サイケデリック・奇譚

永遠の日常は非日常。

カテゴリ: サイケデリック・カルチャー

「パプリカ」は、2006年の日本のアニメーション映画。
監督は今敏、原作は筒井康隆による同名の長編SF小説。


第63回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門へ正式出品されている。
また、第19回東京国際映画祭のanimecs TIFF 2006のオープニング上映作品ともなっている。


キャッチコピーは「私の夢が、犯されている―/夢が犯されていく―」




【ストーリー】
主人公・パプリカ(コードネームのようなもの)は、夢を共有する装置DCミニを使用するサイコセラピスト。
そのDCミニが研究所から盗まれたことにより、、他人の夢に強制介入し精神を崩壊させる事件が発生。
パプリカ達は犯人の正体・目的を探り出す為に動き出すが・・・・・。


夢・脳・想像(妄想)が入り乱れるため、細かい部分は割愛。(というか、説明できない)
意味深なラストが余韻をかきたてる。

本作はアメリカでも公開されており、公開19週目には興収が87万ドル(約1億円)を突破。
(米国内ではR指定。人間が無機物に取り込まれて狂ってゆく様子≪夢と現実が混濁≫がショッキングとされたと思われる)


今氏の監督作品は「パーフクト・ブルー」など、人間の心理・異常性の表現が見事であり、制作された年を考えると早すぎた天才のきらいも感じられる。

つくづく逝去されたのが残念だ。

好みもあるかもしれないが、こちらも是非お薦めしたい作品のひとつである。



貴志祐介原作の小説「黒い家」。
1999年に森田芳光監督、内野聖陽・大竹しのぶ主演で映画化された。

コピーは「この人間には心がない」。





【ストーリー】
大手生命保険会社で保険金の査定業務を担当する主人公は、保険加入者である菰田重徳からの呼び出しにより菰田家を訪問する。
そこで菰田家の子供(妻の連れ子)が首を吊った状態で死亡しているのを発見。

「黒い家 1999」の画像検索結果

茶を飲みながら、堂々と死亡した子供の保険金を請求する菰田家。
しかし事件性の疑いが濃厚であったことに加え、菰田家には以前にも不可解な保険金請求があった。
会社側は保険金の支払いを保留するも、菰田重徳は執拗に支払いを求め続ける。
疑念を抱いた主人公は、一連の事件の首謀者を重徳と推測し、妻の幸子宛に注意を促す匿名の手紙を送るのだったが・・・・・。

やがて主人公とその周囲の人々の命が脅かされる恐怖の日々が始まる。
主人公の恋人が勤務する大学の研究室の心理学助教授が、プロファイリングによって菰田夫妻がサイコパスではないかとの可能性を指摘した矢先に惨殺される事件が発生。

次々と起こる事件にようやく夫は妻の操り人形にすぎないことに主人公は気づくが、恋人も誘拐され監禁され、説得も哀願も、言葉の意味でさえ全く通じない「一般人」の「100%悪意のない逆恨み」に、翻弄されてゆく。

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原作・小説の方は、サイコパスの世界に引きずり込まれたごくありふれた人間の日常の綻びが不条理な恐怖をかきたてるが、映画はやはり映像の印象が強いからだろうか、「サイコパスという普通の人間」が醸し出す世界に圧倒されてしまう。
大竹しのぶの演技の素晴らしさ(異常・無感覚・悪意のない悪意)も忘れられない。


「黒い家」の画像検索結果


この映画及び小説で大きな役割を果たしているのが、「指狩り族」と称される保険金詐欺の存在だ。
保険金には生命保険と損害保険がある。

仕事中により工場等の事故で指を欠損した場合、数十万から100万単位の保険金が支払われる。
手指の欠損事故による補償金を目当てに、わざと自らの指を切り落とすケースだ。
もちろん犯罪である。

