20:12.84 ID:CHH62SdA0.net
自分の地区には毎年立秋の間に行われる肝試しみたいな行事があります。
お宮籠りとよばれる行事ですが、その内容は「夜中に神社の境内に籠る」というものです。
いわれは分かりませんが、毎年、20歳を迎えた男性がひと晩「神社警備員」になります。
過疎った地区なので今年は自分が一人で籠ることとなり、先月からワクテカ状態でした。

神社は、北関東に多い○○神社で、普段は無人の山の中の小さい社です
立秋の日、ここでひと晩すごし、
深夜の10時、12時、2時、4時に見廻りと称して拝殿と本殿の周囲を蝋燭1本持って巡回を行います
それ以外は拝殿の横にある天幕小屋で控えています(寝たら駄目)。
やることはそれだけです。
神社の建物には入りません(入るほどの広さもない)。
まともな神事と言うより、昔の肝試しを形式化したみたいに見えますが、
大正時代から続く伝統ある行事という話なのです。

境内は真っ暗らしく、過去にやったことのある年上の人からは
「真夜中に誰もいないのに拝殿の扉が開く」とか「3時過ぎに幽霊が出る」とか
聞かされてましたが、自分的には暑さと虫と眠気が心配でした。
以下は今年8月9日(立秋初日)に自分がお宮籠りをした体験談です。

当日、夕飯食べて家を出て、神社に到着したのが午後7時過ぎ
山の中の境内は既にかなり暗く、携帯で家族に到着を連絡したあと、
床にタオルを敷いて今晩の準備をしてました。
準備が終わった頃には8時すぎで既に真っ暗でした。

夏とは思えないほど空気が冷たく
心配していた暑さと虫は問題なかったのですが
周囲に強い風が渦巻き「うおおぉぉぉ」と人の叫び声のような音が響きます。
あと、どこからかたまに拍子木のような音がカシーンと鳴ります。




38 : 松屋の虎 ◆s8FSqGDfDY :2015/08/29(土) 20:22:08.25 ID:CHH62SdA0.net 
そして10時、最初の見廻りです 
蝋燭一本持って小屋を出て拝殿の前へ
拝殿で一礼した後、左回りで廻る決まりです
逆に廻ると祟られるそうです

目の前は真っ暗で、さすがに恐る恐るでしたが何もなく、ただ真っ暗なだけでした
しかし12時の2度目の見廻りの時、慣れてきて退屈してきた自分は
決まりとは逆に右回りに廻ってみようとしました。

何もあるはずがない、そう思って本殿の裏まで来たとき、
向こうから誰かが見ている感じがします。
この場に人などいるはずもないのですが真っ暗な向こう側から強い視線を感じました
蝋燭をかざしてみたり、呼んでみたりもしましたが、当然返事はありません
しかも、その視線が段々と自分に近づいてくる気配がします
自分は怖くなって走って拝殿前まで戻り、拝殿で謝ったのち、左から廻り直しました、
すると今度は何事もありませんでした

2時になって三回目の見廻り
先ほどの事が気になった自分は、もう一度確認したくてまたも右から廻ってみました。
そろりそろりと歩いて本殿の裏を曲がると、
またも強い視線を感じます!
怖ろしいのを我慢して用意していた携帯で奥の暗闇を写し、すぐ引き返しました
拝殿で謝り倒してのち、小走りで左から廻り直しました

自業自得とはいえ ここまでで精神的にかなりテンパった感じだったのですが、
3時頃ウトウトしていたら拝殿の方でバン!!と大きな音がして
何かが参道から鳥居の方へ走りぬけたような気配がしました。
慌てて拝殿を確認に行きましたが扉は閉じたままでした。

これで帰りたいモードMAXになった自分は、
最後の見廻りは素直にささっと廻って5時になったら早々に帰宅しました。


39 : 松屋の虎 ◆s8FSqGDfDY:2015/08/29(土) 20:23:32.94 ID:CHH62SdA0.net
帰宅すると、お宮籠りを達成したことでお酒を飲まされ、9時ごろに寝ました。
午後に起きてから、携帯で撮った写真を見てみましたが、ただ真っ暗なだけでした。

