サイケデリック・奇譚

永遠の日常は非日常。

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1367
天狗男 ◆3d.QRuQQg.:2011/09/09(金) 19:14:12 ID:M0ASbFRA0

1/5
ご無沙汰してます。
だいぶ落ち着いてきたので、ズレまくってた期間中の出来事を1つまとめました。
全部まとめるのは時間がかかると思うので、印象に残っているものだけUPしていきます。

ズレてた期間の出来事というのは一応、覚えてます。
しかし何というかフィルターのようなものがかかっており、時系列的に思い出せません。
恐らくズレた出来事はまっすぐな時間軸上には無いのかも知れません。

これは何度目かズレた時(だと思う)の話です。
ズレる前は空間が歪むというか、複数の空間が現れて渦のように重なるようになります。
例の観光地から憑いてきたヤツから呪文のような声が聞こえると渦が現れます。
当然、俺がヤツの呪文を止めようとしても無駄な抵抗になります。。


「あぁ、またか・・・」

―――気が付くと夜の森の中にいた。




1368天狗男 ◆3d.QRuQQg.:2011/09/09(金) 19:15:02 ID:M0ASbFRA0

2/5
ここがどこかも分からない。
周辺には真っ暗な森があるだけで電灯もなく真の闇があるだけ・・・
とりあえずここにいても始まらないなとザクザクと歩いて周辺を散策、ほどなく1本の砂利道に出ました。
「よかった、道がある・・・とりあえず近くの集落まで行けるかな・・・」

ズレた時に共通する事柄に、目の焦点が定まらない点があります。
ヨロヨロとあぶなっかしく歩きながら進むと数十メートル先に白い物体を発見・・・
「何だろう、あれ・・・」
目を凝らしながら近づくと徐々にそれが自動車だと分かりました。

傍まできて車内を見てみたが人影がない・・・触ってみるとちゃんと車体の感覚がある。
ズレる際は、たまに物に触れない場合があるので少し安心しました。
試しにドアを開けるとロックしておらず容易に開いた・・・しかもよく見ると鍵が付いている。

「何でこんな山奥に鍵を付けたまま停めてあるんだ・・・?」
不審に思いはしたが、基本的にズレた時はその世界の人達に自分は見えないようなので、
それ以上は気にもせず車に乗り込んだ。
そして鍵を回してエンジンをかけようとしたら・・・勝手にかかった。
その瞬間、何とも言えない獣の臭いがしてきて思わずウェッとなった・・・

「な、何だこの臭い・・・動物の死体でも乗せてあるのか??」


1369天狗男 ◆3d.QRuQQg.:2011/09/09(金) 19:15:39 ID:M0ASbFRA0

3/5
キョロキョロと車内を見渡すがそれらしきものが無い・・・
おかしいなと思っていると今度は車が勝手に動き始めた。
基本的にズレた世界は何度も行ったが、
機械や車が勝手に走り出したのは初めてだったので焦りました・・・

「何だよこれ・・・どこに向かってんだよ・・・」

そしてこの車、普通に走るのではなく急停車したり、バウンドしたり、まるで生きているようだ。
心拍数が上がっていくのが分かる・・・
このままじゃヤバイと思い、ブレーキを踏んだりハンドルを切ったりしたがまるで反応なし・・・
大量に噴出す汗・・・かなりの危険を感じた俺は、何とか車外に出ようと必死にドアを開けようとした。

すると突然、視界に何か眩しいものが飛び込んできた。
ウッと目を覆ったが、少ししてからよく見ると自動車のヘッドライトのようだった・・・
俺の乗ってる車の後を凄い勢いで追いかけてくる車のヘッドライトが、バックミラーから見えたのだ。
後の車は何か理由があるのか、必死でこの車を追いかけてきている・・・

この車の進行方向からは間違いなく嫌な空気を感じる・・・
後から追いかけてくる車もまったく得体が知れない・・・
状況がまったく理解できない俺は、ガクガクしながら震えていた。