だが、全く心のない、感情のない人間がいるとすれば、その恐ろしさはもはやフィクションを超える。


翌年韓国にてリメイク。
現在ユーチューブ等で検索して現れる画像のほとんどが韓国映画の映像である。



第4回 日本ホラー賞受賞作。
日本ホラー小説界の第一人者でもある。

本来ならばネタバレしてしまうような記事はご迷惑だとおもうのだが、ふとした「日常の中」の異常・不条理・目に見えぬ恐怖を描き出す作家としてぜひとも紹介しておきたい。

題材は「保険金殺人」。

生命保険会社の保険金査定が仕事の主人公が、ごく普通に暮らし、生活に疲れながらも何とか必死に生きている人々の生活を根本から覆すようなリアルな作品である。


【あらすじ】
主人公は、生命保険の査定をしている。
顧客の家で、期せずして子供の首つり死体を発見したことから事件に関与していくのだが・・・・・。

念のため申し上げると、これは「ホラー」恐怖の物語であり、ミステリーではない。
矛盾するようだが、現実のリアルな恐怖は、人間の想像をはるかに超えるものなのだ。

また、書評家の西上心太氏は超能力や妖怪などの超自然的存在を利用せずに、血も凍る恐怖を描くことに成功した、と評している。



1999年に映画化。

大竹しのぶの演技が大きな評判を呼んだ。



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 「瓶詰の地獄」は、探偵小説作家夢野久作の小説であり、雑誌『猟奇』の昭和3年(1928年)に掲載された。掌編ともいうべき短い作品。

物語は、砂浜にたどり着いた3つ瓶の中にそれぞれの手紙が同封されていたというもの。
ざっとあらすじだけをかいつまんでみるが、夢野久作のめくるめく迷宮味は実際に読んでみないと理解するのは困難と思われる。

内容は離れ小島に、兄と妹らしき2人が漂流し、瓶に救助の手紙を入れて流したものの手紙部分だけである。他に一切の記述はなし。
手紙の順番が逆に示されることにより、一層の悲壮感・やるせなさが悲劇的な効果を生む。
が、他に何の記述もないので、久作独特のめまいにも似た存在の危うさが感じられる。

以下、ネタバレ。

【1つめの瓶詰の手紙】
・筆者・・・・妹
  ・救助の船に両親の姿を見つけ、心より感謝するも同様に深く謝罪に怯え、涙ながらに許しを請う手紙。
  兄と一緒に身を投げる意志を伝える絶望の内容。

【2つめの瓶詰の手紙】
・筆者・・・・兄
  ・何年も島に閉じ込められ、半分は絶望しつつ希望を捨てきれずにいる苦悩が記されている。
  妹と2人、もしどちらかが先に死ねば1人取り残される不安・やっとのことで作り上げた小屋も火事で消失。
  ひたすら身を寄せ合いながらも、成長に生じて心も変化してゆく。
  緑豊かで食物も豊富な楽園のような島で、最後の尊厳だけは守りたいと神に祈り続ける。

【3つめの瓶詰の手紙】
・筆者・・・・不詳 おそらく兄がかいたと思われる
  ・たどたどしい内容で、お父さん・お母さんに助けを求める兄弟のあどけない文章。


「オールナイトロング」は、1992年に製作された日本映画。
角田英介主演。松村克弥監督、脚本。上映時間90分。


全編に血しぶきが溢れ過激な残虐描写で話題を呼び、映倫の審査員(全員)と松村克弥監督が衝突、結果的にはR指定になった。

日本では4作目と5作目は既にDVD化されているものの1 - 3作目は2008年現在、ビデオソフトのみ。
(米国では全てDVD化されている)


「オールナイトロング」 1992年
・ごく普通の青年ら3人が主人公。
そのうち1人の彼女が不良集団に襲われレイプされ、亡くなった。
怒った彼らは復讐を計画、猟銃を持ち出し不良達をボコボコにする。
しかし、過って発砲し1人を射殺してしまう・・・・・
行き場のない鬱積・怒り・凶暴化した狂気に彼らの「復讐」はただの殺し合いになってゆく。


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「オールナイトロング2」 1995年
・主人公は、ロリコンでオタクで、いじめにあっている高校生。
いじめのリーダーは同性愛的な執着を主人公に持っており、それ故にいじめはかなり陰湿で凄惨なものとなっていた。現実逃避のために主人公はネット内に救いを求めるが、うまく行かない。
が、そこで知り合った男性2人と友人になり、パーティーに誘われる。
夏休み最後の夜、パーティーに駆り出される主人公。
だがそこに現れたのはいじめのリーダーとその仲間達。
パーティーは狂気と暴力の宴となっていった。

