サイケデリック・奇譚

永遠の日常は非日常。

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百物語2015


254 : わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ:2015/08/30(日) 03:47:26.52 ID:AgCPeYID0.net
【72話】コソコソ ◆.PiLQRq.0A


あるバーで、毎年夏になると怪談会が行われている。
マスターが怖い話好きで、もう何年も続いている恒例行事だ。
毎年参加させてもらっているが、選ばれた何人かの語り部が順番に話していき、
最後の方は飛び入りで参加者から語り部を募るという形式は変わらない。

 
今年も用意された語り部たちの話が終わり、会場は良い感じに冷え切っていた。
飛び入りの参加者を募るが、当然ながら手を挙げる人は少ない。
いつもはしばらく時間がかかるのだが、今年はすっ、と手が上がった。
 
五十路を少し過ぎた、がっしりとした体格の男性だった。仮にAさんとしておく。
「上手く喋れるかどうか……」と一人ごちながら、Aさんは席に着く。


もう四十年近く前の話である。
当時小学生だったAさんは、虫を捕まえるために朝早く家の近くの雑木林に出掛けたらしい。
一人じゃ危ないということで、Aさんの父親が着いてきたが、
父親的には早く帰りたい気持ちでいっぱいだっただろう。

 
「今となっては親父の気持ちが分かるんですよ。仕事で疲れて、朝早くから虫探しなんて……」
正気の沙汰じゃない、とAさんは苦笑いした。

「それでもその時は、そんな親父の態度が気に食わなかった。だから悪戯して困らせてやろうと思って」

Aさんは父親が見ていない隙に藪の中に隠れたそうだ。
しばらくしてAさんがいないことに気が付いた父親が声を上げ始めた。




255 : わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:48:28.12 ID:AgCPeYID0.net
――お父さん、困ってる困ってる

Aさんは父親の狼狽する姿を想像してほくそ笑んでいたらしい。 
「最初は『しめしめ』と思っていたんですけどね、だんだん父親の声の調子が変わってきて…」


――お父さん怒ってる……

父親は突然居なくなった我が子を必死になって探しているのだろうが、
子供のAさんからすると「怒っている」と感じられて無理はない。
Aさんは藪の中から出るに出られなくなってしまった。


――出たら怒られる。

そう思いながらじっと身を縮めていると、徐々に父親の声が遠ざかっていった。
途端に辺りの音が大きくなる。
遠くの方でかすかに父親が自分を探す声がする。

――このまま置いて行かれたらどうしよう……

段々と心細くなってきた。
怒られるのを覚悟で声を上げようとした時、

「Aー Aー」自分のすぐ横から声がした。
 
自分の名前を呼ぶ声。父親の声。
でも、それは抑揚がない。合成音のような平坦な調子で「Aー Aー」と繰り返す。

 
「……誰?」
泣きそうになりながら、Aさんが声をかけた。


256 : わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:49:20.35 ID:AgCPeYID0.net
「だれー だれー」
声が変わる。自分の声になった。
 
Aさんは声の正体を探して藪の中を見渡しても誰もいない。
でも自分のすぐ隣で
「だれー だれー」と声は繰り返している。

 
「お父さーーん!」
耐えられなくなったAさんは藪から飛び出して、父親の声のする方に泣きながら走っていった。
大泣きしながら現れたAさんを父親が抱きかかえて宥めてくれた。
背中をさすられながら、雑木林を父親と連れ立って抜け出した。

 
「――そして、親父の車に戻りました。
ずっと怖くて泣いていたんで、親父はなんとかご機嫌取ろうとしたんでしょうね。 
『大丈夫大丈夫』って頭を撫でて『また来ような』って言ってくれました。 
『もう来たくない』って断ろうとしたんですけどね……」

Aさんはここまで話して、難しい顔をして黙り込んだ。
 
「気のせいかもしれないし、もう記憶も定かじゃないんですけど……」


Aさんの父親が『また来ような』とAさんに声をかけた直後、
車の後部座席から「またいくからー」と、
声がしたそうだ。


百物語2015


217 : わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 02:25:48.86 ID:AgCPeYID0.net
【60話】きみこ ◆JAZt4WtNrE

実話です

私が中学1年生のときの話です。
父は商社のサラリーマンで、出張が多く、半年ほど東南アジアを回っているときもありました。
母は、自宅の和室を使って茶道教室を開いていましたが、謝礼は実費程度のもので、
十数人、生徒さんがおりました。
そのときはまだ妹がいなかったので、一人っ子で甘えてばかりいた記憶があります。
 
