サイケデリック・奇譚

永遠の日常は非日常。

タグ:コックリさん

http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1468334761/

37 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2016/07/13(水) 18:23:53.62 ID:82whA9yq0.net
中学校3年生の頃にクラスの何人かが、
夏だからこっくりさんやろうみたいな軽い感じで企画を提案していて、
部活ももう引退の時期だったから、自分を含む何人かが集まることが出来た。

その日の放課後に教室でわいわいやりはじめると、
やっぱり誰か指に力を入れていて、
『お前力いれたろー』位の感じで窘めようとしたら、
加わっていた女子の一人がやけに怒り始めて
少し引いた。

普段はよく笑う感じの普通の女子なんだけど、
誰かが指に力を入れた途端
「変なことしたら呪われる!」
みたいな感じのことを凄い剣幕で怒鳴り始めて、
周りの奴らも『あぁそういう系だったのか』って気づき始めて、
場が白けるというか、もう一度やろうとはならなくてお開きになった。

次の日、教室のこっくりさんをやった机の上に、人の歯が置いてあった。
前歯から奥歯までの上顎から下顎の分まで、綺麗に多分全部順番通りに並んでいたと思う。
クラスで2番目に発見したんだけど、最初に見た女子は泡吹いて倒れてた。
歯茎ごと付いててかなりグロテスクだったから仕方ないと思う。
学校中で異様な程騒がれて犯人は誰だってなったけど、
犯人はおろか歯の抜けた人も学校にいなかった。


41 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2016/07/13(水) 18:44:00.57 ID:6YAWsGK20.net
歯茎付きって、抜いた感じじゃなく切り取ったか抉り取ったのかね


42 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2016/07/13(水) 18:51:07.56 ID:82whA9yq0.net
なんていえばいいんだろ、
歯の根元の肉にペンチ当てて抜いたって感じが丁度良い感覚だと思う



   :鴨南そばさんシリーズ「賭け」: 2010/04/13 20:14

先輩と、その幼馴染との話を。

僕にはアルバイトの斡旋をしてくれた先輩がいる。そしてその先輩には幼馴染がいる。
笑うとえくぼの出来る可愛い女の子で、昔結婚の約束をしていた。……とかだったら、心躍る話だ。
残念ながら、彼らにそんな関係は皆無だ。
彼は『広域に指定される粗暴な団体の方々』の使い走りをしていた。
便宜上、彼を『パシリ』と呼ぶことにする。

彼は先輩の幼馴染と言うだけあって、性格もとても良く似ていた。
いわれの無いバトルに何度も巻き込まれた。
「第一回チキチキどっちが痛いでショー」
「は?何すか?」
ばちこん!デコピンとは思えない音。頭蓋骨に伝わる衝撃波。首が?何で首が痛い!
「いった!何すんすか!?」
「じゃあ次オレー」
がっつん!
何こいつら?ホントに人間?
あ、ミキって音なった。絶対穴あいた。
もれる。
僕の数少ない貴重な脳みそが。
彼らのデコピンはボールペンをへし折る威力だ。
僕なんか両手じゃないとムリだ。
いやいや、ボールペンは折るもんじゃない。
結局、『第一回チキチキどっちのデコピンが痛いでショー』は、僕が土下座することによって平和的解決を迎えた。


いつの世も 弱者が被る 罪と罰

心の俳句でも詠まなきゃやってられない。

話がそれまくってしまった。申し訳ない、本題に戻す。

それはあるファミレスでご飯を食べていた時の話だ。
「オレ霊感あんだよ」
パシリさんが自慢げに話しだした。
ちょっと待って!先輩の前で霊感なんてオカルティックなこと言わないで!「そうなんすか?僕そういうの良く分かんないです」
「幽霊とかすっげえくっきり見えんのよ」
「へえ。それより先輩、クルマそろそろ車検やばくないっすか?」話を逸らすのに必死になる。
先輩は超がつくほどのリアリストだ。
幽霊の存在など絶対に認めない。
幽霊が見えるのは病気かイケナイお薬のせいだと言って憚らない。
パシリさん、せめて僕がいないときにしてくれ。

「何?幽霊信じてるのお前?」やばい。
しっかり火がついてる。
戦争だ。
大怪獣二匹による戦争が始まる。
逃げろ!
しかし回りこまれてしまった!「おお、お前興味あんの?」

「ガキじゃねーんだから、いつまでもそんなこと言ってんじゃねーよ」
「見えねえヤツにはこの辛さが分からねえんだよなあ」
「全然辛そうに見えねえっての。何?金縛りとかあっちゃうわけ?」
「ばっか。そんなんフツーだって。一週間前なんて、落ち武者の霊に殺されかけたもん、ほらこの傷」
そう言って
パシリさんは、腕にうっすらと出来た傷というよりミミズ腫れを見せる。
言っちゃ悪いが、幽霊による傷とは思えない。
「これ、刀傷なんすか?」
「刀じゃなくて槍だったな。馬に乗ってた」
「あのさあ、じゃあ馬の幽霊も一緒だったってこと?」
「知らねーよ。そうなんじゃないの?いやあ、ギリカウンターが入らなかったらやられてたね」
「お前、幽霊殴れんのかよ」
「殴れねーなら、どうやって退治すんだよ」
もう、お互い何を言っているのか分かっていないんだろう。
端から見てると頭がおかしい人たちみたいだ。
僕たちが頭がおかしくないとは言えないが。

「じゃあ聞くけど、お前、エネルギーって言葉、知ってるか?
その落ち武者とやらがいたとして、何百年前の人間だ?
その幽霊とやらが本当にいたとして、そいつのガソリンは一体何だ?
エネルギーが切れたら、どんな生物も動くことはできねえんだよ。
ほとんどの生き物は、タンパク質か糖分で外殻が構成されてるんだけど、幽霊の構成物質はなんなんだよ。
言ってみろよ。主成分をよ。
あ、幽霊は動けるのに動物じゃねえのか。わりいわりい。
もし幽霊なんてモンが本当にいたとしたら、ノーベル賞物だよ。
だってほぼ永久機関だろ。何百年前の人間の思念がその形態を変えず、未だに存在し続ける。
しかも、しかもだ。
お前に傷を負わせるんだもんなあ。
物理的な干渉が可能なわけだ。
電力会社にでも売り込めば、億万長者間違いないぞ。
原子力エネルギーなんかよりよっぽどクリーンだ。
国中、いや、世界中の環境保護団体が、お前を支援してくれるぞ。よかったな。
ホントにいるなら何で誰も研究しねえんだろうなあ。
幽霊信じていない俺にはさっぱりワカンネエヨ」
「はいはい。
大学生は賢う御座いますね。だがな、誰がそんな言葉で納得するかよ。
あのな、幽霊がいないって言ってるヤツは根本が間違ってる。メリットだけを探そうとしてんだ。
こんな話知ってるか?
死後の世界が『ある』か『ない』かを、ギャンブラーが賭けたんだとよ。
そいつは『ない』方に賭けた。
だけどな、『ある』方にかけた方が、『ない』方にかけた方よりはるかに得なんだ。
なんでか?
それは、『ある』方に賭けて外れても失うものがない。ただ死ぬだけだ。
だが、『ない』方に賭けてみろよ。
『ある』場合は負けて、『ない』場合もただ死ぬだけなんだ。
元々得るものがゼロなら、マイナスが少ない方がハッピーなんだよ。
お前の大好きなリスクヘッジってヤツだ。また一つ賢くなったな。おめでとよ。
もちろんメリットもある。
いつか昔に死んだ人間に会えるかもしれない、という希望があるだろ?希望が生活に必要ないのか?
いるならハッピー、それでいいじゃねえか。
人間に生まれたくせに、感傷をムシすることがそもそも間違ってんだよ。
幽霊を信じることが悪いって意見のほとんどは、詐欺とかの霊感商法だろ?それは騙す方が悪いんだ。
だが、幽霊そのものが悪いって否定し切れてねえんだよ。
それともアレか?殺人事件に使われた包丁。
それを作った会社も、訴えられなくちゃいけねえってのか?」
「おい、マサシ。どっちが正しい?」」

うーん。

よくペラペラと口が回るものだな。
この人たちに見つめられて言われる状況。
支離滅裂なことなのに、どちらもそれっぽいことを言っているように聞こえる。
そして、どちらか一方に肩入れすることは死を意味する。もちろん僕の死だ。

「そうですね。でも正直、いてもいなくてもどっちでもいいじゃないですか」
「そういう問題じゃねえ!」
「こいつムカつくんだよ!」
ああ、ケンカしたいだけなんですね。わかります。
「そんじゃ俺たちも賭けるか?」
そう言って先輩は、とある名称を口にする。この界隈では結構有名な『お風呂』屋だ。
「そこの子、知り合いなんだわ」
「やりますね。ナンパですか?」
「ナンパじゃない。この前、俺警察呼ばれたろ?」
「ああ、ホームレスのっすか?」
「そう。ギャラリーの中で一番最初に警察に連絡してくれたのがその子。風俗嬢って何か優しいよな。
で、そのきっかけで仲良くなった」
「話が見えねえ」
「その子、自称見える女なんだよ。で、お前の言う零能力?霊能力?それで幽霊の特徴を当てようぜ。
お互いが同じこと言ったら、キャバクラでも何でもおごってやるよ」
「おお。のった。オレの力見せてやるよ。
クリュグ出す店知ってんだわ。預金残高確認しとけや」
意外なことにパシリさんは乗り気だった。
こういう自称見える人は、他の見える人との接触を嫌うものだと思っていたからだ。

それでその話は一応の決着となった。
こういうノリだけのケンカというのは、得てして自然消滅するものである。
大体一晩たつとケンカの存在自体が無かったことになることしばしだ。
僕はそう思っていた。


二週間も経ってから、先輩から呼び出しをもらう。
非常に珍しいことに、その電話は昼にあった。
『おう。あれやるぞ。幽霊の賭け』
「ああ、あれっすか。ホントにやるんですか?僕今日バイトですよ」
「何か今日じゃないといけないんだと。ツキがどうとか。
クルマが電気で走る時代に何言ってんだよな。運に左右される現象って何なんだよ』
「あー、僕も行かなきゃダメですか?」
『別に来なくても良いけど?』
「すみません。バイト当日休みは罰金なんで、今日パスで」
『……ベツニコナクテモイイケド?』
「楽しみだなぁ……何時でしょうか……はぁ……」
『七時だとよ。もし遅れたら罰金な』
この催しも罰金で済ませてくれるのならば、全く問題なく休むのだが。


七時。15分も前に来たのに、結局遅く来たのは先輩たちだった。
彼ら三人は連れ立って集合場所に来た。
「こんばんわぁサオリでーす」
先輩の隣にいる小柄な女の人が『自称』見える人なのだろう。オカルトのオの字も連想できない。
非常に露出が多いパステルな夏服を着た女の人だった。スカートの裾がヒラヒラと心許ない。
僕とサオリさんで、自己紹介と自己アピールを済ませる。
見える人が二人もいるという状況は初めての経験だ。
「それでこれからどうするんですか?」
「ああ、何か二人の話聞くと、必ずユーレイが出る場所ってのは案外少ないんだと。
だから、こっちがユーレイ呼び出すってのが一番確実なんだとよ。
つーわけで、今からお前の家まで行くぞ」
「は?僕の家!?」
「だって、俺とパシリの家だと、どっちかが細工出来るだろ?女の家に野郎三人行くわけにもいかないし。
で、お前の家に決定」
最悪だ。
だから僕を呼んだのか。
「だったら僕、家で待ってたほうが良かったじゃないですか?」
「お前の面白いリアクション見たいからに決まってんだろ?なぁ?」
「……お前。分かってんなぁ」
くそ。こんな時だけ息ピッタリだ。

結局逆らえるはずもなく、一行は一路僕のマンションへ。
「何この水槽。お前魚飼ってんのかよ。何これ?エビ?食いごたえのねぇサイズだな」
「食べないですよ。魚はいません。孵化したばかりとか脱皮後に、エビ食べちゃうんですよ」
「……生き物いるのか。まあそんぐらいなら大丈夫かな」
「何かまずいんですか?」
「大丈夫、大丈夫」
「で?これからどうすんだ?」
「えっと、パシリさん、何か呼び出す方法知ってる?」
「サオリちゃんは、こっくりさん以外で何か知ってんのあんの?」
「や、知らないけど」
「じゃあこっくりさんでいんじゃない?」
こっくりさんのやり方は今更書くまでもないだろう。
筆や墨汁など持っていないので、筆ペンとロウソクを買いにコンビニまで走る。
帰る途中に言ってくれると非常に助かるのだが。
また家から出るのは嫌なので、ついでにA4サイズのコピー用用紙を三枚貰う。

家に帰ると、先輩とパシリさんが喧嘩をしていた。「アイス食ったぐらいでガタガタ言ってんじゃねーよ」
見ると、僕の家の食料や飲み物がテーブルの上に散乱していた。
ああ、僕のハーゲンダッツ・抹茶クリスピーサンドが……。
「二人ともやめなよぉ。ほらマサシ君帰ってきたよ」
そう言うサオリさんの言葉を聞く二人。
僕の方を血走った目で見るパシリさん。
一方、しらけた目で僕を見る先輩が僕に言う。
「おい、マサシやめだ。こんなの賭けにならねえ。何が幽霊だバカバカしい」
「なんだそりゃ?負けを認めんのか?」
「ああ、もうそれでいいよ。ちょっとでも期待した俺がバカだったわ」
「これなーんだ」
そう言うとパシリさんが、超人気格闘技(?)戦のチケットをヒラヒラと見せびらかす。
「こっちが負けたときのこと言わなかったじゃん。オレが負けたらコレやるよ」
パシリさんがそう言うと先輩は大人しくなり、てきぱきとテーブルの上を片付け始めた。
何なんだ。
あんた、格闘技ファンだったのかよ。

賭けの内容は以下のようなものだ。
こっくりさんで霊を呼び出す。
→霊が来たと二人が認める。
→その霊の情報を、自分の見える範囲内で出来るだけ細かく書く。
→先輩と僕が答え合わせ。

ルール。二人が諦めるまで。

笑えねえよ……勘弁してくれ。
配置は中央にテーブル。僕の右隣にパシリさん、正面がサオリさん、左隣に先輩。
最初のターン。

こっくりさんこっくりさん。
「何か白々しいな。この歳でこっくりさんとか」
「懐かしいですよね」
「アタシ昔、好きな男子の名前ばらされたよ。コレで」
「おい、真面目にやれよ」
「その顔でクラス委員長みたいなこと言うなよ」
もちろん数回で何かが出るわけがない。
何度も仕切り直してこっくりさんと唱え続ける。
「ちょっとトイレ行って来るわ」
パシリさんがそう言って、部屋の電気を点けて一時休憩をとった。
ロウソクは細いものなので、燃え尽きそうだった。
新しいものに交換し、パシリさんを待つ。
「そうそう簡単に幽霊なんて呼べないよぉ」
「それはそうっすね」
「もういんじゃねーの?飽きてきたわ」
「まあまあ、もうちょっとやりましょうよ」
「そーだよ。もうちょっとしよーよ」

こっくりさんこっくりさん
「……まだだな」

こっくりさんこっくりさん
「……まだ」

こっくりさんこっくりさん
「……」

ロウソクで仄かに赤く照らされた部屋の中。
ロウソクの揺らぎで、部屋の中がゆらゆらと揺れているように見える。

こっくりさんこっくりさん

エアコンを切っているので、段々蒸し暑くなってくる。
蒸し暑い部屋の中、男女が四人でこっくりさん。
中々にシュールな光景。
ロウソクは燃え尽きそうだ。次のターンに行く前に交換しなければ。
ロウソクの揺らぎが強くなる。
揺らぎ?
風はない。

冷たい汗が背中を伝う。嫌な予感。
「……来たぞ」「来た」
パシリさんとサオリさんが小声で囁く。
その声に反応するように、ロウソクが燃え尽きる。
最後に煙を一吐きしたロウソクは、じりと音を立てて消える。
辺りは暗闇になる。
誰もしゃべらない。

ひた ひた ひた ひた
裸足で何かが歩く音がする。冷たく、湿りを感じさせる音。

ひた ひた ひた ひた
音を立てないように気をつけて歩いている、そんな音。
視界が奪われた時の耳の感度は高くなる。今はそれがアダとなる。

ひた ひた ひたっ
足音が極近くで止まる。

もちろん僕たち四人はこの場にいるはずだ。四つの指が未だテーブルの上にあることがそれの証明になる。
僕の真後ろに誰かがいる。誰かの視線を感じる。
うわん、と耳鳴りがする。
汗が背中に線を描く。ぞくり。
しばらくの間誰も動かない。
衣づれや呼吸さえも聞こえない。
「こっくりさんこっくりさん、いるのでしたらへんじをしてください」
サオリさんの呼びかけ。
10円玉がゆっくりと動くことを指先だけで感じる。

暗闇が文字を見ることの邪魔をする。何と書いているのか、それは分からない。
「こっくりさんはいまどこにいますか」

ぐうっぐうっ、と二回大きく動く。
「こっくりさんはおとこですか」
ぐうっ、と一回動く。
「こっくりさんはおんなですか」
ぐうっ、と一回動く。
分からない。真っ暗で文字を判別できない。それでは性別がどちらか分からない。
「こっくりさんのなまえはなんですか」
ぐうっぐうっぐうっ、三回、三文字か。
「こっくりさんはせがたかいですか」
ぐうっ、と一回。
10円玉が力強く動くたびに、得体の知らないものに対する恐怖が僕を包む。
僕の後ろから腕を伸ばして、テーブルの上に指を置いている。
想像すると恐ろしい。

「こっくりさんは死んでいますか」
先輩が急に口を開く。
ぐうっと、一回動くと同時に、その動きが激しくなる。
ぐるぐると10円玉が動き続ける。
止まらない、止められない。

「こっくりさんは死んでいますか」
先輩が質問を繰り返す。
動きはしつこく同じ場所をなぞりながらも、右へ左へと滅茶苦茶に動く。
先輩の低い声が部屋に重く響く。

「こっくりさんは死んでいますか」
何の意図があるのかが分からない。
ますます動きが強くなる。動きが激しくなる。
腕が痛い。指先を離してしまえば楽になるかも――

「こっくりさんは死んでいるんですよね」
今度は細かく速く右に左に動く。
『はい』のところを何度もなぞっているのだろうか。
「死んでいるなら、何でここにいるんですか」
ピタリ。
10円玉が止まる。