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「オールナイトロング3 最終章」 1996年
・主人公はラブホテルでアルバイトをしている大学生。食虫植物が好き。
女性のゴミ袋を盗んだことから覗き見生活が趣味になる。
やがて、同じような趣味を持つ男から手解きを受け、より詳細な個人情報の引き出し方を知る。
たまたま、友人らがレイプした女性が負傷した。
主人公は女性を助けて家に連れ帰り、個人情報を得ると満足し、彼女をバラバラにしてしまう。
知りたいのは、個人情報・秘密の情報だけなのだ。
師匠面をする男をも殺し、拳銃を奪った主人公は、執着していた女性が自分の働くラブホテルに男と現れたことにショックを受け、拳銃を手に彼女の勤め先に向かった。

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「オールナイトロングR(リターンズ)」 2001年
・主人公は17歳の引きこもり少年。
原因はいじめによるもの。
主人公はその歪んだ衝動を自身のペットを切り刻むことにより解消していた。
(本人は理想を追求する手術のつもり) 
好きなアイドルにも理想を求めるあまり妄想が暴走し、ついに彼女の自宅に侵入してしまう。
アイドルの自宅に男が居た事に愕然とする主人公。裏切られたと思い込み彼女を惨殺するも、愛しさのあまり遺体をバラバラに分解して、一部を自宅に持ち帰る。
その後、男は彼女の兄であり、自分の勘違いに気づく。
ならば。
第二の理想の彼女を探し、理想の姿に手術してしまえば良い。
狂った主人公の理想の恋人探しが始まる

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オールナイトロング イニシャルO」 2003年
・主人公はS性癖を持つOL。
飛び降り自殺を目撃しその記憶で自慰を行う。
だが、その姿をある男に見つかりそのまま拉致・監禁された。
実は男はM性癖があり、以前から主人公に注目していたのである。
彼は以前、恋人を失いその後は不能になっていた。
男はS系主人公を監禁し、自分を治療するように要求(懇願)する。
やがて主人公は完全なSの女王様に変化したものの、男は不能のまま。
やむなく彼女を男は解放した。
が、彼女は既に、彼本人が望む事を知っている。
主人公は自ら再び男のもとへと戻り、究極のMの男の希望を叶えるのであった。

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「オールナイトロング 誰でもよかった」 2009年
・主人公は姉妹。
ある日マンションに妹が帰宅すると、見知らぬ青年がバタフライナイフを片手に侵入してきた。
青年は、「授業」と称し彼女を部屋に軟禁。
ナイフと言葉の暴力をあびせかけ彼女の恐怖心を煽る。
そこへ姉が帰宅。
だが、男の巧みな話術に翻弄され、結果として姉妹はとも軟禁されてしまう。
さらに男の策略によって姉妹は仲違いを起こした。
洗脳完了。
そして男は一方的に告げる。「ゲームオーバー。どちらか一人を殺す。」と…。
生き残るために、2人は競って男の気を引こうと始めるのだった。

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2009年の作品は「呪怨」の清水崇監修。

前作3作まではグロ・スプラッター・不条理等が全面に出されていたが、2000年以降の作品はアダルト色が強く好みの大きく分かれるところである。





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日本の作家・山田風太郎の伝奇小説を原作とした作品。

同小説は人気作品でもあり、現在でも映画のほか演劇・アニメ・漫画・ゲーム化されている。
この記事では、1981年版の角川映画版監督 : 深作欣二 主演 : 千葉真一・沢田研二)を取り上げる。




物語は、寛永十五年のキリシタン弾圧に端を発する。
島原の乱で、天草四郎時貞を始めとする2万人近い信者が惨殺された事件より、物語は始まる。

キリシタンとして信仰のために蜂起、結果として多くの信者らとともに死んだ苦しみ抜いて天草四郎は、最後に幕府を呪い、禁呪により魔界の力を得て蘇った。
徳川幕府へ復讐を果たすため、四郎は同じ様に無念を抱え、憎悪に捕らわれて死んでいった者達を次々と蘇らせ、仲間・魔界衆へと引き込んでゆく。