実は帰ってから、前に親から聞いたことを思い出したのですが
神社に祀られている○○様は夜には本殿で西の方角(京の方角)を睨んでいるそうです。
あの神社を右まわりに廻ると本殿の裏で西を睨む○○様と鉢合わせの形になりますが
そうならないように左まわりに廻っていたのかもしれません
とすれば、あのとき2度感じた強い視線は○○様だったのかもしれません

実は、帰った後で少々 変なことが続いたり体調を崩したりもするので少し怖いです
拝殿奥の路地で撮った写真を貼っておきます(真っ暗で見えません!)。





おーぷん2ちゃんねる百物語2015 

52 : 代理投稿立候補◆YtFiiqjbeo:2015/02/14(土)20:54:06 ID:Vve 
第18話 三好 ◆PYENbZfXGU

ばあちゃんから聞いた話と後日談。
ばあちゃんは中学生の時、ガキどもに虐められていた小さい白蛇を助けたことがあるらしい。
その蛇が神様かなにかだったのかは不明だが、
それからというものばあちゃんは命に関わる事故や事件を何度も回避してきた。
例えば、俺が知ってる中で衝撃的だったのが日航機墜落事故の時、
係員の勘違いで足止めをくらったためばあちゃんは事故機に乗らずに済み、事故回避できたこと。

この話をするとき、ばあちゃんは決まって最後にこんなことを言っていた。
「最初こそ白蛇のご利益かもしれないと思うとありがたかったんだよ。
でもね、年を取るにつれて段々と恐ろしくなってきちゃった」
俺がどうして恐ろしいのか聞いても、ばあちゃんは何も答えてくれなかった。

 



53 : 代理投稿立候補◆YtFiiqjbeo:2015/02/14(土)20:55:04 ID:Vve 
そんなばあちゃんが半年前に亡くなった。
遺品整理を手伝っていた時、俺はばあちゃんの日記を数冊発見しこっそり持ち帰った。
何でそんなことをしたのかは自分でも分からない。
何かに突き動かされるようにそうしていたとしか表現できない。

日記は数年前から書きはじめられたもので、
日々の些細な出来事から俺が大学に入れて涙が出るほど嬉しかったこと、
でも会う機会が少なくなるから寂しいことなどが綴られていた。

でも、亡くなる一年ほど前から日記の内容が激変した。

毎日毎日、大きな白蛇が夢にやって来る。
白蛇は必要以上の加護をやったのだから、
死んだ後は白蛇のもとに行かなければならないと言う。死ぬのが怖い。

そんなことが毎日長々と綴られていた。

ばあちゃんは死後、きちんと天国に行けたのだろうか。
それとも白蛇のところにいるのだろうか。
せめてお盆には魂が家に帰ってこれる状態であってほしいと思う。



おーぷん2ちゃんねる百物語2015 

156 : ずんちゃ虫◆OAARk8yC9E:2015/02/20(金)18:05:34 ID:J4u 
小学校の頃、母の実家で葬式があって家族で出かけた
母実家につくと従兄ら(母の兄の息子ら)は
自分らの爺さんが死んだのに妙なハイテンションで
仲がよかった自分も一緒にはしゃいでいたのだが、やがてその原因が判明した。

実は葬式を行う林幽寺という寺の墓地に、幽霊が出る噂があり、
小学生だった従兄らはもちろん、大人まで本気で噂していたのだった。
従兄らは好奇心から夜に寺へ行ってみたいと思ってたけど親が許さず、
それがこんな形で実現したので、いよいよ夜に寺に行けるぞ と喜んでいたのだ。

葬式の読経が終わると、従兄らと自分の3人は早々に寺の脇の墓地へ
噂によれば、幽霊は夕暮れ時に墓石の前に現れるらしい
手を前にだらりとたらした痩せ細った姿でゆらゆらと立っているのだが
人が近付くと消えてしまうらしい


157 :  ずんちゃ虫◆OAARk8yC9E[:2015/02/20(金)18:06:48 ID:J4u 
3人は墓地を見回ったが、もう空がすっかり暗くなった8時ごろになって、ついにそれは現れた
暗い中に生白く浮かぶ細い影、墓地の一番奥の墓石の前でゆらゆらと揺れている