「死んでいるのに、何でいることができるんですか」
10円玉は動かない。

ひた ひた ひた ひた ひた ひた ひた――
足音が遠ざかっていく。
耳鳴りが徐々になくなってくる。
しばらく誰も動かなかった。

サオリさんが終わりの儀式をした後に電気を点ける。
「いやぁ怖かったな、今の」
「ホント、すっごいはっきり見えたよ」
「何言ってんすか。真っ暗で何も見えないっすよ」
「いや、かなりはっきり見えたぞ」
「うん」
「そんじゃあ、コレにその特徴書いてよ」
二人は今しがた見た不思議な現象の主の特徴を書き始めた。

パシリさんの書いた内容。
背の高い女。帽子。濡れている。片足のヒール。裾の汚れたワンピース。猫背。

サオリさんが書いた内容。
小学生くらいの男の子。坊主頭。ホクロ。垂れ目。名札かタグのついたセーター。顔色が悪い。

一致するところが一つもない。これは……。
「つーわけで、賭けは俺の勝ちだな」
先輩はパシリさんからチケットを奪い取った。
皺が出来ないように大事そうに財布へ。
「待て待て!ありえないだろ。サオリちゃん何コレ?あんなにはっきり見えたのに?」
「それはこっちのセリフだよ。ホントに見えたの?」
「どっちでもいいよ、幽霊なんていないから」
「もう一回やらせろ。今のはおかしいって。他の人呼んでこい」
「ムカツクー。アタシちゃんと見えたもん。嘘なんてついてないもん」
やめて下さい。
夜に騒ぐと大家さんに怒られる。
もしくは通報される。

結局、「勝負事のルールは絶対」という先輩の一言。
チケットを手に入れた先輩だけが得をするという結果となった。
『二人が諦めるまで』というルールがあったはずだが、僕は黙っていた。これ以上揉めるのは勘弁願いたい。

バイトに間に合いそうな時間だったので、僕はサオリさんに頼み込み、同伴と言う形で出勤。
賭けに関係のない僕が一番損をするという状況を回避した。
先輩たちはケンカをしながらどこかに行った。飲みにでも行くのだろう。
サオリさんは楽しんでくれたようだ。「次は指名してあげる」と、ワザとらしい投げキスをくれた。

家に帰り、部屋の乱雑さに辟易した。
汚した人間は勿論先輩たちで、片付けなければならない人間は勿論僕だ。
明日に持ち越すことの方が面倒だなと思う。
のろのろだらだらと部屋を片付け始める。
四つのコップ。ハーゲンダッツの残骸。ポテトチップスの殻。タバコの灰。
まとめてゴミ箱へ。
ふと見ると、水槽の様子がおかしい。
水草がメインのアクアリウムだが、全て枯れている。
なにこれ?
なにこれっ!?

pi prrrr
『……おぉ。今何時だよ。……こんな朝早くから何だ?』
「パシリさん!水槽の中が変なんですけど!始める前に生き物がどうとか言ってましたよね?」
『おいおい、いきなりだな。ああ、やっぱ死んじゃってた?』
「全滅ですよぉ。結構キレイにしてたのに」
『こっくりさんやる時は、10円玉に指をつけてないヤツは狙われんだよ。人間じゃないなら大丈夫かなあって思って。わり』
「そんなぁ、今までの苦労が……」
『まあそんな落ち込むなよ。エビくらいオレが買ってやるよ』
「エビ?うわああああ!レッドが!チェリーが!ヤマトも!……ヤマトはいいや」
『そんなキャラだっけお前?エビじゃなかったのかよ』
「いや、エビもです……結構手に入れ辛いグレードのも含めて全部……」
『いくらぐらいすんの?』
「一番高いので一万円くらいです……」
「はぁ!?お前、バカか!伊勢エビのが安いわ」

こんな不幸があったのに、パシリさんは散々馬鹿にしてゲラゲラ笑い、電話を切った。
ひどい。
部屋の片付けなんて知るか。
もう勝手に汚くなればいいんだ。
Prrrr 
先輩だ。
『おい、聞いたぞ。クソ高いエビちゃん死んじゃったんだってな』
「もういいんです。もう……」
『俺が買ってやるよ。一万くらいなら』
「え?先輩。太っ腹ですね。でもお金じゃないんですよ。気持ちだけいただきます」
『まあとりあえず、朝飯まだだろ?こっち来いよ』


昼前に先輩と会うのは珍しいことだ。
幹線道路上によくあるGのつくファミレスに集まった。
「何でも頼んでいいぞ。おごってやる」
「先輩……。ありがとう御座います」
「いいって、いいって。昨日は迷惑かけたからな。侘びと、お礼も兼ねて。安いもんだこれくらい」
「そんな、気にしなくてもいいですよ……お礼?」
「おお。ダフ屋にチケット売ったら、財布パンパン」
「先輩。それが目的だったんすか?」
「俺でも知ってるチケットだったから、高く買い取ってくれるとは思ったけど、あんなに高いとは思わなかった。
男の裸のガチンコ見て何が楽しいんだろうな」
先輩、そのセリフ、色々な人たちを敵に回しそうです。
「そうっすか。良かったじゃないですか。僕のエビたちも浮かばれます」
「そうだな。まあ集団ヒステリーの典型みたいなのが見れて、いい経験にもなったわ」
「でも先輩も酷いですよね。僕たちが幽霊呼び出しておいて、何でいるの?って酷すぎですよ」
「ああ、どういう構造か知らんけど、よく出来たゲームだなあれは」
「こっくりさんがですか?」
「おお。人間がああいう状況下に置かれると、見えもしないものが見えちまういい例だ。ストレス起因なのか、もしくは暗示なのか」
「え?もしかして先輩にも見えてたんですか?」
「そりゃ見えるだろ。お前見えなかったの?」
「いや、後ろに何かいるなあ、とは思ったんですけど」
「後ろ?ふーん。こんな話知ってるか。

学生を対象にこっくりさんの実験を行ったんだと。例のごとく質問したらしい。
ある程度の質問が終わった。被験者の名前とか初恋の相手とかな。
その後、被験者には知りようもない質問をしたんだ。
結果として、こっくりさんが答えたのは外ればかり。
昔のことから現在のことまで色々な質問をしたが、答えは全て外れ。
結局こっくりさんは、事前情報ありきの集団ヒステリーという結論に。
もっと噛み砕くと、こっくりさん自体が有名すぎるために、無意識の筋肉の動きを意味が繋がるように、被験者全員で動かしてしている、ってこと。
ああいう毛色のイベントは、何かが起きて欲しいという期待を持ってするものだからな。
もちろん、今回の賭けも、俺も含めてみんな何がしかの期待をしていただろう。
あの質問は、俺たちが分からないものにしただけ。
それっぽい質問でな。
で、お互いの証言に修正を行わせないために、アンケート型の方法採ったんだわ。
結果、見事に外しててちょっと笑えたけどな。

前にも言ったが、幽霊がいることと幽霊が見えることは違う。
見えるのは錯覚や幻覚、または幻聴の類だ。
見えたとしても、そういう存在がいるわけじゃないんだ。
いたら、人間だけでなく、様々な種類の何億・何兆もの幽霊がいなきゃおかしいだろ。
幽霊になるものとならないものが、選り分けられる理由が分からないだろ。
統一感が全く無い現象は再現できないんだ。
科学が宗教と言う意見もある。
が、科学のいいところは全ての人間が行うと、全ての結果が同じであるというもんだ。
再現可能性のない事象は、無いものと見做されるんだよ。
霊能者だか何だか分からない者しか、その存在を確認できない。
そんなもの、存在がないと断定しても全く不都合がないんだよ。

まあいいや。
で、実際に俺たちにも、同じような集団ヒステリーが起きたわけ。
まあ、コレ見ろよ」
長々と語った後、先輩はこっくりさんの時にアンケートとして使った紙を出した。
「まだ持ってたんすか」
「いや、おもしれえんだって、これ」
「何がですか?」

パシリ
『背の高い女』『帽子』『濡れている』『片足のヒール』『裾の汚れたワンピース』『猫背』

サオリ
『小学生くらいの男の子』『坊主頭』『ホクロ』『垂れ目』『名札かタグのついたセーター』『顔色が悪い』

何だ?
共通することなどないと思うが。

「気付かないのか?」
「背の高い女と小学生の男の子じゃ、全然違うじゃないですか」
「そこじゃねえ。こいつらのカッコだよ」
何だ?女は帽子。小学生は坊主。濡れている?顔色?分からない。
「すみません、ちょっと分からないです」
「想像しろ。なぜパシリは、身長や片足のヒールやワンピース、猫背と答えたか。
想像しろ。なぜサオリは、ホクロや垂れ目、顔色と答えたか」
「何ですか一体?」
「こいつらには共通項がない。なぜこうもはっきり違うのか。
あいつらの様子だと、見えていなかったわけではなさそうだしな」
「引っ張らないで下さいよ」
「分かったよ。距離感だ」
「距離感?」
「そうだ。パシリは女の全体像、遠くにあるものの特徴を言っている。
サオリは主に顔や上半身の特徴、つまり近いものの特徴だ」
「もしかしてそれって……」
先輩がニヤリと笑い、結論を口にする。

「こいつら別々の何かを見ていたんだよ」
「幽霊が二人!?」
「幽霊なんかいないけどな。だが、お前のもカウントするなら三人以上か」
そう言いながら先輩はタバコに火をつけた。
待てよ?三人以上?
先輩にも見えていたって言ってたな。
「じゃあ先輩には何が見えたんですか?」
「ぎゅうぎゅう」
「は?」
「満員電車みたいだった」

自分の部屋に帰るのが嫌になったことは言うまでもない。


http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/9405/1401772436/

79 :なつのさんシリーズ「狐狗狸さん」1:2014/06/08(日) 20:09:22 ID:BgaWrcjA0

季節は秋で、当時僕は大学一回生だった。
長い長い夏休みが終わって数週間が過ぎ、ようやく休みボケも回復してきたとある日のこと。
時刻は昼過ぎ一時前。
友人のKから『面白いもん手に入れたから来いよ』 と電話があり、
大学は休みの日でヒマだった僕は、深く考えずに
一つ返事で、のこのこKの住んでいる大学近くの学生寮まで足を運んだのだった。

「よーよー、ま、入れや。Sも呼んであるからよ」
寮の玄関先で待っていたKに促され、中に入る。
Kの部屋は二階の一番奥だ。
それにしても、階段を上りながら口笛など吹いて随分と機嫌が良いようだ。
「なあなあ、面白いもんって何なん?」
「まーそう急かすなって。ちゃんと見せてやるからよ」
そんなKの様子を見て僕はピンと来るものがあった。
Kの言う『面白いもの』とは、
新作のDVDやゲームの類を想像していたのだけど、どうやらそうじゃないらしい。
Kは生粋のオカルトマニアだ。
何か曰く付きのナニカを手に入れたのだな、と僕は当りを付けてみる。
部屋の前まで来ると、Kは僕に向かって「ちょっとここで待ってろ」と言って、自分だけ中に入って戸を閉めた。
僕は素直に指示に従う。

十数秒も待っていると、勢いよく戸が開いた。
すると目の前には一枚の紙。
「じゃんじゃかホイ!」と、僕の顔の前に紙をかざしたKが言う。
紙はB4程のサイズで、パッと見、五十音順にかな文字と、一から十までの数字の羅列。
よくよく見ればその他に、紙の上の方にはそれだけ赤色で描かれた神社の鳥居の様なマークがあり、
鳥居の左には『はい』、 右に『いいえ』 と書かれている。
紙は若干黄ばんでいて、所々に茶色いシミも見えた。
「……何ぞこれ?」
僕の疑問に、Kは掲げた紙の横に、にゅっと顔を出して答える。
「ヴィジャ盤」
「ヴ……ヴィ、何?」
「ヴィー。ジャー。バーン。こっくりさん用のな。
もっと言えば、こっくりさんをやる時に必要な下敷きってわけだ。そん中でもこれは特別だけどな」
そう言ってKは「うはは」と笑う。

とりあえず僕は部屋の中に入れてもらった。
Kにアダムスキー型の飛行物体を縦につぶした様な座布団を借り、
足の短い丸テーブルの前に座って話の続きを聞く。
「こっくりさんって、アレでしょ?十円玉の上に数人が指を置いて、こっくりさんに色々教えてもらう遊び。
で、これがその下敷きなんね」
丸テーブルの上には、そのヴィジャ盤とやらが広げられている。
あと、テーブルの端にビデオカメラ。どうやら何かしら撮影する気でいるらしい。
「まー、ざっくり言えばそんなとこだな」
「これKが書いたん?」
「ちげえ。とある筋から手に入れた。まー詳しくは言いたかねえけどさ。
 どうせやるなら、とびっきりのオプション付きでやりてえじゃねえか」
僕はそのKの言葉の意味が良く分からなかった。
やりたいって一体何をやるんだろう?
オプションって何だ?
僕の頭上には幾つも?マークが浮かんでいたのだろう。
Kはヴィジャ盤を人差し指でトントンと叩き、
「このヴィジャ盤は、昔、ある中学校で女子学生が、こっくりさんをやった時に使ったものだ。
有名な事件でよ。そのこっくりさんに加わった女生徒、全員がおかしくなって、
後日、まるごと駅のホームから飛び降りて、集団自殺を図ったんだとよ。
ほとんどが死んで、生き残った奴も、まともな精神は残って無かった。
で、これが駅のホームに残されてた」
トントントン、と紙の上からテーブルを叩く音。

話の途中からすでに『みーみーみーみー』と、耳の奥の方で危険を告げるエラー音が鳴っていた。
これはマズイ流れだ。




80 :なつのさんシリーズ「狐狗狸さん」2:2014/06/08(日) 20:10:00 ID:BgaWrcjA0

僕は以前にも、この手の曰く付き物件にKと一緒に手を出して、非常に怖い思いをしたことがある。
それも一度や二度じゃなく。
「やろうぜ。こっくりさん」
それでも、気がつくと僕は頷いていた。
Kほどじゃないけども、僕もこういった類は好きな方だ。
十中八九怖い思いをすることが分かっていても。6・4で怖いけど見てみたい。分かるだろうかこの心理。

「でもこれ、元々女の子の遊びでしょうに。男二人でこっくりさんって言うのも、ぞっとしないねぇ」
「ゴチャゴチャ言うない。ほれ、十円だせよ」
「僕が出すのかよ」と愚痴りつつ、十円をヴィジャ盤の上に置く。
すると、Kがそれを紙の上部に描かれている鳥居の下にスライドさせた。
どうやらそこがスタート地点らしい。
「あーそうだ。注意事項だ。最中は指離すなよ。失敗したら死ぬかもしれんしな」
Kが恐ろしいことをさらっと言ってくれる。
それでも幼児並みに好奇心旺盛な僕は、十円玉の端に人差し指をそっと乗せた。
Kも同じように指を乗せる。
「……で、何質問する?」
「あー、それ考えて無かったな。まあ手始めに、Sがここにいつ頃来るか訊いてみるか」
Kは適当に思いついたことを言ったのだろうが、それは中々良い質問だなと僕は思う。
二人ともに知りえない情報。
こっくりさんは果たしてどう答えるだろうか。
「でーはー、始めますか」
Kはそう言ってビデオカメラのスイッチを入れた。

「んじゃあ……はいっ。こっくりさん、こっくりさーん。Sはあと何分でここに来ますかねー?」
Kの間の抜けた質問の仕方が気になったけども、
僕は邪念を振り払い十円玉に触れる指先に意識を集中させる。
と言っても肩の力は抜いて、極力力を込めないように。
十円玉はピクリとも動かない。
ふと、座布団に座る僕の腰に何かが触れた様な気がした。
視線を逸らすと、半開きの窓にかかるカーテンが僅かに揺れている。風だろうか。
「……おい」
Kの声。その真剣な口調に、僕ははっとして視線を戻す。
けれども十円玉は赤い鳥居の下から動いていない。
Kを見ると、じっと自分の指先を凝視していた。
「……どうしたん?」
僕はゆっくりと尋ねる。

「なあ、この十円……ギザ十じゃね?」
「あ、ホントだ」
「こっくりさんに使った十円って、処分しなくちゃいけないんだぜ?もったいねー」
ふっ、と安堵の息が漏れる。十円玉は動かない。
それから少しギザ十の話になった。
コインショップに行けば三十円くらいで売れるとか、
昭和33年のものにはプレミアが付いているとか。でも使えば十円だとか。
そんなくだらない話をしている時だった。
部屋の戸が叩かれ、「おーい、来てやったぞ」と声がする。Sの声だ。
そうしてSは、返事も待たずに戸を開けて部屋の中に入って来た。

「よー……って何やってんだ、お前ら?」
僕とKは顔を見合わせる。
「何って、見たら分かるだろうがよ」
「面白いもんがあると聞いてやって来てみれば、だ。お前ら、しょうもないことやってんなよ」
「おいこらSー。こっくりさんのドコがしょうもねえっつーんだよ」
「見る限りの全てだ」
そう言いきると、SはKの部屋にある本棚を一通り物色して一冊抜き出すと、
「相も変わらず、お前んちロクな本がねえな」と言って、一人部屋の隅で読書を始めた。
僕とKはまた顔を見合わせる。Kは肩をすくめて、僕は少し笑う。
そうして僕はふと気付く。
十円玉の位置。さっきまでは、紙の上部の鳥居の下にあった。
数秒間、瞬きすら忘れていたと思う。
五十音順のかな文字の上に並んだ、一から十までの横の数列。その一番左。0の上に十円玉があった。

少しの間言葉が出なかった。Kも状況を察したようだ。
決して僕が故意に手を動かしたのではない。
それどころか、何時そこまで動いたのか、僕は全く気付かなかった。
人差し指は変わらず十円玉の上に乗っていると言うのに。
僕はKを見やった。Kはあわてて首を横に振る。
今度はKが何か言いたげな顔をしたので、僕も首を横に振った。
このままでは何もはっきりはしない。
僕はもう一度質問をしてみようと口を開いた。