細川忠興に見捨てられ、火の海に取り残された細川ガラシャ
柳生但馬守宗矩柳生十兵衛光厳親子と、戦いあってみたいという妄執に取り憑かれた宮本武蔵
女性への煩悩を捨てられず、自殺した宝蔵院胤瞬
甲賀組頭・玄十郎が率いる甲賀衆に伊賀の隠れ里を襲われ、殺された伊賀の忍者・霧丸

徳川幕府の滅亡を謀るこの四郎を中心とした魔界衆と、柳生十兵衛との戦いの物語である。


【ストーリー】
・忍びの隠れ里が襲われた報を受け、柳生十兵衛は隠れ里へ向かうも破壊尽くされた里を目にし呆然とした。人々は惨殺され、焼き払われ、人の住める地ではなくなっている。
この時、異様な風体の集団に遭遇する。
彼らこそ、四郎率いる魔界衆であった。
霧丸の無念を晴らすべく、甲賀の里を襲ったのである。

集団の中に、先年亡くなったはずの武蔵や胤舜がいることに十兵衛は驚愕した。
江戸幕府殲滅を宣言し、四郎らは立ち去る。

十兵衛は彼らが魔界衆だと知らぬもその異様・不穏な雰囲気に圧倒され、江戸城にいる父宗矩に至急書状を送った。

一方、徳川に恨みを抱く細川ガラシャは、巫女として日光東照宮に入り込んでいた。
参詣した四代将軍徳川家綱はガラシャに強く惹かれ、「お玉の方」として側室として既に江戸城に潜り込む。ガラシャに籠絡された家綱は、政治に無頓着となり、太平の世が崩れてゆく。

家綱の様子に危機感を募らせた松平伊豆守は、秘かに玄十郎に「お玉の方」暗殺を命ずる。
しかし、四郎と霧丸が出現し、2人は殺された。
暗殺阻止のためでもあったが、これで四郎は島原の乱で幕府司令官出会った松平伊豆守を、霧丸は甲賀忍者組頭玄十郎に、それぞれ復讐を果たす。

だが、恨みは消えない。
目的は徳川幕府の滅亡である。

死んだはずの人間が魔界衆として蘇り、復讐を果たそうとしている。
俄かには信じられない話ではあるが、実際に死んだ者が討幕を目論んでいる。

お玉が生前は細川ガラシャであり、蘇った魔界衆と知った柳生宗矩は、刀匠村正にお玉を斬るための刀造りを依頼した。
息子・十兵衛の到着を待っていては、間に合わない。
宗矩は刀を手に乱心を装い、自らの命と引き換えにお玉・ガラシャを斬ろうと江戸城へと向かう。

その頃、入れ代わりに柳生家は蘇った宮本武蔵に襲われていた。
武蔵の望みはただひとつ。宗矩か十兵衛との決闘だ。
十兵衛の弟・柳生左門友矩が立ち向かうが、頭を叩き割られて死んだ。

一方、登城中の宗矩には胤瞬が立ちはだかっていた。
ともに天才的な武人である。
激しい戦いのすえ、結果は相打ち。かろうじて胤瞬を倒したものの、宗矩も死地を彷徨っていた。
四郎は全てを見通している。
息子・十兵衛の天才的な剣豪の才能を熟知していた宗矩は、最後の無念を晴らすべく、あろうことか魔界衆に転生した。

宗矩の目的はただひとつ。
息子・十兵衛と本気で戦いたい。

十兵衛は父親が魔界衆に加わったことにショックを受ける。
かつての武蔵の恋人・お通の姪のおつう(同名)を養女にしていた村正に、魔界衆を斬る妖刀を打ってもらうよう再び依頼した。

刀匠・村正は一旦は断るものの、蘇った武蔵を知り、因縁を知り、結局は引き受けた。
こうして妖刀・村正がこの世に誕生することとなるのだ。
  
やがて四郎呪いにより、社会は不穏になっていった。
作物が実らず不作が続き、年貢を巡って幕府と農民側の溝は深まってゆく。一揆が頻発し、農民は圧を受け始めた。
今こそ時は来たれり。
四郎は農民を扇動し、彼らを率いて江戸城へ向かう。
それは、かつての島原の乱の再現であった。