3人は緊張してこっそりと近づいた、相手は逃げない
15メートルほどの距離まで来てこれ以上進もうかどうしようかと迷い始める
もう少し行こう、と3人がうなずき合ったその時、影はすっと消えてしまった
3人は顔を見合わせ、いま見たものを確認し合って引き揚げようとした

すると、戻る方向の10メートルほど先の墓石にまたも細くやつれた白い影
手をだらりとたらし、うつむき加減で ゆらゆらとうごめく、背丈からして小柄な女性のよう
焦った3人は、どうしていいのかわからず慌てていると またすっと影は消えた
その後、3人とも半泣きになって本堂まで逃げ込んだ

実話で落ちも何もない、
その時の2ヶ所の墓は、どちらも最近葬式のあった家の墓だそうです。



百物語2015

124 : スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw:2015/08/29(土) 23:37:47.49 ID:WCE2gmw+0.net 
「レントゲンとMRIの結果が出ましたよお。こりゃあ頸椎椎間板ヘルニアですね」 
「第5・第6頸椎の髄核…ホラこれね。これが剥がれて神経を潰しかけてるんですよ。
症状は結構深刻な部類なんで、出来れば手術の後にリハビリ含めたひと月程度の入院を…」
「ん~、致し方ないですねえ。どうにか早いうちにこれ治したいんで合意しますわ」
不承不承頷く俺を見た医師はこちらが怯んだとでも思ってか、ニヤリと意地悪気な笑みを浮かべる。

「あ、手術自体はそれほど面倒じゃありませんから安心して。
…けどね、少し腑に落ちないトコがあるんですよねえ」
「え?、何でしょう」
再び眉間に皺を寄せた壮年の医師が言うには、
「いえね、通常ここまで病状が進行するまでにはもっと長いスパンがかかるもんなんですけど…
本当に自覚症状が起きたのはたった1ヶ月前だったんですか?
他に何か心当たりは無いの?」
「ええ。まあ…無いっちゃー無いっつーかあるっちゃーあるかも知れなかったり…」
 
心当たりは確かにあった。
整形外科医に語ったところで一笑に付された挙げ句、
そう遠く無い精神病院への転院を勧められそうな心当たりが…。
 
話はひと月ちょいと前に遡る事にしよう。
梅雨も終わりに近いその頃、俺は郊外にある二級河川のほとりで孤軍奮闘していた。
河川管理業者の下請けである伐採屋の友人から極秘裏のうちに頼まれ、
本来の仕事が週休であるにも関わらずこの河川敷の雑草刈りに駆り出されていたのだ。


125 : スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw:2015/08/29(土) 23:39:07.13 ID:WCE2gmw+0.net
じっとりと額に滲む汗を拭い、刈り払い機を手に天を仰ぐ俺。
何しろ梅雨時ってのは雑草どもが最も活性化するシーズンだ。
一日おきくらいに雨天と晴天が繰り返された時には最後、
奴らは目に見える程にすくすくざわざわ繁茂する。
 
ギュルギュル唸る丸鋸の主軸の先端へ執拗に絡みつく葦だの蔦だのに悪戦苦闘しながら、
ようやく何とかノルマの半ば過ぎに差しかかったその時である。

「バンッ!」
漫画や小説、時代劇でよく見聞きする「スパッ」「サクッ」ってな
聞き心地の爽やかなそれでは無い。
大口径の発砲音にも似たこの響きは、
紛うかた無く刈り払い機が草藪の中にある異物をかけた手応えだ。
手首に伝わる軽い衝撃が何よりもその証左である。
「つまらぬものを斬ったか…」
何処かの誰かみたいな独り言を呟き、足下の刈草をおそるおそるかき分ける俺。
その眼前に見えたのはいつものヘビでもカエルでもテニスボールでも無い、
およそこちらの予想をちょいと躱した代物だった。

「へ?何でこんなのがここに落ちてるの?」
日本人形。
象牙色にくすんではいるが端正な顔貌の日本髪には花簪、
薄紫の和服に纏われた桜模様のだらり帯…おそらくは芸妓さんがモデルなのかも知れぬ。
その人形が、事もあろうか刈り払い機の一撃で
ふた目と見られぬ無残な姿を俺の眼前に晒していたのだ。
本体の左脇から右肩にかけて、それこそ逆袈裟に…俺の手で斬られていたのである。