81 :なつのさんシリーズ「狐狗狸さん」3:2014/06/08(日) 20:11:20 ID:BgaWrcjA0

「えーと……こっくりさん、こっくりさん。今十円玉を動かしたのは、あなたですか?」
その瞬間、十円玉が滑った。
『はい』 の上。こんなに滑らかに動くものとは思いもしなかった。
「……あなたは、本当にこっくりさんですか?」
すると十円玉は、『はい』の上をぐるぐると円を描く様に動く。
「うおおおおお!SSSー、ちょっと来てみろよおい」
興奮したKが大声で呼んで、本から顔を上げたSが面倒くさそうにこっちに寄って来る。
「何だようるせーな」
「動いた動いた。動いてんだよ今!」
興奮して「動いた」しか言わないKの代わりに、僕が一通り今起きた流れを説明する。
Sは大して驚きもせず、「ふうん」と鼻から声を出した。
「あ、それとさ。このヴィジャ盤って言うの?この紙にもさ、言われがあるそうで。
何か昔、コレでこっくりさんした中学生が集団自殺したとか」
それを聞いたSは、ふと何かを思い出すような仕草をして。
「ん……?こっくりさんの文字盤は、確か、
一度使った後は、燃やすか破るかしないといけないんじゃなかったか?」
「え?」
そんな情報僕は知らない。
Kを見やる。しかしKが答える前に、十円玉が『はい』の回りをまた何度も周回する。
それを見てKが「うっはっは」とヤケ気味に笑った。
「その通りらしい。二度同じものを使うとヤバいらしい。
具体的に言うと、こっくりさんが帰ってくれなくなることがあるらしい」
「えっ、え、……はあ!?」
まさか、先程オプションと言ったのはそれのことか。

こっくりさんが帰ってくれないとどうなるのか。僕は怖々考えてみる。
そのまま取り憑かれるのか?
その後は、まさか、話の中で自殺した中学生の様に……。
その思考の間も、十円玉は絶えず『はい』の回りをぐりぐり回っていた。
しかも、徐々に動くスピードが速くなる。
それでも僕の人差し指は、十円玉に吸いつけられたように離れない。
何なのだこれは。
その内、十円玉は『はい』を離れて、不規則に動き出した。
そこら辺を素早く這いまわる害虫の様に。
いや、よく見るとその動きは不規則では無かった。何度も何度も繰り返し。それは言葉だった。

『ど、う、し、て、な、に、も、き、か、な、い、の』

Kの額に脂汗が滲んでいる。たぶん僕の額にも。
どうしよう。どうしよう。

その時だった。
Sが長い長い溜息を一つ吐いた。
「こっくりさんこっくりさん。365×785は、いくつだ?」
その言葉は、まるで砂漠に咲く一輪の花のように、不自然でかつ井然としていて。
ぴたり、と十円玉の動きが止まった。
「……時間切れだ。正解は286525。ちゃんと答えてくれないと困るな。まあ、いい。じゃあ、次の質問だ」
僕とKは両方ぽかんと口をあけてSを見ていた。
「ああ、その前に、お前ら二人。目え閉じろ。開けるなよ。薄目も駄目だ」
Sは一体何をする気なのか。
分からないが、とりあえず僕は言われた通り目を瞑る。

「こっくりさんは、不覚筋動って言葉を知ってるか?」
暗闇の中で腕が動く感覚。
「そうか、じゃあ、その言葉を文字でなぞってみてくれ」
十円玉は動いている。それは分かる。でも、つい先程に比べると、非常にゆっくりとしたペースだった。
「分かった。ああ、お前らも目開けていいぞ」
僕は目を開く。十円玉は、か行の『く』の場所で停まっていた。もう動かない。
見ると、いつの間にかSがテーブルの端に置いてあったビデオカメラを手に持っている。
「見てみろ」
撮影モードを一端止め、Kは今しがたまで撮っていた映像を僕らに見せる。
最初の部分は早送りで、場面はあれよあれよという間に、
Sが僕らに目を瞑る様に指示したところまで進んだ。

『そうか、じゃあ、その言葉を文字でなぞってくれ』
ビデオ中のSの指示通り十円玉は動き出す。
けれどもその移動はめちゃくちゃで、『ふかくきんどう』 の中のどの文字の上も通過することは無かった。
「これで分かっただろ」
ビデオカメラを止めてSが言う。


82 :なつのさんシリーズ「狐狗狸さん」4:2014/06/08(日) 20:12:01 ID:BgaWrcjA0

「こっくりさんなんてものは、人の無意識下における筋肉の運動かつ、
無意識化のイメージがそうさせるんだ。
さっきも言ったが、不覚筋動。もしくはオートマティスム、自動筆記とも言うな。
つまりは、意識してないだけで、結局自分で動かしてんだ」
「俺は動かしてねーぞ」
「……ひ、と、の、は、な、し、を、聞けボケが。無意識下つったろうが。
その証拠に、参加者の知りえない、
もしくは想像しえない問題に関して、こっくりさんは何も答えられないんだよ。ビデオ見ただろ」

今、十円玉は動かない。
けれど、それでも僕とKの二人は指を離せないでいた。
こっくりさんでは指を離すと失敗となり。失敗すればどうなる、万が一……。
そんな不安が胸の奥で根をはっているのだ。
そんな二人を見てSは心底呆れたように、もしくは馬鹿にしたように、「あーあーあー」と嘆いた。

「じゃあ訊くが、俺の記憶が正しければ、こっくりさんは漢字では狐に狗に狸と書く。
その名の通り、こっくりさんで呼びだすのは、キツネやタヌキといった低級霊って話だが……。
ここで問題だ。どうしてそんな畜生に、人間の文字が読める?
文字を扱えるのは、死んでからも、人間以上のものでないと無理だと思うがな」
それは予想外の問いだった。
と言うより、僕はこっくりさんで呼びだすのがキツネだとすら知らなかった。

「それは……、死んだ化けキツネだからじゃ。ほら、百年生きたキツネは妖怪になるって言うし……」
「お前は百年生きたら、キツネの言葉が完璧に理解できるようになるのか?」
「……無理です」
「それと、だ。こっくりさんの元になったものは、外国のテーブルターニングって言う降霊術らしい。
が、そいつは完全に人間の勘違いだと、すでに証明されている」
そう言うと、Sは無造作にヴィジャ盤の上の十円玉に指を当てた。
そして、僕とKが『あ』っと言うより先にこう呟いた。
「こっくりさんこっくりさん。
こっくりさんという現象は全部、馬鹿な人間の思い込み、勘違い、または根も葉もない噂話に過ぎない。
はい、か、いいえ、か」
すると三人が指差した十円玉が、すっと動き、『はい』の上でピタリと止まった。
Sが僕とKを見やる。
その顔は少しだけ笑っている様にも見えた。
「俺は何もしてないぜ?意識上はな」
そして十円玉から指を離し、彼はまた部屋の隅で一人、読書タイムに没頭し始めた。
僕とKは互いに顔を見合わせ、半笑いのままどちらからとも無く指を離した。

その日はこっくりさんに関してはそれでお開きとなり、
三人で夕食を食べた後、僕はK宅からの帰りに自動販売機に立ち寄り、
今日使用した十円玉を使って缶ジュースを一本買った。
それ以降、身体に異変が起きただの、無性に駅のホームに飛び込みたくなっただの、
そういった害は今のところ無い。
ちなみに、Sがあれほどオカルトに詳しいのは、
Kの部屋の家主も把握しきれてない程の蔵書を、「つまらん」と言いながらも
ほとんど読みつくしているからだ。

あと最後に一つ。あの日撮影したビデオカメラには映っていたのだ。
Sが計算問題を出すまでの間、僕とKの他に、
もう二本の手が十円玉に触れていたことだけは付け加えておきたい。
Sが問題を出したとたん、朧げな手は、ひゅっと引っ込んだ。

それを見て僕は、やはりオカルトに対抗するのは学問なのだなあ、と思った。



1 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 15:56:10.70 ID:DGYFLNnV0
やばい
対処法教えて


2 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 15:56:57.74 ID:TKyhqVNB0
なにがあった


5 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 15:59:14.58 ID:DGYFLNnV0
一人大怪我したのと皆霊障にあった


4 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 15:58:01.76 ID:139OE0bl0
何歳だ?


6 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 15:59:59.94 ID:DGYFLNnV0
中学三年。
高校決まった男女5人でやった


7 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:00:03.32 ID:fkpH4FJKP
霊障なんてものは勘違いで生まれるもの
やる方が悪い。終わり。


9 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:01:01.10 ID:DGYFLNnV0
ちなみに私は女。


10 :名も無き被検体774号+2012/02/20(月) 16:02:45.02 ID:DGYFLNnV0
皆でお泊まり会したときに、夜学校の中庭忍びこんでこっくりさんやることになったのが始まり。


17 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:14:29.89 ID:DGYFLNnV0
ちょっと今学校帰りで歩いてるから遅くなるけど経緯説明する。
今月の12日に、クラスのいつも一緒にいる男女5人でお泊まり会しよう!てなって、
みんなでこーすけ(仮)の家に泊まりに行った。
ちなみにこーすけんちは神社の神主?さんで、めっちゃ古くて広い家。


23 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:21:01.03 ID:DGYFLNnV0
で、そのこーすけが後に大怪我をするわけだが。

親友のA 子
いつも一緒にいる男子の
こーすけとBとC 。

女子二人、男子三人で夜遅くまで怖い話してて、こっくりさんの話になった。
B が小学生だった頃の担任がマジでこっくりさんに怯えてたとかなんだとかで、
信憑性もあって面白そうだったから結局皆でやることになった。
スリルを味わうために学校の中庭でやることにして、夜中の10時位に学校へ向かった。
スレチかもしれないけどオカ板行ったこと無いし怖いから勘弁 w w


27 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:26:57.87 ID:DGYFLNnV0
学校の職員室はもう明かりがついてなくて、
あとは防犯用の明かりだけだったからすごく不気味で怖かった。
中庭のちょっと明るいところで皆で円になって座り込んで、
うろ覚えで書いたこっくりさんを呼ぶための紙を広げる。
このとき一番乗り気だったB は、
こーすけの家にあったなんか錆び付いた硬貨を取り出して、これを使おうって言い出した。
結局それを使うことになってこっくりさん開始。
やめとこうぜ、て最後まで喚いてたこーすけがその硬貨のうえに指をおいた時、いきなり静かになった。


31 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:30:31.29 ID:DGYFLNnV0
とりあえず皆でこっくりさんを呼ぶ。
「こっくりさんこっくりさん来てください」
夜中のテンションって酔っぱらってるみたいな感じになるのか
皆すごいハイテンションだったんだけど本当に静かになった。


33 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:35:09.02 ID:DGYFLNnV0
でも硬貨はまだ動かない。
盛り上げようと焦ったBが無理矢理硬貨を動かそうとして、指先が白くなり、紙がずれる。
それをごまかすためにクスクス笑うB に、こーすけが「お前ちょっと黙れ」って言った。
A子の指が震えてた。
そこでCが「こっくりさんこっくりさん、あなたは誰ですか」って質問した。


37 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:37:53.40 ID:8kNMmK290
最悪、人生を棒に振ることになるかも。

自分の従姉妹二人、中学生時代に友達数人とこっくりさん。
俺、小学生低学年。
俺、物心ついた時には二人とも中度の障害者状態。
思考はマトモだが、しゃべりとカラダがいう事を聞かないかんじ。
精神科、大学病院、霊媒師、その他考え得るあらゆる事を試した親。が、原因不明。
「それ」以前に撮られた写真見たら二人ともかなり可愛いかんじ。
二人、学校継続不能。自宅療養。

俺、現在43、
二人、現在も自宅療養中。


38 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:39:22.13 ID:DGYFLNnV0
すると、硬貨がBが無理矢理動かしたときとは全然違う動きで動き出した。
ここらへんから記憶がおかしくて、
みんなの記憶が微妙に一致しないんだけど、私の記憶だとその硬貨がまやま、って動いたのを覚えてる。


43 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:42:17.30 ID:DGYFLNnV0
まやま?山の神様かな w w
とか言ってCがおどけたけど皆真っ青だった。
大体始めた直後から周りの空気が重くてひんやりしてて変だった。
誰の指も白くなってないし、動かしてる様子もない。
なによりまやまって、人間の名前みたいじゃないか。


47 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:44:55.72 ID:plmuTi1P0
知り合いこっくりさんして三人くらい事故あった


49 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:45:09.88 ID:DGYFLNnV0
今かいてても悪寒がする。
「ねえ、やめよ」
A子が静かにそう言った。
私もやめたかったし、同意した。
皆もうなずく。
Bもさっきまで乗り気だったのに、真っ青な顔をして錆び付いた硬貨をじっと見つめている。


51 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:47:33.32 ID:DGYFLNnV0
で、こっくりさんに帰ってもらうことにした。
「こっくりさんこっくりさんお帰りください」
硬貨は、すすっとうごいていいえの上に止まった。


53 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:49:31.04 ID:DGYFLNnV0
何度もお願いするけど帰ってくれない。
いいえ、を指し続ける。
そこでA子が、「どうしたら帰ってくれますか?」と質問した。
すると、すごい速さで硬貨が動いた。

Bが死んだら


55 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:50:08.15 ID:vV4q2BEt0
こっくりさんは相手が動物霊だからなぁ。
祓うにしてもけっこう面倒なんだよ。


57 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:52:11.33 ID:wZ9beMp/0
神社にあぶらあげ供えてお祓いすればいいんじゃなかったっけ?


65 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:58:54.13 ID:vV4q2BEt0
>> 57
ものによる。夜に呼んじゃったヤツは悪意がある場合も多いから
油揚げぐらいじゃ満足しなかったりする 
徹底的なお祓いが必要。


58 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:52:32.07 ID:DGYFLNnV0
ここの部分が皆記憶が曖昧で、私の場合は死んだら、だったけど、他の皆は違う。
ただ、対象がBだったのは同じ。
で、皆それを見て固まる。
誰も動かしてないよね?って何度も確認したけど動かしてない。
なにより皆、爪の先を少し置いてる程度にしか硬貨に触れてなかった。


62 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:54:44.61 ID:DGYFLNnV0
それから何度も何度もお願いしてやっと帰ってもらった。
その頃は皆あせぐっしょりで、無言でこーすけんちまで帰った。
こーすけの怯えようがヤバくて、ずっと下を向きながら震えてた。
やっと家について電気をつけたとき、
皆の顔は真っ白だった。


63 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 16:57:51.73 ID:DGYFLNnV0
まあその日は無理に恋ばなとかして朝まで起きてたんだ
こっくりさんの話は一切しなかったけど。
で、朝になって、朝食をこーすけのお母さんにつくってもらって、
食べてたときにこーすけのお父さんが二回から降りてきた。
いや、本当に普通のお父さんなんだけど、私たちを見た瞬間走ってどっか行っちゃった。


69 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:01:53.67 ID:DGYFLNnV0
普通にごはん食べてると、おええええって声がトイレの方から聞こえた。
こーすけ父が吐いたようだった。
B、Cは笑ったけどこーすけがいきなり立ち上がって、
やべえよお前ら........って呟いた。
A子は私と目線を交わして何か訴えかけてきた。


72 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:03:26.32 ID:FyQSViMS0
これ聞かない方がいい。
霊障移るから。
みんな逃げろ。


76 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:05:40.73 ID:iDSnNOBH0
えっ霊障って移るの?


73 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:03:42.16 ID:DGYFLNnV0
それからがやばくて、こーすけが
どおすればいいんだよおおおおおおって頭かかえだした。

いきなり叫んだこーすけにびっくりして皆固まる。
だからやめときゃ良かったんだああ
俺らもああああって叫ぶ。


79 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:07:32.93 ID:DGYFLNnV0
まじで怖くなった。
こーすけ父の様子見に行ってたこーすけ母が戻ってきて、
すっごい真顔で「使ったコイン返しなさい........」ってこーすけに言った。
でも持っていたのはBだったから、Bがポケットから硬貨をとりだす。
取り出した瞬間コンロがばちん!と音をたてた。


82 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:11:11.29 ID:DGYFLNnV0
こーすけ父がばたばたと戻ってくる。
そしてこーすけの胸ぐらをつかんで首の付け根を思いっきり平手打ちした。


84 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:12:45.42 ID:DGYFLNnV0
ぱあん!!って音が鳴って、それと同時にこーすけ父が怒鳴る。
お前何したんだああ!!
すっごい形相だった。


87 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:15:45.55 ID:DGYFLNnV0
その間皆はただポカーンとしてるだけ。
こーすけ父の迫力がすごすぎて。
こーすけ父は錆び付いた硬貨を受けとるとぎゅっと握りしめて私たちにも怒鳴る。
「お前らこれを遊びだって思ったんか?!!」


94 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:20:18.59 ID:DGYFLNnV0
A子がボロボロ泣き出す。
BとCはすみません!!!って全力で謝った。私も謝る。
謝りつづけると、いきなり静かになったこーすけ父が、歯の隙間から出すような声でこう言った。
「この硬貨、どこで見つけたんだ」
Bが「えっと、戸棚のうえに置いてありました........」
と答えると、こーすけ父がBを睨み付ける。


95 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:20:38.23 ID:pUOaDIqq0
こっくりさんて以前オカ板で自己暗示って言われたなぁ
かかりやすい人はかかってしまうとヤバイとも
特に小中学生とかはヤバイようだ
深く入ってしまうともう誰にもとけないらしい


96 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:21:54.37 ID:DGYFLNnV0
ここからは流れ説明だけでいいか?
怖くて書きたくない


104 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:28:05.74 ID:DGYFLNnV0
まじで寒気止まらないんだわ
とりあえず流れ書く

こーすけ父が「どうにもできないから気を付けろ」発言

霊障がでる

こーすけがコインを投げ捨てる

こーすけ事故る

こーすけ父がBにお祓いをすすめる

BとA子高熱←イマココ


105 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:28:58.17 ID:wZ9beMp/0
事故ってどんな事故だったん?


110 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:31:23.32 ID:67e9TE+40
>> 1は大丈夫なのか?


111 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:32:15.40 ID:DGYFLNnV0
>> 105
階段から落ちた


113 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:32:46.77 ID:DGYFLNnV0
>> 110
分かんない


130 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:52:13.75 ID:vV4q2BEt0
オカ板で時々霊視やってるんだが、とにかく1からは何も感じないから
そこは安心しろ。
わかったらとっとと釣りなら釣り宣言しろ。


131 名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:53:14.32 ID:DGYFLNnV0
まじ?


