サイケデリック・奇譚

永遠の日常は非日常。

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百物語2016 【本スレ】

19 : 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX :2016/08/20(土) 19:46:26.51 ID:5kSLWVsx0.net 
高校の先輩に起こった話。
僕の先輩は中学校の音楽教師だ。いつも成績付けが大変だとか、残業が大変だとか、
それでも子どもが可愛くてやめられないだとか、色んな話をしてくれる。
が、この前久々に飲んだ時のことだ。

「うちの音楽室、真昼間に幽霊が出る」
「は?」
いまいちパッとしない。
音楽室といえば夕方誰もいない音楽室からエリーゼのためにが聞こえてくる、だとか、
真夜中に天井から滴った血でピアノの音がポーン、ポーンと鳴るだとか、
そういう学校の怪談で語られるような内容ぐらいな訳で何も夕方以降の暗くなってからの話だ。
ぶっちゃけこっちとしては昼間の幽霊なんて怖さも何もないのだが、
先輩の話はこうだ。

先輩の勤める中学校は旧校舎が耐震チェックで引っかかり、防災のため
急遽建て替えられた新しい校舎なのだそう。
異変は新校舎への引っ越し直後から始まった。
楽器や映像資料などを音楽倉庫で整理していた時だ。
当然音楽教師は先輩しかいないため、そこを片付けているのは先輩1人。

開けっ放しの出入口に背を向けて戸棚の中を整理していると、背後で影が動いた。
最初は誰か他の先生が来たのだろうと気にも止めなかったが、
影が動く割に声をかける様子もない。
さすがに変だと思って振り返ると誰もいなかったそうだ。
その後も誰もいないはずなのに人の気配がするなど、気持ち悪いと感じることが多々あった。





20 : 50(ななほし) ◆YJf7AjT32aOX :2016/08/20(土) 19:49:03.90 ID:5kSLWVsx0.net
決定的な出来事が起こったのは1年が経った頃だ。
その頃には人影なんて気にしている余裕もなく、授業に追われていたそうだ。

ある日の授業でのこと。
合唱の授業で、教室の端にあるピアノの周りに生徒を集め、
その中心でピアノの伴奏をしていたときのこと。
いつものように周りをチェックしながら伴奏をしていると、先輩の右側で人影が動いた。
当然生徒だと思って気にしていなかったのだが、
次の瞬間、その人影は体を真横にして先輩の顔を覗き込み、ニタァっと笑った。

合唱中で周りは当然歌っている、
そんな最中に歌わずそんなことをしている生徒に腹が立ち、
注意しようとピアノは弾いたままバッと顔と向けたが、そこには人なんていなかった。
むしろ、半径2mほどの範囲には生徒すらいない。
当然、いきなり振り返った先輩の行動にびっくりして周りの生徒は焦っていた。

そこで初めて異様さにゾッとしたそうだ。
授業中にそんなことを、輪のど真ん中の教師の横でしようものなら、
少なからず反応する生徒がいて当然だ。
周りに目を配りながら弾いていて、それに気づかないわけが無いのだ。
つまり、周りの40人もいる生徒は何も見ていないということになる。

なんとか曲は弾ききったそうだが、その指導は集中出来ず散々だったそうだ。
あれから数年経ったが、先輩はまだ、そこの音楽室で授業を教えている。


https://toro.open2ch.net/test/read.cgi/occult/1415464415/

14 : コロン:2014/11/09(日)01:55:06 ID:A4aC4Fhvs 
俺は駅のホームで電車が来るのを待っていた。
いつもなら音楽や本でも見て待ち時間を過ごすのだが、
その時はなぜか線路側の方をぼんやり眺めていた。
その時、ホームと線路の間に手のようなものがあるのに気付いた。

いや、あれは間違いなく手だ。
ちょうどホームに掴まっているように手がヌーっと出てきている。
ひょっとしてだれか線路におちて、あがってこようとしているのかと思ったが、
近くに居る駅員は全く気にしていない様子。
これはあれか。霊的なやつか。
生まれて初めて見る不思議なものに恐怖よりも好奇心の方が勝っていた。
俺は何が掴まっているのか気になって、
ホームの端から身を乗り出しまでそれを覗き込もうとした。

その時である。俺は急に肩をグイッとつかまれ、ホームに引き戻された。
次の瞬間には通過の快速が猛スピードで駅を横切って行く。
間一髪、俺は電車との衝突を免れた。
怒鳴る駅員。
「あんた死にたいのか!」