すると急なカーブを曲がった所で何の前触れも無くドアが開き、
俺は外へ放り出された・・・


1370天狗男 ◆3d.QRuQQg.:2011/09/09(金) 19:16:11 ID:M0ASbFRA0

4/5
―――気が付くと俺の乗ってた車も、追いかけてきた車もいなくなっていた・・・
体が重い・・・とりあえず俺は砂利道を再び歩き始めた。

どれくらい歩いたか分からない。
感覚的には2~3時間は歩いたのではないか・・・
集落などはまったく見つからない。足を止め少し休もうかと思った時にそれは起きた。

ガラガラガラガラ・・・・ズシーーーン

地響きと共に目の前に巨大な石が落ちてきた。
あと数メートルも進んでいたら間違いなく下敷きになっていただろう・・・
驚きと恐怖で俺はもと来た道を必死に戻り始めた。
しかし数十メートルも行かないうちに、視界の悪さから足を踏み外しそのまま道路下へと転落した。

落ちた際、全身を強く打ったが意識はある・・・
何でこんな目に・・・悔しさと情けなさで涙目になっていた・・・
傷だらけの体を引きずり何とか道まで登った俺の視界が突然真っ白になった。

ものすごい土煙を上げながら1台の車がこちらへ向かってくる・・・
もしかして助かるかも知れない・・・
俺は一も二も無く、その車を止めようと無我夢中で車の前を横切った。

キキキキィィィィーーー

車は急停止した。


1371天狗男 ◆3d.QRuQQg.:2011/09/09(金) 19:16:48 ID:M0ASbFRA0

5/5
「や、やった・・・停まった、停まったということは俺の姿が見えているんだ・・・た、助けてくれ・・・」
俺は体を引きずりながら、その車へと向かった。
ところがその車は急なUターンをすると、もの凄い勢いで再び遠ざかって行ってしまった・・・

唖然とする俺の脳裏に今の車のことが蘇った・・・

「・・・あ、あれ・・・? あの車・・・あの車は俺の・・・」

―――そう。

今、もの凄い勢いでUターンして行った車は俺の愛車だったのだ・・・
視界がぼやけてはいたがナンバーも確かに合っている・・・
ということは乗ってるのは・・・

ここで俺は初めて、以前、伊豆に彼女と旅行した時のことを思い出した。
ということはここは過去であり、
あの時遭遇した物の怪の正体は・・・
そしてここでヤツの例の呪文が聞こえてきた・・・じきに空間が歪み始めた・・・
全身傷だらけでヘトヘトになりながらも、
昔の疑問の1つが解決したことで俺は半笑いだった・・・

あの時はUターンした直後、予約していた宿に着いた。
その原因がこの時空の歪みだったのかも知れない・・・

しかし俺が乗って勝手に走った車・・・あれはいったい何だったのだろう・・・


おしまい。


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ゆがんだ時空のなかの記憶

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1295
天狗男 ◆3d.QRuQQg.:2011/07/13(水) 19:48:55 ID:vKB22wVk0

1/3
えぇと・・・ご無沙汰してます。
ようやく落ち着いてきたので久しぶりに書かせていただきます。
トリは完全に忘れてしまったので今回からこれでいきます。

かれこれ一年近く前になります。
ようやく仕事で連休が取れたので某マンガの聖地に行ってきました。
それが間違いでした・・・
そこは世界遺産に指定されている古い家屋が立ち並ぶ街。
そこで「あるモノ」に出会ってしまった為に、その後約半年間スベリまくる日々が続きました。
今書いてるココも昔俺がいた世界なのかどうか、ハッキリとはわかりません・・・

まともに書くと長くなります。
今回は要約のみ書こうと思います。

旅行で出会ったあるモノとは、そこの土地の道祖神の一種で西洋的には妖精といった風貌でした。
なぜ俺に憑いてしまったのか分かりません。
しかしこいつは今まで出会った物の怪などとは違い、
非常に強力な存在で何としても俺から離れませんでした・・・