10月のある日曜日のことです。
そのときは珍しく、父は会社関係の人たちと釣りに出かけていました。
私は部屋でのんびり過ごしていたんですが、
10時過ぎになって、母が部屋にきて「ちょっと出かけるから、一緒に来なさい」と言いました。
そのとき、びしっと和服を着ていましたので、
これはきっと外で食事をするんだろうと思って、ウキウキしてついていきました。

ところが母の車は、駅前通りを過ぎて、高速に入っちゃったんです。

「ねえ、どこへ行くの」
そう聞いたら、「〇〇市のお寺」って言われて驚きました。
それは同郷の両親の実家がある市で、9月のお彼岸のときに行ったばかりだったんです。
「またお墓参り?」と聞いたんですが、母は答えてくれませんでした。
それで私はずっと、車のモニターでアニメのDVDを見てたんです。
 
〇〇市までは2時間ほどかかりました。
高速を降りてすぐのファミレスに入って、昼ごはんを食べました。
もっと高級なところに行くのかと思ってたので、ちょっとがっかりでしたが、その後向かった先が、
お寺はお寺でも、いつも行っているお墓のあるところとは別で、
初めて行くところでした。
 
「えー、ここ何?」って聞いたんですが、
それには母は答えず、
「ご住職にきちんとあいさつしなさい」
そう言って、玄関口の呼び鈴を押しました。
 
出てきたのは、たぶん60歳ぐらいの作務衣姿のお坊さんで、母と私がおじぎをして、
かなり広い和室に通されました。
おそらくお葬式のときの控え室になるようなところです。




218 : わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 02:26:50.54 ID:AgCPeYID0.net
座卓が4つ縦に並べられていまして、その床の間に近いほうに座りました。
そこで、お茶とお菓子をいただいたんですが、
母とお坊さんが長話を始めると、私は正座してた脚がしびれてつらくなりました。

しばらくしてお坊さんが「じゃあ、持ってきますので」と言って出ていき、
すぐに木の箱を持って戻ってきました。
それで、母とお坊さんが向かい合う形で座って箱を開けました。
私ものぞき込んだんですが、
中には古くなって黄ばんだ写真が、そうですね、200枚以上乱雑に入っていました。

ほとんどがモノクロの写真で、見たことがない家族を写したものでした。
ええ、出てくる人が同じだったんです。
品のよさそうな和服のおばあさん。その人が祖母だと思いました。
それと今どき見ない丸い黒縁のメガネをかけたお父さん、
お母さんはきれいな人で、お父さんよりかなり若く見えました。

それと、ちょうどそのときの私と同じくらいの女の子。
いえ、私とは顔が似ているということはなかたっと思います。
髪型も、その子はテレビのサザエさんのワカメちゃんみたいなおかっぱでしたし。
そうですね、今になって考えると、
戦前、昭和一桁くらいのものだったと思います。

その写真の中で、女の子が写っている写真を一枚一枚、
テーブルに敷いた和紙の上に取り出し、母がその写真の上に右手の人差指をのせたんです。

ほとんどの写真に対して、母は「これは大丈夫です」と言いましたが、
「これはちょっと」とか「障りが残ってます」こう答えた写真は脇に寄せられました。
そういうのは10枚に一枚くらいでした。
 
私は、足がしびれたのと飽きてきたのとで、
母の袖を引いて、「お母さん、お庭見てきてもいい」と小声で聞いたんです。
それが聞こえたのか、
お坊さんが「いいですよ。いってらっしゃい」そう言ってくださったので、
なかば這うようにして部屋を出て、
廊下に座り込んで親指を引っ張ったりしました。

それから玄関を出て、本堂のまわりをぐるっと回ってみました。
いつも父母と行くお寺とは違って、どこにもお墓がなかったんです。
それと、本堂の入り口の上のほうに、大きな亀や龍の彫刻がついてて、
そういうのを見たりして時間をつぶしました。

いえ、怖いという気持ちはなかったです。
さんさんと陽光が降り注いでいましたし。


219 : わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 02:28:56.08 ID:AgCPeYID0.net
30分くらい外にいて戻ってみると、あらかた写真は仕分けされていました。
二つになっていた写真の山の、少ないほうを
お坊さんが和紙に包み、
「ではよろしいですね。こちらはご供養に回しますよ」
懐に入れて立ち上がり、部屋を出て行きました。

母は一仕事終えたみたいに肩で息をついていて、
「今の写真は何?」って聞きたかったんですが、そうできませんでした。
これについては、今になっても何であんなことをしたのかわかりません。私を連れていった意味も。
外で日が陰ったのか、急に障子が暗くなりました。