133 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:54:12.99 ID:vV4q2BEt0
うん。ガチでやばい人はネット越しでも手が震えたりとか脚が震えたりとか色々やばいんだよ。
1からは何も感じない。
まぁ風邪には気をつけとけ。


137 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 17:56:33.21 ID:DGYFLNnV0
友達のはできる?
とくにこーすけの。


146 :名も無き被検体774号+:2012/02/20(月) 18:05:18.71 ID:vV4q2BEt0
ブログとかやってないし、お酒飲んだらちゃんと視られないから視ないよ。
副業で霊媒師やってるの。
晩酌ぐらい許してや。
>>137
自業自得でパニクって怪我したって感じだよなぁ。
霊障とかじゃないよ。
これで懲りたと思うけど遊び半分でやるんじゃないよと言っておけ。


1947 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 06:35:33 ID:cFFR5zTA0
木島氏の元から戻った俺はしばらく悩んでいた。
悩みの原因は、マサさんの『叔母』、一木燿子の霊視だった。
燿子の言うところの『定められた日』……俺の死期はそう遠いものではないらしい。
そのこと自体は、少し前の俺にとっては大した問題ではなかった。
そう、アリサを失ってからの俺にとっては、どうでも良いことだったのだ。
失って惜しいモノは何もないと、イサムと出かけたロングツーリングを利用して、失踪しようとまで考えていた。
だが、今はそうもいかない。
俺には、どうしても片付けなければならない問題があったのだ。
俺は、実家に電話を入れると、イサムを誘ってバイクで実家に戻った。


実家に戻ると、両親と妹、下宿して定時制高校に通う真実(マミ)が俺たちを迎えた。
「この馬鹿息子!マミちゃんを預かる条件として約束したわよね?
どんなに忙しくても、月に一度は帰ってきなさいって!
片道3時間の所に住んでいるくせに、何ヶ月帰ってこなかったの?約束が違うでしょ!」
「ごめんなさい……」マミが母に謝った。
「何で?マミちゃんが謝る必要はないでしょう?
あなたはウチの娘なんだから、嫌だと言っても、お嫁に行くまで家に居てもらうわよ」
「悪かったよ。理由はコイツに聞いてくれよ」
俺は、家族にイサムを紹介し、イサムは俺とロングツーリングに出かけていたことを話した。


1948 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ2012/12/19(水) 06:37:22 ID:cFFR5zTA0
「先輩の妹さんって、美人ですよね。スタイルも良いし」
「そうか?でも、アイツは止めておいた方が良いぞ」
「なんで?」
「……性格が無茶苦茶キツイからな。軽い口喧嘩でも、情け容赦なしに人の心を折りに来るぞ?
それに、腐り切って三次元の男に興味がない上に、ガチ百合だ。結婚とかするタマじゃねえ。
お陰で、完全に、パーフェクトな嫁き遅れだ。あんなの貰ったら人生の不良債権化間違えなしだ」
「……そこまで言います?」
「ああ。お前も今頃、受けだの攻めだのって、くだらない妄想のダシにされているかもな」
「……」
「それより、マミちゃんはどうよ?
あんな腐った年増の不良債権女より、お前にはピッタリな子だと思うけどな」
「ああ、確かに可愛い子ですよね。ただ、影があるというか……訳ありっぽいな、と」
「やっぱり、判るか……」
「ええ。……姉さんと、似た雰囲気があるから。何となくね」
「でも、すごく良い子なんだ。仲良くしてやってくれ」
 
そんなことを話していると、妹が夕食の準備が出来たと呼びに来た。
「黙って聞いていれば人のことを悪し様に言いたい放題。
私は腐女子でもレズでも何でもないって言うの!
私だってね、炊事洗濯、家事一般が完璧で
いつも家にいてくれる可愛い子が居れば、いつでも結婚してやるよ?
別に稼いでこなくても、しっかり喰わせてやるし。忙しくて出会いがないだけだって!」
「お前なぁ、そう言うのを世間一般では『嫁』って言うんだ。
……こんなオヤジ化した年増女じゃ誰も相手にしないよ」
「イサム君、こんなクソ兄貴を相手にすると馬鹿が移るよ?せっかくイケてるのに、もったいない」
「お兄ちゃん、晩御飯食べたらお父さんの部屋に来てね。話があるそうだから」
  
マミは、俺と妹の久子が両親に頼み込んで実家で預かって貰っていた。
今でこそ、家事一般を積極的にこなし、定時制ではあるが高校に通うなど
外出もできるようになったが、ここまで道のりは平坦ではなかった。
俺たちの実家に来た頃のマミは心身ともにボロボロに傷付いて、自殺の可能性すらあったのだ。
マミを実の娘……或いは、抱く事の叶わなかった孫のように可愛がってくれた俺の両親と、
主治医としての久子のケアのお陰だろう。
俺とマミの出会いは、奈津子と出会った事件の後、マサさんが静養中だった頃に遡る。


1949 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 06:40:13 ID:cFFR5zTA0
俺は、中学時代の友人の葬儀に出席していた。
ヒロコは3年生のときのクラスメイト、リョウタは水泳部で一緒だった。
中学時代のヒロコは、かなりぽっちゃりしていたが明るい性格で、
友人的な意味で男子からも女子からも人気のある子だった。
リョウタは少々お調子者だったが、イケメンでスポーツ万能なヤツだったので、
密かに思いを寄せていた女子は多かった。
同学年や後輩の女子にリョウタのことを相談されたことは2度や3度では無かったので間違いない。
ヒロコもそんな中の一人だった。

ヒロコがリョウタの事を好きだったのは公然の秘密だった。
だが、多くの女子に思いを寄せられていたリョウタは、1学年上の先輩一筋だった。
全く相手にされていなかったのだが、リョウタは周りに自分の思いを公言していた。
基本的にアホだったリョウタが、先輩の進学した学区で2番目の高校に
猛勉強して進学したのは恋のパワー成せる業だったのだろう。
高校進学後、先輩に告白してフラれた話は、
度々本人がネタにしていたので、仲間内では笑い話になっていた。
そんなリョウタとヒロコが大学生の頃に学生結婚したのには驚かされたものだ。
俺は、結婚式には身内の不幸があったので参加できなかったが、祝電を送ったのを覚えている。


1950 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 06:42:14 ID:cFFR5zTA0
中学の同級生で葬儀に来ていたのは、ヒロコと小学校から大学まで一緒で
仲の良かったマサミと、リョウタと仲が良く同じ高校に進学した吉田。
卒業から20年も経つと、仲が良かったとしても中学時代の友人の参列者はこんなものだろう。
明日、俺が死んだとしても、葬儀に出席しそうなのはPとその他数名といった所だろう。
それだって、多い方に違いない。

ヒロコとリョウタの死因を結婚後も付き合いのあったマサミに聞いてみた。
暖房器具の不完全燃焼による一酸化炭素中毒だったらしい。
……今時、そんなのありかよ。
だが、年代物のボロアパートに住んでいた俺も注意することにした。
 
俺にヒロコとリョウタの葬儀の連絡をしてきたのは藤田という男だった。
3年生の時のクラスメイトと言っていたが、俺に藤田の記憶は全く無かった。
手元に卒業アルバムもなかったので確認の仕様も無かったが、
担任の先生の名前と他のクラスメイトの名前は合っていた。
失礼な話だが、俺の方が忘れていただけだろう。

俺は吉田に尋ねた。
「藤田って来てないよね?俺は、藤田から連絡を貰って葬儀の事を知ったんだけどさ」
「藤田?ああ、確か、そんなヤツがいたな。でも、お前、藤田と同じクラスだったことってあったっけ?」
「実は、覚えが無いんだよな。どんなヤツだっけ?」
「俺も、お前に名前を聞いて思い出したくらいで、殆ど覚えが無いんだよな」
「そうか」


1951 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 06:43:36 ID:cFFR5zTA0
俺は、マサミと吉田と暫く話した後、
少々距離はあったがタクシーを待つのも面倒なので、歩いて駅へ向かっていた。
駅に向かって歩いていると後方から声を掛けられた。

「おい、XXだろ?俺だよ、藤田だよ!」
顔に見覚えは無かったが、声には聞き覚えがある。
俺の携帯に電話を掛けてきた声の主だ。
メタボって禿げ始めていた吉田も初めは誰か判らなかったので特に疑問は持たなかった。
「おう!遅かったんだな」
「ああ。先に用事があってな。一足違いだったみたいだな」
俺と藤田は、どうでも良い話題を話しながら駅へ向かって歩いていた。
駅が近付いてくると藤田が急に話題を変えた。

「Pに聞いたんだけどさ、お前、拝み屋って言うの?『そっち系』の仕事をしているんだって?」
俺は答えに困った。
クライアントや仕事の関係者以外に俺の『裏の仕事』の事は知られたくないからだ。
俺の家族さえ俺の『裏の仕事』の事は知らないのだ。
俺の家族とキムさんや権さん達との間には、
俺の入院中の見舞いなどで面識はあったが、姉を除いて只の勤務先の上司としか思っていなかった。
 
Pもそのことは知っている。Pは口の軽い男ではない。
「どうしても、相談に乗ってもらいたいことがあるんだ。話だけでも聞いてくれないか?」
渋々だったが、俺は藤田と近くのファミレスに入った。


1952 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 06:44:37 ID:cFFR5zTA0
「お前さ、『エンジェル様』事件って覚えている?」
「ああ」
『エンジェル様』とは、降霊術の一種として有名な『コックリさん』の数あるヴァージョンの一つだ。
俺が中学2年生だった頃、この『エンジェル様』が俺の通っていた中学校と近隣の小学校で大流行したのだ。
俺は余り興味が無かったので参加しなかったのだが、
休み時間になると教室の何箇所かでエンジェル様に興じる連中がいたことを覚えている。

藤田の話を聞いていて思い出したのだが、この『エンジェル様』の流行は妙な方向へと流れて行った。
『自分専用』のエンジェル様を『呼び出す』連中が現れたのだ。
上手く説明し難いのだが、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の『スタンド』みたいなものか?
異常に盛り上がったオカルト熱と、所謂『中二病』の複合感染みたいなものだったのだろう。
だが、この自分専用のエンジェル様を『降ろせる』と称する連中を中心に、
クラスの中に『派閥』のようなものが形成されていった。
派閥同士が対立して、教室内の雰囲気が妙に殺伐としていたのを覚えている。

そんな中で『事件』が起こった。
授業中に隣のクラスの女生徒が錯乱状態に陥って暴れたのだ。
隣の教室から他の女生徒の悲鳴と騒ぎが聞こえてきた。
確か、俺達のクラスは『保健』の授業をしていたと思う。
ごついガタイをした男性体育教師が廊下に出て行った。
恐らく、その体育教師は女性徒を取り押さえようとしたのだろう。
だが、体育教師が女性徒に殴られ騒ぎは更に大きくなった。
怪我の内容は知らないが、殴られた体育教師は重傷だったらしく事件のあと1ヶ月ほど休職した。
取り押さえようとした教師を振り切った女生徒は俺達の教室にやってきて、
鉄製のドアに嵌め込まれたガラス窓を素手で叩き割った。
割れたガラスは厚さが1cm近くあって、
成人男性が力いっぱい殴ったとしても素手で割るのはかなり難しそうだった。
それを細身の女生徒が叩き割ったのだ。


1953 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 06:46:42 ID:cFFR5zTA0
俺や他の傍観組は、初めは女生徒の『芝居』だと思っていた。
『エンジェル様』はエスカレートして、トランス状態に陥った『振り』をするヤツや、
『口寄せ』の真似事までするヤツが現れていたからだ。
だが、錯乱した女生徒の起こした事件は、傍観組も騒然とさせた。
俺達の教室のあった校舎の階は大混乱となり、
その日の授業はその時間で中止となり、2年生は全員下校となったのを覚えている。
 
学校側は事態を重く見てエンジェル様は禁止された。
当然の措置と言えるだろう。
その後も、隠れてエンジェル様を行っているところを見つかって反省文を書かされた連中もいた。
だが、学年が変わるころにはエンジェル様の流行は完全に終息していた。
問題の女生徒は、確か卒業アルバムに名前があったので
転校などはしていないはずだが、その後、学校で姿を見ることはなかった。


「あれって、殆ど自作自演だっただろ?今となっては、恥ずかしい青春の1ページってやつ。
お前も、やってたクチ?」
「ああ、確かに。皆で握っていた鉛筆を動かしたりしてさ。でも……」
「でも?」
「俺、ヒロコ達とエンジェル様をやったことがあるんだ」
「ああ、アイツ、そう言うの好きそうだったからな」
「その時、みんなで握っていた鉛筆を動かしたんだ。ヒロコはリョウタと結婚するって。
ほら、ヒロコがリョウタのことを好きだったのはみんな知ってたからさ」
「それで?」
「ヒロコのヤツが『子供は何人?』って聞いたから、オチを付ける位の軽い気持ちで動かしたんだ。
子供が生まれる前に2人とも死ぬって。
……知ってる?ヒロコってお目出度だったんだぜ!」
「ただの偶然だろ?」

「それじゃ、青木のことは知ってる?」
「確か、ブラバンやっていたヤツだよな?クラスも一緒になったことないし……しらない」
「高校生の時、海で溺れて死んだんだ」
「へえ……」
「やっぱり、その時動かしたんだ、『3年後に溺死』って」
「それで?」
「その時のエンジェル様で出たんだよ」
「何が?」
「俺が死ぬって……首を吊って自殺するって!」


1954 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 06:48:16 ID:cFFR5zTA0
「それって、お前が動かしたの」
「俺じゃない!」
「それじゃあ、お前と同じように他の誰かが動かしたんだろ?
お前自身に首を括る予定は無いんだろ?考え過ぎだって」
「でもさ、あの時の『エンジェル様』を仕切っていたのは川村だったんだよ!」
川村とは、錯乱して事件を起こした、問題の女性徒だ。

「そう言えば、川村ってどうなったの?
確か、卒業アルバムに名前は有ったはずだけど、あの後、学校に来ていなかっただろう?」
「川村は、何軒か医者に掛かったり、あちこちで御祓いを受けたみたいだけど、
結局、元には戻らなかったんだ。
両親が離婚して、今も母親の実家にいるよ」
「詳しいんだな」
「幼稚園の頃からの幼馴染だからな」
「その時、他に『エンジェル様』をやっていたヤツっているの?」
「川村と青木、ヒロコと菅田、それと川上だ」

川上は、俺が高校時代に付き合っていた彼女『由花(ユファ)』が中学卒業まで使っていた通名だ。
ユファの事は別れ方が最悪だったので、聞きたくなかった。
「ふうん。……そう言えば、菅田ってヒロコ達と仲良かったよな?
今日は来てなかったけど、今、どうしているか知ってる?」
「知らない」
菅田は、幼稚園入園前からのユファの幼馴染で、いつもユファと一緒にいた子だ。
大人しいが、非常に頭の良い子だった。
成績は、学年で常にトップクラスだった。
気が強く口煩い姉と妹に挟まれた中学時代の俺は、
活発なタイプのユファよりも、物静かで大人びた雰囲気の菅田に惹かれていた。


1955 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 06:50:32 ID:cFFR5zTA0
「とにかく、気にしすぎだと思うぜ?どうしてもと言うなら御祓いの紹介くらいはするけど。
気になって眠れないとかなら、心療内科でカウンセリングでも受けた方が良いよ。
御祓いなんて、所詮、気休めでしかないからな」
そう言って、俺は藤田と別れた。
  
後日、Pに会ったとき、多少の抗議を込めて藤田と彼に聞いた事を話した。
睨む様な目付きでPは俺に向かって言った。
「お前は、その時、何も気付かなかったのか?」
「何のことだ?」
「俺は藤田にお前のことを話したりはしていない。それは無理な相談だからな。
藤田は、ずいぶん前に死んでいるよ」
「……本当か?」
「本当だ。俺達が高校に進学して直ぐだよ。首吊り自殺だ。
藤田のお袋さんは、ウチの店でずっとパートで働いていたからな。通夜にも行ったよ」


1956 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 06:53:02 ID:cFFR5zTA0
俺は言葉を失った。
Pは、彼の知っている事情を話し始めた。
 
藤田と川村、青木は幼稚園の頃からの幼馴染だったらしい。
俺に藤田についての記憶が無いのは無理の無いことだった。
藤田は1年生の3学期から不登校となり、その後、1度も登校していないからだ。

藤田の不登校の原因は、川村、青木を中心とするグループによる『いじめ』だった。
いじめグループにはユファも居たそうだ。
クラス内で求心力のあった川村たちの行動に異を唱える者はいなかった。
藤田へのクラスメイトのいじめはエスカレートして行った。

そんなクラスメイト達の行動を諌めた者が一人だけいた。
ユファの幼馴染、菅田ミユキだった。
だが、菅田の諌言は、いじめグループの行動の火に油を注ぐ結果となった。
藤田は、菅田の目の前で下半身を裸にされて、射精するまでセンズリを扱かされたらしい。
耐え難い、惨い虐めだ。
菅田の前で藤田にセンズリを扱かせようと提案したのはヒロコだったそうだ。

翌日から、藤田が登校することは二度と無かった。
藤田が不登校になると『いじめ』のターゲットは菅田に変わったようだ。
1学年11クラスあった中での他のクラスの事でもあったし、
当時の俺は全く気付かず、今、Pに聞いて初めて知った事実だった。


1957 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 06:55:09 ID:cFFR5zTA0
「待てよ、それじゃ、藤田が『エンジェル様』に参加するのは……」
「まあ、常識的に考えて無理だろうな。でも、お前の話は大筋で合っているよ。
ところで、お前さ、『エンジェル様』のルールって知ってる?」
「知らない。やったこと無いからな」
「他ではどうだか知らないけれど、俺達の学校で流行った『エンジェル様』は、必ず5人でやるんだよ。
それ以上でも、それ以下の人数でも駄目なんだ」
「えっ?……川村、青木、ヒロコ、菅田、ユファで5人だぞ?」
「……或いは、エンジェル様の鉛筆を藤田が動かしたと言う話は、本当なのかもしれないな」

俺は気になって、Pに疑問をぶつけた。
「お前、随分と事情に詳しいんだな?」
Pは、これまでの長い付き合いで始めて見せるような、苦い表情で言った。
「いま、俺が関わっている案件のクライアントに関わることだからな……。
中学時代の同級生を当たって調べたんだよ。
お前の為にも、クライアントの為にも、お前だけには知られたくは無かったんだ。
だが、こんな形でお前に知れるのは、何かの縁なんだろうな」
  