こいつは直接攻撃をしてくることはありません。
しかしお札や呪詛でこいつを祓おうとすると「違う時空」へ飛ばされてしまうのです。
かなりの回数、隣の世界や違う時代、地球かどうかもわからない場所に飛ばされました。
飛ばされた時に共通する事項としては以下の通りです。

・時間の流れが一定ではない(自分以外がスローモーションになったりする)
・視界がボヤけることが多い(ブラーをかけた感じになる)
・呼吸は普通にできる
・飛ばされる瞬間は空間が歪む感じになる
・何回かに一度は元世界に近い所に帰ってこれる(気がする)
・なぜか自分の存在を気づかれないことが多い(見えないのか?)
・ケータイや電話がつながらない(PCは操作できる場合がある)
・食事や睡眠はどの世界でも取れる


1296天狗男 ◆3d.QRuQQg.:2011/07/13(水) 19:49:54 ID:vKB22wVk0

2/3
明らかに同じ時代の日本なのに、そこにいる人間達が馬のような風貌の世界もありました。
あるいは、もうひとりの自分がいる世界に出たときは
二人でどうやったらこの妖精を祓えるのか話し合ったりもしました
(その後すぐに飛ばされたので再び自分に合うことはできなかった)
昔からよく言う神隠しに遭遇した人達はこんな感じで飛ばされ続けたのでしょうか・・・

江戸時代のような所に飛ばされたこともあるけれど、
そこでは人間と妖怪が一緒に暮らしていた・・・

ほとんどは同時代か過去でしたが、
一度だけ未来?のような場所に飛ばされたこともあります。
そこは原生林のような自然が広がる中に、
SF映画に登場するような都市が一定の距離を置いて点在しており、
それぞれの都市は半透明なドーム?で覆われていました。
空には無数の小型機が飛び交いなぜか月が2つ見えました。

俺が飛ばされ続けている間、背後のこいつは楽しそうにケケケケと笑うのみ・・・
直接の暴力は受けないものの、これではまともに生きていけない・・・
そして約半年間、こいつと様々な時空を行き来していたお陰で
会社はクビになり家族は心配して
何度もマンションに来たらしいけど、親父でさえどうすることも出来ず・・・
(置手紙でどういう状況かはお互い伝わっていたようだ)

もはやこのまま飛ばされ続け死ぬのか・・・と思っていたその矢先、今年の春。
俺は飛ばされる周期が長くなっていることに気がついた。
似たような世界に飛ばされた俺は、
その時ここに書き込んだ(前回の書き込み)。

その直後、俺は真っ暗な世界に飛ばされた。
明らかに同時代の俺の部屋なのだが電気も月明かりもない真っ暗な闇の中にいた。
街には人の気配すらしない。
体もかなり弱ってきており、もはやこのまま元の世界に戻れないのだろうと諦めていた。

その刹那、今までにないほどの大きな時空の歪みとともにこの世界に戻ってきた。

いや、ここが元の世界だという証拠はなにもない。
が、違うという証拠もない。

しばらくポカーンとしていたが、ハッと我に返り実家に電話をするも
電話口に出たおふくろの口からこんな言葉が聞こえてきた。


1297天狗男 ◆3d.QRuQQg.:2011/07/13(水) 19:50:24 ID:vKB22wVk0

3/3
「あ~そっちは地震は揺れたかい?こっちは瓦が落ちてきたよ~でも誰もケガしなかったよ~」
え?地震?
TVをつけると地震速報とともに津波による被害を放送している・・・どのチャンネルもだ。

唖然としている俺に電話口のおふくろはこんなことを言った。
「今どこにいるんだい?会社は大丈夫なんだろ~?今日は早く帰るんだよぉ~」

あれ?俺は飛ばされ続けて会社はクビになったはず・・・
それにおふくろはずっと行方不明だった俺を全然気にしてないようだ・・・
気になった俺は聞いてみた。
「あのさ、俺がいない間、心配かけちゃってごめん」