「うわあ…」
恐る恐る彼女を手に取る俺。
着物の布が厚手のせいか完全には寸断されていないものの、
上半身が「く」の字に曲がり掌の中でガクガク揺れるその様は、
見ていて気持ちの良いものでは無かった。
日が高いにも関わらず、まだ朝露が残っているかの如くしっとりと湿った顔に浮かぶ水滴が、
あたかも涙の様にも思えて…。
「悪い事しちまったねえ」
ゆるやかに流れる河岸の岸辺にその人形の身を置いて、
心中で形ばかりの詫びを入れた俺が
その日の作業を終えるまで、小一時間とかからなかった様に思う。


126 : スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw:2015/08/29(土) 23:41:07.34 ID:WCE2gmw+0.net  
それから二日と経たぬうちに、俺の左肩を名状し難い感覚が襲った。
左首筋から肩胛骨にかけて、肩こりにも似た鈍痛が支配し始めたのである。
「久々の草刈りで疲れが出たのかね?それにしちゃあイヤな痛みだな、
取りあえず湿布でも貼っとこ」
その痺れを伴う感覚は二の腕を経て肘を経て、またたく間に左手指の先端にまで降りてきた。
 
多忙な日々に追われつつ、それでもまだ「どこ吹く風」とばかりに暢気な俺。
その後も病状は改善を見せず、遂には肘から先は痺れを通り越して
千枚通しを刺されても何も感じぬ神経マヒ、
それとは逆に寝返りどころか仰向けに寝ても耐えられぬ程の激痛が左肩を蝕んだ時点で
初めて、俺は冒頭の整形外科へと赴くために重い腰を上げたのである。
 
先生の執刀は完璧だったものの、何故か術後の経過がよろしく無い。
ガラパゴスゾウガメの歩みにも劣る回復速度。
リハビリに至っては、術後二週目を過ぎてもたかが1㎏程度の鉄アレイですら
30秒垂直に掲げるだけで額に脂汗が滲む体たらくである
「先生も首傾げてましたよ。困りましたねえ」
「実を言うとね、あんたと別れる日を迎えるのが辛いからこうして居座ってんのさ」
すっかり気のおけぬ会話を交わす仲となった看護師の娘にそんな冗談で応じてはみたが、
心中ではどうしようも無くいらついていたものだった。
 
入院してから三週目を数えた頃だろうか。
病室の窓を叩く夜半の風雨と雷鳴の音で俺はまどろみを侵された。
かねてから囁かれていた台風擬きの爆弾低気圧が、どうやらこの地を直撃した模様なのだ。

窓ガラス越しに時折瞬光する稲妻に照らされながら、
今まで左肩を痛めつけていたものがスッと何処かに昇華していく感覚を、
真夜中のベッドの上で俺はかすかに、しかし確かに感じたものである。


127 : スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw:2015/08/29(土) 23:42:15.77 ID:WCE2gmw+0.net 
 何のはずみかどうした事か、そこから先の事態は目を見張るばかりの急転直下、
俺の体調はそれまでの雌伏の期間がまるで嘘であるかの如く
メキメキと快方へと向かっていった。 
首を傾げて左肩に耳をつけたら「メキメキッ!」ってな音が聞こえたくらいである、
ウソだけどw

「一週間前の握力測定左腕18㎏の人が今日は56㎏って…どういう事です?」
「何て言うか、あんたの可愛い顔もいい加減見飽きたからねえ」

それから程無くして、俺は病院を辞した。
退院したら、手に掛けたあの日本人形を手厚く葬る…ってワケでもないけど、
せめてちゃんとした所に持ってって供養したいとも思い
彼の地に向かったのだが、それは結局叶えられぬ願いとなったものだ。
 
近所の婆さん曰く、件の河川敷はどうやら丁度あの夜の豪雨で氾濫し、
ほとりにあった刈草を初めありとあらゆる岸辺の雑物を
綺麗さっぱり流し尽くしてしまったみたい。

久々に訪れた俺を迎えてくれたその河は、
付近数十戸を床上浸水に巻き込んだとされる鬼の形相はどこへやら、
ゆるい陽光を浴びながら長閑に水浴びを楽しんでいる
数羽の鴨をその面に抱きつつ、さわさわと流れ続けているばかりであった。
 
