サイケデリック・奇譚

永遠の日常は非日常。

タグ:因習

海にまつわる怖い話・不思議な話 4


135 :本当にあった怖い名無し :04/08/24 23:37 ID:/l5BbhHD
これは15歳の時、本当に体験した話。
俺の実家は海沿いの田舎町なんだけど、メチャ綺麗な海が有名なんだけど、
色々とイワクがあるんだよね・・・

幼馴染のKの実家は代々続く名家なんだけど、
『そこの家の嫡男は、15才の誕生日に海に近づくと命を落とす』って言い伝えがあったんだ。

死ぬって言うのは、
海神(地元の言い伝えでは美しい女)が死んでしまった自分の子供を生き返らせようと、
選ばれた家の嫡男の魂をもって行くって話しなんだけど、
俺もKも眉唾だと全然信じてなかったんだよね。





138 :本当にあった怖い名無し :04/08/24 23:56 ID:/l5BbhHD
誕生日当日、Kは学校を休んだ。
俺は昼休に学校を抜け出して、様子を見に行った。

Kの家に着いて呼び鈴を押すと、Kの母親が出てきた。
話を聞くと、今日は大事をとって家の座敷に缶詰状態らしい。
Kに会いたいと伝えると、「今日で最後かも知れないから・・・」と、家に上げてくれた。

俺はそんな与太話本気で信じてるのかと思ったが、
町中その噂で持ちきりだったので、ナーバスになるのも仕方ないかと、座敷に向かった。



140 :本当にあった怖い名無し :04/08/25 00:03 ID:FhrN6Mxq
座敷の前にはKのオヤジと爺さんが、ふすまの前に厳しい表情で座り込んでいた。
俺に気づいた二人に軽く挨拶をし、Kに会いたいと伝えると座敷に通してくれた。
ふすまを開けると、缶ビール片手にくわえタバコのKが、ダビスタに夢中だった。
本人は全く緊張感が無く、何故かホッとした。



141 :本当にあった怖い名無し :04/08/25 00:17 ID:FhrN6Mxq
Kが俺に気づき、オウといつもの様に挨拶を交わした。
しばらくは下らない話しをしていたのだが、
Kが急に「なぁ今日本当に俺が死んだらどうするよ?」と聞いてきた。
一瞬返答に困ったが、「俺が死に際見取ってやるよ」と冗談ぽく言った。


Kの話しでは、Kのオヤジさんも爺さんも嫡男で、
15の誕生日には同じように座敷に缶詰だったらしい。
2人とも全くその日の記憶が抜けていて、何も憶えていないとの事だった。
俺は今日一日Kと一緒に過ごすと決め、食料とタバコの買出しにコンビニへ向かった。



142 :本当にあった怖い名無し :04/08/25 00:29 ID:FhrN6Mxq
コンビニから戻ると、何やら座敷の方が慌ただしい様子だった。
何やらエライ坊さんが来て、結界だの魔よけだの準備をしていた。
Kはと言うと、酒を頭からかけられ灰をかけられ、物凄い状態になっていた。


Kが体を洗って帰って来ると、2人でお札がビッチリとはられた座敷へ戻った。
特にやる事が無いので、DESPERADOのDVDを観た。
座敷の前では、近所のオッサンどもが順番で番をしていた。



143 :本当にあった怖い名無し :04/08/25 00:39 ID:FhrN6Mxq
特に何も起こらず、夜もふけて来た11時過ぎに便所に立って、戻ると
ふすまが開き、番をしていたオッサン2人が眠りこけていた。
まさかと思い座敷を覗くとKがいない。
オッサン達をたたき起こし、家の人間にKが居ない事を告げた。


その日Kの家に詰めていた人間全員で、Kの捜索がはじまった。
俺はバイクを飛ばし、すぐに海へ向かった。

海岸線の国道を走っていると、すぐに砂浜に立っているKの姿を見つけた。
俺はすぐ携帯でKの家に連絡を入れ、Kに走り寄った。



144 :本当にあった怖い名無し :04/08/25 00:50 ID:FhrN6Mxq
「オイ、Kお前何やってんだよ」と肩をつかむと、物凄い力で振り払われた。
無言で振り返ったKを見ると、白目を剥きヨダレを垂れ流した状態だった。

これはヤバイとKを羽交い絞めにしたのだが、Kは海へと向かう足を止めない。
物凄い力で海へと引きずられてしまった。
何を言っても聞く耳を持たないので、仕方なく後頭部を力一杯ぶん殴った。
4~5発は殴ったのに、こっちのコブシが腫れ上がっただけでビクともしない。



146 :本当にあった怖い名無し :04/08/25 01:07 ID:FhrN6Mxq
そうこうしてる内に、大人達が集まって来た。
10人以上でKを取り押さえたのだが、引きずられるばかりで止める事ができない。

海水が胸位まで来た時、昼間の偉い坊さんが現れ、お経を唱え始めた。
するとKは、意識を失った様に海に沈んでしまった。

慌ててKを引き上げて浜へ上げた。

坊さんがKの額にお札をはり、お経を読み始めた。
読経は日が昇るまで続けられた。

読経が終わり、坊主がKの背中を叩き、「アイ!!」と気合を入れるとKが目を覚ました。

Kは目の前で何が起こっているのか、全く理解できていない様子だった。
「何故俺は海にいるのか?」
「何でお前まで水浸しなのか?」と、状況を理解しようと必死なようだった。
Kに昨晩起こった事を話すと、「マジ?」と唖然としていた。
本当に何も憶えていない様子だった。


それから町ではその話しで持ちきりだったが、すぐに噂は絶えて、誰もその事を口にしなくなった。
Kは今、北海道で牛を飼いながら元気に暮らしている。
来年結婚するそうだ。


【寺】寺社のオカルト話【神社】


12 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/27 19:10
今から20年ほど前、
兵庫県東部を流れる武庫川が集中豪雨の影響で大増水した。
この豪雨はあちこちで路面冠水や民家の浸水を引き起こし、かなりの被害を出した。
中でも最悪の悲劇は、西宮市塩瀬町生瀬で発生した
土石流による被害であった。


国道176号線を宝塚駅から3キロほど北上すると、
太多田橋という交差点がある。
そこを左折すると、
名勝"蓬莱峡”を経て有馬温泉へ抜ける峠道となる。
その途中にいくつかの採石場があり、
そこの作業員数名が件の集中豪雨による土砂崩れに飲み込まれ、帰らぬ人となったのだ。
土石流に飲み込まれた彼らは、武庫川の支流である太多田川に流され、
そのまま増水した本流に巻き込まれた。

轟々と流れる濁流が、
行方不明者の捜索を大変困難なものにした。
そして、犠牲者の全員が発見されたのは、事故から数日後のことだった。
ある者は延々と武庫川の河口まで流され、
最後に発見された遺体は神戸港湾内まで押し流されていた。


事故からどれくらい後のことだったか定かではないが、
私はとあるテレビ番組を観ていた。
いわゆる昼間のワイドショーだが、内容は心霊モノの特集のようだ。
生放送でスタジオと中継地を結び、レポーターがなにやら神妙な顔をしてしゃべっている。
中継地は西宮・仁川の熊野神社である。
自分の地元がとりあげられていると知って、私はがぜん興味をそそられた。
しかし私にとって、
それは非常に後味の悪い経験となってしまった。





13 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/27 19:11
神妙な面持ちのレポーターが企画の趣旨を説明している。
「・・・さて、こちらの熊野神社には不思議なものが祭られています。
『鳴り釜』というこの神器は、この世に未練を残して亡くなった、
浮かばれない霊魂を鎮める力があると言うのです」
レポーターの後方へカメラがズームする。
神官が大きな釜の前で祝詞をあげている。

すると、不思議なことにその釜が、かすかに音を発している。

おお――ん・・・おおーーんん・・・

中継はクライマックスを迎えつつあった。
祝詞もその調子をいっそう高めてゆく。



14 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/05/27 19:12
レポーターが続ける。
「・・・今回は特に、先頃土砂崩れに巻き込まれて亡くなった方々の霊を慰めるために、
鳴り釜の神事を行って頂いております。
犠牲者の方々の無念な思いは・・・・」
しかしこの後、思いもよらない結末に、
この放送に携わった者、いや、神官までもが驚愕することとなったのだ。


うおおおおーーーーーんん!! 
ぐおおおおおーーーーーーんん!!!
ぐうぅおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーんんん!!!!


戸惑うレポーター。
スタジオも騒然としている。
神官の顔に、明らかに焦りの色が浮かんでいる。

鎮魂がなされると鳴り止むはずの釜。その後も一向に鳴り止む気配がない。
それどころか、ますます轟音で響き続ける。
予期せぬ事態に中継はカットされ、気まずい空気のスタジオがその場を取り繕っていた。


人の思いとは、そんなに簡単なものではないのだ。


544 :本当にあった怖い名無し:2005/12/07(水) 00:34:03 ID:NZNHKwqA0
普段付き合いのいい同僚が、何故か海へ行くのだけは頑として断る。
訳を聞いたのだが余り話したくない様子なので、飲ませて無理やり聞き出した。

ここからは彼の語り。
ただし、酔って取り留めのない話だったので、俺が整理してる。


まだ学生だった頃、友人と旅に出た。
たしか後期試験の後だったから、真冬だな。
旅とは言っても、友人の愛犬と一緒にバンに乗って当てもなく走っていくだけの気楽なもんだ。
何日目だったか、ある海辺の寒村に差し掛かったころ
既に日は暮れてしまっていた。
山が海に迫って、その合間にかろうじてへばり付いている様な小さな集落だ。
困ったことにガソリンの残量が心もとなくなっていた。
海岸沿いの一本道を走りながらGSを探すとすぐに見つかったのだが、店はすでに閉まっている。
とりあえず裏手に回ってみた。