そのとき気配を感じたんです。
横を見ると、座卓が縦に4つ並んだうちの、私から近いほう2つ目の座布団の横に、
海藻のようなものが落ちていました。もじゃもじゃで、黒っぽい緑色の。
「何かな」と思って見つめていると、それがだんだん上に浮き上がってきました。
「え?」
海藻の下には、白いぶよぶよしたやわらかいもの。
あの、傷口にずっと絆創膏を貼っておくと、下の皮膚がふやけますよね。
ちょうどあんな色で、かぼちゃみたいな形の。
だんだん上に出てくるにつれて、二つ黒い眼窩があるのがわかりました。

「人の頭? それが畳から生えてる?」
私は固まってしまったんですが、放心したような状態の母の袖をなんとか引っ張りました。
「あ、あれ!」
母がそちらを見て、ビクンと体が震えました。 
私の体をつかんで後ろに下げるようにし、
自分は正座の姿勢のまま、それのほうに出たんです。

それはもう口のあたりまで浮き上がっていて、やはり真っ黒く開いた鼻の穴、それと厚く腫れた唇。
唇はかっと開いて、やはり黒い口と、ぼろぼろになった歯が見えました。
 
「いやー、何あれ!!」
私は叫び声を上げてしまいましたが、母が私を手で制して、
ゆっくりした動作で数寄屋袋を引き寄せ、中から茶道の扇子を取り出しました。
それはもう肩まで畳から出て、こちらに向かって
腕を伸ばしていましたが、母は自分の前の畳に扇子を横一文字に置いたんです。
それが「おああああああ」というような声をあげると、
母は静かに、しかし強く首を振りました。

そのとき、血相を変えたお坊さんが部屋に走りこんできました。


220 : わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 02:32:19.08 ID:AgCPeYID0.net
するとそれは、上半身だけで畳にうつ伏せになり、そのまますっと消えたんです。
母が、数珠を持った手を前に伸ばしたお坊さんに向かって
「まだ許されていないようです」

こんなことを言いましたが、なんとなく恥ずかしそうな響きを感じました。
 
怖いことはこれだけでした。
その後は寺を後にして車で家に戻っただけ。
帰りの車中で、よほどさっき畳から出てきたもののことを聞こうと思ったんですが、
できませんでした。
母の背中から、全身で質問を拒否してることがわかりましたから。
 
車を降りるときに、「今日のことはお父さんには内緒」母が言いました。
その後も、何度もこの日のことを思い出して、その度に母に質問しようと考え、
いざとなって言い出せなくなってやめる。そのくり返しでした。

あのことを聞いたら、せっかく幸せにやっている家族の関係が、崩れてしまいそうに思えたんですよ。
畳から出てきたものは、写真の家族の誰とも似ているとは思いませんでした。
というかあまりにも白くふやけて
ふくらんでいたので、もし写真の誰かだとしても見分けられるとは思えないです。

・・・その後、震災があって、
私も長く水に漬かっていたご遺体を、いくどか目撃したんですが、それと同じ状態だと思いました。

これでほとんど話は終わりなんですが・・・
今年になって、私に妹ができることになりました。
生まれてくるわけではなくて、
出張中の父が、インドネシアの孤児の女の子を、養子に迎えることに決めたんです。
2012年のスマトラ沖地震で両親を失った子どもです。 
私たちも東日本大震災を経験して、幸い家族に被害はありませんでしたが、
人事とは思えなかったということです。

母も手放しで賛成しています。
父の同僚のアメリカ人たちにも、現地の子を養子として育てている人は多いんだそうです。
その子は人身売買の組織から取り戻されたばかりということでした。
今、そのための手続きを、NPOにお願いして進めているところなんです。

それで、父からはその子の写真を見せてもらったんですが、
あのお寺で見た写真の女の子によく似てるんです。
でも、時代も違うし、日本人とインドネシア人だし・・・ 
どういうことなのか不思議でなりません。


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260 : わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:53:07.69 ID:AgCPeYID0.net
【74話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様 
 

知り合いの話。

彼の実家には古くて立派な蔵があるそうだ。

これは、彼がまだ幼い頃のこと。

夜中、祖母が蔵の横を通り過ぎると、中から人の気配がした。
「誰か中にいる?」と問うたところ、「すいませんっ」と慌てた声が返ってきた。
同時にバタバタッと、何か暴れるような大きな音がする。
取りあえず中を確認しようと扉を見ると、閂も鍵も掛かったままだった。


「泥棒だ!」と動転した祖母は、急いで他の家人を呼び集めた。
数を頼みに中を確認してみたが、蔵の中には誰もいなかった。
ただ、綺麗に積んであった筈の荷物が、至る所で崩れていたという。
 