いやいや、アナウンスも何もなかったと言ったが、駅員はあきれながら言った。
「あんなにアナウンスが流れていたし、
ふらふらと線路に近寄って行くあんたに何度も注意した」

いやいやそんなはずは…と思っていたら、
その様子を見ていた中学生らしき女の子がオドオドしながら話しかけてきた。
「あのぅ…手がありました…」
「そうなんだよ!ホームの端にあったよな!」
「いえ…私が見たのはおじさんの耳を塞ぐように手が二つ」

ああ、だから何も聞こえなかったのか…


https://toro.open2ch.net/test/read.cgi/occult/1415464415/
25 : コロン:2014/11/09(日)02:17:06 ID:A4aC4Fhvs 
会社の同僚の話。
会社の同僚は戸建てに一人暮らしをしている。
もともとは祖父母の住んでいた家で空き家になっていたのだが、就職を機に住むことにした。
一人で暮らすにはかなり広い二階建ての家だったので、
上は物置として使い、一階だけで生活をしていた。

そんなある日。
ビールなどを飲んでくつろいでいた時のこと。
夜も9時をすぎていたが呼び鈴をならす者がいる。
誰だろうと思って玄関を開けると、隣に住む60代のおばあさんであった。
何かあったんですか?と訪ねると、
「あんたの家の2階に知らない人がいる。」という。
もちろん家には自分一人しかいないので、
気のせいですよと言ったが、いや絶対にいる。私は見たと言ってきかない。

実はこのおばあさん、少し痴ほうが入り、たまにこういうことがある。
いい加減めんどくさくなり、しっかり見るから大丈夫。と無理矢理追い返した。

その夜。
布団に入り、うとうとしていると2階から物音がする。
気のせいではなく、はっきりと聞こえた。
さっきの話もあったのでとても怖くなったが、確認しない訳にも行かないので、
恐る恐る2階へ向かった。

そーっとのぞくと、人影らしきものが。
意を決して「誰だ!」と電気をつけるとそこに立っていたのは先ほどのおばあさんだった。
手には包丁を持っている。
あまりの展開に情けない悲鳴を上げながらあわてて部屋を飛び出し、即通報した。
そして程なく御用となった。

警察官に聞いた話によると、
「2階に知らない人がいると忠告したのに、
聞く耳を持たないから守ってやろうと、屋根をつたって侵入した」とのことだった。
もし気づかず寝ていたら今頃どうなっていただろう。
結局人間が一番怖いと同僚は言っていた。



百物語2015

72 : 猫虫◆5G/PPtnDVU :2015/08/29(土) 21:30:29.56 ID:rKZkpF2O0.net 
【10話】キツネ様◆8yYI5eodys 様 

蒸し暑い夜が続きます今日この頃。
こんな晩はキンキンに冷えたビールが恋しいものでございます。
炭火で香ばしく焼き上げた熱々の焼き鳥も一緒に、如何でございましょうか。
これは行き付けの焼き鳥屋の大将が暑い夜の酒のツマミに、と語ってくれたお話。

大将の店はオフィス街の狭間にポツン、と佇んでおります。
周囲に飲み屋はおろか飲食店も無く、
夕方以降は仕事帰りの客でごった返している様子をよく目に致します。
開店当初はなぜこんないい場所に店が無いのか疑問にも思ったそうですが、そこは商売人。
競合店が出てくる前に馴染みの客を掴んでしまおうと、日々商売に精を出したそうでございます。

開店から2週間ほど経った頃でしょうか。
夜の11時を過ぎた頃。
小雨がしとしとと降る夜のこと。
最後のお客を笑顔で送り出した大将は、暖簾を外して1人で片付けをしておりました。

さて、炭の火を消そうと火消壷に炭を移し終えた、その時。

テバぁ……てください……

突然の囁くような、か細い女性の声にギクリ、と大将は驚きながらも
「すみません、今日は手羽先は終わっちゃって」と、背後のカウンターに目を遣るが、
そこには誰もいない。
大将は首を傾げながら、その日はいそいそと片付けを済ませて帰宅したのでございます。


73 : 猫虫◆5G/PPtnDVU:2015/08/29(土) 21:36:26.35 ID:rKZkpF2O0.net 
それから数日は何事もなく過ぎ、ある晩のこと。
暖簾を入れる際に雨が降っているのを見た大将は、あの晩のことを思い起こしました。
あれは気のせい、と決め込んで炭火を片付けようとした時、