剣士としての執念に燃える宮本武蔵は、執拗に十兵衛との戦いに拘り続ける。
村正の養女、おつうの笛の音に助けられ、苦戦の末にからくも十兵衛は勝利した。
そのまま、急ぎ江戸城へと向かう。


江戸城では相変わらず家綱が寝所でガラシャに溺れていたが、思わずガラシャは憎い愛しい忠興の名を口にしたため、諍いが起きていた。
もみ合っているうちに灯を倒したことで出火し、これが凄まじいばかりの紅蓮の炎となり、江戸城のみならず、江戸の町ものみこんでゆく大災害となる。
これがを引き起こし、江戸中が崩壊した。

クライマックスは燃え盛る江戸城の中での十兵衛vs宗矩・四郎との最終決戦。

ちなみにその炎はCGではなく、実際にセットそのものを燃やして撮影されたものであり、時代劇としても屈指の名シーンである。俳優陣は衣装のまま実際に水をかぶり、その重みに耐えながら殺陣を演じた。
(実際に火傷している)
実在の人物を大きく配置し、物語に大胆に組み込んだこの作品は、今でも海外でも多くの作品に影響を及ぼしている。


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『ディアトロフ・インシデント』は、2013年制作のアメリカ合衆国・イギリス・ロシア合作のホラー・スリラー映画。

1959年にソ連(当時)のウラル山脈で実際に起きたディアトロフ峠事件を題材に、ドキュメンタリー映画制作に乗り出した5人のアメリカ人学生が現地で遭遇する恐怖体験をファウンド・フッテージの用法で描いた作品である。




【ストーリー】
・心理学を専攻するホリーは研究テーマとして「ディアトロフ事件における遭難被害者の心理の究明」を与えられていた。取材のため学内からクルーを集い、ホリーら5人のチームはウラル山脈、ホラート・シャフイル山の遭難現場へと向かう。


道中不可解な現象に見舞われるもなんとか現場に到着する一行。

だが、実際の遭難現場でのキャンプ中、突如として雪崩が発生しクルーのデニーズは死亡、アンディは脚に大けがを負う。

救助を待つ4人の前に、彼らを捕えようとロシア軍兵が現れるが、アンディの機転でホリー、ジェンセン、JPの3人は山中の扉の奥へ逃れる。
するとそこには旧ソ連軍の実験施設が広がっていた…。

正体のわからない敵、ビッグ・フッドかと思えば軍事組織、
地下のモンスターかと思えば軍事的生物兵器、そう思わせておいて「フィラデルフィア計画」と繋げてゆく物語はこれでもかこれでもかとと二転三転を繰り返す。

絶望的な希望を持って主人公らが選んだ道が、全てのループの元になるという手法は珍しいものではないが、目の離せない展開は一見の価値あり。


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『ウィッカーマン』は、2006年にアメリカで製作されたサスペンス映画。
1973年にイギリスで製作された映画『ウィッカーマン』のリメイク作品であるが、宗教色は薄くなり、その分底知れぬ不気味さと不条理感が漂う作品となっている。ニコラス・ケイジ主演。




【ストーリー】
・交通警察官エドワード・メイラス(ニコラス・ケイジ)は勤務中に母と娘が犠牲となる交通事故に遭遇、そのショックにより幻覚と不眠に悩みつづけていた。

とうとう休職届けを出した彼の元に、かつての婚約者・ウィローから手紙が届く。
娘のローワンが行方不明になったので探し出して欲しい。頼れるのはあなただけ」。

なぜ、今になって?

そもそもローワンは本当に自分の子なのか?