思いもしなかった形で、過去の黒い影が俺を捉えた瞬間だった。


1958 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 06:57:00 ID:cFFR5zTA0
後日、俺はPのクライアントに引き合わされた。
高校時代、俺の彼女だったユファの幼馴染で、中学時代の同級生だった菅田ミユキだった。
ミユキが現れたことも驚きだったが、俺を見た彼女の反応は更に俺を驚かせた。
「P君、なんでXX君を連れてきたの!」
物凄い剣幕だった。……女のヒステリーは苦手だ。
俺は彼女に嫌われるようなことをしていたかな?
少々怯み気味に俺はミユキに言葉を掛けた。
「久しぶり……その、なんだ、俺がここに来ちゃ不味かったのかな?」

Pはミユキを宥めながら、俺がここに来た理由、藤田と『エンジェル様』に関わる話を説明した。
Pの説明の後、俺はミユキに尋ねた。
「何があった?」
Pは一通のミユキ宛の封書を取り出した。
中には紙が一枚。
『エンジェル様』の文字盤だ。
文字盤には赤いペンで、このような文句が書かれていた。
「呪。****」
ミユキによると、****とは、川村が呼び出したと言う、彼女専用の『天使』の名前だそうだ。


1959 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 06:58:48 ID:cFFR5zTA0
「私、藤田君に恨まれているのかな?」
「藤田の不登校の原因になった『あれ』か?
お前は、他のクラスメイト達を諌めて止めようとしたんだ。
『あれ』は、その結果に過ぎない。恨むならもっと恨むべき人間がいるはずだ。
それとも、他に何かあるのか?」
「うん。あのことがある少し前、私、藤田君に告白されたんだ。
嬉しかった。……でも、断ったの。私、他に好きな人がいたから」
「……そうか、でも、それは仕方の無いことだろ?」
「でもね、その事で藤田君、クラスの皆にからかわれていたから。
私が原因なのに、私が余計な口出しをしたから、あんな酷いことをされて……」
「でも、それで藤田がお前の事を恨むとかは無いと思うぞ?」
「そうかな?……そうだと良いのだけど。
……藤田君、死んじゃったんだね。わたし、全然知らなかった」
ミユキはボロボロと涙を流しながら嗚咽を漏らした。


1960 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:00:06 ID:cFFR5zTA0
俺は、ミユキが泣き止むのを待って質問した。
「封書の差出人に心当たりはあるの?」
ミユキは中々答えようとしない。
答えないミユキに代わってPが口を開いた。

「お前には知られたくなかったが……由花(ユファ)だよ」
「ユファが何故?お前たち、仲が良かったんじゃないのかよ?」
ミユキは興奮気味に言った。
「私たちが仲が良かったって?本気で言ってる?
XX君って、素直って言うか、本当に昔から鈍いよね。
だから、ユファに裏切られていたことにも気付かなかったんだよね」
ミユキの言葉は俺の胸にチクリと突き刺さった。

「……ごめん。でもね、ユファと私は仲良しなんかじゃない。
私は、小さい頃からユファの奴隷だったわ。
昔からユファは私の持っているものを何でも欲しがって、全て奪って行ったわ」

そう言えば、ミユキは藤田が不登校になった後、ユファ達からいじめを受けていたのだ。
俺やPと同じ高校に進学するはずだったミユキは、県外の私立に進学していた。
いじめが原因……いや、ユファから逃げるためだったのか?


1961 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:01:22 ID:cFFR5zTA0
「ねえ、XX君、覚えているかな?わたし、中3の2学期に入院したことがあったでしょう?」
「ああ、盲腸だったっけ?内申書の成績が出る一番大事な時期だったからな。
その所為で、県外の私立を受けることになったんだと思っていた。
ほら、お前もH高を受けるとばかり思っていたからさ」
「……私の初体験の相手はトイレのモップの柄だったわ。
力任せに突っ込まれたから、お陰で一生子供の産めない体にされちゃったけどね」
無表情に酷く冷たい目をしながらミユキは語った。
思いがけず聞かされた、余りにエグイ話に俺は言葉を失った。
 
「ユファに……なのか?」
「ええ……。それと、ヒロコたちね」
俺の中で、楽しかったはずの中学時代の思い出がドロドロとした真っ黒なものに変色していった。

「でもね、それは耐えられた。やっと、ユファから逃げられると思ったから」
「まだ、……何かあったのか?」
「XX君って、残酷だよね。それを私に話させる?」
「……何のことだ?」
「卒業式のあと、美術準備室であったこと、覚えているよね?」


1962 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:02:26 ID:cFFR5zTA0
中学の卒業式が始まる前、俺はヒロコに呼ばれてこう言われた。
「式が終わったら美術準備室に行って。待っている子が居るから。
判っているわね?女の子に恥をかかせるんじゃないわよ」
リョウタみたいにモテるタイプではなかった俺はドキドキしながら式が終わるのを待った。
 
式が終了し、最後のHRが終わった。
クラスメート達と写真を撮り、部活の後輩達から花を貰ったあと、
ヒロコの『早く行け!』というアイコンタクトに従って、俺は美術準備室へ向かった。
美術室に入り扉を閉め、準備室のドアを開くと奥の机にユファが座っていた。
 
「ええっと、ヒロコに聞いて来たんだけどさ、俺を呼んだのってユファ?」
「うん。来てくれないかと思った。
ほら、XXと私って、高校別々になっちゃうじゃない?だから言っておきたいことがあって」
俺はドキドキしながら答えた。
「言っておきたいことって?」
「XX……君って、好きな子とか、付き合っている子って居る?」
「いないよ」
「……私のこと嫌い?」
「いや、そんな事はない」
「じゃあ、高校に行っても、私と付き合ってくれる?」
「うん、いいよ」
「うれしい!」


1963 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:05:00 ID:cFFR5zTA0
こんなやり取りをした後、俺とユファはあんな事をしたい、
こんな所へ行ってみたいなどと取り留めのない話をしていた。
そのあと、確かユファが髪留を外して、掌の上に乗せて言ったのだ。
「ねえ、見て」
俺は少し腰をかがめて髪留を見た。
「目をつぶって」
目をつぶるとユファは、俺の唇に唇を重ねてきた。
唇を重ねると、そのまま柔らかく抱きついてきた。
ユファのやわらかい唇の感触に童貞街道まっしぐらだった俺はフル勃起していた。
耳まで真っ赤に染めたユファが言った。
「これで、私とXXって、恋人同士だよね?」
「……ああ!」
「じゃあ、これからもよろしくね!」


ミユキが話し始めた。
「卒業式のあと、私、美術準備室へ行ったんだよ。手紙を持ってね。
ヒロコが、私に酷いことをしてきた罪滅ぼしに協力するって……わたしって、馬鹿だよね。
そんな言葉を信じて、徹夜で手紙を書いて、二度と行きたくなかった学校に行って。
それで、XX君が待ってるからと言われて、一生分の勇気を振り絞って美術準備室に行ったら……」
「行ったら?」
「中に……XX君とユファが居た。ユファと目が合って、思わずドアの影に隠れたわ。
それで、もう一度、準備室の中を覗いたら……あなたとユファがキスしてた。
もういいでしょ!」


1964 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:06:43 ID:cFFR5zTA0
俺は、心底オンナが、いや、人間の悪意を怖いと思った。
ユファとの思い出は、最後に彼女の裏切りにあって苦いものとなっていた。
何も、被害者面をするつもりはない。
男女間での事だ。俺の方にも大いに非はある。
だが、ミユキの話を聞いて、俺の知らなかった、
いや、薄々は気付いていたユファの黒い一面を知って、俺の背中に冷たいものが走った。
一時は何も見えなくなるくらいに好きだった女が、得体の知れない怪物だった、そんな恐怖心だった。

 
俺は、ミユキに「お前は『エンジェル様』に何て言われたんだ?」と尋ねた。
ミユキは震えながら言った。
「大勢の目の前でレイプされた上で、首を絞められて殺されるって」
ミユキは怯え切っていた。

ミユキが帰った後、Pは俺に話した。
藤田がミユキの前で自慰行為をさせられた件には、もっと酷い前置きがあったのだ。
問題の虐めがあった日、首謀者の川村はユファや他の連中に藤田とミユキを取り押さえさせて、
ミユキの下着も剥ぎ取って言ったそうだ。
「藤田ぁ~、菅田に振られて、笑いものにされて、お気の毒。
さすがに可哀想だから、協力してあげる。ここで菅田とSEXしなよ。みんなで見届けてあげるから。
菅田も、お前にイかしてもらったら、惚れ直して告白を受け入れてくれるかもよ?」


1965 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:08:32 ID:cFFR5zTA0
ミユキは泣き叫び、藤田は必死に抵抗したらしい。
その場にいた男子生徒にボコボコにされ、周りから「早くやれ!」と囃し立てられたそうだ。
藤田は泣きながら「それだけは勘弁してくれ」と哀願した。
そして、ヒロコが提案した。
ミユキをオカズにセンズリを扱いて、射精したら勘弁してやると。
 
恐らく、エンジェル様の『お告げ』は、
この前置きがあった上での川村たちの嫌がらせと脅迫だったのだろう。
その後もミユキへの『いじめ』は続きエスカレートして、
彼女は複数の女生徒たち(男子生徒もいた可能性がある)にトイレで暴行を受け、
回復不能な深い傷を負わされたのだ。
 
俺の胸の底に吐き気がこみ上げてきた。
心神喪失のままの川村にこの脅迫状は出せまい。
他にエンジェル様の『お告げ』を知っていて、脅迫状を出せるのはユファしかいない。
俺は、Pに「協力させてくれ」と頼んだ。

俺は、これまで知らなかった過去の闇の中に足を踏み出した。


1966 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:09:38 ID:cFFR5zTA0
俺はまず、ユファの行方を捜した。


俺とユファの出会いは小学生の頃に遡る。
子供の頃の俺は、かなりの虚弱児だった。
俺は、小学校低学年の頃に川で溺れ、死に掛けたことがあった。
近くにいた大人に救助されて溺死は免れたが、その後、暫く高熱を発し危なかったらしい。
高熱で脳にダメージでも負ったのか、俺はそれ以前の記憶が殆ど無い。
この事は、以前の投稿で既に触れた。
それまで俺の父親は、ひ弱だった俺を家から殆ど出さず、
何のまじないかは知らないが、服まで女物を着せて、酷く過保護に育てたらしい。
そんな父は、俺が回復すると、教育方針を180度転換した。
他に何もしなくて良いから体だけは鍛えろと、
親友だったPの父親の紹介で俺を近所の空手道場に放り込んだのだ。
とばっちりを受ける形でPも一緒に入門した。
俺が『運動馬鹿』になる第一歩だった。
この空手道場にいたのがユファの兄の『李先輩』だった。
 
俺とPが入門した頃、まだ中学生だった李先輩は、
稽古に耐え切れず練習中に度々ぶっ倒れた俺を背負って家まで送ってくれたりした。
高校生になると道場に顔を出す機会は減ったが、
稽古の後、実家で経営している焼肉店に俺とPを連れて行った。
「沢山喰って体をデカくするのも稽古の内だ。お前はひ弱なんだから、人一倍がんばって食わなきゃ駄目だぞ」
と言って飯を食わせてくれたものだ。
小学校から朝鮮学校に通い、高校ではラグビー部に所属していた先輩は、名センターだったらしい。

だが、地元ではラグビーでの名声よりも、喧嘩の武勇伝の方が有名だった。
自宅に良く招かれた関係で、妹の由花(ユファ)とは小学生の頃からよく知った間柄だった。
ついでに、ユファといつも一緒にいたミユキとも顔見知りだった。
小学校時代、ミユキ以外のユファの友達はユファの事を『川上さん』とか『ユカちゃん』と呼んでいた。
他の子が居るときは、ミユキもそうだった。


1967 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:12:09 ID:cFFR5zTA0
俺やPと通っている学校は違ったが、ユファは『川上 由花』という通名で
ミユキと同じ日本の小学校に通っていたのだ。
李先輩がユファの友達、特に幼馴染のミユキに気を使って居たのは子供心にも良く判った。
妹、ユファに対する溺愛ぶりもだ。
俺とPにとって、李先輩は、子供好きで面倒見が良く、
兄馬鹿で、ちょっと怖いところもある兄貴のような存在だった。
高校進学を期にユファは通名を使うのを止めたのだが、
中学時代には皆から『ユファ』と呼ばれて通名を使う意味はなくなっていた。
  
中学の卒業式の日にユファから告白を受け、付き合う事になった俺は、
既に社会人となり、実家を出ていた李先輩に呼び出された。
卒業祝いと言う割には、Pとミユキの姿はなかった。
 
「まあ、飲め」と言われ、「押忍」と答えて両手で差し出したコップに李先輩がビールを注いだ。
初めて飲んだビールは苦く、中々飲み干せなかった。
「ところでさ、お前ら付き合ってるんだって?」
俺は飲んでいたビールを噴出しそうになった。
「お、押忍、ユファと……いえ、妹さんと交際させて頂いてます!」
「ふ~ん、そうなんだ。ところで、お前ら、もうヤったの?」
俺は耳まで赤くなっているのを感じながら、慌てて答えた。
「滅相も無い!まだ、手も握っていません!」少しだけ嘘をついた。
「だよな~。お前、無茶苦茶オクテそうだもんな」
「はあ、……」


1968 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:14:26 ID:cFFR5zTA0
助け舟か、ユファが李先輩に食って掛かった。
「お兄ちゃん、いい加減にしてよ!」
「お前は少し黙っていろ!」
そう言われると、ユファは膨れっ面をしながらも黙った。
「ヤリたい盛りのお前にこんな事を言うのは酷かもしれないけれど、半端な真似は許さないよ?
どうしてもヤリたいと言うなら無理には止めないが、俺とタイマンを張る覚悟はしてくれ。
そう言う事は自分で自分のケツが拭けるようになってから、
自分の力で女と餓鬼を食わせられるようになってからにしておけ」
「……押忍」

そして、更に厳しい顔つきでユファに向かって言った。
「高校生になった妹の恋愛にまでクチを挟む気はないが、出来ました堕胎しますは絶対に許さないからな?
どんな理由があっても、人殺しは許さない。
誰が相手でも産ませてキッチリ責任を取らせるからそう思え」
「判っているわよ!」
「判っていれば、それでいい。健全で高校生らしい男女交際に励んでくれ。
おい、XX、何だかんだ言っても、コイツの付き合う相手がお前で安心しているんだ。
ワガママで気の強い女だけど、宜しく頼むよ」
そう言うと、やっと李先輩は笑顔を見せた。

どこまでも兄馬鹿な人だな、と、緊張の解けた俺は微笑ましく思った。
俺は、そんな先輩を尊敬していたし、堪らなく好きだった。


1969 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:16:41 ID:cFFR5zTA0
高校生活と共に俺達の交際も本格的にスタートした。
だが、初めから何かがおかしかった。
周りの連中に言われるまでもなく、人目を惹く『華』のあったユファと俺が
『釣り合っていない』ことは自覚していた。

俺はユファに夢中だったが、同時に、彼女と会う毎に不安が増していった。
彼女に嫌われていると言う事はなかった。それは判った。
だが、愛されている自信も無かった。
少なくとも俺が好きだと想っているほどには、彼女は俺の事が好きではなかったのだろう。
逢瀬を重ねるほどに、俺は自信を喪失していった。

やがて、16歳の誕生日を迎えた俺は、親や学校に隠れて中免を取った。
バイト代や預金をはたいて中古のバイクを手に入れてからは、バイクに嵌まり込んでいった。
まだポケベルさえ普及しておらず、携帯電話など無かった頃なので、連絡は家の電話で取っていた。
だが、姉と妹、特に妹が、何故かユファを良く思っていなかったらしく、
俺が電話したり、ユファから電話が来ると露骨に機嫌が悪くなった。
放課後の俺は、ガス代やタイヤ代稼ぎのバイトに明け暮れ、
膝に潰した空き缶をガムテで貼り付け、夜な夜な峠で膝摺り修行に邁進した。
ユファの方も、急に経営が傾き出し、従業員を解雇した実家の焼肉店の手伝いで忙しそうだった。
通っている学校も違っていたので、俺達の逢う頻度はどんどん下がって行った。
電話も、姉や妹への引け目から余りしなくなっていたので、話す機会も少なくなっていた。

そして、決定的だったのは高校2年生の時のクリスマスだった。
先輩の警告を破って、半分賭けのつもりでユファに迫った俺は、見事に彼女に拒絶された。

やがて3年生になり、大学受験の準備に入った俺は
出遅れを取り戻すために、連日、選択の補習授業に出るようになった。
ユファとは公衆電話から電話を掛けてたまに話はしたが、殆ど逢う事はなかった。
次に逢う時には別れ話を切り出されそうで怖かったのだ。


1970 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:19:15 ID:cFFR5zTA0
俺にとって、バイクも受験勉強も、ユファを失う恐怖から目を逸らすための逃避行動だったように思う。
やがて年末となり、大学受験の本番が目の前に迫っていた。
クリスマスもユファとは会っていなかった。
冬休みに入っていたが、自習室として開放されていた学校の図書室で
閉室時間まで勉強していた俺は、帰り道で5・6人の男達に囲まれた。
男達は朝鮮高校の制服を着ていた。
俺は朝鮮高校に何人か知り合いもいたし、特に彼らとトラブルを起こした覚えも無かった。
 
「H高のXXだな?悪いが、顔を貸してもらえるか?」
駅は目の前だ。リーダー格のコイツをブチのめして、ダッシュで改札に飛び込めば逃げ切れるか?
……いや、無理だろう。
こういった事に関しては彼らに抜かりはない。
改札前やホームに人を貼り付けているはずだ。
誰の命令かは知らないが、彼らが失敗した時に『先輩』から加えられる『ヤキ』は苛烈を極めるのだ。
恐怖に縛られた彼らから逃げ遂せるのは不可能だろう。
俺は、「わかった」と言って、彼らと共に移動した。


1971 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:21:58 ID:cFFR5zTA0
連れて行かれた先には意外な人物が待ち構えていた。
李先輩だった。
李先輩は鬼の形相だった。

「オ、押忍!お久しぶりです」
「ああ。ところでお前、以前、俺と交わした約束は覚えているな?」
「押忍」
「ならば準備しろ。タイマンだ。死ぬ気で掛かって来い。殺す気で相手をしてやる」
「嫌です」
「何だと?今更逃げる気か?」
「いいえ。でも、俺には先輩が何を言っているか判りません」
「とぼけるつもりか?ユファのヤツの様子がおかしいとオモニから相談されて、
まさかと思って病院に連れて行ったら、本当に、まさかだったよ。
半端な真似は許さないと言ってあったよな?」

まさか……。
俺はショックから立って居られなくなり、その場に座り込んだ。
そして、精一杯に強がって言った。
「煮るなと焼くなと好きにして下さい。でも、先輩とタイマンは張れません。
俺はユファとは何もしていません!」

俺はこの時、泣いていたのだと思う。
李先輩は俺を抱き締めて言った。
「本当に済まなかったな。お前は嘘を言っていない。俺には判っている」


1972 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:23:21 ID:cFFR5zTA0
「XXはこう言ってるぞ!お前の本当の相手は誰なんだ?」
朝高生の男2人に脇を抱えられたユファが俺と李先輩の前に引き出されて来た。
「嘘よ。相手はXXよ。他に有り得ないでしょ!XXもそう言ってよ!」

……誰だ、この女?
ユファに良く似た姿をしているが、他人の空似に違いない。
この女はユファじゃない。堪らなく好きだった、俺のユファじゃない!
他人だ。
ユファに良く似た他人だ。
でなければ、悪い夢を見ているんだ!
 