おじちゃん……モツ……焼いて……

今度は絞り出すような子供の声でした。
気のせいじゃない、これは尋常じゃないぞ、と考えながらも
「臓物の類は切らしてるんだよ、ごめんねえ」
グッと堪えながらそれだけ告げると、
背中のカウンターへ振り返らぬよう手早く片付けを済ませて大将は帰宅いたしました。

その後も時折夜になると声が聞こえる。
その時々によって声も老若男女、好みも各々違うのか焼いて欲しいメニューも違う。
不思議と、雨の晩に限って聞こえてくるのでございます。

これはとんでもない外れ物件を手にしてしまったと思った大将は、本気で閉店を検討したそうで。
しかし、店仕舞の前にせめて声の正体は確認しよう、そう心に誓ったのでございます。

次の雨の晩。
換気扇から聞こえる雨の音を聞きながら待つこと暫く。

…………さい……

あの声でございます。
次第に近づいて来る声。

……テバぁ……焼いて…さい…

…アシばぁ……焼いてください…

ゾウモツばぁ…焼いてくださいまし…


74 : 猫虫◆5G/PPtnDVU:2015/08/29(土) 21:39:37.14 ID:rKZkpF2O0.net 
ままよ、と振り返る大将。
しかしながら、すぐ背後に聞こえた筈の声の主は見当たらず。

ホッとして調理場を振り返った時でした。
炭火の前に立つ黒い影が目に飛び込んで参りました。
まるで火の消えた炭のように、煤けた影。
炭火に照らされたソレは、焼け焦げた人の形をしております。
髪は半分ズルリと皮ごと剥け落ち、目鼻口は窪んで黒く、所々四肢の表面が赤黒く光っており、
その腕には……不自然に白く
生々しい、骨の飛び出した手首から先、足首から先を抱えておりました。
流石の大将もその姿には恐怖を覚え、呆然と見ていることしかできません。

黒い影はゴトリ、ゴトリと手足を炭火の中にくべ始めました。
鶏肉や豚肉とは違う、何かの焼け焦げるような不快な臭気。
ジリジリと音を立てながら、脂の燃える黒い煙が上ってゆく。

どれほどの間その光景を眺めていたのでしょうか。
不意に影が大将の方を振り返り、スーッと頭を下げ、
そのまま黒い靄となって換気扇に吸い込まれていったのでございます。

ふと我に返った大将は慌てて調理台に駆け寄ると、
そこには手足など無く、只々火の消えた炭が転がっているだけ。
顔の筋肉が麻痺したような感覚に囚われながら、大将は淡々と炭を片付けて帰宅したそうです。


75 : 猫虫◆5G/PPtnDVU:2015/08/29(土) 21:46:54.78 ID:rKZkpF2O0.net 
これは後日、大将が常連の老爺から聞いたそうなのですが……
大戦末期、この辺りは手酷い空襲を受け、多くの方が亡くなったそうでございます。

日が昇ってから遺体を収集してゆくのですが、
最も近い火葬場では遺体の処理が間に合わず、それでも次から次と遺体が増えていく。
その為、近くの小学校の敷地で廃材を組んで仮火葬をするのですが、
折しも小雨が降り始めなかなか上手く燃えない。
漸く火が着いても火力が足りず、取分け水分の多い内臓は燃えにくかったり、
手先や足先が焼け残ることが多かったとか。

それでも増え続けるご遺体を処理せねばならない。
ある程度燃えたところで遺骨とし、
残った手足や臓物は小学校跡の敷地にそのまま埋葬されたそうでございます。

それから数十年も経った今日。
何度か飲食店や飲み屋が出来ては、数か月持たずに潰れる。
そうしてこの土地はオフィスのみが立ち並ぶ街になったのだそうで。
もしかすると、その潰れた飲食店の人々も大将と同じような何かを見たのかもしれません。

その話を聞いて以来、大将は時々雨の降る晩になると、
店仕舞の後も炭が燃え尽きるのを待ってから帰宅するのだそうでございます。
その甲斐あってか、大将のお店は潰れる事無くつい最近、無事に5周年を迎えたそうで。

オフィス街にただ1件だけの焼き鳥屋。
雨の晩に訪れると、閉店間際、そこでは客以外の何者かに出会えるのかもしれません。



百物語2015

258 : 猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU :2015/08/30(日) 03:50:37.70 ID:slHZZ5U50.net 
【73話】チッチママ ◆pLru64DMbo 様 