玄関の庇から、大きな笊がぶら下がっている。
出入りに邪魔だな、と思いながらそれを掻き分けて呼び鈴を鳴らしてみた。
「すんませーん。ガソリン入れてもらえませんかー?」
わずかに人の気配がしたが、返事はない。
「シカトされとんのかね」
「なんかムカつくわ。もう一度押してみいや」
「すんませーん!」
しつこく呼びかけると玄関の灯りが点き、ガラス戸の向こうに人影が現れた。
「誰や?」
「ガソリン欲しいん…」
「今日は休みや」
オレが言い終える前に、苛立ったような声が返ってくる。
「いや、まぁそこを何とか…」
「あかん。今日はもう開けられん」
取り付く島もなかった。諦めて車に戻る。
「これだから田舎はアカン」
「しゃーないな。今日はここで寝よ。当てつけに明日の朝一でガス入れてこうや」
車を止められそうな所を探して集落をウロウロすると、
GSだけでなく全ての商店や民家が門を閉ざしていることに気付いた。
よく見ると、どの家も軒先に籠や笊をぶら下げている。





545 :本当にあった怖い名無し: 2005/12/07(水) 00:35:27 ID:NZNHKwqA0
「なんかの祭やろか?」
「それにしちゃ静かやな」
「風が強くてたまらん。お、あそこに止められんで」
そこは山腹の小さな神社から海に向かって真っ直ぐに伸びる石段の根元だった。
小さな駐車場だが、垣根があって海風がしのげそうだ。
鳥居の陰に車を止めると、辺りはもう真っ暗でやることもない。
オレたちはブツブツ言いながら、運転席で毛布に包まって眠りについた。


何時間経ったのか、犬の唸り声で目を覚ましたオレは、辺りの強烈な生臭さに気付いた。
犬は海の方に向かって牙を剥き出して唸り続けている。
普段は大人しい奴なのだが、いくら宥めても一向に落ち着こうとしない。
友人も起き出して闇の先に目を凝らした。
月明りに照らされた海は、先ほどまでとは違って、気味が悪いくらい凪いでいた。
コンクリートの殺風景な岸壁の縁に蠢くものが見える。
「なんや、アレ」
友人が掠れた声で囁いた。
「わからん」

それは最初、海から這い出してくる太いパイプか丸太のように見えた。
蛇のようにのたうちながらゆっくりと陸に上がっているようだったが、
不思議なことに音はしなかった。
と言うより、そいつの体はモワモワとした黒い煙の塊のように見えたし、
実体があったのかどうかも分からない。
その代わり、ウウ…というか、ウォォ…というか、形容し難い耳鳴りがずっと続いていた。
そして先ほどからの生臭さは、吐き気を催すほどに酷くなっていた。
そいつの先端は海岸沿いの道を横切って向かいの家にまで到達しているのだが、
もう一方はまだ海の中に消えている。
民家の軒先を覗き込むようにしているその先端には、
はっきりとは見えなかったが明らかに顔のようなものがあった。

オレも友人もそんなに臆病な方ではなかったつもりだが、
そいつの姿は、もう何と言うか「禍々しい」という言葉そのもので、
一目見たときから体が強張って動かなかった。
心臓を鷲掴みにされるってのは、ああいう感覚なんだろうな。
そいつは、軒に吊るした笊をジッと見つめている風だったが、
やがてゆっくりと動き出して次の家へ向かった。
「おい、車出せっ」
友人の震える声で、ハッと我に返った。

 

546 :本当にあった怖い名無し:2005/12/07(水) 00:36:01 ID:NZNHKwqA0
動かない腕を何とか上げてキーを回すと、静まり返った周囲にエンジン音が鳴り響いた。
そいつがゆっくりとこちらを振り向きかける。
(ヤバイっ)
何だか分からないが、目を合わせちゃいけない、と直感的に思った。
前だけを見つめ、アクセルを思い切り踏み込んで車を急発進させる。
後部座席で狂ったように吠え始めた犬が、
「ヒュッ…」と喘息のような声を上げてドサリと倒れる気配がした。
「太郎っ!」
思わず振り返った友人が「ひぃっ」と息を呑んだまま固まった。
「阿呆っ!振り向くなっ!」
オレはもう無我夢中で友人の肩を掴んで前方に引き戻した。
向き直った友人の顔はくしゃくしゃに引き攣って、目の焦点が完全に飛んでいた。
恥ずかしい話だが、オレは得体の知れない恐怖に泣き叫びながらアクセルを踏み続けた。


それから、もと来た道をガス欠になるまで走り続けて峠を越えると、
まんじりともせずに朝を迎えたのだが、
友人は殆ど意識が混濁したまま近くの病院に入院し、一週間ほど高熱で寝込んだ。 
回復した後も、その事について触れると激しく情緒不安定になってしまうので、
振り返った彼が何を見たのか聞けず終いのまま、
卒業してからは疎遠になってしまった。
 
犬の方は、激しく錯乱して誰彼かまわず咬みつくと思うと
泡を吹いて倒れる繰り返しで、可哀そうだが安楽死させたらしい。
結局アレが何だったのかは分からないし、知りたくもないね。
ともかく、オレは海には近づかないよ。

 
以上が同僚の話。
昔読んだ柳田國男に、笊や目籠を魔除けに使う風習と、
海を見ることを忌む日の話があったのを思い出したが、今手元にないので比較できない。



35:パンドラ[禁后]13:2011/12/16(金) 17:22:55.87 ID:s+XHJkPg0
数時間ほどして、やっと両親が出てくると
「二人はわしらで供養する。夫は探さなくていい。理由は今に分かる。」と住民達に告げ、
その日は強引に解散させました。

それから数日間、夫の行方はつかめないままだったのですが、程なくして
八千代の家の前で亡くなっているのが見つかりました。

 口に大量の長い髪の毛を含んで死んでいたそうです。

どういう事かと住民達が八千代の両親に尋ねると、
「今後八千代の家に入ったものはああなる。そういう呪いをかけたからな。
あの子らは悪習からやっと解き放たれた新しい時代の子達なんだ。
こうなってしまったのは残念だが、せめて静かに眠らせてやってくれ。」と説明し、
八千代の家をこのまま残していくように指示しました。

これ以来、二人への供養も兼ねて、八千代の家はそのまま残される事となったそうです。
 
家のなかに何があるのかは誰も知りませんでしたが、八千代の両親の言葉を守り、
誰も中を見ようとはしませんでした。
そうして、二人への供養の場所として長らく残されていたのです。


その後、老朽化などの理由でどうしても取り壊すことになった際、
初めて中に何があるかを住民達は知りました。
そこにあったのは私達が見たもの、あの鏡台と髪でした。
八千代の家は二階がなかったので、玄関を開けた目の前に並んで置かれていたそうです。
八千代の両親がどうやったのかはわかりませんが、やはり形を成したままの髪でした。

これが呪いであると悟った住民達は出来るかぎり慎重に運び出し、
新しく建てた空き家の中へと移しました。
この時、誤って引き出しの中身を見てしまったそうですが、何も起こらなかったそうです。
これに関しては、供養をしていた人達だったからでは?という事になっています。

 
空き家は町から少し離れた場所に建てられ、玄関がないのは出入りする家ではないから、
窓・ガラス戸は日当たりや風通しなど供養の気持ちからだという事でした。
こうして誰も入ってはいけない家として町全体で伝えられていき、大人達だけが知る秘密となったのです。

ここまでが、あの鏡台と髪の話です。

鏡台と髪は八千代と貴子という母娘のものであり、言葉は隠し名として付けられた名前でした。





36:パンドラ[禁后]14:2011/12/16(金) 17:24:53.23 ID:s+XHJkPg0
ここから最後の話になります。
 
空き家が建てられて以降、中に入ろうとする者は一人もいませんでした。
前述の通り、空き家へ移る際に引き出しの中を見てしまったため、
中に何があるかが一部の人達に伝わっていたからです。 
私達の時と同様、事実を知らない者に対して過剰に厳しくする事で、
何も起こらないようにしていました。


ところが、私達の親の間で一度だけ事が起こってしまったそうです。
前回の投稿で私と一緒に空き家へ行ったAの家族について、少しふれたのを覚えていらっしゃるでしょうか。
Aの祖母と母がもともと町の出身であり、結婚して他県に住んでいたという話です。
これは事実ではありませんでした。


子供の頃に、Aの母とBの両親、
そしてもう一人男の子(Eとします)を入れた四人であの空き家へ行ったのです。
私達とは違って夜中に家を抜け出し、わざわざハシゴを持参して二階の窓から入ったそうです。
窓から入った部屋には何もなく、やはり期待を裏切られたような感じでガクッとし、
隣にある部屋へ行きました。
そこであの鏡台と髪を見て、夜中という事もあり凄まじい恐怖を感じます。
 
ところが四人のうちA母はかなり肝が据わっていたようで、
怖がる三人を押し退けて近づいていき、引き出しを開けようとさえしたそうです。
さすがに三人も必死で止め、その場は治まりますが、
問題はその後に起こりました。
その部屋を出て恐る恐る階段を降りるとまたすぐに恐怖に包まれます。
 
廊下の先にある鏡台と髪。
この時点で三人はもう帰ろうとしますが、A母が問題を引き起こしてしまいました。

私達の時のD妹のように引き出しを開け中のものを出したのです。
A母が取り出したのは一階の鏡台の一段目の引き出しの中の「紫逅」と書かれた紙で、
何枚かの爪も入っていたそうです。
さすがにやばいものでは、と感じた三人は
A母を無理矢理引っ張り、
紙を元に戻して帰ろうとしますが、じたばたしてるうちに棒から髪が落ちてしまったそうです。

 
空き家の中で最も異様な雰囲気であるその髪にA母も触れる勇気はなく、
四人はそのままにして帰ってきてしまいました。
それから二、三日はそのまま放っておいたらしいですが、
親にバレたら…という気持ちがあったので、元に戻しに行く事になります。
B両親はどうしても都合があわなかったため、A母とE君の二人で行く事になりました。