「いい加減にしないか!」
李先輩はユファを平手で叩いた。
兄馬鹿で、幼い頃からユファを溺愛していた先輩が、妹に手を上げたのは初めての事だったのだろう。
ユファは一瞬、何が起こったのか理解できなかったようだ。
暫くきょとんとしていたかと思うと、やがて大声で泣き始めた。
李先輩は朝高生の一人に朝鮮語で何かを命令した。
「イエー!(はい)」と答えたその男は何処かに行った。


1973 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:25:20 ID:cFFR5zTA0
何処か近くに待機していたのか、10分ほどすると車が1台入ってきた。
車の後部座席から、見るからに柄の悪そうな男2人に脇を抱えられた、
20代後半か30代前半くらいの男が引き出されてきた。
運転席からは男達の兄貴分だろうか?
見るからに貫禄のあるスーツ姿の男が降りてきた。
李先輩はスーツ姿の男に深々と頭を下げた。
引き出されてきた男を見たユファは半狂乱になって叫んだ。
「違う、その人じゃないの!XXなのよ、信じてよ!」

俺は、もう、全てがどうでも良くなっていた。
李先輩は酷く冷たい声色でユファに言った。
「いい加減にしろ。
男女の恋愛沙汰だ。別れる別れないとか、他に好きな男が出来るとかは良くあることだ。
そんな事はどうでもいい。それはお前とXXの問題だ。
だが、お前のやっている事は何だ?
お前のやっている事は余りに誠意と言うものが無いじゃないか!」


1974 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:27:10 ID:cFFR5zTA0
李先輩は、ユファの相手の男に歩み寄った。
「お前、人の妹に、未成年に手を出しやがって……。責任は取ってもらうからな?」
更にユファに向かって言った。
「出来ました、堕胎しますは許さない。誰が相手でも産ませるといった事は覚えているな?
どんな形であれ、人殺しは許さない。
自分の行動の責任は自分で取るんだ。子供は産んでしっかり育てろ」
「ふざけるな、冗談じゃない!」
相手の男が悲鳴のように叫んだ。
「俺には妻も子供も居るんだ。そんなことをされたら身の破滅だ」
「なんだと?それじゃあ、妻子持ちが高校生の餓鬼を騙して弄んだというのか?
俺の妹に、初めから捨てるつもりで手を出したのか?」
「あ、遊びだったんだ。軽い気持ちで、こんな事になるとは思っていなかったんだ!」

……この馬鹿!
この場に居る誰もが緊張した。
これから、この場所で殺人が行われる。
だが、李先輩は冷静だった。


1975 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:29:13 ID:cFFR5zTA0
先輩はユファに向かって言った。
「店は畳む。オモニは俺が引き取る。
お前には、アボジが残してくれたあの家をやろう。だが、それだけだ。
お前とは縁を切る。もう兄でもなければ妹でもない。
俺にも、オモニにも、それからXXにも二度と近付くな」

そして、俺の両肩に手を置いて、声を震わせながら言った。
「こんな事になって、本当に済まない。
……ユファの相手がお前だったら、良かったんだけどな。
あんな馬鹿な妹で、本当に済まなかった。
俺達兄妹とのこれまでの事はなかったものとして忘れてくれ」
先輩の目からは涙が溢れていた。
始めて見る、李先輩の涙だった。
……声が詰まって俺は何も言えなかった。

スーツの男に李先輩が言った。
「すみません、彼を送ってやって下さい。お願いします」


それから、李先輩とユファがどうなったのか俺は知らない。
俺からユファを奪った、あの男がどうなったのか、生死も含めて知る事は出来ない。
俺は受験に失敗して浪人する事になった。
ユファ達の家には、いつの間にか売家の札が貼られていた。


1976 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:31:14 ID:cFFR5zTA0
俺は、キムさんが『裏の仕事』でよく利用する調査会社の男にユファの行方調査を依頼した。
呪詛や心霊関係にも明るく、そのような方面からの切り口で調査を進められる稀有な人材だ。

「アンタが社長を通さずに直接俺に調査を依頼するとは珍しいな。『あっち方面』の依頼か?」
「ああ。ちょっとした呪詛絡みでね。人を探してもらいたいんだ」
「探すのは構わないが、あんたの個人的依頼と言う事になると結構掛かるよ?」
「その点は大丈夫だ。スポンサーが居るんでね」
「そうか、1週間……いや、10日待ってくれ」
  
2週間後、調査会社の男が調査報告書を持って来た。
「アンタにしては掛かったな」
「ああ。意外にてこずったよ。だが忠告しておく。あんたは、この報告書を見ないほうがいい」
「なぜ?」
「……あんた、その女に惚れていたんだろ?他にも色々とあるんだが、辛いぞ?」
「おいおい、半人前かもしれないが、俺も一応はプロだぜ?」
「そうだったな」
彼が言ったように、調査報告書の内容は、俺にとって衝撃的で辛い内容だった。


1977 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:33:54 ID:cFFR5zTA0
李先輩とその母親は10年前の震災で亡くなっていた。
俺もPも知らなかった事実だった。
別れた後のユファの足跡も読んでいて辛いものがあった。
ユファは高校を卒業後、女の子を出産していた。
兄に厳しく言い渡されていたとはいえ、堕胎せずに出産していた事に俺は驚いた。
その後のユファの人生は男の食い物にされる人生だった。
 
最初は自宅を売りアパートを借りる際に頼った不動産業者の男だった。
ユファの実家を売った金は、1・2年で使い果たされ、
金が無くなると男はユファと子供を捨てて逃げたようだ。
男が逃げて直ぐに、ユファはスーパーのパート店員から水商売に転じた。
其処でのユファの評判は余り芳しいものではなかった。
店の売り上げを持ち逃げした、客から多額の借金をして行方をくらました等、悪評が付いて回った。
水商売の世界に居られなくなり、やがて風俗嬢に。
ヘルスからソープを経て、某新地へ。

新地時代のユファのヒモだった男の名を見て俺は驚愕した。
三瀬……中学時代の同級生だった。
ユファが新地で働いていた頃、俺は三瀬に会った事があったのだ。


1978 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:35:04 ID:cFFR5zTA0
俺が、バイトでバーテンをしていた店に三瀬が2・3人の女を伴ってやってきたのだ。
当時の三瀬は、まだ、大学生だった。
俺の居た店は、大学生が出入りするには少々高い店だった。
まあ、場違いなバカボン大学生が来る事も無かったわけではなかったので、
その時は別に疑問も持たなかった。
偶然の再会……を喜び合った俺たちは、一緒に遊びに行く事を約束して別れた。
 
後日、俺は三瀬の車に乗って、彼と遊びに出かけた。
彼の車はFD、ピカピカの新車だった。
「金回りが良いんだな」
「まあね」
そんな三瀬に連れられて行ったのが、報告書にあった某新地だったのだ。

報告書と俺の記憶を照合すると、俺はユファのヒモだった三瀬に、
ユファが働いていた新地に連れて行かれたことになる。
その頃は、俺の女遊びが一番激しかった時期だった。
何周か店をひやかして歩き回った。
中にはそそられる女もいたが、風呂もシャワーも無いと言う事で、その不潔さから
「俺はいいや」と言って店に上がる事はなかった。
報告書を読みながら、俺は心拍が上がり呼吸が苦しくなって行くのを感じた。


1979 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:37:32 ID:cFFR5zTA0
報告書には無かったので
俺は調査会社の男に「三瀬は、いまどうしているんだ?」と尋ねた。
何度か留年を重ねて大学を卒業した後、三瀬は一旦就職したが、すぐに退職して無職だったようだ。
ユファのヒモを続けていたのだろう。
その後、ユファに逃げられ、覚せい剤取締法違反で逮捕され収監されている。
自己使用だけでなく売人もやっていたようだ。
出所後、更に2度収監され、今でも中毒者ということだった。
 
俺は、更に報告書を読み進めた。

三瀬から逃げたユファは、迫田というチンピラの情婦になっていた。
迫田は薬物事犯や暴力事犯での逮捕歴が二桁近くある男で、
関東の某組から『赤札破門』『関東所払い』を受けて流れて来たようだ。
通常の破門ならば拾ってくれる組もあったのだろうが、
『赤札破門』の迫田を拾ってくれる組は無く、当然堅気にも戻れなかった。
迫田はユファを使って『美人局』を行って生計を立てていたようだ。

確かに、読んでいて辛い内容だった。
だが、最後の項目を目にした俺は、激しい怒りに捕らわれた。
信じ難く、許せない内容だった。
李先輩やおばさんが生きていたら、絶対に許さなかっただろう。
俺は、調査会社の男に「これは本当なのか?」と、確認した。
「本当の事だ」

ユファと迫田は、ユファの娘を使って『美人局』を行っていたのだ。


1980 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:39:10 ID:cFFR5zTA0
ユファの調査は進めたが、俺はユファと、できれば直接に関わるつもりは無かった。
だが、無視する事は出来なかった。
絶縁したとはいえ、李先輩が生きていて、この事を知ったならば、やはり放置しなかったはずだからだ。
こんな形で、この事を知ったのは先輩の導きかもしれない。
この際、ユファの事はどうでもよかった。
だが、ユファの娘は何とかしたかった。
巡り合わせ次第では、俺の『娘』だったかも知れない子だからだ。
俺はユファ達の棲む町へと向かった。
  
事に移る前に、俺は地元のヤクザに金を包み、話を通しに行った。
話はすんなりと進んだ。
「ああ、あの胸糞の悪いチンピラと朝鮮ピーだな。
最近調子に乗りすぎていて、目障りだったんだ。好きにしてかまわない。手出しも口出しもしないよ」
そう言って、そのヤクザはユファの娘を拾う方法まで教えてくれた。


1981 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:40:13 ID:cFFR5zTA0
ユファの娘が客を拾っていたのは、川沿いのラブホテル街だった。
夜の通りに7・8人の30代から50代くらいまでの中年女性が立っていた。
女を物色していると思われる男たちが、川沿いを何度も往復していた。
往復している男たちに女が世間話を装って話しかけ、見極めたうえで交渉に入るようだ。
俺は男たちに倣って川沿いの道を何往復かしてみた。
ユファの娘らしき女は立っていなかった。
それはそれで構わない。

やがて、一人の女が話しかけてきた。
「お兄さん、さっきからずっと歩いてるよね。夜のお散歩?」
「まあね」
少し雑談していると、女が切り出してきた。
「お兄さん、これから遊びに行かない?」
「遊び?」
「判ってるんでしょ?ホテル代別でショートでイチゴー、ロングなら3だけど、
お兄さんならニーゴでいいわよ?」
「今日はいいや」
「お目当ての子が居るの?」
「ああ。この辺に高校生くらいの子が立ってるって、ネットで見てさ」
「ああ、あの子ね。あの子は火曜日か木曜日にしか来ないよ。
その先のローOンの前の橋のところに10時位から立つけど……止めた方がいいわよ」
「なんで?」
「あの子、お客の財布からお金を抜くのよ。それがばれると……判るでしょ?」
「美人局か」
「そうそう!それで、悪い噂が立っちゃって、私たちも迷惑してるのよね」
俺は女と別れて、その日は撤収した。


1982 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:42:35 ID:cFFR5zTA0
何度か空振りした末に、俺はユファの娘を捕まえる事に成功した。
「ホテル代別で3。朝までなら5よ」
「お、強気だね」
「嫌なら……別にいいんだよ」
金髪にして、少し荒んだ感じだったが、娘には昔のユファの面影が確かにあった。
まだ幼い顔立ちと、細すぎる肩。
正直、胸が痛んだ。
「OK!5だな。朝まで楽しもうぜ」
俺は、彼女に付いて少し先のラブホテルに入った。

「お金。前金でお願い」
「嫌だね」
「……それなら帰る」
「それも駄目だ」
「……お金、出しておいた方がいいよ?」
「迫田には連絡したのか?まだだったら電話しろよ」
彼女は、驚いてはいたが妙に落ち着いていた。

「あなた、警察の人?」
「いいや。……妙に落ち着いてるんだな」
「そう?……私なんて、どうなっても、……どうでもいいから」
彼女の手首にはリストカットの痕が幾筋も残っていた。

「逃げた方がいいわよ?迫田って、無茶苦茶だから。オジサン、殺されちゃうよ」
「俺が逃げたら、お前が酷い目に合うんじゃないか?」
「そうかもね。でも、殺されはしないだろうし……。
『仕事』をしなくちゃいけないから、そんなに酷くはやられないと思う……」
正直、痛ましくってやっていられなかった。


1983 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:45:19 ID:cFFR5zTA0
「どうせ、下の出口にでも待ってるんだろ?とりあえず、ここに呼べよ」
彼女が電話すると直ぐに迫田が上がってきた。
ドアの鍵は開いていた。
室内に入って「てめえ、人の娘に……」と
言うか言わないかのタイミングで俺は迫田に襲い掛かった。
 
虚を衝かれ、怒りに歯止めが利かなくなった俺の暴力に晒された迫田は動かなくなっていた。
まあ、死にはしないだろう。
こんなクズは、死んだところで問題はないが、
死んだら死んだで面倒なので生きていた方が都合は良かった。

「こいつ、お前の親父なの?」
「違うよ。母さんのオトコ」
「お前の母さんは、……お前がこんな事をさせられているのを知ってるのか?」
「……うん」
「お前の本当の父親は?」
「良くは知らないけど、母さんを捨てて逃げちゃったらしいよ。私のせいだって」
「……そうか」
「オジサン、何なの?私をどうするつもり?」
「どうもしないよ。俺は、李 ユファの、……君のお母さんの昔の知り合いなんだ。
君のお母さんに会いたい。案内してくれないか?」
「いいよ」


1984 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:47:18 ID:cFFR5zTA0
車の中で聞かれた。
「オジサンは母さんの昔の知り合いなんでしょ?
私のお父さん、母さんの彼氏だった人のこと、……どんな人だったか知ってる?」
「さあな。俺は中学生の頃の同級生だから」
「……そうなんだ。ほら、そこの角を右に曲がって……あれよ」

ユファ達が住んでいたのは、三階建てのコンクリート作りの建物が5棟ほど建った古い団地だった。
建物のひとつの階段を上り、二階の右側の鉄扉を彼女が開けると
アルコールと生ゴミの混ざったような悪臭が鼻を突いた。
室内はゴミが散乱していて汚い。
 
彼女が「ただいま……」と消え入りそうな弱々しい声を発すると、
灯りの消えた真っ暗な部屋の奥から女の声が聞こえた。
「あ……ん?早いんじゃない?あの人はどうしたの?一緒じゃないの?」
彼女は俯いたまま、黙って立ち尽くしていた。
「黙っていないで、何とか言え!」
怒号と共に何かが飛んできた。
飲み残しの入ったビールの空き缶だった。
ブチッと、俺の中で何かが切れるのを感じた。
 
俺は、明かりを点けて部屋の奥に踏み込んだ。
何日も櫛を通していないようなボサボサ髪に
薄汚れて犬小屋の毛布のような臭気を発するTシャツ一枚の女が眩しそうに顔をしかめた。
俺は酒臭い女の髪を掴んで風呂場に引きずっていき、
薄汚れた水が張りっぱなしになった浴槽の中に放り込んだ。
「だれ?何をするのよ!」と叫ぶ女に、更にシャワーで水をぶっ掛ける。
 
「俺が判るか?ユファ!」
一瞬、呆然とした表情を見せた後、ユファは口を開いた。
「XX……なの?何で、ここに……?」
「何でも、糞も無い。何なんだ、このザマは?」


1985 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:49:53 ID:cFFR5zTA0
「アンタには関係ないでしょ!」
「ああ、関係ないね。お前がどうなろうが知った事じゃない。
けどな、お前らが娘にやらせている事は見過ごせねえ。
……おまえら、人間じゃねえよ。なんでこうなった?」
ユファは、吐き捨てるように言った。
「何を偉そうに。この子と一緒と言う事は、この子を『買った』んでしょ?
やる事をやっておいて、大口を叩くんじゃないわよ。同じ穴の狢じゃない!」
ユファは怒気の篭った声で娘に言った。
「何でこんな奴をここに連れて来たの!迫田はどうしたのよ!」
「あの人は、……この人にやられちゃった」

「アハッ、迫田がXXに?無理よ。
XXはね、小っちゃくて弱っちいんだよ。
背だって私の方が大きかったし、足だって私の方が速かったんだ」
……いつの話だ?虚弱だった小学生の時分、俺が初めてユファに逢った頃の話か。
 
「そうだ、XXは弱い子だから、私が助けてやらないといけないんだ……お兄ちゃんが言ってた」
何か様子がおかしい。
酒で泥酔しているからだと思ったが、明らかに挙動がおかしく、話す内容も要領を得ない。
そう言えば、ユファのヒモをしていた三瀬は薬物事犯で服役したし、迫田も薬物事犯の累犯犯罪者だ。
薬物中毒か……。
 
「XX、早くここを出て行って!迫田が戻ってきたら、私もあなたも殺されちゃうよ!」

ユファも娘も、迫田に暴力で支配されていたのは間違いないだろう。
俺は娘に言った。
「悪いようにはしないから、俺と一緒に来い」
「無理だよ。私もお母さんも迫田に殺されちゃうよ?」
「その迫田から逃げるんだよ。迫田はさっきのホテルでまだノビてる。逃げるなら今しかないぞ?
ここに居て、迫田が戻って来たら、また同じ事の繰り返しだぞ?
一緒に来い。何があっても今の状況よりはマシだろう?」
「……判った」
「ユファ、嫌だと言っても、お前には一緒に来てもらう。問い質さなければならない事があるからな。
2人とも、身の回りの荷物を纏めろ。30分後に出るぞ」
  