人が隠れられるような場所もなく、出て行けるような箇所もない。
家人たちは口々に不思議だと言い合った。

ただ祖父だけは笑ってこう言った。 
「大方、裏山の狸の類いが悪さしに来てたんだろう。昔はウチまで下りてきちゃあ、騒いでたモンだ」


まだ幼かった知り合いは、
「え? あの蔵の中にドラえもんがいたの!?」と叫んだ。
彼にとって狸から連想できるものは、ドラえもんしかなかったらしい。
家族皆に大笑いされたそうだ。


「アンタのおかげで、怖くなくなったよ」
祖母がそう言って頭を撫でてくれたのが、子供心に嬉しかったそうだ。


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189 : 猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU :2015/08/30(日) 01:27:26.50 ID:slHZZ5U50.net
【51話】チッチママ ◆pLru64DMbo

 
田舎で昔の話だから、わりと怖い話は多かったんですけどこれは私が直接見たのではないです

小学校の近くに踏み切りがあるんです 
そこを超えると小高い山があって昔の防空壕があったそうです
話は聞いてましたが地元の誰もが近づくなというので私は行きませんでした
同級生の男の子たちが肝試しにそこに行くというのを聞いて誘われたけど断りました 
やんちゃ坊主の4~5人のうちA君がリーダーな感じで、そこに行ったそうです

次の日に女子たちに彼らが興奮した様子で教えてくれました
「最初はおもしろ半分でさ」
「古い神社の奥に穴があったよ」
「墓みたいだっけど人の手で掘られてた」
「入ろうってAが言ったけど俺たちは気持ち悪いって言ったらあいつ入ってった」
「でAが笑って、弱虫って出てきた時に俺らみたんだよ」
「ああ見た」
そこで一旦何かに怯えるように話は止まりました

「なんか緑の人影がさ…ゆらゆらついてきてた」
「目だけリアルにギョロギョロしてて」
「あ、やべーってAに言ったらさ怒るんだよ、脅すなとか」
「でもいたよな」
「ああ」
「だからAに後ろ振り向けって言ったんだ」
「Aが振り返る直前に目玉が上からAを睨んでスッで全部消えた」
「だからAは見てない、見てないから俺らにめっちゃ怒ってきたけど」
「もう無理だって俺たち帰ってきた」
 
何それ?と女子たちや他の子がざわついてる時に当人のAが
教室に入ってくるなり一緒に行った仲間を見て
「やい!!弱虫野郎ども!!どうせ昨日のオバケみたみたいに話してんだろ」と
彼らと言い争いになりました
それが朝のホームルーム前の時間で、そのうち時間がきて担任の先生が来ました




190 : 猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU :2015/08/30(日) 01:34:09.25 ID:slHZZ5U50.net
先生は男の先生でした
田舎では寺の息子が先生になる率が高くて、その先生もその一人でした

先生は最初は「何を騒いでるんだ」と言ってましたが、Aの顔をみるなり
初めてみるような険しい顔でいきなり
「おい!!Aお前なにしたんだ!!何あったんだ!!」と怒鳴り始めました
私たちは先生の剣幕と突然の出来事に固まっていた、その時に突然大きな「プォーン!!」という
サイレンのような音とキキキーッという大きな物が止まる音がしました
皆が窓際に走っていくと、近くの踏切で電車が止まっているのが見えました
 
そんな光景は初めてで、
他のクラスの子達も「わー」とか「すげぇー」と窓際に集まってパニック状態でした
先生たちも茫然としていたり、われに返って席に付けと怒っていたり、
わりと長い時間に感じまし た。

私の担任はともかく座れと私たちを席に座らせ
「ちょっと他の先生を呼んでくるまで、皆はここで待ってなさい」と、
なぜか不思議そうなAだけ連れて教室を出ようとした時に、教頭先生が私の教室に走ってきました
「Aは!〇山A君はいますか!はやくきなさい!」と担任とAとで教室を出て行き、
そして二人ともにその日は帰ってきませんでした
子供心に何かあったんだなと不安で嫌な気持ちになったのを覚えています

次の日の朝に母が新聞を見ながら「〇山A君って、あんたの同級生?」と聞かれました
言葉を濁す母に無理に聞いたところ、
あの日に踏み切りに飛び込んだのはA君のお母さんだったそうです
大人たちは「せめて子の近くにいたかったから、あの場所」と言っていましたが
私たちは別の原因があったような気がして仕方ありませんでした
 