37:パンドラ[禁后]15:2011/12/16(金) 17:25:46.32 ID:s+XHJkPg0
夜中に抜け出し、ハシゴを使って二階から入ります。
階段を降り、家から持ってきた箸で髪を掴んで何とか棒に戻しました。
さぁ早く帰ろうとE君は急かしましたが、
ホッとしたのかA母はE君を怖がらせようと思い、今度は二段目の引き出しを開けたのです。


「紫逅」と書かれた紙と何本かの歯が入っていました。
あまりの恐怖にE君は取り乱し泣きそうになっていたのですが、
A母はこれを面白がってしまい、
E君にだけ中が見えるような態勢で三段目の引き出しを開けたそうです。

E君が引き出しの中を見たのはほんの数秒ほどでした。

何があった??とA母が覗き込もうとした瞬間、
ガンッ!!と引き出しを閉め、ぼーっとしたまま動かなくなりました。

A母はE君が仕返しにふざけてるんだと思ったのですが、
何か異常な空気を感じ、突然怖くなって一人で帰ってしまったのです。


家に着いてすぐに母親に事情を話すと、母親の顔色が変わり異様な事態となりました。
E君の両親などに連絡し、親達がすぐに空き家へ向かいます。
数十分ぐらいして、家で待っていたA母は親達に抱えられて帰ってきたE君を少しだけ見ました。
何かを頬張っているようで、口元からは長い髪の毛が何本も見えていたそうです。

この後B両親も呼び出され、親も交えて話したそうですが、E君の両親は三人に何も言いませんでした。
ただ、言葉では表せないような表情でずっとA母を睨み付けていたそうです。

この後、三人はあの空き家にまつわる話を聞かされました。
E君の事に関しては、私達に言ったのと全く同じ事を言われたようでした。

そして、E君の家族がどこかへ引っ越していくまでの一ヵ月間ぐらいの間、
毎日A母の家にE君の両親が訪ねてきていたそうです。
この事でA母は精神的に苦しい状態になり、見かねた母親が他県の親戚のところへ預けたのでした。

その後A母やE君がどうしていたのかはわかりませんが、A母が町に戻ってきたのは
E君への償いからだそうです。



38:パンドラ[禁后]16:2011/12/16(金) 17:26:21.57 ID:s+XHJkPg0
以上で話は終わりです。
最後に鏡台の引き出しに入っているものについて。
 
空き家には一階に八千代の鏡台、二階に貴子の鏡台があります。 
八千代の鏡台には一段目は爪、二段目は歯が、隠し名を書いた紙と一緒に入っています。
貴子の鏡台は一、二段目とも隠し名を書いた紙だけです。
八千代が「紫逅」、貴子が「禁后」です。


そして問題の三段目の引き出しですが、中に入っているのは手首だそうです。
八千代の鏡台には八千代の右手と貴子の左手、
貴子の鏡台には貴子の右手と八千代の左手が、指を絡めあった状態で入っているそうです。
もちろん、今現在どんな状態になっているのかはわかりませんが。

D子とE君はそれを見てしまい、異常をきたしてしまいました。

厳密に言うと、隠し名と合わせて見てしまったのがいけなかったという事でした。
「紫逅」は八千代の母が、
「禁后」は八千代が実際に書いたものであり、
三段目の引き出しの内側にはそれぞれの読み方がびっしりと書かれているそうです。
 
空き家は今もありますが、今の子供達にはほとんど知られていないようです。
娯楽や誘惑が多い今ではあまり目につく存在ではないのかも知れません。
地域に関してはあまり明かせませんが、東日本ではないです。


それから、D子のお母さんの手紙についてですが、これは控えさせていただきます。
D子とお母さんはもう亡くなられていると知らされましたので、
私の口からは何もお話出来ません。



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31:パンドラ[禁后]9:2011/12/16(金) 17:17:57.19 ID:s+XHJkPg0
母親は二人または三人の女子を産み、その内の一人を「材料」に選びます。
(男子が生まれる可能性もあるはずですが、その場合どうしていたのかはわかりません)

選んだ娘には二つの名前を付け、一方は母親だけが知る本当の名として生涯隠し通されます。
万が一知られた時の事も考え、
本来その字が持つものとは全く違う読み方が当てられるため、字が分かったとしても
読み方は絶対に母親しか知り得ません。
母親と娘の二人きりだったとしても、決して隠し名で呼ぶ事はありませんでした。 
忌み名に似たものかも知れませんが、
「母の所有物」であることを強調・証明するためにしていたそうです。

また、隠し名を付けた日に必ず鏡台を用意し、
娘の10、13、16歳の誕生日以外には絶対にその鏡台を娘に見せないという決まりもありました。
これも、来たるべき日のための下準備でした。


本当の名を誰にも呼ばれることのないまま、
「材料」としての価値を上げるため、幼少時から母親の「教育」が始まります。
(選ばれなかった方の娘はごく普通に育てられていきます)
例えば…
・猫、もしくは犬の顔をバラバラに切り分けさせる
・しっぽだけ残した胴体を飼う
(娘の周囲の者が全員、
これを生きているものとして扱い、娘にそれが真実であると刷り込ませていったそうです)
・猫の耳と髭を使った呪術を教え、その呪術で鼠を殺す
・蜘蛛を細かく解体させ、元の形に組み直させる
・糞尿を食事に(自分や他人のもの)など。

 
全容はとても書けないのでほんの一部ですが、
どれもこれも聞いただけで吐き気をもよおしてしまうようなものばかりでした。 
中でも動物や虫、特に猫に関するものが全体の3分の1ぐらいだったのですが、これは理由があります。


この家系では男と関わりを持つのは子を産むためだけであり、
目的数の女子を産んだ時点で関係が断たれるのですが、
条件として事前に提示したにも関わらず、家系や呪術の秘密を探ろうとする男も中にはいました。

その対応として、ある代からは男と交わった際に呪術を使って憑きものを移すようになったのです。

それによって自分達が殺した猫などの怨念は全て男の元へ行き、
関わった男達の家で憑きもの筋のように災いが起こるようになっていたそうです。
そうする事で、家系の内情には立ち入らないという条件を守らせていました。





32:パンドラ[禁后]10:2011/12/16(金) 17:19:29.69 ID:s+XHJkPg0
こうした事情もあって、猫などの動物を「教育」によく使用していたのです。
「材料」として適した歪んだ常識、歪んだ価値観、
歪んだ嗜好などを形成させるための異常な「教育」は代々の母娘間で13年間も続けられます。

その間で三つの儀式の内の二つが行われます。
 
一つは10歳の時母親に鏡台の前に連れていかれ、爪を提供するように指示されます。
ここで初めて、娘は鏡台の存在を知ります。
両手両足からどの爪を何枚提供するかはそれぞれの代の母親によって違ったそうです。
提供するとはもちろん剥がすという意味です。


自分で自分の爪を剥がし母親に渡すと、
鏡台の三つある引き出しの内、一番上の引き出しに爪と娘の隠し名を書いた紙を一緒に入れます。
そしてその日は一日中、母親は鏡台の前に座って過ごすのです。
これが一つ目の儀式。


もう一つは13歳の時、同様に鏡台の前で歯を提供するように指示されます。
これも代によって数が違います。
自分で自分の歯を抜き、母親はそれを鏡台の二段目、やはり隠し名を書いた紙と一緒にしまいます。
そしてまた一日中、母親は鏡台の前で座って過ごします。
これが二つ目の儀式です

 
この二つの儀式を終えると、
その翌日から16歳までの三年間は「教育」が全く行われません。
突然、何の説明もなく自由が与えられるのです。
これは13歳までに全ての準備が整ったことを意味していました。

この頃には、すでに母親が望んだとおりの生き人形のようになってしまっているのがほとんどですが、
わずかに残されていた自分本来の感情からか、
ごく普通の女の子として過ごそうとする娘が多かったそうです。


そして三年後、娘が16歳になる日に最後の儀式が行われます。
最後の儀式、それは鏡台の前で母親が娘の髪を食べるというものでした。
食べるというよりも、体内に取り込むという事が重要だったそうです。
丸坊主になってしまうぐらいのほぼ全ての髪を切り、
鏡台を見つめながら無我夢中で口に入れ飲み込んでいきます。
娘はただ茫然と眺めるだけ。

やがて娘の髪を食べ終えると、母親は娘の本当の名を口にします。
娘が自分の本当の名を耳にするのはこの時が最初で最後でした。



33:パンドラ[禁后]11:2011/12/16(金) 17:20:10.06 ID:s+XHJkPg0
これでこの儀式は完成され、目的が達成されます。
この翌日から母親は四六時中自分の髪をしゃぶり続ける廃人のようになり、
亡くなるまで隔離され続けるのです。
 
廃人となったのは文字通り母親の脱け殻で、母親とは全く別のものです。

そこにいる母親はただの人型の風船のようなものであり、
母親の存在は誰も見たことも聞いたこともない誰も知り得ない場所に到達していました。

これまでの事は全て、その場所へ行く資格(神格?)を得るためのものであり、
最後の儀式によってそれが得られるというものでした。

その未知なる場所ではそれまで同様にして資格を得た母親たちが暮らしており、
決して汚れることのない楽園として存在しているそうです。
 
最後の儀式で資格を得た母親はその楽園へ運ばれ、
後には髪をしゃぶり続けるだけの脱け殻が残る…そうして新たな命を手にするのが目的だったのです。

 
残された娘は母親の姉妹によって育てられていきます。
一人でなく二~三人産むのはこのためでした。
母親がいなくなってしまった後、普通に育てられてきた母親の姉妹が娘の面倒を見るようにするためです。
母親から解放された娘は髪の長さが元に戻る頃に男と交わり、子を産みます。
そして、今度は自分が母親として全く同じ事を繰り返し、母親が待つ場所へと向かうわけです。