私の母は介護福祉士で施設で働いています
病院と一緒で人が亡くなる場所であり母も何度かみたそうです
夜勤をしていると4階のエレベータ前でよく影が出るそうです
不思議なのは黒い影ではなく白いそうで、
担当者だった人には 「あ、亡くなった〇さんだ」とわかるそうです

何度か内緒でお坊さんにも来てもらい供養はして貰ったそうですが
なぜか4階だけに出るそうで、ここの職員は長持ちしないそうです
母は幼い時に色々と霊体験はしていますが本人は恐怖漫画を笑ってみるタイプ
そんな母ですので皆が4階の夜勤を嫌がる中で母だけが移動もせず働いていたそうです

そんな母ですが
お盆が終わって、その当時一番懇意にしていた担当の方が亡くなられました
なんでも正月と盆を過ぎると亡くなる率が高くなるそうです
母はいつもの通り夜勤をしていると、
なんとなくゾワッとした感覚になったそうで「ああ、こりゃいるな」と思ったそうです
ですが、気にしたらダメと無視しようとすると、
いつもはエレベータ前から動かない気配がスッと母の前に出たそうです
母の体を白い影がつきぬけて母は「あっ」と思ったそうです

白い影は母が担当していた、あの患者さんだと直感でわかったそうで
その影は母の前にたち母においでおいでをしたそうです

母は「ダメ!!ちゃんと家族さんの所に行きなさい!!私は私の家族があるの〇さんダメ!!」
と必死で咄嗟に言うと、
影は少し停止したあとに、小さく頭を下げて消えたそうです

流石に母もその次の週から2階に移動して貰いました


おーぷん2ちゃんねる百物語2015 

111 : 花梨◆km01tk49hI:2015/02/15(日)01:12:27 ID:I4J 
友人から聞いた話をそのまま書かせていただきます。

俺の母親、中学のとき死んだんだよ。
その後、いつだったか、俺、反抗期になって父親と喧嘩して家を飛び出したんだ。
何にも考えずに家から離れたくて全力で走ってた。
そんで前見てなかったせいで車道に飛び出しそうになったんだけど、
その時なんかもやもやした変な物体が目の前を横切ってった。
びっくりして止まったら真ん前をトラックが走っていって呆然としてた。

今思えばあれ母ちゃんだったのかなあ?


百物語2015


135 : 猫虫:2015/08/29(土) 23:52:24.29 ID:rKZkpF2O0.net
【36話】未帰還 ◆H3nLk5uPzc 様 
 

私が小学生の頃、曾祖母が亡くなった時の話です。
母方の曾祖母が亡くなったという報せを真夜中に受け、母の実家に急遽帰省する事になりました。 
親戚はとても多いのですが私達は親戚の内では近くに住んでいたため
私達より早かったのは伯母の家族だけで、母の実家の大きな家にはあまり人が居ませんでした。
 
両親とともに顔布を掛けられた曾祖母と対面したのですが、
恥ずかしながらその頃私はまだ「死」というものを理解しておらず、
何故曾祖母の顔を隠すのか分かりませんでした。

その後集まってくる親戚の出迎えなどで家中が忙しくなり、
とんでもない話ですが曾祖母の部屋に小学生の私一人しかいないという時間がありました。
なんとなく「今は大人しくしていなければならない」というのは伝わっていたので、
悪戯するような事はありませんでしたが。

その時、私は曾祖母の顔に掛けられた布が、
曾祖母が呼吸しているかのように上下に動いているのに気付きました。
しかし「死」を理解していない私はその事を特に不思議には思わず、
ただ「自分が吸って吐くのと、ひいばあちゃんが吸って吐くのが一緒だな」と考えていました。

そんな不自然な一致や、真夜中だった事から今考えてみると、
単にうとうとして夢を見ただけだったのかもしれません。

ただ、戻ってきた両親に「顔布が乱れている、悪戯するな」としこたま怒られて、
「自分は悪くない」とかなんとか泣き出してしまったのは覚えています。


百物語2015


318 : わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 05:19:38.87 ID:AgCPeYID0.net
【94話】つくし ◆81X5rEXMGc

私が幼い時の話です
ちょうど幼稚園の夏休みが終わる十数年前の今頃の話ですが
怖い話と言うよりは不思議な話です
 
その日は日中とても天気がよく夕焼けがとても綺麗でした
私が住んでた家は歩道に面して戸建が4軒並んで建っていて
私の住んでる家は歩道から見て左から2軒目でした
1軒目と4軒目の横にそれぞれ路地があり
その路地の途中から家の裏にもある小さな路地に入れる様になっていました
 