釈然としないまま無視もできず、親娘の暮らすワシントン州の孤島サマーアイル島に向かうエドワード。
そこは携帯電話も通じない社会から隔絶された土地だった。

すぐ近くに文明社会があるにも関わらず、頑として島伝統の暮らしを守る人々。
支配的な地位を占めるのは女性たちで、男性は黙々と働き、酒をのむ。

奇妙な風習が現代にも息づく不思議な島。
ローワンの手がかりを探そうとするエドワードは余所者でしかなく、島民たちは非協力的だ。

もと婚約者のウィローは、そんな島の風習が嫌になって飛びだしたものの社会に馴染めず、結局は島に戻ってきてしまった事を告白する。
ローワンが間違いなくエドワードの子であることを告げ、娘を助けてくれと懇願するが、彼女自身も強く怯えきり、島の風習も信仰についても口を閉ざしたまま。

一方、サマーアイル島の人々もウィローの事は知ってはいるが、ローワンの存在は否定する。「そんな子供はいない」と。
島にただ一軒のホテル&バーに宿泊しつつ、エドワードは島出身のウィローすらも島の人々に監視されていることを知る。

島に一校だけの学校、一つだけの教会、人当りが良さそうで実は老獪な女性たち。

そんな中、一人捜査を続けるエドワードはローワンが存在するという確かな証拠を掴む。

誰もが存在を否定するが、誰もが存在を知っている少女。
島独特の信仰と、秘密の祭事の写真。
ローワンを探しに来たエドワードへの理不尽な怒りに満ちた対応。

「古いしきたりに則り、娘が生贄にされようとしている」

そう確信したエドワードはローワンの救出を試みる。

娘のもとへ駆けつけると、確かに、娘、ローワンは存在していた。
彼女を抱え、逃亡しようとするも、襲われて失神してしまう。

気絶したエドワードは気がつけば、自分は巨大な組み木人形の中に縛られ、閉じ気められていた。

本当の生贄はローワンではなくエドワードだったのだ。
嬉々として祭りを始める少女たち。
先頭には探し続けてきたローワンと、その母ウィローの姿もあった。

かくして、島の繁栄を願い、巨大なウィッカーマン(木の人形)に火がつけられる。
父親として、ひたすら母娘を助けようとしてきたエドワードは生きたまま火に焼かれてゆくのだった。


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有名と言えばあまりにも有名な『チャイルド・プレイ』。
アメリカで制作されたホラー映画であり、米国ではR指定、日本ではR15+指定とされた。


2013年までに5つの続編が製作済み。
折角なので、順番に物語を追ってみる。

1作目
「チャイルド・プレイ ~誰にも忘れられない誕生日がある。~」
・1988年公開

・殺人鬼チャールズ・リー・レイ(チャッキー)は、逃亡中に刑事に撃たれ、瀕死の状態でオモチャ屋に逃げ込んだ。自らの死を覚悟したチャッキーは、ブードゥー教の秘術により、店の人形に自分の魂を移す事に成功。
しかし、所詮は人形であり、殺人鬼チャッキーは虎視眈々と復活の時期を待つ。

やがて、そのチャッキー人形は、よりにもよってアンディ少年のバースデープレゼントとして購入された。

当然のようにチャールズの魂は、生身の体を奪うべく、少年アンディの体を乗っ取ろうと計画。
同じようにチャッキー人形の異変に気づいた人々を次々と襲い、殺害してゆく。
幼いアンディはチャッキー人形の秘密を知るものの、周囲の人間は誰も耳を貸そうとしない。

その間も殺人被害は拡大してゆく。
人形に閉じ込められた殺人鬼チャールズにとって、殺人はただの気晴らし程度に過ぎないのだ。

チャッキー人形の策略により、孤立したアンディは犯人の疑いをかけられ、精神病院の独房へと閉じ込められてしまった。アンディの魂を殺せば、体はチャッキー(チャールズ)のもの。


一方、遅ればせながらも人形の正体を知った母親カレンと、チャールズを撃った刑事マイクは強力し、アンディを救うべくチャッキー人形に戦いを挑んでゆく。


2作目
「チャイルド・プレイ2 ~アンディ、会いたかったぜ~」

・1990年公開
・前作のラスト。
アンディ親子によって黒こげにされ、最期にマイク刑事に心臓を打ち抜かれたチャッキー人形とその魂は消滅したかに見えた。

だが、前回の事件のせいでイメージダウンを受けた人形製造元会社が、当のチャッキー人形シリーズを復元しイメージアップをはかる事を決定。
工場は再稼働し、新たなチャッキー人形が生産される。