ここまでがこの家系の説明です。
もっと細かい内容もあったのですが、二度三度の投稿でも収まる量と内容じゃありませんでした。
なるべく分かりやすいように書いたのですが、今回は本当に分かりづらい読みづらい文章だと思います。
申し訳ありません。 
本題はここからですので、ひとまず先へ進みます。

 
実は、この悪習はそれほど長く続きませんでした。
徐々にこの悪習に疑問を抱くようになっていったのです。
それがだんだんと大きくなり、次第に母娘として本来あるべき姿を模索するようになっていきます。  
家系としてその姿勢が定着していくに伴い、悪習はだんだん廃れていき、
やがては禁じられるようになりました。


ただし、忘れてはならない事であるとして、隠し名と鏡台の習慣は残す事になりました。
隠し名は母親の証として、鏡台は祝いの贈り物として受け継いでいくようにしたのです。
少しずつ周囲の住民達とも触れ合うようになり、夫婦となって家庭を築く者も増えていきました。



34:パンドラ[禁后]12:2011/12/16(金) 17:21:36.42 ID:s+XHJkPg0
そうしてしばらく月日が経ったある年、一人の女性が結婚し妻となりました。
八千代という女性です。
 
悪習が廃れた後の生まれである母の元で、ごく普通に育ってきた女性でした。
周囲の人達からも可愛がられ平凡な人生を歩んできていましたが、
良き相手を見つけ、長年の交際の末の結婚となったのです。


彼女は自分の家系については母から多少聞かされていたので知っていましたが、
特に関心を持った事はありませんでした。
妻となって数年後には娘を出産、貴子と名付けます。
 
母から教わった通り隠し名も付け、鏡台も自分と同じものを揃えました。
そうして幸せな日々が続くと思われていましたが、
娘の貴子が10歳を迎える日に異変が起こりました。


その日、八千代は両親の元へ出かけており、家には貴子と夫だけでした。
用事を済ませ、夜になる頃に八千代が家に戻ると、信じられない光景が広がっていました。
何枚かの爪が剥がされ、歯も何本か抜かれた状態で貴子が死んでいたのです。
 
家の中を見渡すと、しまっておいたはずの貴子の隠し名を書いた紙が床に落ちており、
剥がされた爪と抜かれた歯は貴子の鏡台に散らばっていました。
夫の姿はありません。

何が起こったのかまったく分からず、娘の体に泣き縋るしか出来ませんでした。
 
異変に気付いた近所の人達がすぐに駆け付けるも、八千代はただずっと貴子に泣き縋っていたそうです。
状況が飲み込めなかった住民達はひとまず八千代の両親に知らせる事にし、
何人かは八千代の夫を探しに出ていきました。
この時、八千代を一人にしてしまったのです。

その晩のうちに、八千代は貴子の傍で自害しました。
 
住民達が八千代の両親に知らせたところ、現場の状況を聞いた両親は落ち着いた様子でした。
「想像はつく。八千代から聞いていた儀式を試そうとしたんだろ。
八千代には詳しく話したことはないから、断片的な情報しか分からんかったはずだが、
貴子が10歳になるまで待っていやがったな。」
と言って、八千代の家へ向かいました。

 
八千代の家に着くと、さっきまで泣き縋っていた八千代も死んでいる…
住民達はただ愕然とするしかありませんでした。
八千代の両親は終始落ち着いたまま、
「わしらが出てくるまで誰も入ってくるな」と言い、しばらく出てこなかったそうです。



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28:パンドラ[禁后]6:2011/12/16(金) 17:14:23.75 ID:s+XHJkPg0
そして肩より長いくらいの自分の髪を口元に運び、むしゃむしゃとしゃぶりだしたのです。
「お、おい?どうしたんだよ!?」
「D子?しっかりして!」
みんなが声をかけても反応が無い。
ただひたすら、自分の髪をしゃぶり続けている。

その行動に恐怖を感じたのかD妹も泣きだし、ほんとうに緊迫した状況でした。

「おい!どうなってんだよ!?」
「知らねえよ!何なんだよこれ!?」 
「とにかく外に出てうちに帰るぞ!ここにいたくねえ!」
D子を三人が抱え、私はD妹の手を握り急いでその家から出ました。
その間もD子はずっと髪をびちゃびちゃとしゃぶっていましたが、どうしていいかわからず、
とにかく大人のところへ行かなきゃ!という気持ちでした。
その空き家から一番近かった私の家に駆け込み、大声で母を呼びました。

 
泣きじゃくる私とD妹、汗びっしょりで茫然とする男三人、そして奇行を続けるD子。
どう説明したらいいのかと頭がぐるぐるしていたところで、声を聞いた母が何事かと現われました。

「お母さぁん!」
泣きながらなんとか事情を説明しようとしたところで
母は私と男三人を突然ビンタで殴り、怒鳴りつけました。
「あんた達、あそこへ行ったね!?あの空き家へ行ったんだね!?」
普段見たこともない形相に私達は必死に首を縦に振るしかなく、うまく言葉を発せませんでした。
「あんた達は奥で待ってなさい。すぐみんなのご両親達に連絡するから。」
そう言うと母はD子を抱き抱え、二階へ連れていきました。

 
私達は言われた通り、私の家の居間でただぼーっと座り込み、何も考えられませんでした。
それから一時間ほどはそのままだっと思います。
みんなの親たちが集まってくるまで、母もD子も二階から降りてきませんでした。

親達が集まった頃にようやく母だけが居間に来て、ただ一言、
「この子達があの家に行ってしまった」と言いました。

親達がざわざわとしだし、みんなが動揺したり取り乱したりしていました。
「お前ら!何を見た!?あそこで何を見たんだ!?」
それぞれの親達が一斉に我が子に向かって放つ言葉に、
私達は頭が真っ白で応えられませんでしたが、何とかA君とB君が懸命に事情を説明しました。





29:パンドラ[禁后]7:2011/12/16(金) 17:16:15.80 ID:s+XHJkPg0
「見たのは鏡台と変な髪の毛みたいな…あとガラス割っちゃって…」
「他には!?見たのはそれだけか!?」
「あとは…何かよくわかんない言葉が書いてある紙…」
その一言で急に場が静まり返りました。
と同時に二階からものすごい悲鳴。

私の母が慌てて二階に上がり
数分後、母に抱えられて降りてきたのはD子のお母さんでした。
まともに見れなかったぐらい涙でくしゃくしゃでした。

「見たの…?D子は引き出しの中を見たの!?」
D子のお母さんが私達に詰め寄りそう問い掛けます。
「あんた達、鏡台の引き出しを開けて中にあるものを見たか?」
「二階の鏡台の三段目の引き出しだ。どうなんだ?」
他の親達も問い詰めてきました。

「一段目と二段目は僕らも見ました…三段目は…D子だけです…」

言い終わった途端、D子のお母さんがものすごい力で私達の体を掴み、
「何で止めなかったの!?あんた達友達なんでしょう!?何で止めなかったのよ!?」
と叫びだしたのです。
D子のお父さんや他の親達が必死で押さえ
「落ち着け!」「奥さんしっかりして!」となだめようとし、
しばらくしてやっと落ち着いたのか、D妹を連れてまた二階へ上がっていってしまいました。


そこでいったん場を引き上げ、
私達四人はB君の家に移りB君の両親から話を聞かされました。
「お前達が行った家な、最初から誰も住んじゃいない。
あそこはあの鏡台と髪の為だけに建てられた家なんだ。オレや他の親御さん達が子供の頃からあった。」
「あの鏡台は実際に使われていたもの、髪の毛も本物だ。
それから、お前達が見たっていう言葉。この言葉だな?」
そういってB君のお父さんは紙とペンを取り、「禁后」と書いて私達に見せました。

「うん…その言葉だよ」
私達が応えると、B君のお父さんは
くしゃっと丸めたその紙をごみ箱に投げ捨て、そのまま話を続けました。

「これはな、あの髪の持ち主の名前だ。読み方は知らないかぎりまず出てこないような読み方だ」
「お前達が知っていいのはこれだけだ。金輪際あの家の話はするな。近づくのもダメだ。
わかったな?とりあえず今日はみんなうちに泊まってゆっくり休め。」

そう言って席を立とうとしたB君のお父さんにB君は意を決したようにこう聞きました。
「D子はどうなったんだよ!?あいつは何であんな…」
と言い終わらない内にB君のお父さんが口を開きました。



30:パンドラ[禁后]8:2011/12/16(金) 17:17:19.70 ID:s+XHJkPg0
「あの子の事は忘れろ。もう二度と元には戻れないし、お前達とも二度と会えない。それに…」
B君のお父さんは少し悲しげな表情で続けました。
「お前達はあの子のお母さんからこの先一生恨まれ続ける。
今回の件で誰かの責任を問う気はない。
だが、さっきのお母さんの様子でわかるだろ?お前達はもうあの子に関わっちゃいけないんだ」
そう言って、B君のお父さんは部屋を出ていってしまった。
 
私達は何も考えられなかった。
その後どうやって過ごしたかもよくわからない。
本当に長い1日でした。


それからしばらくは普通に生活していました。
翌日から私の親もA達の親も一切この件に関する話はせず、D子がどうなったかもわかりません。
学校には一身上の都合となっていたようですが、一ヵ月程してどこかへ引っ越してしまったそうです。

また、あの日私達以外の家にも連絡が行ったらしく、
あの空き家に関する話は自然と減っていきました。

ガラス戸などにも厳重な対策が施され中に入れなくなったとも聞いています。

私やA達はあれ以来一度もあの空き家に近づいておらず、D子の事もあってか疎遠になっていきました。
高校も別々でしたし、私も三人も町を出ていき、それからもう十年以上になります。
ここまで下手な長文に付き合ってくださったのに申し訳ないのですが、
結局何もわからずじまいです。


ただ、最後に…
私が大学を卒業した頃ですが、D子のお母さんから私の母宛てに手紙がありました。
内容はどうしても教えてもらえなかったのですが、
その時の母の言葉が意味深だったのが今でも引っ掛かっています。


「母親ってのは最後まで子供の為に隠し持ってる選択があるのよ。
もし、ああなってしまったのがあんただったとしたら、私もそれを選んでたと思うわ。
それが間違った答えだとしてもね」


代々、母から娘へと三つの儀式が受け継がれていたある家系にまつわる話。
まずはその家系について説明します。
その家系では娘は母の「所有物」とされ、娘を「材料」として扱うある儀式が行われていました。


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死ぬ程怖い洒落にならない話をあつめてみない?