その日夕方母が夕食の準備をしている間
少し外に出ていようと思い路地に行くことにしました
普段遊んでいたのは1軒目の横にある路地でしたがその日は何故か4軒目の路地に足が向きました
路地に入り家の裏にある路地に入ろうとした時何気なく
自分の長く伸びてる影に目をやりました
 
するとその影がスーッと起き上がったんです
とても背の高い影で私はかなり顔を上げて見上げたのを覚えています
 
その時得体の知れない物を見て叫びたかったのですが
本当に怖い時って声が出ないんですね
とにかく逃げなきゃいけないと思いそのまま家の裏の路地に逃げ込み
家の裏なので物置みたいになっておりそれを避けながら一生懸命走りました

走っている最中一度だけ顔を少し後ろに向けたのですがその時
目の端にその影が追って来ているのが見えました

1軒目の横の路地に出てぐるっと回って家に逃げ込みました
様子がおかしいと思った母が駆け寄ってきましたが
私はその時「影が…影が…」しか言えませんでした
落ち着いてから状況を母に説明しました
母は黙って聞いてくれていました

結局正体は分からないままですがこれには後日談があり
私が中学生の頃たまたまその時の話を母としていて
母がふと実はあの時私が影が…影が…と言うので何気なく私の影があるべき所を見たら
灯に照らされて有るはずの影がなかったそうです
数秒間確認するため見つめていたら突然影がスッと出現したらしく
母は私が怖がると思ったのと
母は霊などは全く信じない人なので気のせいだろうと言う気持ちから私には黙っていたそうです

今でもふと思い出すことがあり
不思議な体験だったなと懐かしく思います


百物語2016 【本スレ】


13 : るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj :2016/08/20(土) 19:28:51.13 ID:UEO0zg090.net

去年の今頃、私は救急搬送され緊急入院した。
最初の検査の結果は大腸憩室炎で抗生剤の点滴で難なく治癒した。
 
入院のついでに詳しい検査をとドクターから勧められ了承、
内視鏡検査を受けることとなり準備に入った。
腸の検査で何が大変かというと、絶食と下剤、これに尽きる。
あの不味い不味い液体を2リットルも飲むのは生き地獄。


そして内視鏡検査の日がやって来た。
大腸はドクターが驚くほど綺麗で全く問題なし。ホッと一安心。
「念のため、苦しいけど小腸も診てみましょう」とカメラを進める。
小腸は細く曲がりくねっているから本当に気持ち悪い。
しばらくするとドクターの手が止まり
「ムム…、あーー…」
 
突然「画像を撮ります!」と言って看護師にあれこれ指示し撮影、慌しくなった。
嫌な予感が頭をよぎる。
そして検査が終了しドクターの説明。
「大腸は異状ありませんが、小腸に大きな腫瘍があります。」

 
画像がモニターに映し出される。
「錠剤1錠分も隙間がありません。今から絶食です。退院は取り消し!」
そして次の一言が人生を変えた。
「この大きさからして、良性ということはありえません。間違いなく悪性腫瘍、癌でしょう。」
 
私は呆然とした。
知らせないといけない人達がいるのに、その日は誰にも連絡しなかった。
ショックも恐怖感も何も感じなかった。


翌日、朝一番にドクターが部屋に来て
「これから詳しい検査をします。絶対に買い食いをしないように!命に係わります。」


数日後、カンファレンスがあった。
「非常に稀な癌です。原因はおそらく悪性リンパ腫、血液のがんでしょう。」
血液検査の結果は更に1週間かかるとのこと。
何もすることがないままの入院生活が続く。

そして血液検査の結果が出て、
「あり得ないことに血液は正常で悪性リンパ腫ではないことが判りました。」
 
小腸原発の癌は珍しく、アメリカで数例の報告があるのみとのこと。
そして、高度最先端医療の病院でないと無理と告げられた。
ドクターが知っている先生がいる最先端医療の病院があり、
既に受け入れの許可が出ているという説明を受け転院が決まった。




14 : るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj:2016/08/20(土) 19:30:18.52 ID:UEO0zg090.net
手術の前日、厳しい説明を受けた。
「前例のない症状でデータも存在しない。小腸に癌が発見されて成功した例もない。」
「検査では大丈夫と出ても、実際に空けたら手術不可能だったという例もある。
その場合は何もせず閉じる。」
更に「手術中に死亡する確率が高い。」とも伝えられた。
ステージはIIIa、昔でいう末期手前とのこと。
 