俺はPに連絡を入れ、彼とミユキの元へと向かった。


1986 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:51:04 ID:cFFR5zTA0
俺は、Pの元にユファとその娘を連れて行った。
ユファは思った通り、重度の覚醒剤中毒だった。

艶を失くした髪や肌はボロボロで老婆のよう。
重度の覚醒剤中毒患者に特有の症状らしいが、歯がボロボロに腐り、
腐敗したキムチのような耐え難い口臭を放っていた。
痩せ細り骨ばった体は30代の女のそれではない。
やはり薬物中毒患者に多いと言う肝疾患を患っていたため、黄疸で白目も黄色く変色していた。

変り果てたユファの姿に、俺は少なからぬ衝撃を受けた。
俺は、ある医師を頼りユファと娘を診させた。
だが、その前にすることがあった。
ミユキに送られてきた『脅迫状』について問い質さなければならない。
  
ミユキとユファが対面したのは、中学卒業以来、20年ぶりのことだった。
ミユキは、あまりに変わり果てたユファの姿に絶句していた。
ユファは、俯いたままミユキの顔を見ようとしない。
Pが、ユファにミユキに送られてきた脅迫状、
『呪。****』と赤文字で書かれた『エンジェル様』の文字盤を見せながら言った。
 
「手短に聞こう。これをミユキに送りつけたのはお前か?」
「いいえ」
「本当に?」
「ええ、本当よ。でもね、ミユキや他のみんなを呪っていなかったかと言われれば、嘘になるけどね。
XX、あんたの事もね」


1987 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:53:25 ID:cFFR5zTA0
 Pがそれまでの経緯をユファに話して聞かせた。
ユファは驚いていたが、「結局、エンジェル様のお告げは全て当たったのね」と呟いた。

俺は、ユファに尋ねた。
「お前は『エンジェル様』に何て言われたんだ?」と。
ユファは声を震わせて答えた。
「一生、生き地獄……」
俺は何と言って良いか判らなかった。
代わりに尋ねた。
「ミユキに脅迫状を送りつけた主に心当たりはないか?」
ユファは首を横に振った。
……振り出しか。
 
最後に、俺はユファに訊ねた。
「なぜ、ミユキにあんな真似をしたんだ?お前たち、友達じゃなかったのかよ」
「そうね、私にとっては唯ひとりの友達かもね。私を初めから本名で、
『ユカ』じゃなくて、ちゃんと『ユファ』と呼んでくれていたのはミユキだけだったからね」
「だったら、何故?」
「友達だから、ミユキの下に立つことは絶対に出来なかったのよ」
「なんだよ、上とか下って!……友達というのは対等なものじゃないのか?」


1988 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:55:09 ID:cFFR5zTA0
「アンタには判らないでしょうね。……P、アンタになら判るでしょう?」
Pは苦々しい表情で言った。
「……ああ。わかるよ」
「ミユキは、私がどんなに頑張っても敵わない位に頭も良かったし、
女の私から見ても羨ましいくらいに可愛かったからね……。
何をやっても敵わない。
……そんなミユキの下に立ったら、惨めじゃない。
アンタやPだって、兄さんだって私よりミユキの方が好きだったでしょう?」
「待てよ、少なくとも先輩は、いつもお前のことが第一だったじゃないか。
ミユキがお前の一番の友達だったから、気を使っていただけだろ?
俺だって、お前と付き合っていたじゃないか。少なくとも、俺は本気でお前のことが好きだったぞ?」
「いいえ、それは嘘。でなければ、あなたがそう思い込もうとしていただけ」
俺が言い返そうとするのを遮るようにミユキが言った。
「卒業式の日、美術準備室であったことは、なんだったのよ?」
 
「兄さんはね、あなたのことが好きだったのよ。本当にね。
まあ、あの兄さんだから、あなたが気づかなくても仕方ないけどね。
なのに、あなたはXXまで……許せなかったわ。
……ねえ、XX。あなた、あの日、告白したのが私じゃなくてミユキだったら、
ミユキと付き合っていたんじゃない?
私よりも、ミユキに告白された方が嬉しかったんじゃない?」
「もしもの話をされてもな……。
俺はお前と付き合った。あの日のことは物凄く嬉しかった。舞い上がるくらいにな。それだけだ」
「相変わらず、狡いのね。……もういいでしょう?疲れたわ」


1989 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:57:06 ID:cFFR5zTA0
事件は振り出しに戻った。
 
俺とPは、千津子と奈津子の『力』によって負ったダメージから
回復するために静養中のマサさんに相談してみた。
マサさんは言った。
「お前たちは、ひとつ大事なことを見落としているぞ?
もう一人、ミユキを含めた『エンジェル様』のメンバー全員を呪う人物がいるだろう」
「誰ですか?」
「判らないか?藤田の母親だよ。
それとな、川村が呼び出した天使『****』と言うのは、
韓国のあるキリスト教会で猛威を振るった『巫神』……悪魔の名前なんだ。
その辺も含めてもう一度洗い直してみろ」

 
俺とPは、藤田・川村を中心に過去を洗い直した。
すると、意外な事実が浮かび上がってきた。

藤田家と川村家は、両家に子供が生まれる前から接点があった。
両家はあるキリスト教会の信者であり、その教会の牧師は韓国人だった。
俺の母親もクリスチャンだがカソリックなので、プロテスタント系の地元のその教会には通っていなかった。
その韓国人牧師には、韓国人聖職者にありがちな問題行動があった。
藤田の母親は、Pの実家が経営する店でパート店員として働き、
一人息子の藤田を女手一つで育てていた。
藤田の父親は、藤田が小学生の時に自殺している。
川村の両親も、川村が中学生の頃から夫婦仲が悪化し、
娘が心神喪失状態になると父親が家を出て帰らなくなり、やがて離婚が成立した。


1990 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 07:58:26 ID:cFFR5zTA0
Pが主に動いて、意外な、そしておぞましい事実が明らかになった。

藤田の父親の自殺と川村の父親の出奔の原因は、共に妻の不貞だった。
そして、妻たちの不倫の相手は、共に教会の韓国人牧師だった。
その牧師が川村と藤田の本当の父親だったのだ。
更に、川村の問題行動……藤田への悪質で執拗ないじめが始まる少し前に、凶悪な事件が起こっていた。
中学生になったばかりの川村は、血縁上の父親でもある韓国人牧師に強姦されていたのだ。
事件を揉み消すために、教会から信者に多額の金が流れ、
問題の韓国人牧師は韓国に帰国していた。

この韓国人牧師は日本に来る前、韓国の教会で起こったある事件に連座して
韓国の宗教界に居られなくなり、その過去を隠して来日していた。
その事件とは、聖職者数名が未成年者を含めた多数の信者女性を集めて
『サバト』を開いていたというものらしい。
川村が呼び出した天使……いや、悪魔『****』とは、その『サバト』で呼び出されていたモノらしい。
どうやら、問題の韓国人牧師は日本でも『サバト』を開いていたようだ。
そこで、川村は牧師に強姦され、
父親の自殺時に藤田が知ることになった自らの出生の秘密を知る事になったようだ。
川村が幼馴染の藤田に抱き続けた恋心は激しい憎悪に変わり、
その憎悪は藤田が想いを寄せた菅田ミユキにも向けられた。


1991 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 08:00:59 ID:cFFR5zTA0
俺たちは、藤田の母親を問い詰めた。
藤田の母親は、驚くほどあっさりと、ミユキに脅迫状を送った事実を認めた。
息子を自殺に追い込んだ連中の幸せな様子が許せなかった……らしい。
だが、それだけではなかった。
 韓国人牧師に逃げられた藤田の母親は、
父親の自殺以降、自分に軽蔑の視線を送り続けていた我が子を『****』に捧げていた。
息子を生贄に、牧師の『寵愛』を奪った川村を呪ったというのだ。
狂っている……
そう形容するしか言葉が思いつかなかった。
そんな、藤田の母親の怨念に再び火をつけたのは、息子が想いを寄せていた、菅田ミユキの結婚話だった。
ミユキはPのプロポーズを受け入れていたのだ。

そうだ、思えばPは小学生の頃、俺と一緒に李先輩の所に遊びに行っていた頃からミユキが好きだったのだ。
Pは、長いあいだミユキの相談に乗り続け、彼女を支えていた。
「水臭いじゃないか、P!おめでとう。何で話してくれなかったんだ?」
「……全て片付いてから話すつもりだったんだ。
それに、ミユキと結婚する前に、やっておかなければならないことがあるからな」
「やっておかなければならないこと?」


1992 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 08:02:31 ID:cFFR5zTA0
「ああ、俺は、呪術の世界の一切と、マサさん達と今度こそ手を切る。
恐らく、すんなりとは抜けることは出来ないだろう。
だが、俺は、ミユキ以外の全てを失っても、絶対に抜けてみせる」
「そうか……」
「だから、お前とも……」
「判るよ……皆まで言わなくていい」
「すまない、俺がお前をこんな世界に引き摺り込む原因を作ったのに……」
「Pそれは違う……こういう形だっただけで、こうなることは必然だったんだ。
うまく抜けて、ミユキを幸せにしてやってくれ。
もし、俺がお払い箱になって足を洗うことができたら、その時は就職の斡旋でもしてくれよ」
「ああ、必ずな。待っているよ……必ず来てくれ」


1993 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 08:04:14 ID:cFFR5zTA0
俺は、ユファのことを弁護士をしている大学時代の友人に頼んだ。
彼女は、DVや少年問題をライフワークにしている。
彼女の活躍で、ユファには執行猶予が付き、実刑は受けずに済んだ。
しかし、彼女はもう手遅れの状態だった。
肝臓を完全にやられ、売春や薬物中毒といった経歴から恐れていた感染症にも罹患し、
既に症状が出始めていた。

俺は、妹の久子にマミの診察と治療を依頼した。
最悪の事態も含めて、ある程度の予想はしていたが、マミは数種類の病気に感染していた。
だが、不幸中の幸いで、マミの罹っていた病気は、全て治療可能なものだった。
しかし、他方で、慢性化していた病は、マミから受胎能力を奪い去っていた。
そして、肉体よりも精神的なダメージの方がより深刻だった。
自殺願望が強く、拒食の傾向が顕著に出ていたのだ。


1994 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 08:06:01 ID:cFFR5zTA0
俺は、療養中のユファに面会に行った。
精神医療のことは全く判らないので、医師の指示に従うしかなかったのだが、
マミはユファには会わせない方が良いらしい。
死相の浮かんだユファは、痩せこけて老婆のようだった。
俺は、カサカサで骨張った小さな手を握った。
 
俺が手を握ると、ユファが目を覚ました。
暫く無言の状態が続いたが、俺は特に答えを聞くつもりもなく言った。
「俺たち、なんでこんな風になっちまたのかな……」

ユファが俺を見つめながら言った。
「あなたの妹さん……久子ちゃんって言ったかしら?
あの子に言われたのよ……お兄ちゃんは、ずっと無理をしているって。
私と付き合うようになってから、あなたが全然笑わなくなったって……
お兄ちゃんのことが好きじゃないなら、もう解放してあげて下さいってね。
泣きながらよ?……ブラコンよね、重症の」
「ブラコンについては、お前は人のことは言えないだろ?」
「そうかもね。でもね、妹さんに言われて、納得したわ。
私、付き合っている間、あなたの笑顔を見たことなかったもの。
子供の頃、お兄ちゃんやミユキたちと遊んでいた頃は、あなたはよく笑っていたのにね。
私、あなたの笑顔が大好きだったの」


1995 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 08:08:44 ID:cFFR5zTA0
「無理をしていると言えばそうだったかもな。
臭い言い方をすれば、お前は俺にとっては眩しすぎたから。
周りの連中にも言われていたけれど、俺は、お前とは釣り合っていないってね。
妙なコンプレックスを感じていたのは確かだよ。
結局、俺はお前と向き合うことから逃げていたんだよな」
「馬鹿ね。私から、あなたに告白したのよ……周りから何を言われても関係ないじゃない?
何も気にしないで、私だけ見てくれていたら良かったのにね」
「そうだな」

「あのクリスマスの夜……なんで、途中で止めて、何もしないで帰っちゃったの?すごく、悲しかった」
「お前に拒絶されたと思って……判っているよ、俺がヘタレだったんだよ。
妙なコンプレックスを持っていて、萎縮してしまったんだ」
「私たち、付き合うのが少し早すぎたのかもね……
もう少し、大人になってから付き合えば、幸せになれたかも。
少なくとも、マミをあんな風にはさせなかった……あの子を愛してあげられたかも知れないのにね」
「……」
「あの子が、あなたの子だったら……」


1996 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 08:10:57 ID:cFFR5zTA0
「苦労することが分かっていても、お前はあの子を産んだ……堕ろすって選択肢だってあったのにな。
それに、あの子を産んだあとだって、捨てると言う選択肢があったはずだ。
でも、お前はそうしなかった。
……それは、心の底では、お前があの子を愛してるってことじゃないか?
そうでなければ、俺は今日、お前に会いに来ることはなかったよ」

「でもね、あの子を見ていると、お兄ちゃんやミユキ、
それにあなたを裏切った自分の愚かさを突き付けられるのよ。
自業自得なのは分かっているの。
それなのに……何の罪もないあの子を傷つけてしまうのよ。
わたし、あの子の笑ったところを一度も見たことがない……」
ユファは泣き始めた。そして、言った。
「こんなことを頼めた義理ではないのは判っている。
でも、私にはあの子の事を見届ける時間はないと思うから……あの子のことをお願いします」
  
その後、色々とあったが、俺と妹が両親に頼み込み、
弁護士の友人や、その他多くの人々の働きがあって、マミは俺の実家に身を寄せることになった。


1997 :傷跡 ◆cmuuOjbHnQ:2012/12/19(水) 08:14:02 ID:cFFR5zTA0
夕食のあと、俺は父の書斎に行った。
そこで、両親に切り出された。
「マミちゃんの事なんだが……素子と久子の了解はとってある。後は、お前の了解を得るだけなんだ」
「……なんだよ」
「あの子の事情は、全て知っている。
その上での事なんだが、お前さえよければ、あの子を養女に迎えたいんだ。
私と母さんが生きている間にあの子を嫁にでも出してあげられれば良いのだけど、
父さんも母さんも、もう年だからな」
「いい話じゃないか。俺に異存はないよ。ありがとう」
「そうか!あの子の前で揉めるのは避けたかったんだ。それじゃ、あの子に話してみるよ」
  
思いがけない形で、俺の心残りだった懸案は片付いたようだ。
思い残すことは、もうない。
これまでのマミの人生はあまりに辛く、酷いものだった。
すぐには無理かもしれないが、人並みに学び、人並みに遊んで、人並みに恋をして、
泣いて、そして笑って欲しいのだ。
マミが幸せで、いつも笑顔でいてくれるなら、俺のこれまでにあったこと全てに意味が見出せるだろう。
例え、明日『定められた日』が来ても、俺は満足できるに違いない。



おわり




関連記事






















ほんのりと怖い話スレ その13


232 : :03/05/31 16:14
中学生の時、例に漏れずウチの学校でも、コックリさんの亜流だと思うんですが
『エンジェルさま』というのが大流行して、
私も仲良しの友人と3~4人で集まっては休み時間にやってました。

エンジェルさまは、50音と『はい・いいえ』のある紙を用意して、
硬貨じゃなく鉛筆を向かい合って座った人間2人で持って(指相撲みたいに)やる降霊ごっこです。

流行すぎて、おかしな体験をする人が増えてきました。
授業が始まっても鉛筆を掴んだ手が離れずに、ゴリゴリとひたすら円を書き続けて
先生に叱られたり、紙にくっつけたままにしなくちゃいけないはずの鉛筆が
浮かんで、見学していた子の手の甲を突き刺す事件があったり…


でも、自分達のグループじゃなかったし、
クラスの恋愛事情なんてくだらない事しか聞かずに
はしゃいでいた私達は、その日も怖がる事なくエンジェルさまをはじめました。


鉛筆を握るのが私とA、見学&質問するのがBとC。
最初はこの中に好きな人がいる子がいるかとか他愛のない質問をしていたんですが、
上記の事件が起きて時間が経ってなかったのもあり、
Cが「この間DちゃんやFちゃん達のところにいらっしゃったエンジェルさまはあなたですか?」と聞きました。
答えは『はい』。
ここで4人とも顔を見合わせてしまいました。
怖いというより「えっ?」という感じで。





233 : :03/05/31 16:19
次にもう一度Cが、「あなたは悪いエンジェルさまですか?」と聞きました。
答えは『いいえ』。
私もみんなもほっとしました。
なんだかいつもより手が疲れるので早く終わりにしたいな~とも思っていたので、
ここで『はい』と答えられてしまったら長引きそうで嫌でしたし。
次にDがCの質問を継いだ形で質問しました。
「あなたは良いエンジェルさまですか?」
答えは『いいえ』。


この瞬間、さーっと血の気が引いていくのを感じました。
と同時に「きゃっ!」と叫んで、一緒に鉛筆を握っていたAが恐怖で鉛筆を離してしまったのです。
すぐ後に私も鉛筆を離し、
「急に離さないでよー!」とどきどきしながらAに怒りました。
エンジェルさまも終わらせる時には決まりがあり、
それをするまで鉛筆から手を離してはいけない事になってたからです。



234 : :03/05/31 16:26
その約束を破ってしまった事と、さっきの最後の答えが怖くて、
4人で大げさに面白い話(たいして面白くもなかったんですが)をして大声で笑ってました。
そのうちにAがすくっと立ち上がって、「水飲んでくる」と言いました。
さっきまで大笑いしていたテンションから急に素に戻ったような、奇妙な印象を受けましたが、
私も他の友人も「あっそう~」と返事だけして、また話に戻りました。


10分くらい経ったでしょうか。Dが「A遅くない?」と言いました。
水飲み場は教室のすぐ外です。
ちょっと水飲んで帰ってくるなら3分もかからないはずなのに、まだAは帰ってきません。
「トイレ寄ってきてるんじゃない?」とCが言ったんですが、
さっきの事もあるし、なんだか気になったので、
3人で様子を見に行こうと教室の扉を引きました。

すると、目の前の水のみ場で、Aが蛇口に口をつける姿勢で腰を屈めていました。
「ああ、なんだ、まだ水飲んでたんだ」と少し安心して、
Aの隣りに行って自分も水を飲もうとした時です。
Aの顔を見た私は恐怖で凍りつきました。



235 : :03/05/31 16:31
Aは口元に笑みを浮かべたまま、心底幸せそうな顔で水を飲んでいたんです
…白目で。
「Aっ!」と私は勇気を振り絞ってAの肩を掴み、蛇口から顔を上げさせました。
けれどAは白目のまま無言で、ぐいぐいまた水を飲もうと顔を蛇口に近づけます。
おかしいと気付いたCとDも手伝って、
3人がかりで蛇口からAを引き剥がそうとするのですが、 もの凄い力でなかなか離れません。
その間も「A!なにやってるの!?」「手、はなしなって!」と皆で叫び続け、
私達は半泣きになっていたんですが、
突然Aが「おみずぅ━━━━━━━━━━━━!!!!」と恐ろしく甲高い声で叫んだと同時に、
蛇口を掴んでいた手が離れました。
あの時の声はほんとに、本当に怖かったです。
Aの声じゃないみたいでした。



236 :最後 :03/05/31 16:38
その直後、Aは少しだけ気を失ってたのですが、
(というかぐったりして何も反応してくれなかった…)
正気になった時に話を聞いてみると、なんだかむしょうに喉が渇いて、
水飲み場に言って水を飲み始めたら、それがすごくおいしく感じたんだそうです。
で、自分でも驚くほどごくごくと飲んでいて、
だんだん苦しくなってきたのに水は美味しくて、 飲むのを止めなきゃと思っているのに、
身体が動かなくって水を飲み続けてて…

その後は、私達に蛇口から引き剥がされるまで記憶がないそうです。

それ以来、エンジェルさんをする事は二度となかったんですが、
今あの時の事を思い出して書いているだけで、心臓がドキドキして怖くなってきます…
文章にしてみるとそうでもないかもしれませんが、
理由もなにもわからないのでほんのりと怖い体験でした。


死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?