長々と書き連ねたけど、『後日思い返してそう言われてみれば…』的な
思い込み以外の何物でも無いよね、
人間ってもんはひとつの事象を何かと己の因果にこじつけたがる生き物だし。
 
けどさあ、やっぱ時々思うんだよ。
あの人形、今どこに居るのかな?大海に辿り着いて紺碧の波上に漂っているのかな?
それとも下流の澱みに引っかかりながら濡れそぼった目で
未だにこっちを恨めしげに見つめているのかな?ってね…。



百物語2015

231 : わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:07:47.17 ID:AgCPeYID0.net 
【64話】キツネ ◆8yYI5eodys

昔、親戚の爺さんの家にひと夏の間預けられた時の話。
親戚の爺さん、というのは私の大叔父に当たる人だと後に知りました。

大叔父が住んでいたのは山に囲まれた農村。
山一つ越えると駅や新興住宅地の造成が進んでいましたが、叔父の住むのは寂れた農地。
家が十数件そこらあるか無いかのド田舎でした。
その農村には7人ほどの子供たちがいて、最初はおっかなビックリではありましたが
すぐに馴染むことができました。
中でも小学6年の1番年上のお姉ちゃんは面倒見が良く、
よそ者の私と妹に色んな山遊びや川遊びを教えてくれたものです。

その日はちょうど8月の終わりに差し掛かった頃。
ちょうど今日のように朝晩が涼しく感じる時期でございました。
いつものように田んぼ沿いの沢でカニ捕りや水遊びに興じていた時でした。
1人の地元の子が、橋げたに何か引っかかっているのに気付きました。
拾い上げてみると、それは布のようなもの。
小さな子供用の服でございました。





232 : わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:09:17.18 ID:AgCPeYID0.net
その服を投げたりしていると、いつの間にでしょうか。
1番年上のお姉ちゃんが集落のお年寄りを連れてきて、その服を指差していました。

しばらくすると集落の大人たちが集まって参ります。
そして口々に、
「流れてきてしまったか」
「今年もナナツカ様が気に入らんかった」
「今年は何年目ね?」
「…7年目だ」
「どう思う?」
「来るやろうな」
そんな事を言っていたのを記憶しています。
私たち子供はすぐに川から上がり、すぐに家に帰るよう言われました。

後に知った話をまとめると、集落の傍の山には『ナナツカ様』という
7基の石の塚が並んでいて、その塚に毎年、
夏の初めに子供用の服を1着お供えする風習があるのだそうで。
『ナナツカ様』が気に入らないと、その服が山から集落の沢へ流れて来る。
その年は7年続けて沢に流れてきた、ということらしいのです。

そしてその日の夕刻。
私たち兄妹は大叔父に連れられて集落の公民館へ。
そこには集落の子供全員、それどころか集落の大人たちも集まっておりました。
大人たちは公民館の庭で火を焚き、子供たちは公民館の中へ追い遣られます。
「朝まで出ちゃいかんぞ」
普段優しい大叔父が怖い声で言ったのが印象的でした。
子供たちはと言うと、強張った顔の大人たちとは対照的でした。
普段は夕方には別れる友達と夜も遊べる――― そう思ったのか、
大人が公民館の外にいるのをいいことに、テンションMAXではしゃいでおりました。


233 : わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:11:05.08 ID:AgCPeYID0.net 
夕飯を終える頃には幾分か落ち着いたのか、小さい子たちを中心に眠そうな目。
そんな子たちを年長者のお姉ちゃんと一緒に布団へ運んでいると、
妹がガラス戸の方を見るなり、ギャーっと火のついたように泣き始めました。
瞬く間に鳴き声が小さい子たちに伝染。
そんな子たちを宥めて寝かし付けるうちに、私も眠ってしまっておりました。

翌朝。
公民館の中に年長者のお姉ちゃんが居ません。
周囲を見回すと、ほかの子は静かに眠っておりましたが、お姉ちゃんだけが見当たらない。
外に出ると、大人たちが沢の橋の方に集まっているのが見えました。
慌てて駆けて行くと、すぐに気付いた大人に頭を抱きすくめられ、
「見ちゃいかん!」と怒鳴られました。
聞こえたのはすすり泣く声。
雰囲気は重く、蝉の声と沢の水音がやけに大きく聞こえたと記憶しております。
そしてポツポツと、
「流されてきたのは○○ん家の長女か」
「服は着ちょらん」
「うわっ!皮まで持っていかれとる」
確か、そんな事を言っておりました。