おふくろは不思議そうにこう言った。
「何言ってるんだい?先週末遊びにきてくれたがね」

え?
俺はふと部屋にある鏡を見た。
半年間、俺の背後から離れなかったアイツの姿がなかった。

そして気がついた。
淹れた記憶のない熱々のコーヒーがテーブルの上に置いてあるのを。


あの地震から4ヶ月・・・
あれ以来、俺はアイツの姿を見ていない。
そして飛ばされることもなくなった。
クビになったはずの会社も何事もなく通勤できている。

もしかしたらココは俺のいた世界ではないのかも知れない・・・
アイツはココにいた「もうひとりの俺」を俺の代わりに連れて行ってしまったのかも知れない・・・

今ではあの半年間の出来事は・・・夢だったのではと思い込むようにしている・・・
そして二度とあの聖地には行かないようにしようと思う。

以上です。
飛ばされてた間の詳細はまた機会があったら書きます。ではでは。


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674天狗男 ◆JP.Ba21tS.:2010/03/10(水) 06:06:16 ID:.y8DnQxs0

1/8
あれは俺が専門学校生の頃だったからもう10年近く前になるかな。
その頃にインターネットを通じて巻き込まれた恐怖体験を書いてみる。

当時俺は「チャット」にハマッていた。PCで文字を打ち会話するあれだ。
俺はゲームが好きなのでFF好きが集まるチャット部屋に入り浸っていた。
部屋主の名前は「マサ」。
気さくで面倒見がよく皆に慕われていた。
俺は学校が終わり、用を済ますと毎日そこで色々な会話を楽しんでいた。

常連は10人程度。
オフ会も何度もやっており俺もよく参加していた。
ある日、俺はいつものようにチャットに入室すると皆の様子がおかしい。
俺は不審に思いながらも挨拶をすると参加者名を見た。
すると1人の新規さんがいるようだ。
ハンドル名は「魚女」。
変な名前だなと思いつつ「はつよろ~」と入力していたら
「寒い」と言いその魚女は落ちていった。
何が寒いんだ?俺の挨拶か?と思っていると皆がその魚女について話し始めた。
皆の会話を読んでいると、どうもすごくネガティブな感じの女らしい。
メンバーがFFの話を振っても
「友達がいない」とか「人は信用できない」等の発言を繰り返していたらしい。
常連は皆、大人なので気を使って色々と話しかけていたようだ。
俺はフ~ンと軽く聞き流すと
FFの話題で彼女のことなどすぐに忘れた。

翌日、夜になりいつものようにFF部屋に入ると例の魚女がいた。


675天狗男 ◆JP.Ba21tS.:2010/03/10(水) 06:07:23 ID:.y8DnQxs0

2/8
俺は「こんちゃ~」と入れると「こわい・・・」と言っている。
「え、俺?^^;」と入れても「怖くて眠れない・・・」と言う。
俺は何が怖いの?と聞くと
夜になると何かが襲ってくるそうだ・・・
明らかに場違いな発言に、俺はどうしようかと思っていると、
部屋主のマサが「電気つけて寝れば?」と言ったが
彼女は「鈴の音が聞こえる・・・」と言い落ちていった。

その後しばらく魚女は来なかった。俺は彼女の事などすっかり忘れていた。
と、ある日マサがおかしな事を言い出した。
「そういえばさ、最近寝るとき鈴の音が聞こえるんだよね・・・」
俺はギョッとし咄嗟に魚女のセリフを思い出した。
しかし気のせいだろうと思い深く考えないでいた。

それから一週間くらい経った頃、俺がいつものようにFF部屋に入ると例の魚女がいた。
と、皆が凍りついている。
俺は不振に思い常連のひとりにささやきをしてみると、
どうやら魚女がリスカをしたと言ったらしい・・・。
俺はうつ病なのかな?と思い
どうしようか思案してると魚女からささやきが来た・・・
「一緒に死んで・・・」