551 :本当にあった怖い名無し:2013/01/10(木) 01:55:39.56 ID:WXkp8cckI
突然だが、“階段怪談”って遊び、知ってる人いるか?
検索してヒットしないから、多分俺の町だけの話なんだろうけど、
それについての洒落にならん話を一つ。


俺がその遊びを知ったのは小学6年の頃だった。
俺は普段、5年から同じクラスだったABCと男子4人でつるんでいて、クラスでは結構うるさい方だった。
4人とも凝った遊びが好きで、秘密基地作りや、
心霊関連ではコックリさんなんかは序の口、近所の墓地に肝試しに行ったりもしていた。
まあ、普通のゲームとかもしてたけどね。


“階段怪談”の話は何処からともなく広まって、学年中の噂になった。
もちろん俺達は、
「どうする?やるか?」
「そりゃ、やるだろ!」 って感じの軽いノリで、決行することに決めた。


その“階段怪談”の概要は次の通り。

学校の階段の一番上の踊り場、つまり屋上へと続くドアのある踊り場に座り、
その一つ下の踊り場からの階段の段数だけ、順番に怪談を語っていく。
一つ怪談を語るごとに、“何か”が一つ階段を上がってくる。
“それ”が自分達の踊り場まで上がった時、世にも奇妙なことが起こるらしい。
*途中で止めてはいけない。
*“それ”が登り切るまで、階段の下を覗いてはいけない。
他にもいくつかルールがあるんだけど、細かいからとりあえずカット。
丁度、百物語とコックリさんを混ぜ合わせたような遊びだ。


仲良し4人組に加え、話を聞いた女子のDちゃんを加えてメンバーは5人。
噂が大きくなるにつれてこの話は先生の耳にも入り、“階段怪談”は固く禁止されていたため、
決行は日曜日にこっそりと行われることになった。





552 :本当にあった怖い名無し:2013/01/10(木) 01:56:12.35 ID:WXkp8cckI
決行当日、俺らは二つ三つの怪談を用意して学校に集まった。
女子の面前カッコつけたい俺は、
ABCをチビらせるような怖い話を本を漁って探したのを覚えている。


5人が集まり、早速屋上に続く階段に向かい、踊り場までの段数を数える。
12段だった。
「お前ら、ビビってねえよなww」
「当たり前だろww」
なんて余裕シャクシャクの俺たち。
Dちゃんも案外肝が据わっているようで、ほとんど怖がっている様子はなかった。
埃っぽい踊り場に座って輪を作り、始める体制を作る。
俺の座る位置は、階段のすぐ近く。
つまり階段に背を向ける形だった。
ほんの少し嫌だったが、カッコつけたい俺は何も言わなかった。
そんなこんなで、“階段怪談”は始まった。


語り部は、A、B、C、俺、Dちゃんの順番。
俺含め、用意してきた怪談はみなそれなりに怖く、
一周回った時には、少なからずみな背筋に冷たいものを感じていた。
時々「お前怖がってんだろww」という茶化しが入るが、なんとなく勢いもなくなっている。
Dちゃんも少し不安そうだった。



553 :本当にあった怖い名無し:2013/01/10(木) 01:56:45.87 ID:WXkp8cckI
休日の学校は、心なしかなんだか薄暗い。
不気味な雰囲気に包まれながら、俺らの“階段怪談”は二週目に入った。

Aの怪談が終わる。
ルール通りならコレで六段目。
あと半分だ。
誰もがそう思っていただろう、その時。
ギシッ……と、確かに音がした。

思わず顔を見合わせる俺ら。
気のせいだろ、とは誰も言えなかった。
正直この時点で俺はかなり帰りたくなっていた。
他の奴らもそうだろう。

しかし、ルールに『途中で止めてはいけない』とあるので、そういうわけにもいかなかった。
止めたら、どんなことが起こるか分からなかったから。


Bが怪談を始める。
すると、急に空気が変わったのを感じた。
重苦しく、何かに閉じ込められたかのような雰囲気。
ヤバイ、コレは多分本当にヤバいやつだ…と俺含め全員が思った。

Bの怪談が終わる。

……ギシッ…

俺の背後でまた音が鳴った。
あと五段。
登り切ったとき、何が起こるのか?
もはや誰も強がりを言うやつはいなかった。
Dちゃんは殆ど半泣きだった。



554 :本当にあった怖い名無し:2013/01/10(木) 02:01:33.07 ID:WXkp8cckI
Cの怪談が終わる。

……ギシッ…

気のせいじゃない。確かに聞こえる。
背後に何かがいるのを感じる。
俺の前に座るAは、必死で顔を伏せていた。
恐らくすでに顔を覗かせているだろう“それ”を、見ないようにしているのだろう。


次は俺の番だった。
俺は必死の思いで、用意してきた怪談を語り出した。
その時。
「気~ぃづいてるんでしょぉ~~?」と、真後ろで女の声がした。
思わず息が止まった。
誰かがヒッと声をあげる。
隣ではDちゃんが嗚咽をあげていた。

しばらく沈黙した。
どうすればいいのかを考えたかったが、頭がうまく回らない。
俺は続けるしか無いと思った。
途中でやめるのを禁止されている以上、それ以外に考えつかなかったから。



556 :本当にあった怖い名無し:2013/01/10(木) 02:04:35.55 ID:WXkp8cckI
声を震わせ、何度もつっかえながら、俺の怪談が終わる。

……ギシッ…
「「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」」

階段を登る音と共に、急に何処からともなく大量の笑い声が起こった。
後ろで女が手をパンパンと打つ声も聞こえる。
もうみんなが泣いていた。


次のDちゃんはつっかえつっかえ、短い怪談を10分以上かけて話した。
もはや誰の耳にも内容は届いていなかった。

…ギシッ……
「アト、二だ~ん」
女の声だ。
「「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」」

汗が玉になって噴き出すのを感じた。もう、ほんのすぐ後ろまで来ている。
階段を登るときの衣擦れの音が聞こえるくらいに。



557 :本当にあった怖い名無し:2013/01/10(木) 02:05:22.24 ID:WXkp8cckI
Aが語りだす。
「もうやめようぜ!」とCが言った。
「え…で、でも…」とA。
「い、いや。そっか、駄目なんだよな、ゴメン……
ゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメン
ゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴメンゴゴゴゴゴゴメゴゴゴゴメンゴゴゴゴゴメゴゴゴ」
急にCが狂ったようにゴメンを繰り返し始める。
その目は虚ろで、正気を失っているようだった。

もうCを構ってる余裕はなかった。
Dちゃんが目を瞑って耳を塞ぎながら
「もう早く終わりにしちゃってよ…」と言い、Aは怪談を始めた。
相変わらずゴメンを繰り返すだけのC。
時々上ずるその声に遮られながらAの怪談が終わる。



559 :本当にあった怖い名無し:2013/01/10(木) 02:09:37.83 ID:WXkp8cckI
…ギシッ……

「アト、いちだ~ん」
「「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」」
あと一段。

全員が早く終わることを願った。

Bが語りだす。
時間が異様に長く感じる。

そして、ついに、最後の怪談が語り終わった。

…タン……

俺の右側に“それ”がついにやって来たのを感じた。
俺含め、恐らく全員が目を瞑り耳を塞いでいた。
Cもいつの間にか黙っている。
何が起こるのか。

すると、フッと場の雰囲気がもとに戻るのを感じた。
あれ?と思い、恐る恐る耳から手を離し、顔を上げた。
「タノシカッタ?」
いつのまにか俺らの作った円の中央。
目の前にいたその女には、体中に顔が盛り上がるようにくっついていた。
くすんだ花柄のワンピースから伸びる手、少しだけ覗く足、そして通常よりもふた周りほど大きな頭。
びっしり、デタラメに、いくつも、いくつも、いくつも。



560 :本当にあった怖い名無し:2013/01/10(木) 02:10:54.03 ID:WXkp8cckI
「「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」」
顔が一斉に笑い出した。
と同時に、全員で立ち上がって逃げ出した。
Cも、正気に戻っている。

校庭まで走って逃げ、俺らは立ち止まった。

「ヤバかった…マジあれはヤバイ…」
みんなでマジ泣きしながら、改めて女の風貌を思い出して泣いていると、
「あれ!」と、Dちゃんが屋上を指差した。
見ると、例の女がこちらに手を振っていた。
再び俺らは逃げ出し、AだかBだけの家に逃げ込んだ。


それからあの女を見ることはなかった。
この一連の話は俺たち五人だけの話となり、誰にも話しはしなかった。

他のクラスの奴らにも“階段怪談”に挑んだ奴がいるそうだが、
そいつらがどうなったかまでは分からない。
いつしか俺らの間でもタブーの話となり、この事件は幕をおろした。


…そして、この“階段怪談”の噂の出どころは、結局よく分からんまま今日に至る。
ずっと気になってて、ついに今日意を決し調べてみたんだが、何にも出てこなかった。

というわけで、なんらかの手がかりが無いかと、このスレッドに書き込んだ所存です。
似たような話があったら教えてもらいたい。


http://toro.2ch.net/test/read.cgi/occult/1350817711/

916 :本当にあった怖い名無し:2012/11/20(火) 12:28:49.74 ID:F+Es67lv0
高校の時の話。

通ってた高校は交換留学があって、行き先はNY。
お世話になった家は、工場勤務のパパと、学食でパートのママ、
同じ年のジェニファーと3歳年下の妹、10歳年下で小学生の妹がいて、
毎日が賑やかでユーモア溢れた楽しい家庭だった。
自分は英語が得意な方だったケド、やっぱ辞書無しでは分からない事も一杯だった。


パパがボランティアでやってる消防団の仕事で夜いなかった時の話。
文化の違いをお互いに挙げてみんなで盛り上がってた。
一番下の妹はもう寝てて、話が段々と怪談話に。
日本にはコックリさんってのがあってねって言ったら、やってみよー!って盛り上がって、
さっそくセッティング。

ママはロウソク、ジェニファーはコイン、妹は紙にアルファベットを書き込んで。
ロウソクに火をつけて電気を消して、準備万端。





917 :本当にあった怖い名無し:2012/11/20(火) 12:30:15.22 ID:F+Es67lv0
ママと妹が相向かいに座って、
妹の隣に自分、少し離れたソファーにジェニファーが座ってた。

インチキがないようにママと妹は紙を見ずにお互いを見てるようにし、
コインが止まった文字はあたしがノートに書き写してから
みんなに見せるってカンジで進行していった。
最初はふざけた妹がわざとコインを動かしたりしてママに怒られたりしてたけど、段々二人がマジ顔に。
お互いで、アンタ動かしてる?なんて確認しだした。

そんな事を言ってる間にもコインはスルスルと動いて、
あたしが一文字書き留めるとまた動いてを繰り返した。

鳥居マークでコインが止まって、ママと妹があたしの書いた紙に注目した。

『痛い
ごめんなさい
後悔している
帰りたい
死ぬのは間違い
ここは地獄』

そんな事が書いてあった。 ママも妹もあたしもガクブル。
これ、誰なんだろう?
聞いてみようぜって事になって、再びママと妹がコインに指を置いて見つめ合った。



918 :本当にあった怖い名無し:2012/11/20(火) 12:31:35.53 ID:F+Es67lv0
あなた、誰なの?ママが小さく呟くと、コインが動き始めた。
チラリとママと妹の顔を見ると、凄く怯えた顔で、
二人ともオーマイガッとかアンビリーバボーって何度も呟いてた。
ヤバイ。こりゃマジだったかって今更気付いて、あたしも凄く怖くなった。

『単語と数字、そして ジェンは知っている 家族に伝えて欲しい』
という言葉を指して、コインは鳥居に戻った。

コインもあたしが書く手も止まったのを感じて、ママと妹がこっちを見て、すごい声で叫んだ。
びっくりしてあたしは椅子から転げ落ち、
ソファーに座ってたジェニファーが慌てて駆け寄ってきた。

妹は何か叫びながらコックリさんの紙をビリビリ破って、
あたしが書いた紙はグッチャグチャにもんじゃくって投げ捨てた。
ママは真っ白な顔色でガクガク震えて何かをずっと呟いてた。
ジェニファーがもんじゃくってポイされた紙を拾って読んでフリーズした。

もうホント訳わからなくて、とりあえず説明してほしいと頼んだ。

書かれていたのは、先月、留学先の学校で自殺した子の名前と、自殺した日付だった。
その子はジェニファーをジェンと呼んでいて、悩みを相談していたという。



919 :本当にあった怖い名無し:2012/11/20(火) 12:33:02.97 ID:F+Es67lv0
こりゃーもうダメだ。早く電気つけようよ。
怖いからみんなでスイッチのトコまで行こうよ。 とか言いながら、
みんなで壁のスイッチのトコまで移動して、部屋のスイッチオン。
バリーンと音を立ててプチシャンデリアみたいな形の部屋の照明器具が弾け飛んだ。
もう、大絶叫。
みんなで泣きながら後片付けして、テーブルの上に使ったコインを放置して、みんなで固まって寝た。


コインは、早朝帰ったパパが朝食の準備をしてる時には無かったと言ってた。
コインの行方はともかく、あのコックリさんナイトの話は
数十年たった今でも、家族とあたしの中ではタブーになっている。



926 :本当にあった怖い名無し:2012/11/20(火) 15:10:48.53 ID:F+Es67lv0
もんじゃくるを書きました本人です。
意地悪言われなくてヨカッタ(笑)
もんじゃくる=手でもみくちゃにするってカンジです。 群馬の方言だったのね…。


補足です。
ジェニファーは同級生で、その子から相談を受けてました。
親が進学について非常に厳しく、その期待に応えられずにいた事。
でも、親を愛してるから何とか頑張りたいという事。
ずっと悩んでいて、とうとう耐え切れずに、父親の銃を持ち出して自宅で頭を撃ち抜いて自殺しました。
遺書はなかったそうです。

後悔している事や、ジェニファーに相談していた事とかを親に伝えて欲しかったのかなと思います。


日常以上オカルト未満


69 :名無しさん :2014/03/17(月)14:50:17 ID:z8snKTLOR ×
こっくりさんについてちょっと気になっている事がある。
こっくりさんを終わるときには、
「それを行った場所」
「使った10円」
「使った紙」
を正しいやり方で清めないといけない。
でも、その終わりの儀式が出来ない場合というのもけっこうあると思う。


例えば、自分の例では、
「手で動かしただろ!」「動かしてない!」とケンカになって
一人が泣いて帰って、なんとなく白けてしまってそのまま解散ということがあった。
それ以外にも、親や先生に止められた、急な用事が出来たなどで
中途はんぱに終わったケースは日本中にかなりあると思う。


「使った紙」は大体どっかにいってしまうからいいとして、
「終わりの儀式を受けていない10円」
「終わりの儀式が済んでいない場所」が全国にあるとしたら。ちょっとまずい気がする。

オカルトというほどじゃないけど気になったので書いてみました。


【全米が】なんか笑える霊体験22【テラワロス】


986 :本当にあった怖い名無し:2012/05/27(日) 16:28:54.60 ID:YJ2Z98J+0
昨日サークル仲間数人と宅飲みやってたんだけど、いきなりコックリさんやろうぜーって流れになった。
急ごしらえだが、鳥居やら何やら結構しっかりした文字盤が出来上がった。

で、集まってた8人中6人で開始。
徐々に動き始める10円硬貨。
だが動きがおかしい。文字にならない。言葉にもならない。
くぁせふじこ的な感じである。
仕方なしにそのままお帰りいただいたが、この時はすんなり帰っていった。


ギリシャ文字とヒエログリフで作った文字盤でコックリさんやってサーセンwwwwwww





992 :本当にあった怖い名無し:2012/05/27(日) 19:45:01.86 ID:4EfOsx6E0
古代人が来てたらどうする気だったんだよ!www



993 :本当にあった怖い名無し:2012/05/27(日) 19:48:15.52 ID:YJ2Z98J+0
何故その文字をチョイスしたかというと、
サークルの中にギリシャ語出来る奴とヒエログリフ読解できる奴がいたからですwww


それはそれで貴重な論文のもとになると、
ギリシャ語が出来るギリシャ文字担当の奴か、ヒエログリフ読解できるヒエログリフ担当が、
狂喜乱舞するだけですwwwww



994 :本当にあった怖い名無し:2012/05/27(日) 20:14:32.61 ID:nPlsV+BZ0
一体何のサークルなの?



995 :本当にあった怖い名無し:2012/05/27(日) 20:20:34.39 ID:YJ2Z98J+0
名作文学解釈をメインに活動してるサークルです


↑このページのトップヘ