だが、残された人形にはまだチャッキーの魂が残っていた。
彼は再びアンディを捜し出し、今度こそ体を手に入れようと復讐を決意。


一方、精神病院~児童保護センター~養子として引き取られたアンディだが、里親とはうまく上手くいっていない。しかし、同じ境遇を持つ義理の姉カイルとは、打ち解け信頼関係を築き上げるのに成功していた。


この回でアンディを守るべく立ち上がるのは、この義理の姉・カイル。


3作目
「チャイルド・プレイ3 ~逃げても、逃げても、チャッキーから逃れられない…~」

・1991年公開
・やがて時は流れ、アンディは青年に成長した。

かつての呪われたチャッキー人形は工場で破裂し、バラバラに砕け散ったはずであった。
しかし、廃人形の砕けた人形の残骸を発見した者が、製造機械をスイッチオン。

またも蘇ってきたチャッキー。


軍に入隊したアンディの居場所を探し出し、駐屯地に潜り込むも、人形チャッキーはたくましく強い青年になっていたアンディよりも、少年兵のタイラーに目を付けた。
即座にターゲットを変更。
タイラーを追い詰め、精神を乗っ取ろうと企む。


この回では、アンディ自らタイラーを守るべく立ち上るのであった。


4作目
「チャイルド・プレイ/チャッキーの花嫁 ~チャッキー、電撃入籍!~」

・1998年公開
・最初の事件から10年後。
殺人鬼チャールズだった頃の人間の恋人・ティファニーはバラバラになっていたチャッキー人形の復元に成功。チャールズ復活・・・・と思いきや、人形チャッキー(チャールズ)は彼女も殺害、自分と同じ境遇の人形へと魂を乗り移させた。

チャールズは他人の体の乗っ取りを考え直し、自らの亡骸が埋葬された墓地へ向かうことを計画。
ティファニー人形に手伝わせて、知り合ったカップルの駆け落ちを利用し墓地へと誘導する。

この回で次々と殺害されてゆくのは、このカップルの行く手を遮る者たち。
もっとも、大して意味はない。殺したいだけ。
ヒステリックになったティファニー人形とチャックー人形の命懸けの喧嘩も見どころのひとつ。


ラスト、無事(?)に墓地に到着するものの、そうすんなりと上手く行くはずがない。

全編を通して、ティファニーがなんとも哀れ。


5作目
「チャイルド・プレイ/チャッキーの種 ~帰って来たぜ!ベイビー!~」
・2004年公開。
ここまでくると見事としか言い様がない。

・腹話術師に酷使されている人形シットフェイスは、実は本当に生きている。
人形のフリをし続ける彼は人生(?)に疲れを感じていた。

ある日、シットフェイスはテレビで殺人人形夫婦のニュースを見る。
その殺人人形の夫婦の腕には、自分の腕と同じ場所・同じ刻印が刻まれていた。

つまり、"made in Japan"。

ひょっとしたら、彼らは生き別れの両親ではないのか?
自分には、家族がいたのだ。そう確信した彼はアメリカに逃亡する。

苦労のすえ、シットフェイスは冷たくなったチャッキー人形とティファニー人形を発見した。
やはり、ブードゥ教の秘術で彼らを蘇生。

かくして親子3名は感動の再会を…となるところが、チャッキーは子供を立派な殺人鬼に、ティファニーは穏やかな人形にと、教育方針っを巡ってして夫婦間でバトルが行われるのであった。

この映画の見所は、これまでのシリーズに関わったスタッフ及びキャストが、自らチャッキーらに殺される役で出演しているあたり。
チャッキー祭りのようなノリで、結構楽しい。
前シリーズとは方向性が異なり、ややほのぼの?アットホーム型の殺人活劇という表現がピッタリくる。


6作目
「チャイルド・プレイ/誕生の秘密」

・2013年公開。
チャッキー誕生の秘密にせまるスピンオフ作品。

・生まれながら車椅子で生活する女性、ニカ。
ある日、不気味な人形が差出人不明で送られてきた。
その時から彼女の周囲の人々が次々に無残な死を遂げていく。
人形が原因であると確信したニカに、魔の手が迫る・・・・。


こちらの作品にはチャッキー系の因縁はほとんどない。
むしろ、人形に込められた人間の怨念や憎悪といったものがメインとなり、忠実な手下となった人形は次々と殺人をおこしてゆく・・・・・。