その日からA君は転校してしまい、担任の先生は厳しい顔で
「二度とあの場所には近づいてはいけない」と言い、
実際に子供たちに危険との事で何か月かは大人のバトロールがその付近を巡回していました


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170 : 宵待草@代理投稿◆zGmkUMDv/mqt:2015/02/20(金)19:22:13 ID:qVe
第56話 『カルタ』 葛◆5fF4aBHyEs


祖母がまだ小さかった頃の話だ
遊び道具なんてまだほとんど無かった時代、
祖母は友人のMちゃん、Yちゃんと一緒にいろはカルタを手作りしたらしい
三人で読み札と取り札を作り、さあ遊んでみよう、となったそうだ

最初の一回は祖母が読むことになり、MちゃんとYちゃんが札を取ることになった

「い ぬも歩けば棒に当たる」
「はいっ」
「そ ですり合うも他生の縁」
「はいっ」
「あ、取られた!」
「あはははっ」


他愛も無いやり取りをしながら、あっという間に読み札は全部読み終わってしまった……
のだが、何故か一枚取り札が残っている
「あれ?これ何だっけ」
Mちゃんが取り札を手に取るのにつられて、祖母とYちゃんも覗き込む

そこには○囲いされた ん の文字と、吊された骸骨の絵が描かれていた
首に縄をかけて吊された骸骨は、そう、まるで首吊りをしているようだった


「何これ、気持ち悪い」
「誰が描いたの?」
「私じゃないよ」
「私でもない」
「でも、私も描いてないよ、こんなの」

口々にそう言って否定し、三人で顔を見合わせる
やがてMちゃんが肩を竦め、「まあいっか」と札を屑籠に入れる


……Mちゃんが亡くなったのは、それから3日後
物置小屋で遊んでいて、紐が絡まったまま天井の梁から落ちたそうだ

その話を聞いた祖母は屑籠を覗いてみたが、あの取り札はどこにも見当たらなかったらしい



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170 : スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw :2015/08/30(日) 00:53:48.82 ID:ujnfAOrg0.net

唐突な話で面目ないけど、
皆さんは『夏』と言えばまず何を思い浮かべますか? 
まあ人それぞれとは思うけど、『海』『プール』とかの回答がやはり多いかも知れない。
  
実は大学時代、夏休みに帰省した際に必ずお世話になるバイトがあった。
いわゆる『プールの監視員』というやつである。
市から管理委託されたファミリープールの運営団体のお偉いさんが顔見知りで、
毎年書き入れ時になると声をかけて貰っていたものだ。
  
じりじりと肌を焦がす炎天下での2時間×3セット、端で見るよりもかなりハードな仕事なのだが、
貧乏学生にとって時給900円の実入りは当時なかなか魅力的だった。 
そんな遠い夏の日のお話である。


お盆の最中だったろうか。
前日までの猛暑もどこへやら、その日は雲行きも怪しかったせいかシーズンの割にはお客が少なかった。
いつもはけたたましいばかりに鼓膜を襲う子供たちの喧噪も、この日はさほど苦にならない。
俺はいつもの様にウォータースライダー(流水滑り台)の櫓の最上に陣取り、
次から次へと登ってくる子供たちを2本あるレーンに誘導し、
頃合いを見てスタートのホイッスルを鳴らすルーティンワークを続けていた。

『あ~、次のローテーション交代まであと何分だよ。冷たいスイカバーが食いたいな』   
気だるさの中でそんな事を考えていたところ、ふと何者かの気配が…
いつの間に登って来たものか、右側のレーンにちょこんと座っている小さな姿が俺のすぐ足下にあった。
 
「う、ごめんね。ボケっとしてたよ。…じゃあ、準備はいいかな?」 
 見たところ小学4~5年と言ったところか、
他の児童が皆こんがりと日焼けしているにも関わらず、その痩身の少年は
なぜか透き通る様に真っ白な肌だったのが印象に残っている。 
そして彼の被るスイミングキャップには、もう十数年前も前に統合合併により廃校となって久しい、
付近の小学校の校章が見て取れた。
 
『お兄さんか誰かのお下がりかな?
しかし最近には珍しく物持ちのいい家の子だなあ』




171 : スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw :2015/08/30(日) 00:54:51.18 ID:ujnfAOrg0.net
不躾な俺の興味もどこ吹く風とばかりに、無言のままレーン上で脚を伸ばす少年。 
大抵の場合、今まさに滑ろうとしている子供はテンションが上がりまくりで
ウキウキソワソワせわしないものなのであるが、
その子は無表情な顔貌を崩す事無く
スロープ下の着水プールを、切れ長ではあるが妙に虚ろな眼差しでぼんやりと見つめているばかり。 
確かに緊張して固くなる子も居るには居るが、
その少年の醸し出す雰囲気はそれらともまた異なった、
名状しがたい違和感と言ったらいいものか…
紙ヤスリで擦られたかの様なザラついた感覚が俺のうなじを不気味に撫でる。

