1 :名無しさん :2016/01/25(月) 14:42:47 ID:fcKTNMIc0
8年程前、私は家庭の事情でおばあちゃんの家に預けられてた。
山の中にある農村だけど、バスで1時間位に駅前の繁華街もある
ど田舎までいかない中途半端な田舎町。
ただ学校は全校生徒20人弱、同級生は3人だけだった。
夏休みになると東京から同い年の従兄弟が遊びに来るのが毎年楽しみだった。
同級生は女子しかいなかったので、
男の同い年と遊ぶのが楽しくて毎日、日が暮れるまで遊びまわった。
夏休みも残り僅か、この日は渓流釣りをしようと川上に登っていた。
日も落ち始めたので家に帰る途中、
いつ帰っちゃうの?
来週かなぁ。
と話しながら田んぼと用水路の間にある土手を歩いていた。
その日は真っ赤なとても綺麗な夕焼け空で、沢山のトンボが飛んでたのを今でも覚えてる。
前を歩く従兄弟の背中に話しかけながら、足場の悪い所を飛び越えようとした時。
凄い勢いで足が地面にめり込んだ。
思わず うわっ と声をあげ仰向けに転んだ。
転んだ筈だった。
目の前が真っ暗になり体が動かせない、
とてもひんやりした何かが足に絡み付いてた。
何が起きたかわからない、
数秒固まっていたが、何故か立たなきゃ!と思い、頭を起こそうとしたが
何かが額に当たって立ち上がれない。
驚いて口を開けたらジャリジャリと口に砂が入った。
そこでパニックになった。
とても長い時間叫んだ、喉が熱く感じ、口の中が乾燥するまで叫んだ。
叫ぶ度に口の中には砂が入り、足は動かない。
腕も左右には動くが上に伸ばそうとしても、柔らかい何かにぶつかり持ち上げられない。
その時、足元から声がした。
私は無我夢中で助けを呼んだ、その声が従兄弟だと思い込んで。
その声は女の子の声だった。
それでも私は助けて、助けてと叫んだがどうにも気づいてくれない。
女の子の声もぼそぼそとくもった声で聞き取れない。
そこで私はやっと気が付いた。
近くにいた筈の従兄弟の声がしない、
それどころか隣を流れていた用水路の音、風の音、何も聞こえない。
ただ、ぼそぼそと女の子の声が足の下から聞こえるだけ。
私は恐怖で声をころしながら泣いた。
すると女の子の声が徐々に大きくなりはじめた。
次第に女の子以外の声も聞こえ、周りを囲む様に声が響いた。
女の子の悲鳴と共に全ての声が鮮明になる、
嫌だ、頼むから、大丈夫だから、熱い、助かるから、
周りの声はそんな事をぼそぼそと言い続けてた。
そんな中で女の子だけがギャーギャーと騒いでいた。
鳴き声なのか叫び声なのかわからない耳が痛くなる様な金切声が響く、
どの位経ったか自分でもわからない。
もう体の感覚は無く、首から下がひんやりと感じた。その時
左側だった、耳のすぐ横で声がした。
オダツナヨ
老婆の様なガラガラ声だった。
それから何度も、
ォダツナ オダツナヨ オダツナョ
お経か呪文の様に。
あまりの恐怖に感覚の無い腕をバタバタと振り回した。
それからすぐに体に重い何かがのし掛かり動けなくなる、息もできない。
気を失い、気づいた時は病院のベッドで寝ていた。
なにが起きたかわからずぼーっとしていたら
おばあちゃんに連れられて、目を真っ赤にした従兄弟が病室に入ってきた。
従兄弟の話によると、
従兄弟が後ろで うわっ と叫び声を聞いて振り向いた時、
私の手がまるで水に沈むかの様に、土に飲み込まれていったそうだ。
慌てて掘り起こしたけど私は沈み続け、見えなくなった。
従兄弟は慌てて、近くにあった家に助けを呼びに行き、レスキュー隊まで実働する騒ぎになったそうだ。
私は土の中に3メートル程の深さに仰向けで埋まっていた、
掘り起こすのに時間がかかり助かったのが奇跡だと言われた。
助けを呼んだ近くの家のおじさんは、
従兄弟が血だらけの手で泣きながら私が埋まった、助けて!と言われ
ただ事では無いと思ったが、掘り返した後も無く、崩れた後も無い所に埋まる筈が無いと思ったらしいが。
余りにも従兄弟が必死なのでレスキュー隊を呼んだらしい。
レスキュー隊が私を掘り起こした時、一緒に複数の遺骨も出てきていた事は
それから3年後におばあちゃんから聞いた話です。