俺は、ヒィイィィ!と背筋が寒くなりすぐに部屋から落ちた。
何で俺が顔も知らないやつと死ななきゃならないんだ・・・
俺はしばらく部屋に行くことが出来なかったが、心配だったのでメールで常連に聞いてみた。
すると他の常連達も同じように言われたらしい。
その他、助けて・・・呪ってやる・・・等をしばらく言い落ちたらしい。


676天狗男 ◆JP.Ba21tS..:2010/03/10(水) 06:09:46 ID:.y8DnQxs0

3/8
さすがにこんな女がいたのでは、チャットを楽しむことは出来ない。
俺は、しばらく部屋にいくのをやめようと思った。
その夜、夢を見た。

俺は深く暗い森の中を歩いていた。
空は曇り日差しも届かない。うっそうとした森の中を彷徨い歩いていた。
と、遠くで宴のような祭りのような賑やかな声が聞こえてくる。
俺は凄く楽しそうだなと思いそっちに向かって歩き出すのだが、なかなか辿り着かない。
疲れたので大きな木の根元で休むことにした。
と、チリーンと音がする。

俺はなぜか咄嗟に魚女のことを思い出した。
辺りをキョロキョロ見ると、大木に鈴が巻きつけられているではないか。
よく見ると、鈴はこの大木だけではなくそこら中の木に巻きつけられている。

結界だ・・・
俺は夢の中でこれは夢だと悟った。
以前の人形夢事件を思い出し冷や汗が流れてきた。
恐らくこれも結界の外に出ないと夢から抜けられないのだろうという事を感じていた。
俺は身構えて精神統一をすると念じて刀を出現させた。
じつは人形事件の後、夢の中で武器となるものを出せる訓練をしていたのだ。
ドクン・・・ドクン・・・鼓動が早くなる。

うぎゃぁぁぁぁぁ・・・


677天狗男 ◆JP.Ba21tS.:2010/03/10(水) 06:11:16 ID:.y8DnQxs0

4/8
遠くで悲鳴が聞こえた。
聞いたことのあるような声だったが俺は恐ろしさで身動きが出来なかった。
何かがいる・・・遠くに何か邪悪なものを感じた。
宴の声はいつの間にかヒソヒソ話のようになっている。
ヤバイ、とにかくここから出なければ・・・と走り始めた途端、目が覚めた。

ハァハァ・・・ハァハァ・・・

ベッドの上で汗だくになりながら起き上がると、嫌な予感がした俺はすぐにPCを立ち上げた。
と、1通のメールが来ていた。

そんな・・・そんなまさか・・・
マサの訃報を知らせるメールだった。
近くに住む常連の一人が連絡がつかないことを不審に思い、マサ宅を訪ねると部屋で死亡していたらしい。
死因は急性心不全。
明日、密葬を行うから出席できる人は来てくれと書いてあった。
当然、俺は出席した。
密葬には親族とFF部屋の常連数人がいた。

俺は変わり果てたマサの姿を真にあたりにして言葉が出なかった。
相当苦しかったのか下唇を噛んだ痕がクッキリと残っていた。
恋人は泣き崩れていた。
今年結婚する予定で、先日式場まで一緒に見に行ったらしい。
俺は悲しさ胸が一杯だった。

俺はしばらくの間、ショックで呆けていた。


678天狗男 ◆JP.Ba21tS.:2010/03/10(水) 06:12:37 ID:.y8DnQxs0

5/8
信頼できる友を亡くしたショックは大きく、若かった当時の俺にとっては相当な痛手だった。
学校も休み、FF部屋にも行かなかった。
そんな俺を見て親父がこんなことを言った。
「おまえ、何か黒いものに憑かれてるな。引き込まれないように注意したほうがいい」
と言い、足で結ぶ密印を教えてくれた。
通常、印とは手で結ぶものでこれは特別なのだと言う。

俺はフーンと軽く聞いていたが「黒いもの」と聞いて魚女のことを思い出した。
その後、彼女はどうしただろう。
気になった俺は久しぶりにFF部屋に言った。
人数は減ったが常連が数人おり、久々に会話できて俺は少し安心した。
そこにはマサの彼女もおり、マサの追悼の話もしばらくしていた。
と、彼女からささやきが来た。