23:パンドラ[禁后]1:2011/12/16(金) 17:09:29.75 ID:s+XHJkPg0
私の故郷に伝わっていた「禁后」というものにまつわる話です。
どう読むのかは最後までわかりませんでしたが、
私たちの間では「パンドラ」と呼ばれていました。


私が生まれ育った町は静かでのどかな田舎町でした。
目立った遊び場などもない寂れた町だったのですが、一つだけとても目を引くものがありました。
町の外れ、たんぼが延々と続く道にぽつんと建っている一軒の空き家です。

長らく誰も住んでいなかったようでかなりボロく、
古くさい田舎町の中でも一際古さを感じさせるような家でした。

それだけなら単なる古い空き家…で終わりなのですが、目を引く理由がありました。
一つは両親など町の大人達の過剰な反応。

その空き家の話をしようとするだけで厳しく叱られ、
時にはひっぱたかれてまで怒られることもあったぐらいです。
どの家の子供も同じで、私もそうでした。
もう一つは、その空き家にはなぜか玄関が無かったということ。
窓やガラス戸はあったのですが、出入口となる玄関が無かったのです。


以前に誰かが住んでいたとしたら、どうやって出入りしていたのか?
わざわざ窓やガラス戸から出入りしてたのか?
そういった謎めいた要素が興味をそそり、
いつからか勝手に付けられた「パンドラ」という呼び名も相まって、
当時の子供達の一番の話題になっていました。
(この時点では「禁后」というものについてまだ何も知りません。)


私を含め大半の子は何があるのか調べてやる!と探索を試みようとしていましたが、
普段その話をしただけでも親達があんなに怒るというのが身に染みていたため、
なかなか実践できずにいました。

場所自体は子供だけでも難なく行けるし、人目もありません。
たぶん、みんな一度は空き家の目の前まで来てみたことがあったと思います。
しばらくはそれで雰囲気を楽しみ、何事もなく過ごしていました。

 
私が中学にあがってから何ヵ月か経った頃、
ある男子がパンドラの話に興味を持ち、ぜひ見てみたいと言いだしました。

名前はAとします。
A君の家はお母さんがもともとこの町の出身で他県に嫁いでいったそうですが、
離婚を機に実家であるお祖母ちゃんの家に戻ってきたとのこと。
A君自身はこの町は初めてなので、パンドラの話も全く知らなかったようです。





24:パンドラ[禁后]2:2011/12/16(金) 17:10:35.26 ID:s+XHJkPg0
その当時私と仲の良かったB君・C君・D子の内、
B君とC君が彼と親しかったので自然と私達の仲間内に加わっていました。


五人で集まってたわいのない会話をしている時、
私達が当たり前のようにパンドラという言葉を口にするので、気になったA君がそれに食い付いたのでした。

「うちの母ちゃんとばあちゃんもここの生まれだけど、その話聞いたらオレも怒られんのかな?」
「怒られるなんてもんじゃねえぜ?うちの父ちゃん母ちゃんなんか本気で殴ってくるんだぞ!」
「うちも。意味わかんないよね」
A君にパンドラの説明をしながら、みんな親への文句を言い始めます。
 
ひととおり説明し終えると、一番の疑問である「空き家に何があるのか」という話題になりました。
「そこに何があるかってのは誰も知らないの?」
「知らない。入ったことないし聞いたら怒られるし。知ってんのは親達だけなんじゃないか?」
「だったらさ、何を隠してるのかオレたちで突き止めてやろうぜ!」
Aは意気揚揚と言いました。

親に怒られるのが嫌だった私と他の三人は最初こそ渋っていましたが、
Aのノリにつられたのと、
今までそうしたくともできなかったうっぷんを晴らせるということで、結局みんな同意します。
その後の話し合いで、いつも遊ぶ時によくついてくるDの妹も行きたいという事になり、
六人で日曜の昼間に作戦決行となりました。

 
当日、わくわくした面持ちで空き家の前に集合、
なぜか各自リュックサックを背負ってスナック菓子などを持ち寄り、
みんな浮かれまくっていたのを覚えています。

前述のとおり、問題の空き家はたんぼに囲まれた場所にぽつんと建っていて、玄関がありません。

二階建の家ですが窓まで昇れそうになかったので、
中に入るには一階のガラス戸を割って入るしかありませんでした。

「ガラスの弁償ぐらいなら大した事ないって」
そう言ってA君は思いっきりガラスを割ってしまい、中に入っていきました。
何もなかったとしてもこれで確実に怒られるな…と思いながら、みんなも後に続きます。
そこは居間でした。



25:パンドラ[禁后]3:2011/12/16(金) 17:11:58.49 ID:s+XHJkPg0
左側に台所、正面の廊下に出て左には浴室と突き当たりにトイレ、
右には二階への階段と、本来玄関であろうスペース。
昼間ということもあり明るかったですが、玄関が無いせいか廊下のあたりは薄暗く見えました。 
 
古ぼけた外観に反して中は予想より綺麗…というより何もありません。
家具など物は一切なく、人が住んでいたような跡は何もない。
居間も台所もかなり広めではあったもののごく普通。


「何もないじゃん」
「普通だな?何かしら物が残ってるんだと思ってたのに。」
何もない居間と台所をあれこれ見ながら、
男三人はつまらなそうに持ってきたお菓子をボリボリ食べ始めました。
「てことは、秘密は二階かな」
私とD子はD妹の手を取りながら二階に向かおうと廊下に出ます。

しかし、階段は…と廊下に出た瞬間、私とD子は心臓が止まりそうになりました。
 
左にのびた廊下には途中で浴室があり突き当たりがトイレなのですが、
その間くらいの位置に鏡台が置かれ、真前につっぱり棒のようなものが立てられていました。
そして、その棒に髪がかけられていたのです。


どう表現していいかわからないのですが、
カツラのように髪型として形を成したものというか、
ロングヘアの女性の後ろ髪がそのままそこにあるという感じです。
(伝わりにくかったらごめんなさい)
位置的にも、平均的な身長なら大体その辺に頭がくるだろうというような位置で棒の高さが調節してあり、
まるで「女が鏡台の前で座ってる」のを再現したみたいな光景。
 
一気に鳥肌が立ち、「何何!?何なのこれ!?」と軽くパニックの私とD子。
何だ何だ?と廊下に出てきた男三人も意味不明な光景に唖然。
D妹だけが、あれなぁに?ときょとんとしていました。


「なんだよあれ?本物の髪の毛か?」
「わかんない。触ってみるか?」
A君とB君はそんな事を言いましたが、C君と私達は必死で止めました。
「やばいからやめろって!気持ち悪いし絶対何かあるだろ!」
「そうだよ、やめなよ!」
どう考えても異様としか思えないその光景に恐怖を感じ、ひとまずみんな居間に引っ込みます。



26:パンドラ[禁后]4:2011/12/16(金) 17:12:36.35 ID:s+XHJkPg0
居間からは見えませんが、廊下の方に視線をやるだけでも嫌でした。
「どうする…?廊下通んないと二階行けないぞ」
「あたしやだ。あんなの気持ち悪い」
「オレもなんかやばい気がする」

C君と私とD子の三人はあまりに予想外のものを見てしまい、完全に探索意欲を失っていました。

「あれ見ないように行けばだいじょぶだって。
二階で何か出てきたって階段降りてすぐそこが出口だぜ?しかもまだ昼間だぞ?」
AB両人はどうしても二階を見たいらしく、引け腰の私達三人を急かします。
「そんな事言ったって…」
私達が顔を見合わせどうしようかと思った時、はっと気付きました。
「あれ?D子、〇〇ちゃんは?」
「えっ?」

全員気が付きました。

D妹がいないのです。 
私達は唯一の出入口であるガラス戸の前にいたので、外に出たという事はありえません。
広めといえど居間と台所は一目で見渡せます。
その場にいるはずのD妹がいないのです。

「〇〇!?どこ!?返事しなさい!!」
D子が必死に声を出しますが返事はありません。
「おい、もしかして上に行ったんじゃ…」
その一言に全員が廊下を見据えました。


「やだ!なんで!?何やってんのあの子!?」
D子が涙目になりながら叫びます。
「落ち着けよ!とにかく二階に行くぞ!」
さすがに怖いなどと言ってる場合でもなく、すぐに廊下に出て階段を駆け上がっていきました。

「おーい、〇〇ちゃん?」
「〇〇!いい加減にしてよ!出てきなさい!」

みなD妹へ呼び掛けながら階段を進みますが、返事はありません。 
階段を上り終えると、部屋が二つありました。
どちらもドアは閉まっています。



27:パンドラ[禁后]5:2011/12/16(金) 17:13:37.38 ID:s+XHJkPg0
まずすぐ正面のドアを開けました。
その部屋は外から見たときに窓があった部屋です。
中にはやはり何もなく、D妹の姿もありません。
「あっちだな」
私達はもう一方のドアに近付き、ゆっくりとドアを開けました。

D妹はいました。

ただ、私達は言葉も出せずその場で固まりました。
その部屋の中央には、下にあるのと全く同じものがあったのです。
鏡台とその真前に立てられた棒、そしてそれにかかった長い後ろ髪。
異様な恐怖に包まれ、全員茫然と立ち尽くしたまま動けませんでした。