 
「じ、じゃあ、行くよ」 
心中にじわりと広がる不可解な何かを振り払うかの如く、勢いよくホイッスルを鳴らす俺。
それと同時に、少年は無表情のままで約12メートル下にあるひさご型の着水プール目がけて
音も無く滑り出していった。 
少年がスロープ半ばにさしかかるのを認めた直後に管理棟の大時計に目をやる。
錆び付いたフレームに縁取られた年代物の時計の針は、14時45分を指していた。
 
「あと10分で最終ローテか、もうすぐだな」 
ここで本来であれば、プールに着水する際の豪快な水音と共に
稚気を孕んだ歓声が沸き上がるはずであった。
はずであったのであるが…
「?」

とっくに着水しているタイムであるにも関わらず、水音も何も聞こえないのである。
慌てて目をやった着水プールでは、湿りつく風に煽られたさざ波だけが、
まるで何事も無かったかの如くかすかに水面を彩っているだけ…。

「ま、まさかスロープの途中でコースアウトして下に落ちたって事は無いだろうな!」 
勿論、スライダーには両脇に危険防止のための柵が張り巡らされている。
しかし万が一のことを考え、慌ててスライダー下のプールサイドを確認する俺。
幸いにも…と言って良いものか、
眼下のプールサイドには安物のビーチボールがただ一個、
あても無くタータンエリア上を転がっているのみであった。


172 : スヴィトリアーク ◆CQ0ZL4vfUw:2015/08/30(日) 00:56:39.71 ID:ujnfAOrg0.net
『どういう事なの?俺が目を離した2秒ちょっとの間に一体、何があった?』 
訳が判らず、流水プールのほとりに配備された同じバイトの地元学生に向かい、
インカムのマイク越しに俺は絶叫にも似た金切り声を叩きつけたものである。
「おい!今滑った男の子、どうした!」 
そんな俺の焦燥感を逆なでする様にイヤホンから聞こえてくる、同僚の呆けた声。

「何言ってんすか?さっきから誰も滑って来てませんよお。
俺なんか、誰も居ないのにあなたが上でいきなりホイッスル鳴らすもんだから、
どうしたんだろと思いましたもん」
「う…、ホントかよ」

そうこうしているうちに小雨がぱらついて来た。
早めに休憩せよとの本部からの指示を受け、俺は釈然としない思いを残したまま櫓を降り始める。
ビーチサンダルと階段に敷かれた鉄板とが織りなすパタパタと軽い足音までもが、
何故か自分をせせら笑っているかの様に感じられたものであった。
 
『頭が暑さで沸いちまったかねえ…』
半ば強引に自分を納得させつつ、翌日以降もスライダーの櫓上に俺は佇む。
気の早い風が、刺す様な熱波にさんざん痛めつけられた赤銅色の肌をくすぐり始めて
バイト期間が終了するまでの数週間、あの少年に再び相まみえる事は無かった。

  
北国の夏は短くバイトも既に最終日。
お世話になった礼もそこそこに、
俺は現場を仕切る齢60絡みの管理主任の爺さんに件の話を軽く振ってみた。
爺さん曰く、
「ああ。そんなしょっちゅうじゃないけど、たまにあるよ。
昔はここで心臓マヒになって可哀想な事になった子も居たもんさ。
以前は夜中のプールで笑い声を聞いた人も居たし、
誰も居ない更衣室の防犯センサーがひっきりなしに反応したりなあ…。
まあ、お盆時期なんだからそんな事もあるわな」

  
屈託無く、笑みすら浮かべながら話すその爺さんの顔を見て、
俺は別の意味で背筋が寒くなりましたよ、ええ。



おーぷん2ちゃんねる百物語2015 


68 : 代理投稿立候補◆YtFiiqjbeo:2015/02/14(土)21:47:25 ID:Vve
第24話代理投稿立候補YtFiiqjbeo


幼い頃、白くぼんやりと光る球体をよく見ていた。
球体は大抵、私が1人で夕暮れ時の町を眺める時現れた。

目撃する頻度はまちまちで、1週間に1度見える時期もあれば、
数ヶ月間姿を見せない時期もあった。
球体は、どこかの家の窓から飛び出し、暮れつつある空のどこかに消えていくのが常であった。
その光景はとても幻想的で、
夕暮れ時の町を眺めることは幼い私にとって楽しみな時間だった。