「俺クン、この電話番号の人って知ってる?」
「え、何番ですか?」
「080-xxxx-xxxx」
「(調べたが)ん~ちょっと知らないですね」
「そっか・・・」
「その番号がどうかしたんですか?」

マサが亡くなった時、部屋の受話器が外れていたと言う。
どうやらマサはこの番号の人と電話中に亡くなったらしい。
しかし誰に聞いてもその番号の相手が誰なのかわからないという事だった。
警察も死因が急性心不全なのでその番号にはノータッチだったらしい。


679天狗男 ◆JP.Ba21tS.:2010/03/10(水) 06:15:04 ID:.y8DnQxs0

6/8
そして彼女さんが試しにその番号にかけても電源が入っておらずつながらないという。
俺は誰あろうと思いながらも、その日はそれで部屋から落ちた。
その晩、またあの夢を見た。

俺はまたあの森の中を彷徨っていた。
遠くから賑やかな声が聞こえる。
しかし今度は真っ暗な夜だ。3m先もよく見えない。
と、遠くから鈴の音が聞こえた。

チリーン・・・ チリーン・・・

俺は身構えて刀を出すと、音のする方向を見据えた。
どす黒い何かの意思のようなものが近づいてくるのが分かる。
と、どうしたことか体が動かない。
刀を構えたまま身動きが取れなくなっている。
ヤバイ、逃げるにも逃げられない・・・
黒いものが近づくにつれ、何やらうめき声が聞こえてくる。

コロシテェ・・・シニタィ・・・

1人や2人ではなく、おびただしい数の声だ。
それが黒い塊となって徐々に近づいているらしい。
メキメキと木々をなぎ倒しまっすぐこちらに近づいてくる。
いくら夢でも、この闇の集合体に勝てるわけがないと悟った俺は
目をつむって起きようと念じたが、やはり無理だった。
そいつは闇よりも深い闇で無数の手が伸びギラギラとした目がいたるところについていた。

う"お"お"お"お"お"・・・


680天狗男 ◆JP.Ba21tS.:2010/03/10(水) 06:18:12 ID:.y8DnQxs0

7/8
すでに目の前まで迫ってきたが体が動かない。
もうダメだと思った瞬間、俺はそいつに飲み込まれた。
そして理解した。
こいつは物凄いネガティブな意思の塊だ・・・
こいつの中にいるだけで俺も死にたくなってきた。
ダメだ思考がまとまらない。悲しさが止まらない。生きているのがつらい・・・
もうこのまま眠ってしまおう・・・と思った瞬間、声が聞こえた。
「おまえはまだ生きろ」
その瞬間、俺を飲み込んだ真っ黒い塊が2つに裂け、俺は放り出された。

き"え"え"え"ぇ"ぇ"・・・

何が起こったのか分からなかったが、
俺は咄嗟に親父に教えてもらった密印を足で結んだ。
その瞬間、まばゆいばかりの光が
その塊の中から溢れ森をも包み込み辺りを飲み込んでいった・・・

夢の中は俺以外、無になっていた。
しばらくして俺はゆっくりと目覚めた。
ふと時計代わりにしているケータイを見て固まった。
時刻は夜中の2時。
しかも着信があったのだ。例の番号から・・・
もしあのまま闇に包まれていたら、きっと無意識に電話を取っていたのだろう。
そして電話を取ってしまったらきっと・・・そう考えると恐ろしくなった。


681
天狗男 ◆JP.Ba21tS.:2010/03/10(水) 06:19:33 ID:.y8DnQxs0

8/8
しかし最後に聞こえたあの声。
あれは間違いなくマサのものだった。
闇に包まれて命を落としたにも関わらず俺を助けてくれた・・・俺は声を出して泣いた。

週末、マサの墓参りに行くと彼女さんが来ていたのでそのことを話した。
彼女さんは泣き崩れた。
そしてマサの分まで強く生きてください、と俺に言った。
俺も泣きながら頷き、何が何でも生き抜いてみせます、とマサの墓前で誓った。