その後すぐに私は公民館へ連れて行かれました。
沢で亡くなっていたのはやっぱり年長者のお姉ちゃんで、翌々日にはお葬式に参加。
最後のお別れにと、お棺を覗こうとした子が親にビンタされて吹っ飛んだのを見て、
―――ああ、あのお姉ちゃん大変な目に遭ったんだな、と
怖さと寂しさで泣いたのを覚えております。


234 : わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:12:59.69 ID:AgCPeYID0.net 
後に妹から聞いたのですが、あの公民館での晩のこと。
妹はガラス戸の向こうに見たのだそうでございます。
ガラス戸の向こうには子供が数人、あの年長者のお姉ちゃんを指差していたとか。
その子供たちは一様に真っ赤な目でニイっと笑っていたそうです。

また別の子は、夜中に目を覚ました時。
たくさんの真っ赤な目をした子供達にお姉ちゃんが囲まれ、
じたばたもがきながら引きずられていくのを見てしまったそうでございます。

その後、親戚の集まりで大叔父に会った時に聞いた話なのですが、
酔った大叔父が言うには、
昔、戦時中に1度だけ子供の服が流されてきたことがあるそうです。
その時は学童疎開してきた子供の1人が、
同じように身ぐるみを剥がれて沢を流れてきたのだそうで。

それから大叔父と疎遠になり十数年。
集落からはどんどん人がいなくなり、とうとう大叔父だけになったと聞いていました。
先日、久々に実家へ大叔父から電話がかかってきて、こう言っていたそうです。
「今年も流れてきた。7年目だ、今後は盆も一切、夏には誰もあそこに近づくな」
そのまま大叔父はすぐに高齢者施設に入所し、集落からは誰もいなってしまったのです。
そうです、ナナツカ様に服を納める人は、誰も。

今年は例の七年目。
ナナツカ様は集落に下りて来るのでしょうか。
それとも誰も居ないのに気付いて、山向こうの住宅地に下りるのでしょうか?
夏も終わりに差し掛かりました。
山沿いの住宅地にお住いの皆様。
どうぞ窓の外には目を向けない方がよろしいかと。
真っ赤な目をした子供達が、笑いながらあなたを指差しているのかもしれませんから。



百物語2015

289 : 安納芋 ◆hJ/HYR69s6 :2015/08/30(日) 04:33:37.15 ID:M0q+yl87O.net 
数年前郊外に引っ越してから、様々な鳥のさえずりを耳にする様になった。
山鳩やカッコウもいいけれど、特に気に入ったのが
初夏の日没後から夜明けまで、水笛に似た声で鳴く鳥だ。
裏の土手にある緑地や、川向こうの山から聞こえて来る。
ピョキョキョ、ピキョキョキョキョ……
調べたところホトトギスの声が一番近い。良い声で鳴くものだ。
鳴き声が聞こえる晩はたびたび窓を開け、ホトトギスのさえずりを楽しんでいた。

今年の6月の事。
夜1時過ぎに帰宅し車から降りると、ホトトギスの鳴き声がする。かなり近くからだ。
何処にいるんだろう?
見える訳もないのに音のする方向…真っ暗な土手に目を凝らした。
すると、小さな明かりが土手の上を移動している。
高さや大きさ、スピードからして自転車のライトらしい。
夜中にサイクリングをする人もいるだろうが…
おかしな事に、どうもライトが近づくにつれホトトギスの声が大きくなっている様なのだ。
耳を澄まし土手を見上げる私の前を、鳴き声と共にライトが通り過ぎる。
自転車から鳴き声が聞こえているのに違いなかった。

深夜、真っ暗な土手を自転車で走りながら、水笛を吹いてる人がいる…
正直ゾッとした。
今まで聞いてきたホトトギスの声の内、幾つかはコレだったのではないか?
そう考えると恐ろしくなり、慌てて家に入ろうとした。
そんな私の目に再び明かりが飛び込んで来る。あの自転車がUターンして戻って来た。
いや、自転車にしてはありえない動きの明かりがこちらに向かって来たのだ。