「ねえちゃん、これなぁに?」
不意にD妹が言い、次の瞬間とんでもない行動をとりました。
彼女は鏡台に近付き、三つある引き出しの内、一番上の引き出しを開けたのです。


「これなぁに?」
D妹がその引き出しから取り出して私達に見せたもの…
それは筆のようなもので「禁后」と書かれた半紙でした。 
意味がわからずD妹を見つめるしかない私達。

この時、どうしてすぐに動けなかったのか、今でもわかりません。
D妹は構わずその半紙をしまって引き出しを閉め、
今度は二段目の引き出しから中のものを取り出しました。

全く同じもの、「禁后」と書かれた半紙です。
もう何が何だかわからず、私はがたがたと震えるしか出来ませんでしたが、
D子が我に返りすぐさま妹に駆け寄りました。
D子ももう半泣きになっています。

「何やってんのあんたは!」
妹を厳しく怒鳴りつけ、半紙を取り上げると引き出しを開け、しまおうとしました。

この時、D妹が半紙を出した後すぐに二段目の引き出しを閉めてしまっていたのが問題でした。

慌てていたのかD子は二段目ではなく三段目、一番下の引き出しを開けたのです。
ガラッと引き出しを開けたとたん、D子は中を見つめたまま動かなくなりました。
黙ってじっと中を見つめたまま、微動だにしません。

「ど、どうした!?何だよ!?」
ここでようやく私達は動けるようになり、二人に駆け寄ろうとした瞬間、
ガンッ!!と大きな音をたてD子が引き出しを閉めました。



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857 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 06:07:12 ID:nyVgvoIt0
数日後、KはGとは全く遊ばなくなり、あえて避けてたら、Gが怒り出し学校で喧嘩になった。
その後、殴りあいに発展して、先生に呼ばれて話合いをすることになったとの事。
ただし、Kは避けてはいたが、手を出したわけでもなく、文句を言ったわけでもないので、
Gが悪いということになり、
先生はGに謝れと詰め寄ったらしいが、Gは文句を言いながら謝らずにそのまま家に帰っていった。


その時にKは、裏S区の怖さを再度身にしみる出来事が起こる。
それは上記にも書いてるけど、「子供の喧嘩に一々親が出てくる」。

KとGの喧嘩で話合いだったのにも関わらず、
次の日に一々Gの親と母が来て先生に詰め寄り、Kを呼んで再度Gとの話をさせろ。
それから、そこにその二人も立ち会う、との無茶苦茶な要求。
でも、先生が情けないやつなのか、それともそちら側のニンゲンなのか、それを了承。





858 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 06:17:06 ID:nyVgvoIt0
以下会話。


先生「いや、昨日はいい加減な話になってしまったから、ちゃんと話合え、な?」
K「え?昨日話たじゃないですか。俺は別に何もしてないのにGが殴ってき・・・」

G母「うるさいねぇ!お前の話聞きたいで来とんやない!」
G「いや、Kが無視して俺を追い詰めたけよ」

K「はい?俺そんなことしてませんし、っていうか、もう良いですよ。ごめんなさい」
先生「ん、喧嘩両成敗って感じでね。Gも。ほら」
G父「Kに最初に会ったときに、言ったと思うけどのぉ。覚えとらんか?お?」(にやにや笑ってたとの事)

ここでKは、G父、G母の、最初の言葉を思い出したらしい

「Gと仲良くしとけ」
「Gと仲良くしいや」
この言葉を聞いた時は、普通の親の挨拶と思ってたけど、色々考えなおしたら明らかにおかしい。
普通は「Gと仲良くしてね」。若しくは「二人とも仲良くしいや」。
でもこの家庭では、「Gと仲良くしとけ」
そんなに違和感が無いことかも知れないけど、よくよく考えれば明らかに自分優位。
それを再度強制なのか強要してるGの父は、話が通じるとは思わない。と思ったらしい。

そしてKが、「もうGは謝らなくてもいい。俺が無視したのかも知れない。
でもGとは仲良くなれない。ごめんけど関わらないでほしい」
との事を言って、最後に再度謝って全てを終えたらしい。


ただ帰る時に、Gの家族がケタケタ笑ってたところを見たときに、
再度恐怖心が自分を襲い、それ以降、裏S区のニンゲンとは話もしなくなったとの事。

以上がKの話。



859 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 06:17:57 ID:nyVgvoIt0
本当かどうかは一切不明だけど、
Kという友人は信用できるので、俺は本当だと思う。

それと、この年になるまで『裏S区の人間は怖い』と大人に言われているのは、
暴走族や不良がかなり多く、
又、精神病が近くにあるため、良くある噂で、
『患者が外を歩き回ってて殺人事件が多い』とか、精神病院の施設の中に、
多数の患者が無残な死に方を強いられているとかの噂により、怖がられてると思ってたけど、
この年になり色々事情が分かってきて、
何故裏S区と言われているか、そして怖がられているかが、かなり分かってきた。

それ(色々な事情の事)が、差別をされるだけの事情になるのかどうかはわからないけども、
それが原因で恐れが生まれて避けられている、と言うのは
どうしようもないような気もする。
又、この年齢になってからだけど、裏S区についての怖い話、奇妙な話、
奇怪な言い伝えをかなり聞くようになっていた。
(高校時代は全く知らなかったような事です)


今現在は新S区と名前を変えて、新興住宅や大型マーケット等も段々建ってきてるけども、
その地域だけは未だに街灯も無く、
葬式や冠婚も独自のやり方でされており、就職もそこの住民は、そこの地域にある職業についてる。
(酪農、農業、漁業って感じ。もちろん、普通に就職する人もいますので悪しからず)



860 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 06:19:27 ID:nyVgvoIt0
ただKの話と俺の話では、『××××』と呼ばれる存在が異なっている。
AやBさんの話では悪霊。
Gやその家族からしたら神さま?
この違いが、どういうことを表してるのかは不明。
名前が思い出せればいいのかも知れんけど、
経験上では思い出さないに越したことはないんだと思うので、一切思い出す気はない。
この地域の奴等に聞く度胸もないし、言わないと思う。
一応九州地方にある地域なので、わかる人もいるかも知れませんが、当たってても何も言いません。


ただし、AとBさんの話と、Gさんとの認識の中に重なる点があり、
又、Hのアニキの死が本当の話なら、××××が何から生まれるか。何なのか。
は、風土的なもので、大体の予想もつくかと思います。
(まぁ俺の中での予想なので、本人達はどういう教えを受けてるのかは微妙)



861 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 06:22:43 ID:nyVgvoIt0
それと追記として、Kの話に出てくる人の一人が、とり憑かれたのかは不明だが、
Kが高校2年になった時に死んだらしい。(これも俺には真実は不明)
誰かはわかると思うが、Gの兄貴。
何故死んだかは本当に不明。

ただKが高校2年以降に、同学年の結構な人数が休んで、葬式に参加する事件があったらしい。
俺は既にこのときには転入していたので、そんな事も知らないし、
Gとも別に仲良くなかった為知らない。


ただ、何故『誰かはわかると思うが』って書いたかというと、Kの話の中に矛盾な点があるので。
(アクマでKの話どおりなら)

1つ目は、Gの兄は見えるべき人ではないのに、見えてたということ。
○○家(Aの苗字)の家系は見える可能性が高い。
それは俺の経験でもわかるけど、家出届けとかにあいつ等と書いたりと普通に出来る家系であり、
BさんやCさんにもわかったみたいだし。
それと、Gの兄とHと友人等とGとKで、Yの家に行く時の会話上からも、何となくそんな感じがする。
つまり、Gの兄は見えてた。見えるべきではないのに、見えてた。



862 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 06:23:28 ID:nyVgvoIt0
2つ目は、Hの兄の葬儀の際にGの兄が居たとのこと。
これはあり得ない。
Kがバスに乗るまでの間Gの兄は家に居たし、それ以降はGの兄を見かけてない。
もしKが俯いてた時にバイクが通ったなら、聞こえたはずだ。
なぜなら、外でケタケタ笑ってる音や、
「ギギギギギギギギイギギギギ」って言う音に、
「あはははははは」の混じったコエも聞こえるのであれば、バイクの音は聞こえてるはずだから。

なのに、Gの兄は笑ってた。
ケラケラケタケタと、Hの兄の葬儀の場で笑ってた。



863 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 06:25:01 ID:nyVgvoIt0
駄文で申し訳ないです。
またかなりの長文になってしまい、わざわざ読んで頂いた方ありです。

ただ何度も言いますが、これは俺の体験談とは全くの別物です。
含まれては居るものの"別物"です。
Kからの話を聞いてのことが軸になってるため、本当かどうかもわからないので、
聞いたままこんな感じで記述してます。


それと、差別意識を増すために書いてるのでは無いので、その辺は憂慮してくださいな。


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裏S区 4



裏S区2 4

850 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 05:55:54 ID:nyVgvoIt0
その後、K達はYさんの家に行ったそうだが、
Hさん以外は大人にメチャメチャ怒られて家に帰された。

でもその時に、Kはめちゃめちゃ怖かったらしい。
怒ってるって表現は、皆同様のものだと思う。目を吊り上げて、顔を少ししかめたような感じで。
でもこのときの怒ってるは、かなり奇怪、奇妙な感じ。
笑いながら注意する感じ。
怒られてるほうも、笑いながら怒られてる。
Kだけあっけにとられて、キョロキョロ辺りを見渡してるって感じ。
それは怖いとか、恐れるとかのものとかけ離れてる存在。
あり得ないもの、見てはだめなもの、って感じのモノ。


その後、何があったわけでもなくGの家に帰り、
「今日見たことは絶対誰にも言うな」とGの兄に念押しされ、寝る事になったらしい。
ただKは、変なのに関わってしまった、っていうのと、
Gの部屋の電気を消した後の真っ暗さ、
カエルなのか虫なのか、
それとも家畜なのかわからないようなものの鳴き声。
そして極めつけは、その日の夜に起こった金縛り。
それら全てに、ココに来た事への後悔を押し当てられた。