近年、うつ病の患者が急増しているという。
俺が出会ったネガティブの塊は、そういった生きてる人たちの負の思念が
大きなうねりとなって、俺達生きてる人たちに影響を与えているんだなと、この事件を通して理解した。
少なくとも自分だけはポジティブに生きねばと考えさせられる事件だった。

おしまい。


http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/study/9405/1209619007/-100

640
天狗男 ◆JP.Ba21tS.:2010/03/06(土) 04:19:41 ID:arBuB0Pc0

1/6
どうも。今回からこちらに書きます。コテも天狗男にしました。

あれは俺が中学生になったばかりだから、もう15年も前になるかな。
前回の鎧武者の亡霊事件の半年くらい前の話だ。
その日、俺は親父の運転する車で山道を走っていた。お袋も一緒だ。
後にもう2台、母方の婆さん一家(以前書いた蚕屋敷の家族)と叔母さんの一家が一緒だ。
目的地は叔母の旦那さんの実家で呆れるほど山奥にある村だ。
季節は真夏でちょうどお盆の直前だった。

その村へ行くのはこれで2回目。
以前訪れた時は幼少の頃で、道は舗装もされておらず、長時間ガタガタと砂利道を進んだ記憶がある。
「いつの間にか舗装されてたんだな・・・」
とは言え市街地からすでに3時間は山道を走っている。
俺は退屈で時折、あくびをしながら外の風景を眺めていた。
と、1台の対向車とすれ違った。
自衛隊のトラックだった。

ん?こんな山奥になんで自衛隊がいるんだ?
俺は不審に思ったが、そんなことはすぐに忘れ早く着かないかなと考えていた。

時計を見ると午後4時半。
すでに日は傾き、山に影を落としている。
ふと窓の外を見ると山の向こうに飛行機が見えた。
へぇ~こんな山奥の上を飛んでる飛行機があるんだなとあまり深く考えずにボーッと見ていた。
ほどなくして親父は車を止めた。
そこは寂れた定食屋のようだった。
後の2台も続いて止まった。




641
天狗男 ◆JP.Ba21tS.:2010/03/06(土) 04:21:09 ID:arBuB0Pc0

2/6
「ちょっと休憩でもすんべか」
それぞれトイレや自販機でお茶などを買っていた。
店の中には愛想の悪い店主がいた。
小腹が空いた俺は、こぶし程もある味噌田楽にかぶり付きながら外をブラブラしていた。
と、またもや自衛隊の車が通り過ぎてゆく。何か演習でもあるのか?
不審に思いながらも食べ終わる頃には忘れていた。

少し休憩後、村に向けて出発した。
ここからは小1時間程で着くらしい。
いい加減早く着いてくれよ・・・さすがに飽きた俺は少しイライラしていた。
と、窓の外を見るとまたもや飛行機が飛んでいる。

ん?また飛行機か?さっき見たばかりじゃん。変なの。
確かにこんな山奥で何度も見るのはちょっとおかしいなと思った。
時計を見ると5時半だ。
山は夕焼けで真っ赤に染まっていた。

そろそろ着くかなと思った矢先、いきなり車がガタガタと揺れだした。
え?ここからは舗装されてないの?
不審に思った俺は親父に声をかけた。しかし反応がない。
何か変だなと思い助手席のお袋にも声をかけたが同じく反応がない。
二人とも真正面を向いて無言だ。

おかしいな、耳が遠くなったのか?
俺はふと後を振り返った。
さっきまですぐ後をついてきてたはずの2台がいない。
あれ?どこいったんだ?確かにさっきまでいたのに。
この時俺は何か嫌な予感がした。
と、親父が急ブレーキを踏んだ。
俺は思わず前のめりになったが、次の瞬間ギョッとした。