身内と親友に伝え、初めて泣いた。
手術はロボットと超音波によるデジタルオペとのこと。
執刀医と最先端医療、神様仏様に身を委ねた。

 
翌日、いよいよ手術だ。開き直って冷静な自分がいる。
全身麻酔なので痛みに関しては心配してなかった。
そして手術室、大きな4本のロボットアームを見たところで記憶は途切れてる。
 
「○○さん、手術終わりましたよ!」と看護師の声。
続いて先生が「成功です。広がってなかった。もう何でも食べられるよ!」
「あー、生きてる…」と思った。
そしてICUへ…。

 
正気に戻ったのも束の間、一瞬で自分の魂が傷ついた身体から抜けようとし始めた。
自分の身体は胸までしかない。
こんな感覚になり、ボロボロの身体を捨てる決意をした。
「もう俺は死ぬんだな…。」
そして身体と魂が分離した。

その瞬間、身体が下の方から砂になっていくのが分かった。
魂が砂になった身体を連れて行った先は…。
ご先祖と祖父母、両親が眠るお墓。砂になった身体が集まり墓石に吸い込まれ一体化していく。
 
「やっと皆と一緒に暮らせる…。」
安らぎを感じながらどんどん墓石と一体化していく。

もう少し…、と思ったところで何者かに跳ね返された!
「???」
……もう一度。
サラサラサラサラ……
また跳ね返されて砂が自分の肉体として再構築されていく。
すると、どこからか般若心経が聞こえてきた。
「観自在菩薩行深…。これで皆に逢える…。」

サラサラサラサラ……。
「戻りなさい…。」サラサラサラサラ……。


15 : るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj :2016/08/20(土) 19:31:15.57 ID:UEO0zg090.net
「○○さん!おはようございます!成功したねぇ!良かった…。」
目を開けると笑顔の看護師さん。 
一瞬戸惑う。
そして「もう身体ないから…。」と答えると、「えっ!?何!?大成功!!」
しっかり目を開けると、自分の身体があった。

そして、お腹の痛みを感じた。何かが頭を駆け巡り我に返った。 
軽く看護師さんの説明を受けた。
「手術中は心臓も肺も止めてたのよ。」

「じゃあ、一回死んだの?」
「そんなもんね。」
看護師さんは笑った。
 
私は心に誓った。
「せっかく生き返らせてくれた命、人の役に立つ生き方をする!」
そして、次の日からリハビリが始まった。
 
今は手術の傷跡も綺麗に消えて、こうして生きている。
「ありがとう」の気持ちと共に…。


百物語2015


307 : わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 05:05:22.61 ID:AgCPeYID0.net
これは私が父親から聞いた話です。


父親は幽霊などは信じないオカルト否定派の人間なのですが、昔体験した
今でも不思議でならない話がひとつあり、怪談の話などになるとそれをよく話してくれます。

それは大阪に住んでいる父親が
子供の頃に、踏み切り待ちをしていた頃の話だったそうです。

カンカンカンと鳴り響いていた遮断機の音が止み、ボォ~と低くよく響くような音が聞こえたそうです。
不思議に思い周りを見回してみても、そのような音を出すものは見えない。
近くなってくるその音を聞いていた父は、一つだけこの音の正体に思い至ったものがあったそうです。

そう、蒸気機関車が発する汽笛の音にそっくりだったのです。

 
父親が子供の頃と言えば昭和40年代、
その頃に大阪で蒸気機関車が走っていたと言う話は聞きません。
そして、音が近づくにつれて踏み切りの周りで
ざわざわと人の話し声のようなものが聞こえ始めたようです。

この時点で相当ビビッていたらしいのですが、更に不思議なことが起こったそうです。
 
父の視界の端に、ごった返す人ごみが見えたと言うのだ。
しかしそちらに視界を向けても、辺りに人の姿は全く見えない。
ざわざわと雑然とした話し声だけは耳に聞こえており、
それに追加して何か喧嘩するような怒鳴り声も聞こえてきたそうです。
そうこうしているうちにも汽笛の音はどんどんと近づいてくる。

 
踏み切りは開いており、線路を渡っていくのには問題がない。
しかし、気味が悪いその状況で踏み切りを渡る気にはならなかったそうです。 
急いで音の鳴っている方向から逃げ出し、それ以上のことは何もなかったとのこと。

 
結局あれは何だったんだろうなぁ、と今でもたまに語ってくれます。
それでもやはり幽霊などは信じていないそうですが……。


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