それはまるで蛇の様に上下にくねり、大きさも先程の三倍はある。
鳴き声はキャキャキャア!ギャギャギャア!と原型を留めていなかった。
今度こそ家に駆け込んだ。
それでも鳴き声が聞こえそうで、布団を頭から被り耳を塞いで朝を待った。

幸い、この夜以降コレには遭遇していない。
が、今ではホトトギスの声が聞こえると、窓を閉め鍵をかけている。


百物語2015

285 : わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 04:28:07.71 ID:AgCPeYID0.net 
【83話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様 

顔馴染みから聞いた話。

彼の家の前には、ものすごい豪邸があるらしい。
そこの庭の一角に、これまた豪華な犬小屋が置かれている。
ちょっと前まで立派な犬がいたのだが、今は死んでしまったのか、何もいない。

ある寝苦しい夜、ボンヤリとそこの庭を眺めていると、何やら動く影が見えた。
芝生の上を大きな物がうろうろしている。
どう見ても、四つん這いになった人の影だった。
息を殺してみていると、やがて影は犬小屋の中へ入っていった。

それからすぐに、母屋から人が出てきた。顔見知りの住人だ。
懐中電灯で足元を照らしながら、犬小屋の方へ向かっている。
小屋の前まで辿り着くと、電灯の光をその中へ向けた。

犬小屋の中には、何の姿も見えなかった。
彼の目線からでも、空っぽの小屋内が見えたのだという。

彼が見ていた間に、犬小屋から出ていったものは無い。
さっき入っていった影は、宙に溶けるように消えていた。
住人は首を傾げながら、母屋へ帰っていく。
彼はそこでカーテンを閉め、それ以上庭が見えないようにしたのだという。

その後、何度かその住人と顔を合わし会話をしたが、
あの夜の影については、結局聞けていないままなのだそうだ。



おーぷん2ちゃんねる百物語2015

154 : 宵待草@代理投稿◆zGmkUMDv/mqt:2015/02/20(金)18:00:28 ID:qVe 
第51話  ナカさまの作品

まだ、私が、高校生の頃の夏の話だ。
鹿児島の本駅(今では、新幹線の駅)の裏側5~6分の所のマンションに
母と2人で住んでいた。
その当時あまりクーラーが得意でなく、寝るときだけ
窓を開け放した部屋に布団を、2つ並べて敷き、母と並んで寝ていた。
 
ある夜 ふと目が覚めると突然、突風がふき
カーテンが、揺れた瞬間、体の上にズシンと何かが乗ってきた感触、
その後、砂が積もるように人の形が出来上がっていった。
テレビの砂嵐模様の人だ。
体は金縛りにあい、動かない。
すごい力で首を絞めてくる。何か凄い悪意と殺意とを感じた。
私ができることは少し首を動かすことと唸ることぐらい。
どれぐらい時間が経ったのか、隣から母の声。

「大丈夫?どうした?」。
すると突然、体の上の砂嵐模様の人型のものが風に吹かれた砂のように消えた。
どうもその母の声で消えたらしい。
私は、やっと自由になり身体を、起し「ゴホッ ゴホッ」と咳をし、
母に今、あった事を、そのまま話した。
 
母も何か異様な雰囲気を感じて起きたらしい。
その夜は、窓を閉め、クーラーをかけ寝ることになったが、金縛りにあい、
幽霊らしきものを、見たことも数回あったが、
あまりに先ほどの体験が強烈で朝まで一睡もできなかった。

それ以降、窓を開け寝ることはなく、得意ではないクーラーをかけ寝ることになった。


百物語2016 【本スレ】

19 : 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX :2016/08/20(土) 19:46:26.51 ID:5kSLWVsx0.net 
高校の先輩に起こった話。
僕の先輩は中学校の音楽教師だ。いつも成績付けが大変だとか、残業が大変だとか、
それでも子どもが可愛くてやめられないだとか、色んな話をしてくれる。
が、この前久々に飲んだ時のことだ。