ある時、祖父の家の庭で遊んでいると、
出掛けており留守だった祖父の部屋から、球体が飛び出すのを目撃した。
私は非常に興奮し、急いで家に入ると祖母の元へ走りよって
球体が祖父の部屋から飛び出したことを報告した。
すると祖母は悲しそうな顔をして、球体のことは祖父に絶対話さないよう私を諭した。

私には何故球体のことを祖父に話してはいけないのか全く検討がつかなかったが、
祖母の言いつけを守り祖父には一切この話をしなかった。


球体をみた数日後、祖父が亡くなった。
就寝中に心臓が止まり、そのまま息を引き取ったらしい。
そして祖父の死以降、私は光る球体を見なくなった。

あの球体は何だったのか、今となっては分からない。
祖母は10年前に亡くなった。
結局球体のことは聞けずしまいのままである。


おーぷん2ちゃんねる百物語2015 


41 : 代理投稿立候補◆YtFiiqjbeo:2015/02/14(土)20:26:12 ID:Vve
箱?◆1VqmHx3hiI

実体験だから怖いかどうか微妙で、
特にオチもないけどせっかくの機会だから投稿する。


僕の実家の天井裏には絶対に開けてはいけない箱がある。
開けてはいけない箱の形状はいたってシンプルだ。
10㎝四方の漆箱、埃をかぶり装飾は何もない。
蓋を固定するために十字に絞められた紐はほぼ朽ちかけていてぼろぼろ。

実はこの間、双子の兄と箱を開けてみたのだが
怖いことは何も起こらなかった。
なんだ何もないのかよと思い祖父に箱を開けたことを報告すると、
天井裏を勝手にいじるなと叱られたあとで昔話をされた。
長くなると思うからここらで一旦切る。




42 : 代理投稿立候補◆YtFiiqjbeo:2015/02/14(土)20:26:49 ID:Vve
祖父の話によれば、僕らがまだ幼い頃3つ上の従兄弟が箱を開けた後、
「黒くて怖い地を這う女」の幻覚幻聴に苦しめられながらじわじわと弱っていき、亡くなった。
死因はよく分からず、乳幼児によくある突然死的な扱いだったらしい。

箱はすぐ神社に持っていきお焚きあげしてもらおうとしたが、
どうしたわけか燃えずに焼け残り、
なおかつ箱を燃やそうとした神社で不審火が多発したことから我が家に戻された。

それ以降、何度か誤って箱を開けてしまうことがあったが、
特に何も起こらない。
だから、とりあえず大事をとり「開けてはいけない」ことにして天井裏に保管しているのだそうだ。


正直この昔話は怖くなかったのだが、そういえば小さい頃に
男の子が真っ黒な女の人につれられて
我が家の廊下を歩いている夢を見て泣いてたな~って思い出して、ちょっと怖くなった。
ちなみにこの夢は兄貴も見ていたらしい。


百物語2015


270 : わらび餅◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 04:06:40.87 ID:AgCPeYID0.net
【78話】Big ◆iq3nGde8rU 様 
 

このような濃霧の中では、何かがくるとも言われます。
何か・・・とは、前の話のようにキツネやタヌキなのかもしれませんし、あるいは
人や獣どころか、この世のものではないかもしれません。

やはり猟をしていた5人組が、山中で濃霧に遭遇し、前の者の腰をつかんで、
そろそろとムカデ歩きをしていたときのことです。
最後尾の男が、「おやあ、何か来た」と声を出しました。

こういう場合、前に立つリーダーは、「何も来ねえ、気をしっかり持て」と声をかけます。
仮に他の登山者が後ろにいるのだとしても、何もしてやることはできませんし。
お話したように、来たのがこの世のものとはかぎらないからです。
 
「うんだな」
最後の男はつぶやきましたが、またしばらくして、

「何か来た、何か来た」と叫びました。「何かが俺の腰に取りついとる!」と。

リーダーが「何も来てねえ」とまた言い、残りの者も「んだ。何も来てねえぞ」と復唱します。
最後尾の男は黙りましたが、
またしばらくして、
「来たぞ、来てるぞ。女の手だあ。こらあ俺の女房の手だろう」

これを聞いて皆はぞっと背筋が寒くなりました。
男の女房は去年の冬に肺炎で死んだのを知っていたからです。
それもちょうど今頃の時期に。

「〇〇さぁ」
最後尾の男はリーダーの名前を呼びました。




 271 : わらび餅◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 04:07:24.61 ID:AgCPeYID0.net
「俺、ここに残ってもいいかあ。女房が来てるようだども」
「ダメだあ!」
リーダーが叫び、残りの者も復唱します。