642天狗男 ◆JP.Ba21tS..:2010/03/06(土) 04:22:22 ID:arBuB0Pc0

3/6
え・・・
車の目の前をボロボロの服を着た大人が数人、真横を向いて立ち止まっていたのだ。
それを見た瞬間、俺は猛烈な悪寒に襲われた。
それは間違いなく「まともじゃない」ものだった。
両親はかわらず正面を見て微動だにしていない。
俺は真っ青になりながら固まっていた。

どれくらい時間が経ったのかわからないが、彼らは山の方向に向かってゆっくりと歩き始め、
そして見えなくなった。
すると車が動き始めた。親父もお袋も無言だ。
ヤバイ・・・
二人とも何かに取り憑かれてるのか?
俺はどうしていいかわからず目だけをキョロキョロさせていた。

バタバタバタバタ!

頭上をものすごい爆音を響かせながらヘリが飛んで行った。
自衛隊のヘリのようだった。
どこから現れたのかもわからない。
さすがにこれはヤバイと思い、後部座席から運転席の親父を揺さぶった。
と、消してあるラジオから何かが聞こえてきた。

ザザッ・・・摩訶般若波羅・・蜜多・・・ガー・・・ピー・・・


643天狗男 ◆JP.Ba21tS.:2010/03/06(土) 04:23:23 ID:arBuB0Pc0

4/6
般若心経だ・・・俺は恐怖で声も出なくなっていた。
と、バックミラーから親父の目が見えた。
真っ赤だった。黒目がなかった。
俺は腰が抜け、後部シートで丸く屈み、一心に「助けてくれ!助けてくれ!」と念じた。
と、物凄い耳鳴りがしたかと思うと地面が揺れるほどの爆発音がし、
その瞬間、車が止まった。
俺はガタガタと振るえながら恐る恐る目を開けた。

何だ・・・あれは・・・
見ると目の前の山が燃えていた。
山の至る所から煙が立ち昇り木々は倒れ、何かの残骸が散らばっている。
しかも俺は近眼なのに、あれだけ距離が離れているにも関わらずその様がハッキリと見える。
そして、そして更に怖ろしいことに無数の手が空に向かって伸びている・・・
まさに地獄絵図だった。

俺は頭が真っ白になり、クチを開けてその様子を見ていた。
そしてあまりの光景に意識がなくなるのが分かった。
俺は聞いた。薄れゆく意識の中でハッキリと・・・・・

ザザッ・・・不明の・・・ガガッ・・・JAL123便・・・ピー・・・


644天狗男 ◆JP.Ba21tS.:2010/03/06(土) 04:24:24 ID:arBuB0Pc0

5/6
「おい、着いたぞ起きろ」
俺は親父の声でハッと起き上がった。
親父とお袋がトランクから荷物を降ろしている。
後の2台もすでに到着して皆、荷物を降ろしていた。
俺はボーッとしながら、さっきの出来事が何なのか整理がつかないでいた。

「何やってんだ?寝ぼけてないで早く降りろ」
俺は夢だったのかな、と思いつつ
ドアを開け車から降りようとしてふとラジオを見て凍りついた。
ラジオの周波数は123を・・・そして時計は午後6時56分を指していた。

そうか・・・今日は8月12日だったか・・・

俺の到着した所、そこは上野村。
今から25年ほど前(1985年8月12日午後6時56分)日航ジャンボ機が墜落した御巣鷹山の麓の村だ。
俺の叔母の旦那さんの実家はそこで駄菓子屋をやっていた(当時)。

俺は親父に「暗くなる前に先に慰霊碑に行ってくる」と言った。
親父は何かを感じたのか「・・・そうか」と言い一緒に行ってくれた。
二人で慰霊碑に向かい黙祷を捧げた。
そして親父がこう言った。


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天狗男 ◆JP.Ba21tS.:2010/03/06(土) 04:25:17 ID:arBuB0Pc0

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「おまえはこれから先、何があってもあの山には入るなよ。
あの山は地獄への門がぽっかりと開いてやがる。怖ろしいほど大きいのがな。
入ったらまず生きて帰ってこれねぇ」

俺はそれ以来、その村へは行っていない。

おしまい。

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