金縛りにあったからと言って、別に霊が出た訳でもない、
目を薄めにしたら、自分のおなかの上におばあさんがとか、お経が聞こえた、とかも無かったらしく、
ただの金縛り。体が動かないだけ。
ただし、ナニカの鳴き声。
それだけでもう十分に恐怖だった。
そして、金縛りが途切れる瞬間に聞いたのがGの寝言。
というか、Gが寝ながら笑ってたとの事。
金縛りが途切れたのは、意識が睡眠状態になった瞬間らしい。
というか、寝ただけだと思う。





851 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 05:57:47 ID:nyVgvoIt0
次の日の朝、朝飯の用意がしてあり、Gの両親は不在だった。
Gのアニキは、その時間に起きる気なしだったらしく、
GとKで朝食をとり、これからどうするかを話してたらしい。

それから一本の電話があり、GがGの兄を起しに行って、Gのアニキが誰かと変わり真剣に話しをしてる。
Gはソワソワしだして、その電話が終るのを待ってる状態。
そして電話が終了した後に、Gの兄がKに対して「今日はもう帰れ」っていきなり言い出した。

Kはかなりびっくりしたらしく、Gのほうを向いたら、
Gの兄がGに、「Hのアニキが死んだけん、通夜と葬式の用意するっち」と言って部屋に戻っていった。
Gも、ちょっと悪いって感じの言い方で、
「すまんが今日は帰って。そういう事情やから」とのことで、Kは帰ることになった。

そして家に帰る準備をして、Gの兄に挨拶をしバス停に向かった。
バス停でバスを待っていたときに、Gの知り合いのおばあさんも一人待ってた。
バスが来るまでの間、GがKに色々事情を話してたらしい。



852 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 05:58:59 ID:nyVgvoIt0
以下会話。


G「わりぃね、急に」
K「いや、いいよ。っていうか、マジでびっくりするわ。昨日の今日で」
G「うん、っていうか、お前家に帰るバスの中で、Yさんの家が見えると思うよ。そこの前通る時笑えよ」
K「は??なんて???」
G「いや、その前通る時に笑顔でもいいけん、笑って通れよって」
K「いや、人が死んどるんやない???あほかお前。笑えるわけないし」
G「いいけん、この地域の人らは、個人が死んだときに笑顔で送り出そう、っていう感じなんよ。
だけ死んで悲しそうな顔しとったら、霊が憑いてくるけん」

おばあさん「ほっか、そん子はこっちの子やないんか?いらん事こっちにきたりしたら
大変なことになんぞ?」
G「あ、うん。昨日とまりきとったんやけど、今朝H君の兄ちゃんが亡くなったんや」
おばあさん「そりゃ、そりゃ。Yんとこ行ったんか?あ?それやったらあかんな」

K「いや、でも笑うのはおかしいやろ。
ちゅうか普通に考えて、呪われるとしたら普通は笑ったほうが怖いし」
おばあさん「きさんはあほか??この地域の神さんと、きさんとこが一緒と思っとったらくわれるんぞ」

G「おばあちゃん、そんな怒らんでもええやろ、知らんのやし」
おばあさん「知らんかったで死ぬんで?死んだら終わりやろうが」
K「あ、はい。わかりました。笑えばいいんですよね?」(少しビビッたらしい)
G「うん、すまんけど、おねがいやわ」


こんな感じのやり取りがあったらしい。
その時にKは、もう絶対に裏S区に行かないって決めたとの事。



853 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 05:59:36 ID:nyVgvoIt0
それからバスが来てGと分かれて戻る際に、Gの笑い方がめちゃめちゃ怖かったらしくて、
(目は笑ってないけど笑ってるって感じ)
直ぐにGが見えない位置に座った。

それからが『恐怖、混沌、異常』
そんな感じの世界観をバスが包みこむ。


まずバスに、K以外におばあさんを入れて7人座ってる。
ただ、Kが座ろうとしたときに、後ろに座ってたおばさんが「ちっ」っていう舌打ちをした。
その後、斜め後ろに座ってる人や、前のほうに座ってる人に睨まれてる。 そんな感じの雰囲気。
凄く嫌な気がしてたので、下を俯いたままで座ってたら突然、

「あはははははははは」
「はーはははははははははは」
「はははは」って、バスに乗ってる人が笑い始めた。


もう、Kはパニック。
何があったのかもわからないし、自分を睨んでたりとかしてたことがそんなに面白いんか?って感じで、
顔真っ赤にして涙目になって俯いてた。
その瞬間に、後ろのおばさんに肩をポンポンって叩かれて、
後ろをキッ!って睨み返したら、
そのおばさんの異様な怖さに萎縮しまくったらしい。



854 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 06:01:32 ID:nyVgvoIt0
ケタケタケタ笑ってるのに目は怒ってる。
(理解不能でしょ?目が怒ってるのに笑うこと事態が、あり得るのかどうかもわからんけど、
一回試しに鏡に向かってやってみて。
目が笑ってないのに、顔と声だけ笑ってる状態っていうのは、めちゃめちゃ怖いから)

「ははははははあはは」ってずっと声がでてて、目が怒ってて、ナノに顔は笑ってる状態。

その直ぐ後に、バス停で待ってたおばあさんがクィって顎で場所を指して、直ぐに気付いたらしい。

窓から見える家に、喪服姿の人がいっぱい集まってて、皆笑ってる。
本当にケタケタって表現がぴったりな感じで、そこに居る十数人がケタケタケタケタ笑ってるっていう状況。
Gの両親やGの兄貴、友人、Hもいたらしい。
もちろん目から涙をながしながらの人もいるし、怒ったような人もいるけど、顔は笑顔。

Kは唖然として笑えなかったらしいけど、
再度後ろのおばさんに肩をバシって叩かれて、どうにか笑顔を作ったらしい。
異様で異常。
バスの外も中も笑顔だらけ。
普通の人の形をした全く違うニンゲン。



855 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 06:04:13 ID:nyVgvoIt0
霊にとり憑かれない為、霊を追い払う為、そう言われても納得できないぐらいの恐怖。
寧ろ、この人達自体がとり憑かれている感じ。

バスの外から聞こえて来るのには変な笑い声も混じってるらしく、
「ギギギギギギギギギギギ」
というバスのゆっくり進む音に紛れ込んでる、
「あははははは」や「ギャガヤギャガ」って感じの変な声。
「ギィッギッギギギギギギアハハハハギギギギハハギャギャアアハハ」っていう奇怪なコエ。
(これはKの頭が混乱してて、こう聞こえたんじゃないかと思う)

それが1分ぐらい続く。

その1分がかなり長くて、Kが言うには、
「世にも奇妙な物語ってあるやん?あれでよく異次元とか、そんな感じで言いよるけど、
あーいう状態こそソレそのものやね。っていうか、現実世界であそこまでするか?
そりゃこっちでは、避けられるんけんね。
それを避けれるように、あの人等を避けるのは当たり前やろ」との事。
(意味不明)



856 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 06:06:35 ID:nyVgvoIt0
その後、その家をずっと後ろになってから皆が笑いを止めたので、Kも笑うのをやめた。
そしたら、バスの運転手に向かって前のおじさんが、
「~ちゃん、ちゃんとゆっくり言ってくれてありがとね」と言い出し、
運転手も「いや、しょうがないけんねー。××××さんつかれたらたまらん」とか言い出したらしい。
つまり、1分間もそこを通るのにかけたのは、
運転手もその部落のモンで、それを理解しててゆっくり、というか黙祷代わりに、
1分間もかけてそこを通り過ぎた。と。

それに気付いた瞬間に、Kは怖さでブルブル震えてしまって、バスの中で泣き始めた。
「人前で泣くのはアホよ」とかかっこつけてるKが泣いたらしい。
K曰く、「そこにヒトはおらんかったけね」との事。
そこに居る全員、Kと同じニンゲンとは異なるモノだったらしい。
(いやいや、ありえんやろ?って思ったけど、Bを知ってる、又見た限りでは、分かる気もする)


その後、バスがS区のバス停についた瞬間に、
家から一番離れてる場所ではあるけども、
それ以上そのバスに乗ってるだけで恐怖心が増したため、降りて歩いて帰ったらしい。



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843 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 05:42:02 ID:nyVgvoIt0
その後ぺちゃくちゃ話をしてると、Gの父親が牛舎から戻ってきて、
「おい、G、友人つれてこい。挨拶させんか」と聞こえてきたので、少々緊張気味にあいさつ。

あいさつも普通におわり、
「おう、よろしくの。Gと仲良くしとけの」と言われ、
「飯準備するけ手伝え」の一言で、K、G、Gの兄で用意をしてたそうだ。

その時に「キーーーーーーー」って言う小動物の鳴き声に、
Kは焦ってビクっってなりながら、窓の外、庭を見たそうだ。
そこでGの父親が、鶏の頭を切り皮を剥いで、調理用にしてたそうだ。

Kはめちゃめちゃビビッたらしい。
生まれて初めて、自分が食べるものを『家』で『殺める』事に焦ったのと同時に、
Gの父親がニヤニヤ笑いながら振り向いて、
「うまいもん、食わせてやるけんのぉ。自家用やからうまいぞ」の言葉に動きが止まった。

まぁ、確かに理解は出来てても、
さすがに目の前で見るとちょっとヒク気持ちはわかる・・・。

でもK曰く、飯はめちゃめちゃ上手かったそうだ。
そのときには、匂いにも多少は慣れてるのと、
料理の際の良い匂いに部屋中が包まれる為、気に留めなくなる。




844 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 05:42:55 ID:nyVgvoIt0
ここで食卓中の会話。