ここにきて、ようやく「child play」の神髄に戻ってきたような感もある。
そもそも子供とは悪気なく欲望に忠実なものであり、もともと人形は子供の遊ぶ相手でもあるのだ。


これら一連の作品は、「ある事件」を思い出させるもカルト的大ヒットシリーズとなった。
が、やはりいろいろあったのだろうか。
販売権利等が分散されてしまい、全品新品で入手するのは困難だとされる。
が、日本では全作品を網羅したBlu-rayが販売されているので興味のある方は探してみると良い。


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「予言」は2004年公開の日本映画。

2004年には東宝配給によるホラー映画のブランド『Jホラーシアター』が企画され、その一作目が「感染」と「予言」であった。
1作目:「感染」 2004年公開
    :「予言」 2004年同時公開
2作目:「輪廻」 2006年公開
3作目:「叫」 2007年公開
4作目:「怪談」 2007年公開
5作目:「恐怖」 2010年公開

「輪廻」以降の作品は当初『Jホラーシアター』には含まれなかったが、「恐怖」が公開された際にシリーズ内に組み込まれた。

この記事では、「予言」についてのみ紹介する。





【ストーリー】
・原作はつのだじろうの「恐怖新聞」。

主人公・里見英樹は大学の講師。仕事人間の彼はドライブ中にメールを受信、機器の調子が悪いため家族を車に残し電話ボックスへ。
ボックス内、には古びた新聞の切れ端があった。
記事は、自分の1人娘の死亡事故で日付は今日、今この時刻。
驚いた英樹が振り向くと、妻は車の外に出ており、娘一人が車に乗っていた。
直後、トラックが激突し車は炎上、泣き叫びながら娘は焼死した。

その後、夫婦は離婚。

3年後。
仕事への熱意をなくした英樹は高校の臨時教師をしていた。
生徒のひとり、若窪沙百合は不可解な言動を繰り返すメンヘラだ。他の生徒も似たりよったりの底辺高校。
そして、彼のもとへと再び不可解な新聞が届きだす。
記事の内容は、連続通り魔に関する予告記事。
それらの予言は全て当たっていた。

一方、離婚した妻・綾香も娘の死と、事故の予言と新聞の話が気になり、独自に調べ始めていた。
超能力者と接触し、「恐怖新聞」の実在を知る。
「恐怖新聞」の予言に取りこまれたある少年は発狂して衰弱死した。
また、新聞を念写しようとした超能力者も死亡する。
だが、最後に念写した映像に英樹の姿を認めた綾香は確信を深め、「恐怖新聞」の研究をしていた鬼形礼という人物を知る。

英樹は急速に「恐怖新聞」に取りこまれつつあった。メンヘラの沙百合は、英樹に新聞の予言を変えてはいけないと忠告する。彼女もまた、「恐怖新聞」に取り憑かれていたのだ。

沙百合が通り魔に殺される予言を知った英樹は、彼女を助けようとする。
が、予言は成就し彼女は死亡した。

「恐怖新聞」の存在を知った綾香も英樹と再会し、行方不明となった鬼形礼の家へと向かう。
壁一面に貼られた「恐怖新聞」の予言だらけの部屋で、ビデオテープを発見するが、鬼形の行方はわからないまま。

英樹は、綾香が列車事故で死亡する事を知った。
予言は変えてはいけない。が、そのルールを無視し、英樹はかろうじて綾香の命を救う事に成功。
運命の歯車は狂い始め、英樹は凄まじい速さで老化していった。
そして影のみの姿となり、時空をさまよう鬼形と出会い、「予言」を変えた英樹の苦しみを「予言」される。

時空はゆがみ、様々な記憶が英樹のまわりを回る。
場面は、最初のシーンに戻った。
娘を助けた英樹は、今度は綾香を失う。

ある時は自分がトラックを運転。
ある時は正面衝突。

ラスト。

終わらない無限地獄のループの中、彼はとうとう自分が死ぬ事で家族を救おうとする。

だが、何度も廻る世界の中で本当にそれで終わらせる事ができたのか。何も語られることはない。


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