「おめえの女房はもう鬼籍に入っとるだろうに。そら、おおかたメス狐だろうて」
リーダーはそう言うと4人目の男の名を呼び、
「□□が離れねえようにおめえ、手首を引いてやれ」こう指示したのです。

しばらく進むとまた、最後尾の男の声が聞こえて、
「今よう、俺の女房が隣について歩いておる」こんな内容です。

リーダーは
「この霧じゃあ見えるわけがなかろう。そら、この世のもんではねえから」
そしてひときわ声を張り上げて、
「オン アビラウンケンソワカ」と唱えました。
そのあたりの山はいわゆる霊山でもあり、修験者の姿を見かけることも多く、
猟師連中も真言(マントラ)を知っていたのです。

一行はそのまま、
「阿 毘 羅 吽 欠 蘇 婆 訶 」と地水火風空の真言を唱和しながら、ムカデ姿のまま、
ゆっくりとゆっくりと山を下ったのです。

もしもはたから見ることができれば、さぞや異様な光景だったことでしょう。
ともかく、そうしているうちに霧は晴れ、一人の脱落者も出さず戻ることができたそうです。



百物語2015


291 : わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 04:37:01.92 ID:AgCPeYID0.net
【86話】柚子 ◆jQbx36WU5o1j 様 
 
姉が小学生の時に体験した話です
小5の頃、姉のクラスメイトにYちゃんという子がいました
しかしYちゃんは事故で亡くなってしまったんです

小6になったある時、仲良しグループのMちゃんがこんな事を提案しました

「かごめかごめってあるでしょ?
あれでね鬼がいないままやると霊が出るんだって。
その時に亡くなった人が鬼としていることにしてやると、その亡くなった人が現れるんだって」

「もしYちゃんがいるとしてやったらYちゃんが来るのかな? 」
姉が何気なくそんな事を呟くと
「Yちゃんに会えるのかな?」
「やってみる?」
姉たちはそのかごめかごめをやることになりました

 
その日の昼休み、姉たちは音楽室に行きました
ここなら昼休み中でもあまり人が来ないいため選んだようです
集まった5人は手を繋いで輪になりかごめかごめを始めました

「最初の鬼はYちゃんね」
「誰が後ろにいるかちゃんと当ててね」
5人はあたかもそこにYちゃんがいるかのように声を掛けました

「かーごめかーごめ、かごのなーかのとーりーはーいーついーつでーやーる、
よーあけのばーんに、つるとかめとすべったー
うしろのしょうめんだぁれ?」

 
「ア…ア…ア…」


聞こえてきたうめき声に5人はとっさにそこから駆け出しました

「今の何!?今の何!?」
「さっきのMちゃんでしょ!」
「違う違う」
「ねぇもしさっきの声がYちゃんだったら逃げたのはまずくない。
怖がったりしたらYちゃんが可哀想だよ!」

姉も確かにYちゃんなら逃げるのは酷い行為なのではないかと思ったそうです
音楽室に戻ることになりましたが
そこで昼休み終了のチャイムが鳴ってしまい放課後また来ることにしました




292 : わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 04:38:06.24 ID:AgCPeYID0.net
放課後姉たちはまたかごめかごめをしました
しかし今度は何も声はしません

「Yちゃんさっきは逃げてごめんね」
「もしYちゃんなら出て来て。もうYちゃんのこと怖がったりしないよ」

みんな謝りましたが何も起こりませんでした

昼休みに聞こえた声はYちゃんだったのか
もしかしたら気づかなかっただけで音楽室に誰かいたのかもしれません
姉たちは帰ることにしました

校門を出て少し離れたところでふと姉は立ち止まり音楽室を見ました
三階の一番端の窓
そこに誰が立っていました
距離があるので顔までは分かりません 
なんとなくYちゃんに似てる気がする

姉は「ねぇあそこ見て」
他のみんなも姉が指す音楽室を見ました
Yちゃんに似てる女の子はこちらに向かって手を振っている
「もしかしたらYちゃんじゃない?」
「本当に会いに来てくれたのかも」

『Yちゃーん』
5人は音楽室に向かって手を振り返しました 
すると突然女の子は真っ黒な影になったかと思うとドロリと溶けるように形をなくし
黒い塊はべちゃりと窓に貼り付いて煙のように消え失せました

姉たちは悲鳴をあげそこから急いで逃げ去りました

果たしてあの黒い影はYちゃんだったのか
それとも別の何かだったのか

姉たちは後日Yちゃんのお墓参りに行き謝ったそうです


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