G父「どうや?うまいやろうが?ほとんど家で作っとうけんのぉ」
G兄「いや、うちの飯はうまいんは、おかんの手がかなりかかっとるけんのー」
G父「お前にゃ聞いとらん。どや?K。うまいやろ?」
K「あ、めちゃめちゃうまいっす」
G父「おう、S区に住んどったら全部スーパーとかやろうけど、自家製ちゅうのは味が全然ちがうけんの」
K「そうですよねー。うまいです」(何故か『S区よりもうまい』を強調してたとのこと)

G母「それはそうと今日、Hちゃん(G兄の友人)のおばちゃんが怒っとったよ。
あんたらバスで何か言うたろうもん」
K「あ、すみません。俺が道が長いって文句言うてもうて」
G「まぁ、悪気はないけん謝っとって」
G父「おい、G。お前一緒におっていらん事いうな。
Kもこの辺に遊びに来るときに文句言うたらいけんぞ。夜中に××××がくるぞ」
(よく分からないけど、俺の体験に出てくるような名前らしい。本当かどうかは不明。
K曰く、俺のと同じとのことだが、俺は名前を良く覚えておらず、Kも適当に俺にあわせてるのかも)

G兄「はは、ちゅうか俺ら子供やないし、そんなじゃもうこわがらんて」
G「んなこというてG兄、結構信じとるやん。Hさんの兄貴がおかしくなったときも、ビビッて言いよんたやん」
K「・・・」(何の話か全く意味不明な状態)
G兄「あ?あほか。あいつの兄貴はシンナー吸いすぎなだけって」
G父「シンナーすっただけであそこまでなるか、ぼけ。っていうかお前等、シンナーなんか吸ったらぶっ殺すぞ」
G兄「いや、俺は吸ったことないし、すうきもないって」

K「××××ってなんすか?」
G父「!?。お前はよそもんやから知らんでええわ。
それとお前、その名前二度と口にすなよ。よそもんが言うていい事と悪いこともわからんのかのぉ」
G母「お父さん。K君も知らんでいいよんやけ、そんなん言わん。そんな言い方したりせんよ」
G兄「K。気にせんでええけん。だけどそれは、この地域の年配者には言うなよ」
K「あ、なんかすいません」



845 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 05:44:24 ID:nyVgvoIt0
こんな感じの流れで、いきなりGの父親が怒り始めたらしい。
それで、飯食ったらすぐにGの部屋に行って、
再度GとGの兄に「その名前はかみさんみたいなもんやから、言うたらいけん」と念押しされたらしい。
まぁKからしたら、かなり居づらい場所になってしまったらしくて、
Gの父が「さっきはすまんのー。あんま気にすんな。おい、K、風呂入って来い。きもちいいけん」
と言いに来てくれて、やっと変な居心地の悪さから解放されたそうだ。


まぁ風呂も普通に入って、Gも風呂上がって、
寝る時間になるまで、適当にゲームしたり話したりして時間つぶしてた。
その時にGの兄が友人を呼んで、「一緒に遊ぶか?」って聞いてきたので、それから外に遊ぶことになった。


田舎ならではというのと、
その地域の特色というのも合間ってか、
その辺りは本当に不良が多く、暴走族の真似事をするやつらが結構多い。
GもGの兄貴もバイクを持っており、Kを連れて皆と遊びに行くことになったそうだ。



846 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 05:45:21 ID:nyVgvoIt0
それから数分後に用意ができたので、Gの後ろにKが乗って、
Gの兄貴についていくことになったらしいけど、そこで外に出たときに、Kが『異常』に気付く。
GもGの兄貴にも『異常』では無いけども、Kにとっては異常以外の何モノでもない。
まぁ、都会と田舎の違いかもしれないけど、街灯が全くない。
今のご時勢に、舗装されてない道もそうだけど、街灯が無いと言う事が、Kからしたら『異常』。
恐怖でしかなかったらしい。

夜の9時ぐらいのため辺りは真っ暗。
別に田舎なら当たり前だろ、って言う人も居るだろうけど、俺もこの状況は知っているから言える。
宮崎県のど田舎(失礼)の村に行ったときの、商店まで車で30分、
自動販売機まで歩いて20分の場所に行ったときでさえ、凄く遠くにだけど、街灯が見える。
田畑だけが広がってる場所なだけに、少なくとも対面にある光ぐらいは見える。

けどこの地域は、(裏S区全体がそうではありません)田畑が広がっていて、
向こうまで見渡せるだけの視界があるのに、街灯は見えない。
闇が光を吸い取ってる。
それほどの地域。


その『異常』にかなり怖がりながら、バイクでずっと進んで、
5分ぐらい行ったところの広場の様な場所で、Gの兄の友人が5、6人集まっていた。
Kが挨拶したら、結構気さくに話してくれる人たちだった。

ただし、ヤンキーと言われる部類のファッションとしゃべり方。全員裏S区出身者でG兄の幼馴染。
そこでやる事は特に無く、
タバコ吸ったり、酒のんだり、Kにバイクの乗り方を教えたり、って感じで遊んでた。
その時にもう一台バイクが来たらしく、降りてきて早々に、
「まじ、兄貴うぜぇ。あいつまじおかしすぎ。意味分からん」と言いながら降りてきた。(彼がH)



847 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 05:46:15 ID:nyVgvoIt0
再度会話。
(G兄の友人は6人いるが、重要人物を友人A、Bとする。他は話には加わってるが特に必要ないので)


G兄「おぉ、H。おっせぇぞ」
H「おぅ、だれかそいつ?なんしよんか?あー?」
G兄「Gのツレよ」
K、G「あ、どうも」
H「ほうか、アッー!あいつマジうぜぇー!」(地面を蹴ったり、つばを吐いたりしながら)

友人A「うっせぇのー、来てすぐに、なんなんか?どうしたんか?」
H「あいつ狂っとるわ。まじ、どっか病院入れーよ」
友人A「またか?ほんと、どうしようもないのぉ」
友人B「××××さんがきたんちゃう?」
G「こんなこわい場所で、いらん事言わんでくださいよー」
H「いや、来たんやって~。おれのオカンがいいよるわ」
G兄「ほなお前もみえるんちゃうん?」
H「いや、何がみえるんかも全然わからんし、
ちゅうか小便ぐらいトイレでせぇや、いきなり居間でもらしよるん。あほやけ、まじで」
友人A「なんじゃ、そりゃ。むちゃくちゃやね」

H「しかも笑わないけんけね。もう、うぜー。目の前であんなんされて笑えるかって」
G兄「笑っとったんやろ?」(ニヤニヤしながら)
H「あたりまえじゃ。こわかろうもん」(こちらもニヤニヤ状態)
友人B「じゃぁ、おばちゃん今度やるん?それともつれていくん?」
H「家じゃせんやろ。どこに行くかわからんし」
友人B「ほな、奥さんはどうするん?やるん?」
H「いや、せんやろ。あんだけおかしかったら別れたいやろおし。
それに普通のときにも殴られたりしとんに」

G兄「あそこん奥さんの母親もせんの?」
H「いや、もうしんどるし」
友人A「ほしたら、Yのばばぁにでもお願いでもするんやろうね」
G兄「うゎー、めんでぇー。あそこしょっちゅう(結構)通りよるけんめんどいわ」
H「今から行くっちいいよったけん、俺もいかないけん」
友人B「ほしたら、言って来いや。俺らもいこうか?」
友人A「そやね、ひまやし」


ここで、友人A、B、G、G兄、K、Hはそこに行くことに。
他のメンバーは帰宅。



848 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 05:48:47 ID:nyVgvoIt0
H「あいつらは怖がりやし、名前が○○家やけのぉ(Aの苗字)みえるんやろ」
G兄「お前もやん」(Hの苗字もAと同じ)
H「しらんし。こわくもねぇし、あのクソアニキがシンナー吸いすぎておかしくなっとんのに」
G兄「俺はみえるけん、信じるわ」(ニヤニヤ)
H「うそつけや、お前は違うやん。俺にはみえるけどね」(ニヤニヤ)
友人A「みえんやろ。お前は。俺もやけど。あいつらはしらんけど」
G兄「まぁ、いいや。いくぞ」


そんな話をしながら、Yという人の家に向かったらしい。
Kが意味が全くわからなくてGに聞いたところ、
Yという人は霊媒師みたいな人で、
Hの兄は霊にのりうつられてると両親や他の大人に考えられてる為、そこに連れて行くとのこと。



849 :763 ◆MOBqqkAfh6 :2007/03/15(木) 05:53:22 ID:nyVgvoIt0
ちょっと話はそれるけど、
これまでの話で霊関係なのか、その風土によるものなのか、
それとも家系的なものなのかわからないけど、
俺の体験談でもあるように、
この地域では精神異常者が結構出ていたために隔離されて、部落、集落となった。と言う事。
それと、この地域には有名な精神病院が一つあるけども、まぁ、場所的に閉鎖的な為に建てられてる感じ。
だから、この地域の人はかなり反対したらしい。
(それでなくても差別的なのに、
そんな場所に精神病の患者を集めるような収容施設なんて、嫌でしょうがないだろう)

この2つの事がらもあり、この地域で精神を病んだ場合は、
病院とかよりも、まずは霊的な現象、事象と思われて、霊媒師等にいく場合が多い。
それと裏S区はかなり広い場所なので、全てがそうとはいえないけども、
俺の高校に来る裏Sの奴等の家の近くには、
本当に寺も神社も全くない。
(もしかしたらあるのかも知れないけど、俺が知る限りでは無いです)

ただし、神社の代わりの様な場所があり、そこは墓地も含んでいる。
肝試しをする場所として俺らの地域では凄く有名で、
地蔵とかそういうのの代わりに、風車と小さな石塚がたくさんある。(水子地蔵の様なもの)
つまり、信仰が異なってるため、精神異常者も霊等のせいであり、病とはかけ離れてると考えられてる。
今のご時勢に、と思うかもしれないけど、それがそこでの事実。



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