「うちの音楽室、真昼間に幽霊が出る」
「は?」
いまいちパッとしない。
音楽室といえば夕方誰もいない音楽室からエリーゼのためにが聞こえてくる、だとか、
真夜中に天井から滴った血でピアノの音がポーン、ポーンと鳴るだとか、
そういう学校の怪談で語られるような内容ぐらいな訳で何も夕方以降の暗くなってからの話だ。
ぶっちゃけこっちとしては昼間の幽霊なんて怖さも何もないのだが、
先輩の話はこうだ。

先輩の勤める中学校は旧校舎が耐震チェックで引っかかり、防災のため
急遽建て替えられた新しい校舎なのだそう。
異変は新校舎への引っ越し直後から始まった。
楽器や映像資料などを音楽倉庫で整理していた時だ。
当然音楽教師は先輩しかいないため、そこを片付けているのは先輩1人。

開けっ放しの出入口に背を向けて戸棚の中を整理していると、背後で影が動いた。
最初は誰か他の先生が来たのだろうと気にも止めなかったが、
影が動く割に声をかける様子もない。
さすがに変だと思って振り返ると誰もいなかったそうだ。
その後も誰もいないはずなのに人の気配がするなど、気持ち悪いと感じることが多々あった。





20 : 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX :2016/08/20(土) 19:49:03.90 ID:5kSLWVsx0.net
決定的な出来事が起こったのは1年が経った頃だ。
その頃には人影なんて気にしている余裕もなく、授業に追われていたそうだ。

ある日の授業でのこと。
合唱の授業で、教室の端にあるピアノの周りに生徒を集め、
その中心でピアノの伴奏をしていたときのこと。
いつものように周りをチェックしながら伴奏をしていると、先輩の右側で人影が動いた。
当然生徒だと思って気にしていなかったのだが、
次の瞬間、その人影は体を真横にして先輩の顔を覗き込み、ニタァっと笑った。

合唱中で周りは当然歌っている、
そんな最中に歌わずそんなことをしている生徒に腹が立ち、
注意しようとピアノは弾いたままバッと顔と向けたが、そこには人なんていなかった。
むしろ、半径2mほどの範囲には生徒すらいない。
当然、いきなり振り返った先輩の行動にびっくりして周りの生徒は焦っていた。

そこで初めて異様さにゾッとしたそうだ。
授業中にそんなことを、輪のど真ん中の教師の横でしようものなら、
少なからず反応する生徒がいて当然だ。
周りに目を配りながら弾いていて、それに気づかないわけが無いのだ。
つまり、周りの40人もいる生徒は何も見ていないということになる。

なんとか曲は弾ききったそうだが、その指導は集中出来ず散々だったそうだ。
あれから数年経ったが、先輩はまだ、そこの音楽室で授業を教えている。


https://toro.open2ch.net/test/read.cgi/occult/1415464415/

14 : コロン:2014/11/09(日)01:55:06 ID:A4aC4Fhvs 
俺は駅のホームで電車が来るのを待っていた。
いつもなら音楽や本でも見て待ち時間を過ごすのだが、
その時はなぜか線路側の方をぼんやり眺めていた。
その時、ホームと線路の間に手のようなものがあるのに気付いた。

いや、あれは間違いなく手だ。
ちょうどホームに掴まっているように手がヌーっと出てきている。
ひょっとしてだれか線路におちて、あがってこようとしているのかと思ったが、
近くに居る駅員は全く気にしていない様子。
これはあれか。霊的なやつか。
生まれて初めて見る不思議なものに恐怖よりも好奇心の方が勝っていた。
俺は何が掴まっているのか気になって、
ホームの端から身を乗り出しまでそれを覗き込もうとした。

その時である。俺は急に肩をグイッとつかまれ、ホームに引き戻された。
次の瞬間には通過の快速が猛スピードで駅を横切って行く。
間一髪、俺は電車との衝突を免れた。
怒鳴る駅員。
「あんた死にたいのか!」

いやいや、アナウンスも何もなかったと言ったが、駅員はあきれながら言った。
「あんなにアナウンスが流れていたし、
ふらふらと線路に近寄って行くあんたに何度も注意した」

いやいやそんなはずは…と思っていたら、
その様子を見ていた中学生らしき女の子がオドオドしながら話しかけてきた。
「あのぅ…手がありました…」
「そうなんだよ!ホームの端にあったよな!」
「いえ…私が見たのはおじさんの耳を塞ぐように手が二つ」

ああ、だから何も聞こえなかったのか…


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